8.樹木の傷

樹木に傷をつける?

09.04.11神代植物園イヌブナ昨年こんな記事があった。「青森、秋田にまたがる世界自然遺産・白神山地の青森県側で、ブナ約20本にナタのような刃物でカタカナや数字などが刻まれているのが30日までに、見つかった。同県西目屋村の川原平大川付近で、尾根伝いの約2キロにわたる範囲。直径約30~50センチのブナ約20本で大人の胸ほどの高さに傷が見つかった。漢数字で「八八三」、「七四十」などと刻まれており、現地の標高とほぼ一致。ほかにカタカナの「オ」の字なども刻まれていた。文字の大きさは10~20センチ四方だった。現地は急な傾斜地で、一般の登山客が入山するのは困難な場所のため、環境省西目屋自然保護官事務所は『山歩きに相当慣れた人がやったのではないか。深い傷は腐って元に戻らない恐れがある。悪質な行為』としている(2008年10月01日スポーツニッポン)」あるいは、「西日本最大級の規模として知られる鳥取県の国立公園・大山のブナ原生林で、ブナに名前などが刻まれているのが見つかり、環境省と林野庁が八日、実態調査に乗り出した。この日は少なくとも十二本の木が刃物で傷つけられているのが確認された。刻まれた日付から推測して十年以上前の傷もあり、観光客のモラルが大山でも浮き彫りになった。両省庁は今後パトロールを強化する(2008年10月09日日本海新聞)」

いまさら後悔しても・・・

「いいことではない。刻んだ人はどんな気持ちなんだろうな」。ブナ林の撮影に訪れていた岡山県真庭市の男性(71)はつぶやいた。2009年3月29日読売新聞の読者投書欄にこんな記事があった。「何十年後に後悔、妻と一緒に、近くの城跡公園に散歩に出掛けた。小学生の頃、近所の友だちとよく遊びに行った公園だ。公園裏の林には、友だちと登った大きな木が残っていた。『登ったり傷付けたりしないでください』と書かれた看板もあった。その奥の木の幹に、樹皮のシワのようになった残る文字があった。昔ナイフで彫った自分の名前だった。『かわいそうね。なぜ木を傷つけるのかしら』と、妻がその文字を読み始めた。慌てて近くのコブシの花に話題をそらし、その場を去った。子供の頃のこととはいえ、自分のしたことは妻にも明かせないほどのことだった。悔やまれてならない」

 読売新聞の記事をみて、もう大分昔の話だが、田舎の神社にあった紅葉の木だったように思うが、一人で遊んでいて名前の漢字一文字をナイフで刻んだことを思い出した。さすがにもうその木がどこにあったか定かに覚えてはいないし、跡も残っていないと思うが、こんな歳になっても忘れられないようである。