独断的JAZZ批評 909.

LORRAINE DESMARAIS JAZZ TRIO
酸いも甘いも噛み分けた大人の味わい
"COULEURS DE LUNE"
LORRAINE DESMARAIS(p), FREDERIC ALARIE(b), CAMIL BELISLE(ds)
2012年3月 スタジオ録音 (ANALEKTA.COM : AN 2 9884)


アメリカ〜オランダ〜オランダ〜イスラエル〜メキシコと続いたピアノ・トリオも今回はカナダの女流ピアニスト。
1956年生まれのLORRAINE DESMARAISはフランス系のカナダ人ということらしい。1985年以降大学で教鞭をとる一方、ジャズ・ピアニストとしても活躍してきたそうで、既に10枚のアルバムをリリースしているというから、その実力は推して知るべしだろう。
影響を受けたピアニストとして、CHICK COREAとOSCAR PETERSONの名前を挙げている。

@"COULEURS DE LUNE" とても素性の良いというか、ナチュラルというか、聴く人を選ばない好印象のスタートを切る。
A"FOREVER YOUNG" 
キラキラしたピアノだけど清々しさも併せ持っている。続くベース・ソロもよく歌っていてグッドだ。
B"ROSE" 
タイトル通り、香り立つような清々しさのある演奏。
C"HOW CAN YOU MISS A FRUIT SALAD ?" 
女性らしい細やかな優しさに溢れ、少しのユーモアがスパイスされている。
D"LARGO" 
スローだけど、バラードというよりは情熱を秘めた演奏だ。
E"WEEK-END A TOULOUSE" 
どこかで聞いたような節回しだ。このDESMARAISのピアノは基本的に明るくて屈託がない。難しいことは止めにして気持ち良く弾ければそれが良い。
F"ALBERTO" 
快活な演奏だ。途中で曲想が変化しワルツの演奏にシフトする。
G"BOLERO" 
「ボレロ」を検索すると「最初から最後まで同じリズムが延々と繰り返され・・・」とある。確かに、そうなっている!
H"TSAI-TSIEN !" 
5拍子かな?変拍子を変拍子と感じさせない自然な感じがいいね。
I"DANNY BOY (LONDONDERRY AIR)" 
最近、頻繁に取り上げられる曲のひとつ。EDWARD SIMON "DANNY BOY"(JAZZ批評 678.)や後藤輝夫"BUT BEAUTIFUL"(JAZZ批評 888.)等が記憶に新しい。ここでの演奏もしっとりしていて心に沁みる。

ジャケット写真を見ていると、何となく、日本のジャズ・ピアニスト・木住野佳子を思い出してしまう。共通しているのは女性らしい細やかな優しさと芯のある艶っぽさかな?併せて、酸いも甘いも噛み分けた大人の味わいを堪能いただけると思う。

試聴サイト:http://www.analekta.com/album/?desmarais-lorraine-
couleurs-de-lune.1700.html

        
このサイトでは全曲フルに試聴できる。



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