BARRY HARRIS
80歳の好々爺といった感じのHARRISがそこにいる
"LIVE IN RENNES"
BARRY HARRIS(p), MATHIAS ALLAMANE(b), PHILIPPE SOIRAT(ds)
2009年11月 ライヴ録音 (PLUS LOIN MUSIC : PL4526)


BARRY HARRISは好きなピアニストの一人だ。1929年の12月15日生まれというから、つい最近81歳になったばかりだ。このアルバムの録音時が80歳だった。
今年の5月にはHANK JONESが91歳で亡くなっているし、今も元気でピアノを弾いているハード・バップ時代のピアニストというとこのHARRISくらいしか残っていないのではないだろうか?
僕はHARRISといえば、1969年録音の"MAGNIFICENT!"(JAZZ批評 92.)が好きだ。この時のベースはRON CARTERだったが、この頃のRONは良かった。手抜きなしに一生懸命に弾いていた。今もこのアルバムを引っ張り出して聴いているが、HARRISの音がピチピチ跳ねている。特に2曲目の"YOU SWEET AND FANCY LADY"はHARRISのオリジナルだが、ブルース・フィーリングたっぷりの歌モノだ。RONのベース・ワークも格好良い。
ついでにもう1枚紹介すると、ベースのGEORGE MRAZと組んだ"FIRST TIME EVER"(JAZZ批評 20.)も素晴らしい。いずれもドラムスには盟友、LEROY WILLIAMSが参加している。
余談が長くなってしまったが、本題に移ろう。このアルバムはフランス・RENNESでのジャズ・フェスティバルに出演した時の演奏を録音したものだ。従い、HARRIS自身のMCがたっぷりと盛り込まれている。これは少々邪魔なので、以下の曲名紹介ではその部分を省略している。演奏トラックのみ記載した。


@"SHE" 
HARRISのピアノの音が気だるい。HARRISお得意の哀愁を帯びたテーマとアドリブ。このトラックだけ、時々針飛び(?)するので困った。ベースとドラムスは至極真っ当で、HARRISの引き立て役を買って出ている。
B"ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM" 
速いパッセージは少々辛いかなあ。
C"I'LL KEEP LOVING YOU" 
D"A TIME FOR LOVE" 
今度もバラード。ピアノ・ソロ。1コーラス、テーマを弾いただけ。思い入れたっぷりだけど、それだけではねえ。最近のこの曲の名演といえばKENNY WERNERとJENS SONDERGAARDのデュオ(JAZZ批評 509.)による演奏を挙げたい。是非、一度聴いてみて欲しい。
E"MY HEART STOOD STILL" 
ベースがモタモタした感じでスカッとしない。
G"6,5,7,3" 
I"RUBY MY DEAR" 
K"TO DUKE WITH LOVE & PRELUDE TO A KISS" 
L"OFF MINOR" 
M"LIGHT BLUE" 
O"TEA FOR TWO" 
P"NASCIMENTO" 
ついには”ラララ・・・”と歌まで歌い始めてしまった。
Q"PARKER'S MOOD" 
S"EM-BARRY-HARRI-ABLE YOU"
 一声披露。若い声だ。

このアルバムにはジャズ・フェスティバルでの和気藹々としたムードが漂っている。こういうのは現場に立ち会うのが一番で、録音されたものを後から聴いてももうひとつピンと来ない。
ましてや、往年のHARRISのプレイが堪能できるかというとそうではない。むしろ、80歳の好々爺といった感じのHARRISがそこにいる。
ドラムスにはフランスのPHILIPPE SOIRATが参加している。村山浩の"BALLAD OF LYRICS"(JAZZ批評 622.)でも叩いていたドラマーだ。
BARRY HARRISのピアノを楽しむなら、上記の2枚か1960年代の演奏を聴くほうが良いだろう。   (2010.12.21)

試聴サイト : http://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ100806-03



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独断的JAZZ批評 668.