コース作成記&講評



5     2003年大会(八王子〜相模原)


 コース作成者を初めて変更しつつも昨年好評だったクイズや形式を踏襲した形で構成した今大会、出来上がってみれば最短距離かつ最長競技時間となりました。参加はやや寂しい13チーム(完走12チーム)ながら、各チームが長時間奮闘した記録として、全体成績や各クイズの出来などの講評をお届けします。

〜コース作成記&全体講評〜


構想開始は何と前年末

 前回久しぶりに参戦した阿部さんが、以前からオフィシャルに興味を持っており、大会後にコース完成に至る経緯を根掘り葉掘り質問してきた。講評に対しても「もっと詳細に」と要求される始末。果ては自分でコースを作ったので試走して評価して欲しい、というところまで発展。年明けに試走したところ、クイズ(T)については思いのほか完成度が高い。全体として市街地オンリーになっている点とコマ図の記述には改善が求められるものの、次回スカベンジャーラリーのベースとして使えそうだという感触を得た。コースに採用する以上、阿部さん自身は参加者側になることはできない。これについてもオフィシャル担当を了承して頂いたので、あとはどうアレンジしていくかだ。

 8月までは私が多忙を極めたこともあり、9月に入ってようやく本格準備に入った。店の移転のため八王子めじろ台をスタートとするのは今回が最後となる。この記念に、店に最も近い大きな公園ながら一度も使ってなかった富士森公園を最初のクイズ出題地とし、更に新店舗を工事中の北野駅前を通すこととした。またコースに変化を付けるため、一旦多摩ニュータウンに振った後南下させ、相模原に抜けるルート取りとした。ゴールは相模原市内の数箇所の候補のうち、最も駐車場が広く市民以外でも利用可能なサンエール相模原に決定。予約が取れた11月9日を開催日とすることが決まった。

最終形になるまでのアレンジ

 地図上で概要を検討した上で、阿部さんと共に最初の試走に赴いた。スタートから富士森公園を経由して1CP北野駅付近まではすぐにルートが完成。そこから長池公園へのルートも、阿部さんが事前に調査してくれたおかげでスムーズに流すことができた。やや苦労したのは2CP〜3CPのラーメン店地帯を通るルートだ。ここは後日阿部さんにアレンジしてもらうこととして先を急ぎ、3CP地点の麻溝台中学へ。全体の競技時間が気になるものの、この中学近くにある相模野基線北端点は、今回のクイズの中でも私のお気に入りではずしたくない。意外な場所に意外なもの、しかも地図に関するものなのでクイズラリーにうってつけだ。町内案内図を見ればだいたいの場所が特定できるよう、案内図の近くにCP設置。あとは4CPの位置さえ確定すればコースレイアウトがほぼ決まるのだが、ここからが苦労した。キャンプ場がある河原に下ろして弁財天近くで適当な場所を探してみるが、工事中だったり道が狭かったりでうまくいかない。河原を諦め、相模原北公園へ向かう途中で探しまわってみたものの、アタリを付けた地区は宅地開発中で空き地が殆どない。細い脇道も随分トライしたが適当な場所が見つからず、後日再トライとなった。あとは相模原北公園を経由してゴールへ向かうルートのみ。競技時間が気になったのでなるべく最短コースで組み立て、一通り完成した。

 さて、後日4CPの場所を求めて今度は私1人でトライしてみた。ところが数時間かけてもやはり見つからない。とりあえず先に3〜4CP間で出題する登場順クイズを作っていると、ふとポンプ場が道端にあるのに気がついた。よく見てみると古墳に関するクイズが作れる上に、門扉前のスペースは古墳見学者用だろうか、車数台を置ける広さがある。しかも職員は普段いないことが分かり、ここを4CPに決めた。

 ここからはコースやクイズの微調整に入る。全体距離は短いものの公園を探しまわるクイズが多く、競技時間が気になっていたので長池公園でのクイズを2箇所に絞り込んだ(後日片方のクイズ対象である案山子が撤去されていたため、長池見附橋1問になった)。長池公園では写真クイズの出題で少し悩みがあった。対象としては面白いのだが、「クイズ(T)の近くにある」という条件を満たすか微妙な距離なのだ(結局出題することに)。次の悩みは鶴見川源流点である。山奥でもないのに河川の源流があることに驚き、是非これをクイズにしたいのだが、あいにく駐車場がない。道幅も狭く交通量があったのでどうしても駐車場所の確保が必要だ。よく見ると少し手前に空き地というか庭というか、しかしどう見ても私有の土地らしき場所がある。数台程度は止められそうなので、所有者を近所で聞き出し、オートバックスから交渉してもらって貸してもらうことに成功した。かなり判りにくい位置ではあるので、コマ図と写真付きの公式通知で補うことにした(大会後のアンケートでは、混乱なく駐車できたようだ)。

テーマ決定が難航

 阿部さんが当初作成したコースでは、多くのラーメン店を巡るのが特徴だ。多摩ニュータウン経由で相模原に入る構成にしたため、このラーメン店巡りルートを一部逆走する形にはなったが、相模原基線北端点や無量光寺をルートにとどめることができた。ラーメン店に関連して、最初は「ショク」をテーマにする予定だったが、ラーメン店以外にテーマに絡む設定ができず、悩んだ末「パーク」をテーマに選んだ。今までは競技時間の関係で大きな公園を2箇所以上出題対象にしたことはない。ところが今回は3箇所もあることから、このテーマに決めた。他にテーマに絡めた出題として公園知識を問うクイズと、パーク(駐車)技術を問うクイズを組み入れた。

 これで漸く完成。今回の試走は、阿部さんと2人で行ったのが2回、私1人では3回、阿部さん自身は(試作を含めると)きっと10回以上走っていると思われる。クイズも阿部さんの嗜好に合わせた結果、公園内探索と数え物と写真クイズにやや偏ったか。探し物も数え物も大変なクイズが多く参加者の苦労を思いやり、クイズを余りひねらないようにした。優勝チームは40点前後の減点になると予想。

念願かなって競技委員長車フリー走行

 このスカベンジャーラリー作成に携わって今回で14年になるが、いつか実現したいと思っていたことがある。それは先行車以外を担当し、できれば競技中は役割を持たずフリーに走行することだ。今まで参加者がクイズを解く様子やミスコースする瞬間などを目撃するチャンスがなく、アンケートで様子を窺うしか無かった。しかし今回は阿部さんに先行車の役割を譲り、他のオフィシャルも経験者ばかりなので、遂に夢を実現させることができた。鶴見川源流点の駐車場所誘導や、ゴール地点での会場設営・採点が気になったのでまったく自由きままに、という訳にはいかなかったが、それでもいろいろと面白い場面に遭遇させてもらった。長池公園駐車場の前を通り過ぎるチームや、長池公園で二手に分かれながらどちらも長池見附橋とは違う方向へ向かうチーム、いろんなものをメモしまくるS氏(彼の苦労は報われなかった)、無量光寺で「森尾さん、裏を見つけましたよ」とにや笑いするO君、かるたの諺当てに真剣に悩む各チーム、などを存分に見させてもらい、私自身が楽しむことができた。

 一方で危うくクレームになりそうな話もあった。2CPのオフィシャルに、公園管理人から申請が出ていないと説明を求められ、ちょうど2CP手前にいた私が駆けつけ事情を話した。コース作成時にイベントを説明し申請手続を尋ねた際は、特に申請不要という回答だったのだが、どうもネイチャーセンター管理人と駐車場管理人は別らしい。悪意はないこと、迷惑はかけないことを説明し、手違いを詫び、(先方がお年寄りなので)日頃の苦労話を一通り聞いてあげたら、結局「販売行為ではないので申請不要」とのことでおとがめ無しとなった。また鶴見川源流点では、ボランティアによる清掃が行なわれていたが、彼らから「近所の農家の庭先から人が出てきたが、迷惑をかけるようなことをしているのではないか」と問合せがあった。こちらも内容を説明し駐車場まで確保して迷惑をかけないようにしていることを理解してもらった。実際指摘のような事実があったかどうかは未確認だが、参加者を信じたい。それにしても今回フリーで走っていなかったら、このような場面で即応できなかった訳で、ある意味運が良かった。

 さて私以外のオフィシャルや参加者には何が起こっていたかについても触れておこう。先行車部隊は、ドラミ中に出発し余裕をもって順調にCPを開設し、予定より30分以上早い12時過ぎにはゴール地点に到着していた。順調過ぎて、各CPではなかなか参加車が到着せず、かなりやきもきしたようだ。特に3CP以降で顕著であったが、原因は相模原市街地でラーメン店探しに気を取られたか、ミスコースしたチームが少なからずあったことらしい。4CPでも通過予定時刻を1時間過ぎても1台も現れず、無量光寺で相当時間を取られたものと思われる。全体で約50kmなので(今回の公園内探索時間を除いた)いつものペースであれば3時間半で回れるはずのコースであるが、今回はかなり余裕を見て6時間を制限時間とした。にもかかわらず、みんな写真クイズのために公園を隅々まで探索し、正確を期すために何度も数え直し、こちらの想定以上に時間をかけるものだから結局数チームがタイムオーバーとなった。また1台がミスコースにより大きく遅延し、残念ながらリタイヤとなった。

 1STゴール後は、前回に引き続き記憶力作成クイズである。前回と違うのは減点範囲の設定で、正解率を2チーム以上50%以下に収まる難易度で作成することが求められる。要は難問を作りつつも、余り難しすぎてもだめ。実はこの出題形式に対しては、多肢選択式にすることにより難易度を調整できる。前回は気付いたチームがいなかったが、今回は複数のチームが気付いたようなので、次回からは出題形式に工夫を加えたい。

はっきり明暗分かれた成績

 成績は大きく差が開く結果となった。初心者チームに2人チームが多かったため、初心者が下位に沈んだというべきか、2人チームが下位に沈んだというべきか。一方、経験者で4人以上で構成されたチームが上位を占めた。ラーメン店クロスワードクイズや写真クイズが特に多人数チームに有利に働いたようだ。次回大会では、人数によるハンディキャップを思い切ってつけ、むしろ少人数チームが有利になるくらいの設定にしたい(多人数チームが分裂し、参加チーム数の増加につながるかも)。

 さて優勝の栄冠は浅草のライオンチームの頭上に輝いた。このチームは過去いつもあと一歩で優勝を逃していたが、遂に念願を叶えた。特に素晴らしいのは唯一数え物クイズ3題を完全正解している点で、実力があるところを証明した。総減点も作成者予想を上回る31点(ペナルティが無ければ27点)だ。2位には前回から出場しているエクレア1号チームが入った。前回は成績的には中程度だったので、2回目でここまで上位に来るとは予想外の健闘といっていいだろう。しかも写真クイズを唯一全問正解するなど内容も良く、いつ優勝するか楽しみである。

 他の注目チームはどうか。優勝経験チームに最下位経験者が加わったチーム葛飾は、どういう成績になるか楽しみだったが、3位とまずまずの好成績を収めた。ペナルティがなければ2位に入っていたのが悔やまれる。また連続出場記録更新中のメンバーがいる佐賀県チームは4位とやや振るわなかった。5、6位にも優勝経験者が入る中、初出場組で最上位の9位を得たイプチームは、女性2名というハンディの中健闘したと言えるだろう。次回以降が楽しみである。

運営を振り返って

 今回はインターネット接続を禁止したため、逆に出題ネタをインターネットに求めることができ、作成側としてはやりやすい。また前回から画像記録機器使用のハンディキャップを大きくしたためか、今回は誰も使用しなかった。特に反対意見もないため、次回以降も同様の設定を継続したいと思う。一方クイズ内容については反省点がある。参加者に配慮しすぎてヒネリが足りなかったこと、結果的に多人数チームに有利な内容だったことである。既に対策案を幾つか用意しており、次回の大会は軌道修正していくつもりである。

 クイズ(T)の平均減点は前年の33点を下回る42点であった。前年のアンケート結果を受け、問題数を大幅に増やしたが、それ以外に次のような特徴があった。@引っ掛けが少ない、A難しい数えものが多い、B公園内を探し回るものが多い、C(クイズUの影響で)相模原市内でのミスコースにより距離計測が混乱したチームあり。A〜Cはいずれも人数が多いチームに有利に働く要素になり、結果として減点が大きく二極分化した。また少人数チームに初出場組が偏ったことも、二極分化に拍車をかけた。実に減点28点以下が6チーム、減点70点以上が3チームと、平均点から大きく離れたところに75%が分散している。今回は幾つかの目玉的クイズの他は量に頼った(正確には量が多くなったのでヒネリを抑えた)嫌いを否めない。次回は1つ1つの問題の質を高めることに注力し、皆さんの期待に応えたいと思う。

〜アンケート紹介〜


 皆さんから頂いた数々のアンケートから、面白いもの等を拾って紹介。
・28図の中学校近くが臭くて困った。
・公園が広くて歩き疲れた。
・思いっきり引っかかった。指定と選定の引っ掛けだと思ってた。
・わかりませんでした。そばにあった木が松だというチーム員がいたので「まつ」にしました。
・参加して初めて分かりました。楽しかった。初出場でよくやったと思います。

〜最後に〜


 前回に引き続き生憎の天候ではありましたが、予報では朝から雨のところ実際には終盤まで何とか持ったのは、皆さんの日頃の行ないと我々オフィシャルの執念があったからではないかと思います。参加台数がやや寂しい中、過去最高密度のクイズを解き終えてゴールされた皆さんの顔が、もう勘弁してくれと訴えていたのが印象的でした(というか無量光寺のあたりで多くのチームに疲労感が漂ってました)。またいろんな試みを取り入れた今大会でも、反省点が多く次回までにオフィシャルで対策を練りたいと思います。さて、次回は主催者がスーパーオートバックスに生まれ変わっての初の大会となります。大会自体もスーパースカベンジャーラリーと称するかどうかは別にして、店舗同様スケールアップすることを楽しみにしていて下さい。

 最後になりますが、オートバックスめじろ台及び共催2店のご尽力、スポンサー各社、そしてオフィシャルの面々に謝意を表し、締めくくりたいと思います。ありがとうございました。
更新日時:
2005/04/29
前年の大会へ 上に戻る 翌年の大会へ

ホーム コース作成者の紹介 過去の大会紹介 解説とルール

コース作成記&講評 エピソード集 Q&A リンク集





Last updated: 2010/5/9
Copyright 森尾雄史 Allrights Reserved 2005.