独断的JAZZ批評 899.

JACK VAN POLL
おまけに幸せ感まで共有できた・・・
"JUST FRIENDS (LIVE AT THE CRYPT)"
JACK VAN POLL(p), HEIN VAN DE GEYN(b)
2014年3月 ライヴ録音 (SEPTEMBER : 5174)


デュオ・シリーズの第2弾。
今年の3月に録音された本アルバムは、JACK VAN POLLが80歳の時の演奏だ。まさに、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」的ライヴ録音盤なのである。この会場に居合わせたオーディエンスは演奏の素晴らしさにプラスして心温まる幸せ感に満たされたに違いない。
VAN POLLは1934年生まれ、かたや、VAN DE GEYNは1956年生まれ。二人の付き合いは40年にも及び、全てを知り尽くした者同士のデュオだ。
因みに、星5つを献上した1986年録音の"TREE-OH IN ONE"(JAZZ批評 191.)にもこのVAN DE GEYNが参加している。
現在、この二人は南アフリカに移住しているという。従って、本アルバムは南アフリカのケープタウンにあるジャズ・レストラン"CRYPT"でライヴ録音されたものだ。

@"JUST FRIENDS" おしゃべりが過ぎない、適度な会話が耳に心地よい。弾き過ぎないGEYNのベースもいいね。
A"EMILY" 
ジャズ・ピアニストがこぞって採用する曲のひとつ。兎に角、いい曲だ。こういう知っている曲を目の前で演奏されるとオーディエンスは凄く嬉しいものだ。いやあ、参ったなあ!こりゃあ、拍手喝采も当然だ!
B"HAVE YOU MET MISS JONES" 
明るくハッピー。
C"IN A SENTIMENTAL MOOD" 
この曲が入っているのも嬉しいね。ジャズ・ファンなら泣いて喜びそうなフレーズが次から次に湧いてくる!オーディエンス、大興奮。
D"DOWN YONDER" 
ベースのソロで始まる。なかなか渋い!
E"TULIPS FROM AMSTERDAM" 
もともとVAN POLLはオランダ生まれのプレイヤーだから故郷に対する想いは強いのだろう。何気なくこの曲が挿入されているのも分かるような・・・。
F"I CAN'T GET STARTED" 
邦題「言い出しかねて」 小粋でお洒落な演奏に80歳の年輪を感じるなあ!
G"YOU ARE MY SUNSHINE" 
言わずと知れたポピュラー・ソングもこの人の手に掛かればジャズ・フィーリングがたっぷり!やんやの喝采鳴りやまず。
H"THE DAY YOU LEFT" 
自らハスキーボイスで弾き語り。こういう渋さは多くの人生経験を重ねた人にしか出せない味だ。
I"BLUE BOSSA" 
この選曲は嬉しいね。ジャズ・ファンには堪らない・・・。
J"GEORGIA ON MY MIND" 最後を締める名曲。何気なく素晴らしい演奏であり演出だ。

気心の知れた者同士のデュオ。それと、目を瞑っても弾くことが出来るだろうスタンダード・ナンバーのオンパレード。ジャズ・ファンなら一度は聞いたことがあるスタンダードが目白押しだ。
加えて、オーディエンスも一体となることのできる小さなライヴ・ハウス。居合わせたオーディエンスは大満足だったろう。おまけに幸せ感まで共有できたということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.010.02)

試聴サイト : 残念ながらなし



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