コース作成記&講評



3     2007年大会(八王子〜宮ヶ瀬周辺)

【作成記】

 前回の優勝チームより今度は山道を取り入れて欲しいというリクエストがあり、まずこれに応えるかどうかから、今回のコー ス検討は始まった。前回の飯能方面とは重ならずに山道を取り入れられるルート、真っ先に思い浮かんだのは宮ヶ瀬湖だ。 ここはちょうど10年前のダム完成時に使用したことがあるが、その時は工事車両専用道路として使えない道が幾つかあった 。いずれ一般車通行可になれば、また宮ヶ瀬を使うつもりでいた。調べてみると、北岸道路が通行できると聞き、この時点でほぼ宮ヶ瀬湖周遊コースとすることに決めた。

 ゴール場所になりそうな観光施設を数多くあたったが、いずれも狭いか空いていない。清川村住民ホールは施設もきれいでうってつけだったが予約が埋まっており断念。最後に残った愛川村農村環境改善センターを使うことになった。お世辞にもきれいとは言えないが、体育館も研修室も使えることが分かり、昨年発案しながらも採用を見送った万歩計当てクイズができそうだ。これと宮ヶ瀬湖周辺の多くの橋とトンネルを使えば、テーマ「カウント」で全体を組み立てられると考え、今回のテーマが決定した。

 そしてこの辺りには、大会会長九鬼氏のご友人がレストランを開業した話を以前聞いたことがあり、試しに確認するとちょう どCPやレストとして使える場所にあることが分かった。その店「オレンジツリー」に早速下見に行ってみて驚いた。想像を見事に裏切られ、本格的なログハウス作りのおしゃれなカフェレストランとして大賑わいで、レストどころではない。一応お話を伺ったところ、向かいの空地をCP場所として提供して頂けることになった。ここのオーナー自身がポルシェ等3台を所有し、地下ギャラリーに車のかっこいいイラストで有名なBow氏の絵画を展示し、車やバイクの愛好家とのお付き合いも多いなど、車やイベントが大好きなのだ。

 オレンジツリーのオーナーの勧めで、服部牧場と鳥居原園地に立ち寄ってみると、いずれもクイズ出題可能と判断しコースに取り入れることに。これで第10回大会の河口湖以来の観光地巡りの様相が強まった。それでも当初は立ち寄るつもりだっ たあいかわ公園と宮ヶ瀬ビジターセンターは、駐車場が有料化されていたため下見の段階で採用を却下している。

 企画面はまとまっていく一方で、山道の組み入れには試走を重ねることとなった。最初にあてこんだのは、やはり10年前に通した志田峠越えのダート路。以前は道が狭く不評だったが、10年経てば様子も変わっただろうと思いきや、道は荒れ放題 で深くえぐれた轍(わだち)と倒木に採用を断念。今度は10年前に通行禁止で使えなかった道を2,3トライするが、相変わらず通行止めのまま。頼みの綱はやはり10年前に使った奥野林道と荒井林道を使って1周するルート。これは問題なく使えそうで胸を撫で下ろした。10年前とは逆ルートで通すことで変化をつけた。(後で調べたら10年前の参加者で今回も参加したのは、最多出場者の田畑氏1名のみだった)

 スタートから服部牧場までは距離があったので、途中でCP場所を確保せねばならない。今回どうしても通る小倉橋は過去 何度も使用しているが、渋滞に遭わない最短ルートを開拓したつもり。みなみ野の裏手で最近ようやく宅地が建ち始めた地 区を通したのがポイント。そして小倉橋の下の河原に降りることができるのをたまたま発見し、絶好のCP場所とクイズポイン トを得た。相模川八景のポイントとなっている通り、小倉橋を最も美しく見ることができる場所の発見にしばし自己満足。ここからはやはり10年前に使った田舎道を通して服部牧場まできれいに結ぶことができた。

 最後に残ったのは、オレンジツリーからゴールまでのルート取り。時間のかかるクイズポイントが3箇所あるため、距離を短めに抑えようとゴールまでは素直なルートを取った。但しクイズの関係でゴール近くでもう1回トンネルを通ってもらうために少しだけ遠回りしてもらった。それでも総距離約49.5kmは、大会史上最短距離となった。

 今回、オフィシャルの矢野君にも初めて一部を試走してもらったのだが、多くのエピソードを残すこととなった。ここに紹介し たいのだが、私も人の子、胸にしまっておくことにしよう。折角築いた幸福な家庭を壊すようなマネはしたくないし。

【大会顛末・成績】

 今年は何と過去最多28チームのエントリーがあった。クイズラリーではSAQRより歴史と格式を誇るPDccクイジーラリーの出場者とオフィシャルから、数チームが参戦。その他にも、仲間内でチームを増やしたり、職場でこぞって初参加など、主催者や作成者としては嬉しい悲鳴を上げた。

 素晴らしい天候に恵まれる中、3連覇を目指すゼッケン0番「OQMサポートチーム」がスタート、その後も各車順調にスタート していく。今回もスタートに落とし穴がある。最初のクイズとしてスタートで渡されるのは「停止線数え」だが、実はスタート時に1つ目があるのだ。しかもクイズを渡された時点では既に死角。今回のテーマ「カウント」にちなみ、各チームはこの後もさ まざまなものを数えさせられる羽目になる。ゴマ、胡椒、公衆トイレのタイルの色、トンネル、橋、更には勘で数えるみかんの房、見た目で勝負のペットボトルへの水汲みやポニーの体重、最後は第2ステージでのオフィシャルの歩数まで。

 さてコースは横浜線沿いに南下し、途中モーヴァン乗馬クラブを経由し1CPのある小倉橋の河原を目指す。この1CPでは看板間違い探しの解答のため、各チームとも時間をかけたために河原は人だかりになり、2CPではなかなかやってこない参加車にオフィシャルも焦りを覚える。もっとも服部牧場に置いた2CPのオフィシャル田中氏は、牧場大好き人間とのことで、これまでもいろんな場所でCPを担当してもらってきたが、今回は特に気に入ってもらえたようだ。結果的に2CPに長居できて喜んでいたらしい。

 3CPと4CPは同じ場所に設置。宮ヶ瀬湖のレストラン、オレンジツリー前の広い土地を活かした設定。快晴のもと、宮ヶ瀬湖 の眺めを満喫し各車3CPへ向かう。その頃先行車部隊には今回唯一のトラブルが発生していた。鳥居原園地でのクイズの1つ、組み紐機の片方が糸が絡まって故障していたのだ。仕方なくクイズキャンセルを覚悟するも、同行していた3CPオフィシ ャルの須田君が驚くことに15分ほどかけて修理してしまった。幸いこの間参加車は到着せず、事無きを得た。3CPの後は林道区間をこなし4CPへ戻ってくる。4CPの頃にはようやく各車ペースが上がってくるが、それでも予定よりはかなり遅いペー ス。

 この頃ゴール地点では会場設営とともに、第2ステージの準備として、オフィシャルの矢野君に演技指導。矢野君の歩き方 を真似て各チームに歩いてもらい、歩数計の誤差勝負をしてもらう。当然矢野君は普通には歩かない。転んだりスキップしたり、最後には○島よしおの「そんなの関係ねえ、オッパッピー」、一通り練習した上で各車の到着を待った。各車とも、制限時間前後で何とかゴールに到着し、とりあえず一安心。疲れているはずだが、歩数計当てでは矢野君以上に○島よしおになり切る人もいて、大いに盛り上がった。

 さて奮戦の結果であるが、総合優勝は「OQMサポートチーム」、見事3連覇という金字塔を打ち立てた。2位には僅か出場 2回目の「チームWEST」が飛び込み、みんなを驚かせた。3位は常連の「エクレア1号」チームが入り、実力をつけているところを示した。常連が上位に食い込む中、13回連続出場を誇る「神楽坂組合」チームと「熊出没注意」チームは中盤以下に沈んでしまった。注目していたPDccクイジーラリーなど数々のラリーを作成してきた「スバル555vivio」チームは、これが初めてのワンデーイベント出場だったが、5位に入りまずまずの成績を残した。ただ本人は不満だったらしく、大会終了後すぐに次回のエントリーを宣言された。職場仲間で5チーム編成したMJK軍団は、前回気合を見せた「BBタイプ」チームが13位に食い込み、他の4チームには差をつけた格好。他にも、期待されながら実力を出し切れなかったチーム(「しも」チームや「カギの救急車辰巳店」チームなど)など、ここに紹介しきれないチームが数多くあることから、改めてチーム数の多さを実感した。

 なお今回から設けたビギナークラスでは、「チームWEST」が優勝。総合2位の賞品と合わせて今回最も多くの戦利品を得たチームとなった。

【最後に】

 成績を振り返ってみる。クイズTの平均減点30.1は、前回を大きく上回る好成績。問題数は増えたにもかかわらず、参加者のレベルアップと引っ掛け問題の減少の結果と思われる。また例年だとほぼクイズTの出来で順位が決まる傾向だったが、クイズUを充実させた今回は、クイズTの出来が良いのに上位を逃したチームが幾つかあった。

 アンケートでは、橋とトンネルに関するクイズが、車を止めて確認するのが困難だったとの指摘があった。これはカウントというテーマを優先しすぎた作成者側の配慮不足というほかない。また写真クイズはいずれかのCP近くにあるとしたが、範囲が明確でなくかなり広範囲を探し回った参加者もいたとのことで、恐縮している。反省し次回に活かしたい。

 今回は観光地巡りの趣きを取り入れたが、天候に恵まれ幸いだった。また広いCPを活かして実技ものを多く取り入れたことも特徴だったが、これも成績に反映されていた。作成者としては狙い通りに大会を運営できたという点で、印象深い大会となった。末筆ながら、各スポンサー、各協力施設、各オフィシャルに感謝し、締めくくることとする。
更新日時:
2008/09/26
前年の大会へ 上に戻る 翌年の大会へ

ホーム コース作成者の紹介 過去の大会紹介 解説とルール

コース作成記&講評 エピソード集 Q&A リンク集





Last updated: 2010/5/9
Copyright 森尾雄史 Allrights Reserved 2005.