独断的JAZZ批評 911.

JAN LUNDGREN
まさに、貴公子的演奏で物足りないのだ
"ALL BY MYSELF"
JAN LUNDGREN(p)
2014年1月 スタジオ録音 (FRESH SOUND : FSR 5053 CD
)

JAN LUNDGRENと言えば、スウェーデンの貴公子と呼ばれ、イケメンぶりを喧伝されていたが、一方で素晴らしいピアニストでもある。
特に、デンマークのベーシスト・JESPER LUNDGAARDとドラムスのALEX RIELと組んだトリオは傑作が多い。古くは1994年録音の"CONCLUSION"(JAZZ批評 185.)、その後は、2003年録音の"LES PARAPLUIES DE CHERBOURG"(JAZZ批評 204.)、2007年の"A SWINGING RENDEZVOUS"(JAZZ批評 433.)等が5つ星だった。
その後、このメンバーによるトリオはすっかり姿を消して、MATTIAS SVENSSON(b)やZOLTAN CSORSZ(ds)とトリオを組む機会が増えた。
昨年には"MAN IN THE FOG"というソロ・アルバムをリリースしているが、僕はこのアルバムを買っていない。
本アルバムは多くのスタンダードを"AMERICAN SONGBOOK"からチョイスしたソロ・アルバムだ。

@"WILL YOU STILL BE MINE?" 題名は知らなくても曲を聞けば、ジャズファンなら誰でも知っている。そういう曲のオンパレードだ。素直というかオーソドックスな演奏だ。
A"IN YOUR OWN SWEET WAY" 
ジャズの定番。
B"CARAVAN" 
言わずもがな・・・。
C"DREAM DANCING" 
D"THE MAN I LOVE" 
E"WE'LL BE TOGETHER AGAIN" 
F"WHO CARES?" 
G"APRIL IN PARIS" 
H"I REMEMBER YOU" 
I"PRELUDE TO A KISS" 
J"THE WAY YOU LOOK TONIGHT" 
K"NOBODY ELSE BUT ME" 
L"MY HEART STOOD STILL" 
M"'ROUND MIDNIGHT" 
JAN LUNDGRENが弾いているんだという自己主張が欲しいところだ。

聞古されたスタンダードが目白押し。しかし、どの演奏も似たような印象で心に残らない。1〜2曲程度、ブルースでも入れた方が良かったのではないだろうか?
かつてのスイング感や躍動感は今もあることはあるのだが、甘い。メリハリが効いていない。これではBGMに成り下がってしまうだろう。読書のお供に聞くのも悪くはないけど・・・。まさに、貴公子的演奏で物足りないのだ。LUNDGRENは現在、48歳。まだまだ老け込む歳ではないのだけどね・・・。
先に紹介した"LES PARAPLUIES DE CHERBOURG"(JAZZ批評 204.)を引っ張り出して聴いてみた。こちらは映画音楽がモチーフになっているけど、全編、躍動感とスリリングな展開に満ち溢れていた。どうせ購入するならこちらでしょう!   (2014.12.23)

試聴サイト:
http://www.amazon.com/All-By-Myself-Jan-Lundgren/dp/B00MONTKFW

参考サイト:https://www.youtube.com/watch?v=RJJt9X0oskY



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