コース作成記&講評



1     2009年大会(上野原〜大月〜都留〜河口湖)

■当日まで■

 前回のゴール地点だった上野原を今回スタート地点に選んだのは偶然だが、ゴールを河口湖にしたのは10周年記念大会の再現である。いつもと異なるエリアでのコース作成は楽しいが、10年前同様、参加チーム数の確保が不安だった。しかも今回は初の土曜日開催だ。

 最初に作成したルートでは距離が長く、河口湖付近の週末渋滞を考えるとアレンジが必要だった。前から目をつけていた桂川ウェルネスパーク(以下、ウェルパーク)や、1本目の地図に載っていない林道をはずす訳にはいかず、やむなく忍野手前の3本目の林道と、忍野にあるさかな公園を諦めることにした。最終的に林道2本の他、出題ポイント3箇所を含む75kmの満足いくルートが出来上がった。更に今回新しい試みとして、距離計測用CPの分離を行なった。CP作業負荷を参加者・オフィシャル共に軽減でき、距離計測位置が明確になり、CP設置場所の選択肢が広がるなど、いろいろメリットがある。今後、他のワンデーイベントラリーに広まるかもしれない。

 最終的に17チームの参戦が決まり当日を迎えた。快晴と紅葉に恵まれ、懸念は参加車が無事スタート場所に間に合うかどうかだけだったが、幸い遅れたチームもドラミには参加でき、混乱なくスタートを迎えることができた。

■スタート〜ゴール実況■

□スタート〜1CP

 スタート後すぐに甲州街道に入るが、工事規制を避けルートは東進、甲州街道を一旦離れたのち今度は西進。実はこの間に「民宿やまみち」看板がある。しばらく甲州街道を走行することになるが看板を探しながらであるため気を抜けず、自然とゆっくり走行することになるはずだが、1チームだけ違ったようで代償を要した。清流センターで左折の際に2枚目の看板を見つけ、直後A CP登場。ここで多くのチームは地元のおじさんに声を掛けられたらしい。実はこのおじさん、コース作成時に3回も出会った不思議な縁がある。最初に会った時に1時間も話し込まれたが、この時の情報を基に鳥沢駅からウェルパークへのルートを作った経緯がある。

 A CPまではクイズもコマ図も少なめだったが、ここから後は道が狭くなりコマ図も増え、「民宿やまみち」看板も急に増えてくる。これに気をとられてXクイズ(一家団欒標語)を見落とすチームが続出。民宿やまみちを過ぎると林道に入り、数百メートル進んだところで1CP登場。

 この時点でのトップは、カーオリバトラーズチーム、琉球魂チーム、そして意外にもおじさんズチームが同点。3チームともクイズ(U)aの山の標高クイズでの2点減点だけに抑えた。これにOQMサポートチーム、チーム友の会が1点差で続き、さらに1点差のチームカスMIXが先頭集団を形成。昨年優勝したスバル555アウトバックチームは、一家団欒看板の見落としが響き7位と出遅れた。下位に目を向けると、チーム・新あぷろーちがここまでのクイズすべてで減点を受け、早くも厳しい状況になった。

□1〜2CP

 先行車はルート通りすべてのクイズを確認しながら走行するが、私はドラミ後の後片付けを終えてから先行車を追いかける。このためウェルパークをパスしたが、参加者はこの公園で大変な思いをしていたらしい。クイズ自体が多くの安全表示の日本語解釈を求めている上、記憶力クイズの対象として予告された看板の前でライブ演奏の準備が進められており、多少確認しずらい状況だった(実は先行車が場所明けを調整)。更に園内でのクイズラリーの案内があり、これをSAQRと関係あると勘違いし混乱したチームが複数あった。

 ウェルパークは数年前にオープンした時から着目していたが、八王子スタートではコースに組み入れるのが難しかった。今回上野原スタートにしたのは、この公園を採用したかったことが最大の理由。きれいに整備され遊具も多く、野菜・果実を多く栽培し、ドッグランもある。私も試走とは別に一度家族を連れてきて好評だった。アンケートに答えると、新鮮な収穫野菜をもらえるのも嬉しい。

 ウェルパークを後にした各参加車は、猿橋から南下し早くも2本目の林道に入っていく。一方私は大倉山諏訪神社にて先行車部隊と無事合流し、その先で2CPを開設し参加車を待った。開設して50分ほど経過しようやく参加車が到着し始める。例の不法投棄看板クイズを恐らくニヤニヤしながら出題。車をおりて私と看板を写真撮影した人や、目線の高さが看板と一致するワンボックス車にはばれると思ったが、意外と気が付かないようだ。そうかと思うと、問題用紙を早々にドラに渡し役目終了とばかりに周りを見渡したナビが看板に気付いたり、皮肉なものである。

 さて、1−2CP間で抜群の成績だったのが佐賀県チームで、全チーム平均減点20のところ、8点で駆け抜けた。続いて1CPではブービーに留まっていたチームゼロが減点15で続いた。逆に出だし好調だったおじさんズチームは、この区間でブービーを叩いてしまった。

 この結果2CP終了時点で、佐賀県チームが1点差でカーオリバトラーズチームをかわしトップに立った。これに僅差で琉球魂チーム、チーム友の会が続き、更にOQMサポートチーム、スバル555アウトバックチーム、チームカスMIXまでがトップと10点差未満である。

□2〜3CP

 この区間は距離が短く、易しいクイズ(T)と多数決クイズがあるのみで、あとは林道走行に注力してもらう区間である。12時30分には2CPを閉鎖し、オフィシャル1名がゴールへ先回りするはずだったが、チームオドリハゼがなかなか到着しない。追上車に確認するとまだまだ遠いところを走っている。仕方なくオフィシャル1名を送り出し私1名で2CPをこなすことにした。私が2CPを担当したために臨機応変に対応できたのは、ラッキーだった。3CPでも同じ処置を行い、5CP開設に何とか間に合わせた。

 2−3CP間の区間トップはチームゼロで、1−2CP間に続き好調で、順位を16位→12位→8位と上げてきた。区間2位の6年2組3番チームも順位を6位に上げてきた。一方2CPでトップに立ったばかりの佐賀県チームは、多数決クイズで不調でこの区間12位と沈んでしまい、トップの座を早くも明け渡してしまった。

 この結果、カーオリバトラーズチームが再び全体トップに立った。

□3〜4CP

 この区間は前半を田舎道、後半を139号を中心とし、都留市から富士吉田市へと徐々に富士山へ近づいていくルート。快晴だがやや霞があり富士山は殆ど姿を現さなかったのが残念。途中通るリニアモーターカー実験線や和みの里では、他のドライブラリー(OQMサポートチームのナビ三宅さん作成のTDR)で出題対象となっていたことからSAQRではあっさりと済ませ、田原の滝付近で集中的にクイズを出題した。139号はただ走るだけでは何も面白みが無い道だが、田原の滝のおかげで変化をつけることができた。

 ここでの出題、ストリームは多くのチームが正解、田原の滝の擬岩を見破ったチームは無し。結局、芭蕉句碑の文字読み取りが成績の明暗を分ける役目を果たすこととなった。作成者も気付いていなかったスタンプから正解を得た(と思われる)10チームは、この区間の減点が23点以下。逆に”勢”を答えられなかった7チームはすべて、この区間の減点が24点以上となった。

 結局この3−4CP間の区間賞はOQMサポートチームで、遂に本領発揮。区間2位には琉球魂チーム、区間3位にはチームカスMIXが入った。3CPで全体トップに立っていたカーオリバトラーズチームは区間10位と振るわない。そうそう、チーム・新あぷろーちが1点差ながら初めて区間最下位を逃れ、全区間最下位だけは避けることができた。ペジテの残党(改)チームのお陰である。

 この結果4CP終了時点での成績は大きく変動。3CP時点で4位だったOQMサポートチームが一気にトップに立ち、琉球魂チームが1点差で2位をキープ。カーオリバトラーズチームはトップと6点差の3位に落ち、苦しくなった。これに僅差で佐賀県チーム、チーム友の会、6年2組3番チームが続いている。この区間4位と気を吐いたチームMBXは徐々に順位を上げ9位につけたが、時遅しか。スバル555アウトバックチームはトップに10点以上の差をつけられ7位、連覇に黄信号が灯った。

□4〜5CP

 いよいよ最終区間だ。実はこの区間、逆転要素が幾つかある。1つは明見湖の歩数クイズ、もう1つは恒例の記憶力クイズで、いずれも最大10点減点であり、実際差がつき易い。

 明見湖は10月上旬まで湖面を蓮が埋め尽くしていたのだが、大会時は殆ど枯れてしまい見る影もなかった。私が最初に訪れた9月初旬は花も多く咲いていた。蓮の見頃である7〜8月に是非皆さんに訪れて欲しいと思う。この湖の周囲を多くの大人たちが真剣に歩いているさまは、事情を知らない人にはさぞかし不思議に映ったことだろう。しかしここの歩数カウントが大きく勝負を左右したのだ。減点5以内に抑えた6チームのうち5チームが最終成績のトップ5でもある。トップ5に入らなかったものの、歩数クイズを見事減点2に抑えたおじさんズチームは、さすが元WRC(世界ラリー選手権)出場選手である。

 G CPで、その裾野を見せつけることで雄大さを語る富士山を堪能してもらい、あとはゴールを目指す道程となる。忍野では見事な紅葉が色を添え、河口湖付近の渋滞は余計だったが、無事に全車ゴールに帰着した。

 この区間の全チーム平均減点は22.5だったが、ここを減点8という驚異的成績でまとめたのがカーオリバトラーズチームだ。明見湖歩数クイズ減点0、記憶力クイズ減点1は、いずれも信じられない出来と言える。OQMサポートチームも琉球魂チームもこの区間悪い出来では無かったが、カーオリバトラーズチームが逆転優勝を飾った。スバル555アウトバックの高木さんの1つ上が目標だったが何と3つも上になった。

 OQMサポートチームは1点差で指定席への復帰を阻まれた。このチームには珍しく距離クイズで減点があったり、勾配標識の解釈を誤ったり、惜しくも優勝を逃してしまった。それでも3位に差をつけるあたり、やはり実力者たる所以といえる。

 連覇を狙ったスバル555アウトバックチームは最終区間で追い上げたものの4位に入るのが精一杯。夜勤明けと日本語解釈に苦しみ、実力を発揮し切れなかった模様。

 優勝経験もある古豪の琉球魂チーム、参加の度に浮沈が激しいチーム友の会が3位と5位に入った。この2チームはクイズ(T)の出来が素晴らしく、特に琉球魂チームは車載ノーマルトリップながら距離減点0は賞賛に値する。しかしクイズ(U)が共に平均以下だったのが敗因となった。

 6位には最古参の佐賀県チームが入り、実力者が上位を占めた格好。これに続いて7位に食い込んだ6年2組3番チームは大したものである。もちろんビギナークラス優勝となった。

 上位入賞は果たせなかったものの、最終区間でまずまずの出来を見せ順位を上げただららんと行こう!チームとサンバル漢チームは、力を発揮するのがやや遅かった。チームゼロとチーム カスMIXは区間によっては好成績を上げたが安定性に欠け下位に沈んでしまった。これらのチームは次回上位進出する可能性が十分にあるので、期待したい。仲間うちでありながらチームゼロと対照的にチーム「ワン」は終始安定した成績で、最終的にはチームゼロを逆転したのが面白い。

 正解を1箇所訂正したために成績集計が遅れ、表彰式終了が予定より20分ほど遅くなってしまい恐縮である。疲労と渋滞の中、夜道を帰途につく多くのチームが心配だったが、渋滞は早めに解消したと後日聞き、少し安堵した次第。20周年記念大会を終え、次回からどのような形態で開催できるか不安はあるが、より良い形で続けていけるよう願いつつ、参加してくれた皆様とオフィシャルの面々に感謝し筆を置く。
更新日時:
2010/05/09
前年の大会へ 上に戻る

ホーム コース作成者の紹介 過去の大会紹介 解説とルール

コース作成記&講評 エピソード集 Q&A リンク集





Last updated: 2010/5/9
Copyright 森尾雄史 Allrights Reserved 2005.