コース作成記&講評



2     2008年大会(八王子〜相模湖〜上野原)


生憎の天候と3連休の中ではありましたが、総勢24チームが藤野の山里風景や甲州街道旧道、旧宿場町に旧跡・寺社を走り巡り、大いに秋の一日を楽しんでもらいました。その顛末の一端を、作成記を交えながら以下に記しておきたいと思います。

●ルート作成

 今回は幾つかの候補地区の中から、4年前に走行距離削減調整のため採用を断念したルートがある上野原地区をゴールにすることにした。

 まず現地に下見に行ってみたのだが、ターゲットにした林道の先に、旧甲州街道にまつわる旧跡や旧宿場町に絡めてクイズポイントが豊富なことに驚いた。そしてこれらのポイントを分断するように中央高速が通り、越えたりくぐったりしながらクイズに導き、またそれらを絡ませる設定が可能であることが分かった。となると、上野原地区中心のコースレイアウトとなり、他の地域を回している余裕はない。そこで思い切って高速道路で時間短縮を図ることにした。高速道路を使うのは実は3回目となる。

 高速道路走行中はクイズを出題する訳にはいかないので、参加者を退屈させないよう八王子ICまでにクイズとCPを置く必要があった。SA八王子マネージャの九鬼氏(大会会長)と相談し、小宮公園駐車場でのクイズ出題を決めたまでは良いのだが、CP設置場所には随分苦労した。周辺を相当探索したが適切な場所が見つからない。道が多少広くても広い路肩や退避場所がないと、停車させた時にどうしても目立ってしまうのだ。仕方なく、道は狭いのだがかろうじて路肩がある場所を強引に1CPとし、CP作業に時間がかからないようクイズ手渡しのみにした。本当は小宮公園でのクイズに登場した鳥の名前を利用したその場クイズを1CPで出題したかったのだが、これは3CPへ移さざるを得なかった。ここの担当オフィシャルは好都合なことにバイク愛好家と分かり、狭いCPにぴったりだ。過去19年の歴史の中で、オフィシャル車がバイクなのは初めてである。

 後は、後述する経緯で決定したテーマ「クロス」に合わせ、八王子でも上野原でも中央高速と何回もクロスさせ、またクイズ設定の都合に合わせてまるで一筆書きのパズルを解くように悩みながら何とかルートを組み立てた次第。最後に、ターゲットだった林道を通って最終CPを置く上野原市役所へ誘導しルート完成。ルート作成だけで3回の試走が必要だった。

 途中通る上野原工業団地は、道も広く休日は閑散としているとあって、何とか有効利用したかった。最初に設定したクイズは、CPにて出題しコースを一旦離れて工業団地内を探索してもらい、すべての交差点の数や、写真地点を探すなど、ここで20〜30分を費やすもの。しかし参加者が終盤急増したことや昨年若干のタイムオーバーがあったことを考慮し、また風林亭の弁当をゆっくり食べてもらうためにも、ここのクイズを見直すことにした。このような設定変更や事前調査や最終試走を含め、結局通算の試走回数は9回に及んだ。

●参加者集め

 表彰式会場となる上野原文化ホールは、4年前の完成直後に使用した会場。会議室や駐車場のキャパが十分で施設もきれいなので、どうしてもここを使いたかった。ところが予約可能日直後に申し込んだにもかかわらず、11月の日曜日は11/30しか空いていないとのことで、とりあえずこの日を押さえたが、他の大会の開催日と重なり参加者減になってしまう上、私も部下の結婚式がある。再度問い合わせて祝日の24日なら空いていることが分かり、3連休最終日と参加者集めには都合が悪いことは承知の上で申し込みを変更した。

 開催日が決まったことで常連チームに案内を通知。だがやはり3連休のため旅行などで参加見合わせのチームが続出し、チーム数減少を覚悟。正式受付開始を申込専用サイト上で告知した直後、何と2時間後にスバル555vivioチームが申し込んできた(余程前回5位が悔しかったと見える)までは良かったが、その後は申込ペースは遅く、2番目の申込はその2週間ほど後であり、更に締め切り2週間前で申込は約10チーム、常連を見込んでも16チーム程の計算だ。締め切り1週間前を切ったところで、複数の方から参加チーム数不足を心配して頂いたが、締め切り直前に嬉しい誤算があった。音沙汰がなかった前回2位のチームWESTから、一挙3チーム構成での申込が舞い込んだ。他にも単独チームから2チームへの組み直しや、インターネットで見つけてくれての申し込み、無料招待券を持っているPDccクイジーラリーほのぼのクラス優勝チームからの申し込みなど、締め切ってみたら25チームになっていた。
 

 しかもその陣容たるや、まさに多彩である。いつもこの大会のみ参加してくれているチーム、他の大会からの転戦であるクイズラリーフリーク、自分でクイズラリー開催またはドライブラリー公開をしている作成経験者、ファミリーでほのぼの初参加チーム、仲間内で複数チーム結成して競い合うチーム、物は試しと年1回のドライブを楽しむご夫婦。そして全日本ラリー選手権出場経験者、しかも偶然にも2チーム。特に黒田氏は昨年までの30数年間参加し、昨年のWRCラリーJAPANではクラス優勝されている経歴の持ち主だが、モータースポーツ底辺拡大にも参戦という形で寄与されている。以前から存じ上げているのだが、今回は人づてに話を聞いての申し込みであった。

 3連休にもかかわらず参加して頂いた各チームに感謝すると共に、それぞれに楽しんでもらうことが最大の使命と感じ入った次第。

●オフィシャル人手不足

 3連休中の開催となったことは、オフィシャル人員確保にも影響した。昨年手伝ってくれた須田夫妻と井村夫妻がいずれも都合がつかない。SA八王子に増員を依頼すると共に、クイズUの特にその場クイズを減らす処置を取らざるを得ない。ただ今回はクイズTが豊富なので全体クイズ量としてはカバーできそうだ。但しクイズT中心だと、どうしても上位入賞者の顔ぶれが決まってくる。そこで、唯一の実技ものである握力計クイズと、2STの記憶力クイズの配点を大きくする調整を行なった。今回はコース後半が同じ地域を巡るレイアウトなので、記憶力クイズを2STに移すのは好都合だし、過去の経験則では総合成績と記憶力クイズの出来は比例していないのだ。

 オフィシャル不足に追い討ちをかけるように、2日前にSA八王子より1名欠員の連絡が入った。急遽別の方を割り当てて頂いたが経験者ではない。このため、前日にもう1名の未経験者と合わせて打合せを行ない、事前説明を行なった。更に当日朝、別の経験者が手伝えなくなった。これには私自身が代役で3CPを担当することでカバーした。こういう時のために私は当日受け持ち無しにしてあり、事無きを得た。

 ただ3CP担当中は作業に追われ、先行車からの問合せや、追上車からのCP閉鎖の相談などの連絡になかなか対応できなかったので、やはり私はフリーで動けるようにしておいた方が良さそうだ。

●テーマ選定

 今回はコースを作成しながらテーマを決めることにした。クイズに多く登場する「寺社」という案もあったが、旧甲州街道や中央高速を縫うように走ることから「クロス」に決定。決定してからテーマにちなんで設定したクイズがたくさんある。「中央高速とクロスする回数」「交差点の数」「クロスを含む言葉の多数決・少数決」等のほか、出題場所では解答不可で他のクイズ地点で正解を得る、いわばクロスオーバー型の出題を幾つか取り入れた。2STはテーマと殆ど関係無い設定となったが、1STは何とかテーマを感じさせる設定にできたと思う。(ある参加者からは「今年もカウントがテーマのようだ」と揶揄されたが・・・)

●ハプニング集

 コース作成中から大会当日まで幾つかハプニングがあったので紹介したい。

 コースを最終確定し距離計測のための試走に赴いた時の出来事。石楯尾神社で左折し3CP予定地点へ近づくと、路面が全面的にはがされてダートに変わっていた。しかも数キロにもわたって。舗装工事が始まってしまったのだ。工事を請け負っている建設会社を探して工事予定を確認したところ、予定通り進捗すれば大会当日までには完了するが微妙とのこと。これは困った。当日走行できないことも想定するしかない。急遽迂回用のコマ図を作成し、3CPをハッピードリンクショップに移動することにし、両ルートでの距離計測を実施した。幸いにも大会直前の11/20に工事が完了し、当初のルートを走ってもらうことが出来た。迂回ルートは県道だったので景色を含めて道として面白くなかったのだ。ただちょっと不安があって大会前日に最終試走を行なったら、案の定、CP間クイズで出題しているグレーチングの数が1つ増えていた。

 ここからは大会当日のハプニング。1CPに追上車が到着したが1台未通過。CP閉鎖予定時刻を超過し50分くらい待機してもらったが、結局現れずやむなく閉鎖の処置を取った。その直後に問題の参加車が3CPの私の目の前に登場。1CP不通過を伝えると大変ショックを受けていた。聞くと1CP直前のコマ図までは通過しているので、間違ってY字を左折したか1CPがバイクなので見落としたかのどちらかだ。CP不通過減点15点と、クイズUb未提出による最大減点10点を喰らい、成績に大きく影響した。このチームは毎回職場仲間で数チームでの参加なのだが、実は以前も別のチームが同様にCP不通過を犯している。

 3CPでは鳥の名前のクイズを出題しているため、一時参加車が7,8台CP待ちとなっていた。ちょうどそのタイミングで見回り中のパトカーが通りかかり声をかけられたが、「クイズラリーやってます」でそれ以上は問われず。駐車禁止場所でもないし、一般車の通行を妨害している訳でもないので、何も後ろめたい点は無いのだが、私が3CP担当だったのは良かったかも。

 その3CPを閉鎖する直前に、先行車から間もなく6CPに到着するという連絡が入り、驚いた。予定のタイムチャートより40分以上早い。何でも5CPでゆっくりCP開設作業をしていたら、参加車がもう現れたらしい。ここ数年の大会では、参加車がなかなか各CPに到着せず気を揉むケースが多かったが、今年はペースが速い。ゴール後に何人かに聞いたところ、広い範囲の捜索を伴うクイズがなく、分からないクイズは諦めて先へ進むしかない設定が多いためだろうとのこと。出題場所では解答を得られないクイズが幾つかある、とドラミで話しておいた効果があったようだ。

 3CP閉鎖後、表彰式会場設営に向かう前に、少しコースを巡回してみた。鶴川橋を越えて右折する際、コース脇に逆向きに停まっている参加車を発見。先頭ゼッケンに近いのにどうしたのだろう。聞くと、コマ図を幾つも飛ばして急に5CPが現れたので正しいルートを再走しようと何度も試みているが、どうしてもオンコースに戻れないとのこと。どうやら野田尻宿へ向かう途中陸橋を渡った後のY字を右折するところ、コマ図の注意書きを見落とし左折した模様。このまま迷走を続けられても困るので、ヒントを与えて制限時間内のゴールを目指してもらった。まったく同じミスコースを他のチームもやったようだが、ゴール帰着制限時間をオーバーしたチームはなく、全車無事完走し今回も一安心である。

●成績総評

 さて今回の成績や如何に。最大の注目は4連覇を目指して今回も強力ナビを連れてきたOQMサポートチームと、前回5位に甘んじたPDccクイジーラリー作成者のスバル555vivioチームの優勝争いだ。これに実力チームである、佐賀県チーム、ハマノトップチーム、エクレア1号チーム、カーオリバトラーズ#01チーム、がどう絡んでくるか。過去のSAQRや他大会で上位入賞経験がある、しもチーム、チームWEST、エイプリルズチーム、パルハウスクラブチーム、も侮れない。ファミリー初参加チームや、仲間内で4チームや3チームでの参戦組、本物のラリーストの活躍振りなども大いに気にかかる。

 まずラリースト組は、9位、11位と中位に食い込んだ。この2チームの差は握力計クイズが明暗を分けた形。おじさんとおにいさんとおじょうさんチームは、肝心のおじょうさんが欠場したことが敗因かもしれない。昨年2位に入ったチームWESTとそのお仲間は、残念ながら15位、20位、23位と下位に甘んじた。同じく仲間内4チームで参加したMJK軍団は、うち2チームが上位(7位、8位)に入り、過去最高戦績ではなかろうか。いつも仲良く同じような順位になる傾向があったが、今回は大迷走やCP不通過のあったチーム(14位、21位)は水をあけられてしまった格好。

 上位入賞経験組の中で実力を発揮できなかったのが、ハマノトップチーム、しもチーム、エイプリルズチーム。次回に期待したい。6位に食い込んだカーオリバトラーズ#01チームは、特にクイズTの出来が素晴らしく、優勝チームにひけを取らない。OQMサポートチームは4連覇ならず、5位に甘んじた。中央高速とのクロス回数の問題文の解釈が違ってしまったのが原因。パルハウスクラブチームはクイズT以外の減点を全チーム中で最少に押さえ、堂々4位に入賞してみせた。記憶力クイズを減点1で乗り切るなど、大所帯チームの強みを生かしたというところか。エクレア1号チームは安定した実力を発揮し、前回に引き続き3位を得た。握力計クイズが悔やまれるが、他はそつなくまとめたところは流石。

 1ST終了時点で、スバル555vivioチームを2点差で追っていた佐賀県チームは、一歩及ばず準優勝。以前も同様の展開で2STでの逆転のチャンスがあったが、目玉おやじを描いて失敗。今回も逆転どころか全チームで最低の減点16を喰らってしまい撃沈。準優勝も危ういところだった。ということで、スバル555vivioチームが見事優勝。前回の雪辱を断トツの成績で晴らすことができ、念願の最近のカーナビを手に入れた。

 スバル555vivioチームは最終成績上は断トツ優勝だが、実は本当はもっとドラマチックな優勝になるはずだった。OQMサポートチームの問題文解釈の相違がなければ、減点43となり、スバル555vivioチームに2点差に迫っていたはずだった。そしてスバル555vivioチームは、わざわざカーナビを取り外してきたことで、減点を2点浮かせていたのだ。もしカーナビを付けたまま参加していたら、減点43で同点、更に規程により最大減点がより小さいOQMサポートチームが優勝となるところだった。まさにカーナビを取り外してきた執念で優勝をもぎ取った、と形容できるところであった。

 成績こそ最下位に終わったが、すし屋の店長チームが秋の休日ドライブをとても楽しんでおられたのがとても印象深い。表彰式でもご夫婦で終始にこやかだった。後で聞いたところ、文化週間と称した観劇や芸術鑑賞の日程のど真ん中にSAQR参加を組み込んだとのこと。旧跡と歴史に触れる設定だったのでちょうど良かったと思うが、このような楽しみ方をして頂いたことは、私としても大変嬉しい。クイズラリーフリークからドライブエンジョイ派まで、それぞれが楽しめるような設定を今後も目指していきたいと思う。

●反省

 毎回反省が尽きることなく、我ながら進歩の無さに閉口してしまう。まずドラミでの説明漏れ。高速道路走行中はクイズレス区間とすることの説明が漏れた。このため中央高速本線とのクロス回数に誤差1回が生じることとなった。ドラミで時間が無くなり焦ったための失態。言い訳だが、SA八王子での印刷により、欄外に消えてしまったコマ図注意書き等の口頭説明に、意外と時間がかかったのが痛かった。用意した正解12回ではなく13回と解答した2,3のチームには申し訳ないことをした。

 次は、風林亭の場所が分かりにくかったことだ。コマ図上には記したが、距離等、より分かりやすい情報を入れるべきだった。弁当を申し込みながら風林亭を見逃し、コースを戻ることになったチームもあったようで、恐縮する次第。

 CP基準位置と、オフィシャルのCP作業場所との関係が曖昧だという意見もあった。大抵の場合、CPボードの手前でCP作業を行なっていたが、その結果、CP到着前のクイズ回収や、CP位置での距離計測時に一般車の通行妨害の可能性を生じさせていた。CPボードの設置方法を変えるか、CP基準位置をCPボードの手前5mと定義するなど、何らかの対策を考えたい。

 次回は20周年記念大会となる。10周年の時には河口湖に宿泊(前泊)したが、10チームしか集まらなかったので、20周年では宿泊付き以外の方法も考えたい。昨今の経済状況では、予算事情も無視できない。オフィシャルを手弁当にしてでも大会の継続に尽力したいと思う。これまで参加頂いた皆様には、大会の一層の盛り上げに協力して頂くことが最大の支援となるので、今後ともよろしくお願いする次第である。
更新日時:
2009/09/02
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Last updated: 2010/5/9
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