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vol 46:真か偽りか
「カンの天界でのお母さんがなぜ地獄にいるんだろう。」
「しっかし、そこまでの背景は知らなかったな。
上の神のみが知ってることだったのか・・・?。」
弥勒の提案でクーラーの効いたファミレスに、
向いに弥勒、隣に大樹で座り昨夜の俺の話をする。
二人に言うまいか迷ったけど、
事の大きさに俺一人で抱えるのは辛かったからや。
「ん・・・けど、事実としたら地獄に行ってみねぇとな。」
弥勒がチョコレートデラックスパフェを頬張りながら言う。
「でも!・・・まだ本当なのか解らないよ。」
大樹は発言した後、アイスミルクティーを飲む。
「んぅ・・・それやねんなぁ~。ホンマか嘘か解らんから、
どないしたらええんか解らへんねん。」
俺はプリンアラモードデラックスパフェを頬張りながら言い、
「・・・はぁ~。」
3人同時に溜息を吐く。
「地獄についてもう少し調べるか。」
「どうやって。情報ならパソコンで調べたよ。
確かに、サタンは神使いの時に、自分たちと人間を同レベルで、
しかも、神は人間に対しての慈悲愛がすごくて嫉妬して堕天使になった、
とは記載されている。でも、それは人間が聖書で読み取った話だし。
真実なんて行ってみなきゃ解らないよ、きっと。」
「やっぱり、地獄に行くべきなんやろか・・・。」
そう言うと大樹が目を見開いて、
「だ、駄目だよ!そんな・・・絶対駄目。」
心配だ~って感情がものすごく伝わってくる。
そんな大樹を見て弥勒は一つ提案を出した。
「だったらよ、天界の神に直接聞いたらどうよ。」
「・・・そうか。そうだよカン!。」
俺は反対。
「そんなん、聞けるわけないやん。
どんな事情でそうなったんか解らんのに。」
「だから聞くんじゃない。」
「・・・。」
弥勒は頭を掻き、
「じゃー・・・兄貴に聞けよ。
兄貴なら知ってんだろ。」
それには俺も少し気持ちが落ち着いた。
パフェの食べ過ぎとクーラーに腹が冷えたところで弥勒と解散。
今日は自転車の二人乗りで大樹と来た。
大樹が前に乗って漕ぎ、俺は後ろ向きで後の椅子に座る。
「カン・・・早まるのだけはやめてよ?。」
「・・・うん。」
「お兄さんに聞くなら、俺も一緒に聞きたいんだけど・・・。」
「この辺に教会ってあったっけ?。」
「教会?。」
大樹は自転車を止めて振り向いた。
「多分この辺には教会って場所はないよ。」
「そうか。ほんなら、うち行こ。」
「わかった。」
再び自転車を漕いで俺の家に向かう。
大樹の背中は汗だくで、それをいじめるかのように俺は大樹に凭れかかる。
「か、カン・・・暑いよ。」
家に着くと、冷たいお茶を大樹に飲ましてから部屋に行き、
クーラーをつけた。
電気は消したまま。
俺はベッドに胡坐をかいて座り、大樹は床に正座で座る。
俺の兄ちゃん呼ぶから緊張してるんやろ。
俺は目を閉じて両手を胸の前で組み、天井に顔を上げる。
真っ暗な視界に空を思い浮かべ名を呼びだした。
(主よ・・・。)
俺が兄ちゃんを「主」なんて呼び方で呼んだこともなく・・・。
主は直ぐに姿を現した。
(どうしたのですか、我が妹よ。)
心配そうな顔をする主に俺は目を開けてニッコリ微笑んだ。
「お、おおおおお兄さん!。」
始まった。大樹のアホ丸出しが。
「大樹、天気の話はすんなよ?。」
苦笑して俺は賺さず呟いた。大樹は顔を顰めている。
「兄ちゃん、大樹は何でか、まだ声が聞こえへん。
大樹にも聞かせたいんやけどどうにかならん?。」
(今だけでしたら。)
そう言って主は大樹の後に回り、両耳に自分の掌を触れさせた。
(この状態でなら聞こえるでしょう。)
「・・・聞こえる。」
大樹は目を見開いて驚いた。主の声が聞こえるから。
(チビ神、正座はお辛いでしょう。足を崩しなさい。)
優しい声と表情で大樹に言うも、大樹は表情を硬くし、
「いいえ!お兄さんの前で。俺はこのままで構いません。」
主はクスクスと笑い、
(相変わらずですね。人になっても貴方も変わらない。)
「兄ちゃん、俺に母親がおるんか?。」
俺の言葉に主は無表情になった。
(何を。母親は洋子。)
「ちゃう!この世と違う。天界での話や。」
主は黙りだした。目を閉じてから暫くしてゆっくり目を開け、
(誰に何を聞いたのです?。)
誰に・・・何を・・・。
「さ、サタンに・・・地獄に母親が居るって・・・。」
俺はなぜか泣きそうになった。
「か・・・カン。」
俺の今にも泣きそうなんを下唇噛みしめて堪えてる顔見て、
大樹は心配そうに俺の名を呼ぶ。
「サタンが・・・嘘ついてるって俺は思うんや。
俺を騙そうおもて・・・。」
(嘘ではありません。)
「え?。」
俺も大樹も胸が苦しくなった。
「な、なんでや。嘘に決まってるやん。」
俺はやっぱり認めたくなくて必死で主に笑みを浮かべて言う。
せやけど主は・・・。
(貴女の創る際に関わった女は地獄にいます。
サタンと共に、地獄を創った神の一人。)
「嘘やっ!。」
俺は鋭い目付きで叫んだ。
(嘘ではない。)
「お兄さん・・・カンを創った女性は、
何故地獄をサタンと創ったのですか?。」
感情を抑えきれない俺に代わって大樹が話しを進めてくれた。
大樹が居てくれて良かった。
(カンが下界に行くと言わなければ、
ずっと黙っておこうと父と話してました。
でも、カンが下界に人々を救うと言いだした時、
この時が来ることは私も覚悟を決めていた。
父はご自分では話したがらないので、その時は私がと。
話しましょう。お前の母の事を。
そして、過去に何があったかを。)
こうして、俺の生まれた頃の事、
俺の生まれた後の天界での事を知るはめになったんや。
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