コース作成記&講評



6     2002年大会(八王子〜多摩湖・狭山湖〜入間〜飯能)


 「記憶」というテーマにこだわったクイズを多く配すると共に、2ステージ制やHDCPの改定など13回目を迎えた今年も新しい試みを配し、総勢16チームが稀に見る激戦を演じました。その記録として、全体成績や各クイズの出来などの講評をお届けします。

〜コース作成記&全体講評〜


当初の企画は・・・

 今年も着手が遅くなり、9月半ばになってようやく企画に取り掛かった。第1回以来久々に飯能市民会館をゴールにすることをまず決め、未だ使っていない地域を組み合わせることにした。となると、必然的に多摩湖周辺を取り入れることとなる。また、飯能市民会館の隣にある天覧山は散策コースが整備され、ウォークラリーをクイズ付きで実施するのに適していると実は以前から狙っていた。これを第2ステージ(2ST)とすることを考え、従って第1ステージ(1ST)は距離を短め(50km程度)にしてゴールを早めることにした。

 まずは今回共催となったオートバックス八王子中央へ向かう。直行すると途中何もクイズが無いので、あちこち迂回してみてようやく小手調べ的クイズを出せる場所(池の消毒)を発見。そこから素直にオートバックス八王子中央へ誘導し1CPとし、多摩湖へ向かう。ここは寄り道していると距離が大幅に増えそうだったので、渋滞回避だけ気をつけてほぼ直行するルートにした。市街地と多摩湖周辺道路の間にCPを置こうとするがうまくいかない。仕方無く無人CPとした。

 多摩湖周辺を通してから、さあこれからどうするかと地図とにらめっこ。久米川古戦場という文字が目に飛び込んできたので、取り敢えず向かうことにする。途中偶然発見した弁天池公園は、クイズ向きなのでここを経由してルートを組み立てる。更に地図を睨むと、狭山茶畑へ向かう途中にもう1つ古戦場がある。しかも先程の古戦場に絡めた出題ができることが分かったので、テーマを「センジョウ」に決めた。カタカナにしたのは洗浄剤のクイズでも出してテーマに幅を持たせたかったため。

 狭山茶畑のあちこちでクイズを設定すると、予定より距離が出すぎたため敢え無く最短ルートへ変更。飯能市民会館へ到着すると、12年前とは様子が一変している。凸凹の荒れたダダっ広い駐車場が、今はきれいに整備され緑地公園まで設けられており、改めて12年の月日を認識させられた。天覧山も、宅地開発を進める西武と保存を訴える住民団体とが訴訟で争っていることを知り、現在の姿がある内に皆さんにウォークラリーで堪能してもらおうとの意を強くした(この時までは)。ただ距離が予定を10km強オーバーしている点が気になっていた。

企画変更、今年は「記憶」でいこう!

 何度目かの試走の途中、ふと閃いた。皆で作成した記憶力クイズを互いに解答するのはどうだろう。この瞬間、テーマは「記憶」に変更となった。これを2STに配すれば時間短縮を図れるので1ST距離が60kmになっていることもカバーできる! またクイズUにも記憶に関する出題を織り交ぜ、可能な限りテーマにこだわってみた。

 コースの方は一旦作ったものを何度も練り直す必要に迫られた。埼玉県の市街路が狭すぎるのだ。岩崎弁財天という処でクイズを2問設定していたが、周辺の道が狭く交通量もあるので、試走の都度すれ違いに苦労し遂に断念、山口中学校を通るルートに切り替えた。また松ヶ丘住宅地内に通り抜け禁止看板を最終試走時に発見、ルート変更を余儀無くされた。

 3CPや4CPを置きたいが適当な場所が見つからない。ルートを変えていろいろ試してみるがうまくいかず、幼稚園の駐車場と公共運動場の駐車場を借りることにした。公共施設の使用許可申請は馴れたものだが、幼稚園は初めてだ。電話で交渉したが相手も突飛な申し入れに明らかに戸惑っていたものの、最終的に条件付きで了承を得た。

最後の仕上げ

 一通り完成したものの物足りなさが残った。「記憶」にこだわった設定には満足できたが、他にヒネリが少ない。最終試走でクイズ等を追加することにした。まず無クイズ区間だった1〜2CPで見つけた新幹線をクイズ化、またデジカメ写真クイズを新たに設定した。市街地が多いので写真場所を限定できる形で出題し、安全に配慮したつもり。

 次いで改良したのは茶畑。折角のクイズの宝庫で1問のみは勿体無い。縦横に走る道を利用し、95年大会での引っ掛け設定を復活させてみた。コマ図を注意深く見ていない限り、コマ図を2つ飛ばしてCPインしてしまう設定である。ここの担当オフィシャルはきっと笑いが止まらないことになるだろう。
 

 これで漸く完成(本当はここに書き切れない紆余曲折がもっとあるが)。全体的に素直な設定ながら、クイズにはバリエーションを持たせることができたと思う。優勝チームは20点台後半になると予想。

オフィシャル大慌て、参加者右往左往!?

 ドラミでスペシャルHDCPを発表、前回の優勝チームのキャプテンT君と、希望者同士のジャンケンで勝ったM君が恥ずかしいタスキを表彰式終了まで付けることになった。どっちがどっちか忘れたが、「愛を下さい」「エサをやらないで下さい」と書かれたものだ。T君に対しては前回優勝のHDCPとして、M君に対しては減点2点免除を与えた。これが後で明暗を分けることになろうとは!

 今年はスタートで久々にオフィシャルが混乱した。オフィシャルの遅刻(特に八王子ICで降り損ねたS君)も一因だが、ドラミが少々長引いたことと、5CP車のT氏が先行車出発時刻になっても行方不明だったのが原因。1号車のスタートを2分ずらし、5CP車を置いて何とか先行車部隊(先行車・1CP車・3CP車・4CP車)が出発した。

 1CPへ向かう途中、路肩に止めて先行車部隊がはぐれていないことを確認しようとした時、脇を何と1号車が追い抜いていった。先行車が抜かれてしまうハプニングにやや慌てたが、その先のクイズ地点で抜き返し事無きを得た。これまでの経験から、1CP迄に抜き返せるポイントを必ず設けてあるのだ。しかしこの後も先行車は参加車に突つかれ続ける。1CP開設作業中や、小手指ヶ原古戦場でクイズ確認中に参加車に追いつかれ、慌てて先を急ぐ羽目になった。

 混乱したのはオフィシャルだけではない。参加車も5CP付近では大迷走となった。5CPで設定に引っ掛かって(あるいは他車につられて)コマ図を飛ばしてCPインしたのは10チーム、更に37図の「エフトップ」を見つけられずに迷走したチームは数知れず。コマ図上に親切に注意書きしたつもりだったが。5CPも37図も、他車につられたチームが多く、コマ図数クイズ4点減点と30分のタイムロスと距離計測クイズ撃沈という大きな痛手を被ったチームは少なくない。

熾烈な優勝争い、こんなドラマがあったとは

 こうしてゴールに辿り着き、更に2STで疲れた頭を鞭打ち記憶を蘇らせた後、最終成績の発表となった。実は1ST終了時点で3チームが同点トップで並んでいた。2STの結果で優勝の行方が決まるという、大会としては大変盛り上がる展開となった。更にドラマが起こった。この3チームが総合成績で1点差ずつとなったのだ。この接戦を制したのは、韋駄天チーム(ゼッケン15)で、通算2回目の優勝となった。一番喜んだのは奥様ではなかろうか。惜しくも2位にはもんもんチーム(ゼッケン12)が入ったが、優勝チームとは仲間内なのでさぞかし悔しかったことだろう。3位には座高たかーチーム(ゼッケン3)が入り、昨年の優勝チームのチーム員が優秀であることを証明してみせた。

 他の注目チームはどうか。昨年優勝したレイサー再びチーム(ゼッケン16)は何と12位に沈んでしまった。お茶目な韋駄天チームとは対照的に、シャイなT君はタスキが邪魔となってクイズ解答に身が入らなかったらしい。レンタカーでの参加という珍記録を樹立した横浜のライオンチーム(ゼッケン18)は、いつもクイズTの出来が優秀で必ず上位に入るが、今年はダーツと記憶力クイズ作成での減点が響き6位に終わった。7位の阿部ファミリーチーム(ゼッケン10)はエフトップを探し回って混乱しなければ距離クイズで15点も減点を受けることなく、優勝争いに絡むはずだった。一方11位のチームJAVA(ゼッケン11)から15位のロッキーズチーム(ゼッケン14)までは、僅かな差でベストテン入りを逃した形だ。その意味で上位も下位もそれぞれ熾烈な争いだったと言えよう。

 それにしても優勝した韋駄天チームは、タスキのHDCPを見事に活かした形だ。こういう結末は私自身予想していなかった。まさに奥様の執念が勝利を呼び込んだに違いない。

運営を振り返って

 今回は情報電子機器使用の減点を例年より大きくしてみた。途中の記憶力クイズで(気付けば)オフィシャルを撮影することで解答が容易になるためだ。更にインターネット使用の場合は減点を特に大きくした。他の機器と違い、外部と連絡を取ることに等しい効果があるため、来年以降は禁止することも検討したい。

 スタートではやや混乱したが、それ以外は予定のスケジュール通りに進み、1STの各CP開設時間や2ST、表彰式もすべて予定時間通りに運営できた。ここまで順調にいったのは初めてではなかろうか。ここ数年はオフィシャルが固定化してきた効果で、運営が手慣れてきたのだろう。

 クイズ(T)の平均減点は昨年の23.3点より10点近く増え、32.9点となった。全体的には素直な作りのはずだが、初出場が多かったこととTaの距離減点が響いた。純粋な初出場チームの中では、移動図書館チーム(ゼッケン8)が最小減点であったがそれでも45点。一方優勝チームは距離減点(EとFが逆)のみで、危うく減点0を獲られるところだった(最近では97年大会で2チーム、96年大会で1チームが減点0)。またアンケートでは古戦場のクイズに感心する声や、犬看板を見つけられずに悔しがる声が多かった。作者としては、難易度やバリエーションを適度に散らすことができたちょうど良いバランスになったと自負しており、アンケートでのクイズTが最もスカベンジャーラリーらしいクイズ、もっと増やして欲しいという意見を嬉しく思っている。

〜アンケート紹介〜

 皆さんから頂いた数々のアンケートから、面白いもの等を拾って紹介する。
・5CPは素直にはまるのが礼儀というものでしょう。
・他のチームに気づかれないようトイレに行く振りをしたり、看板の「和」に気づいたことを知られないようにしたり・・・。
・Ue怪しい問題だと思っていながらはまりました。疲れたところを狙った問題ですね。
・全体として、家族それぞれ活躍の場があり、よい問題だったと思います。
・小手指ヶ原古戦場のところでT字路近くに停車した車があり、他の車が曲がるのに苦労していました。
・インターネットはすぐに調べられますので,禁止すべきだと思います.
・狭山茶どころの手前の左側に,小山があって実際はそこには何もないのにいろいろ探してました。
・よくあんなものを,見つけて出題されたなぁと,そちらに感動です。私が住んでいる地域にも,探せばあのようなものがあるのかなぁと調べてみたい気になりました。
・今回のメンバーは,誰も問題を読まない.ダーツということだけですぐ投げていました。
・今年も堪能しました。
・スタート前に「このたすきのおかげで1点差で優勝できたら面白いよね」と言っていたのですが、まさにその通りになりました。
・年齢クイズは答えづらかったデスネ。
・「犬の一人歩き」は、あたりに犬に関する看板が多かったこと、また妻が以前まったく別の場所でその言葉を見て印象に残っていたことからこれしかないと書きました。
・縮尺クイズ、急いで書いたら30cmを0.03mと勘違い(;;)
・エフ・ストップというコンビニと思い込みミスコース、ゴールできないと思った・・・。

〜最後に〜


 生憎の天候ではありましたが、講評をまとめてみると各所で悲喜こもごもの展開があったようで、クイズラリーイベントとしては、まずまずだったのではないかと思います。市街地ということで多少心配した事故やトラブルが無かったことも幸いです。ただ13回目(他の大会の作成まで含めると私としては18作目)となった今回もまだ反省すべき点もあり、来年以降に活かしていきたいと思っています。コースレイアウトについてもすぐに思い付く範囲で候補が6つ程ありますので期待していて下さい。

 最後になりますが、オートバックスめじろ台及び共催2店のご尽力、スポンサー各社、精心幼稚園、そしてオフィシャルの面々に謝意を表し、締めくくりたいと思います。ありがとうございました。
更新日時:
2005/04/24
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Last updated: 2010/5/9
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