vol 42:計画





「サタン様おかえりなさいませ。」

地獄に帰れば、気持ちの悪い醜い姿の手下たち。

別に・・・出迎えろなんて言った覚えもないのにね。

さすが、元人間。そして、人間のクズの集団だ。

僕は人となった天の子に、やっと呼ばれて人間界に出向いていた。

今帰ったところ。

醜い姿の手下が僕を出迎えて頭を深々と下げる。

正直・・・こういうのってさぁ、

「ウザい。消えて・・・。」

ただ僕は、そいつに消えろと言っただけなのに、
手下の奴らはそいつに襲いかかって無残な姿に変える。

まぁ、この世界、1度死んだ人間が殆どで、
もう1度死ぬなんてのは僕たちじゃ出来ない事。
神にしか出来やしない。
僕もまた、惨めだねぇ。

地獄はやたらゴチャゴチャしている。
綺麗な景色なんて180度見てもありゃしない。
炎で燃えている世界。
硫黄の臭いがたちこめていて、痩せ細って骨と皮の者、
同じ人間を食べてまんまるに太り過ぎている者、
其々の姿は汚く醜い元人間達。
そいつらに、僕が力を貸してやって人間界に向かわす。
僕のこの世界に奴隷を増やすために。
そして地球を滅ぼし、もう一つの地獄を作る。
神が愛しくてやまない人間と地球を我がものにする。
ふふ・・・計画を思い出すとくだらない事が面白くなる。

天の子は、まだ力は弱かった。
僕の敵には相応しくないねぇ。

是非とも、神の娘を僕の世界の住人に加えたいものだ。
その時の神の顔を見ながら腹を抱えて笑いたい。


「ふぁ~。」

小さく欠伸をして、眠いとベッドに寝に行く。
ベッドに寝転び目を閉じて眠りにつく。




「ルシファー・・・ルシファー。」

「はい、神様。」

あの時の僕はまだ幼くて、神を我が父だと思い敬愛していた。

「ルシファーよ、人間を作ろうと思うのだ。」

「にんげん・・・ですか?。」

「あれが人間だ。」

初めて人間を見た時、なぜ僕等と同じ姿なのかと不思議だった。
この姿は偉大なはず。
人間は僕たちのような神に値する力も持ってはいない。
僕たちの力も神のご加護がなければ弱い力となってしまうけど。

「見ろ!ルシファーよ。アダムが草を触っている。
なんとも人間は可愛いもの。」

可愛い?。そうかな。

「ルシファー!お前はなぜ人間にこの様な事を!。」

「そ、それは、神様、アダムは草を千切ったんです。
貴方の可愛がっていた草を。」

「草は人間に与えよう。」

「なぜ・・・人間ならば何をしても良いというのですか?!」

あの頃の僕の夢をよく見る。

神を父だと思い慕い・・・純粋だった。

神は僕を我が子とは思ってはくれなかった。
ただの神使い。
神の使用人。

「ルシファーは滅びの子。」

「お前を地面を這う蛇の姿に変える!。」

「醜い子。」

「神の怒りをかい、人間を騙した。」

「滅びの子・・・滅びの子。」




「うっるさいっ!。」

毎晩のように魘される。

滅びの子。

この言葉が一番僕の怒りを掻きたてる。
12枚の翼を持っていた美しい天使の長と言われていた僕が、
今では滅びの子と。

「ククク・・・アハハハ!笑わせるねぇ。」

「サタン?。何をそんなに笑っているのかしら。」

「・・・やぁ、リリス。」

僕は笑顔を向けて体を起こした。
リリスは、金色の髪の綺麗な夜の女。
白いムチっとした全裸に太い大蛇を体に巻き付けている。

「相変わらず誘う格好だねぇ。」

「フフ、でも貴方は私を抱いたことないじゃない。」

そう言って僕のベッドに腰掛ける。
僕は蛇の頭に触れて頭を撫でてやる。

リリスはアダムの最初の妻で、僕の妻だとも人間界では言われているようだ。
僕は結婚もしていない。
愛する事が出来るなら、地獄の王にはなっていない。

「サタン?また人間を連れて来たの。」

「へぇー。さすがだね。君の誘惑には敵わないか。」

「ねぇ、ご褒美に何くれる?。」

「うーん・・・そうだな、赤ん坊を1人あげる。」

「キャー!嬉しい。プニプニの新鮮な赤ん坊がいい。」

「わかった。君の住みかに送らせる。」

「ありがと、サタン。」

リリスのふっくらした唇が頬に触れた。
男なら此処でセックスにいくはずが、僕にはリリスは醜い女にしか見えない。
本当は僕の肌に腐った唇を触れさせた時点で殺してる。

「・・・そんなことしてちゃ、皆殺さなきゃ。」

「なんのこと?。」

「いいや。なんでも。さてっと、フルーレティー!。」

僕はフルーレティーを呼んだ。

呼んで直ぐに部屋に姿を表せる。

「サタン様・・・御呼びでしょうか。」

「うん。人間界のアチコチに、雹を降らせて欲しいんだよね。
大粒の雹。何人かは殺せるだろうし。
異常気象だって人間が騒ぐような感じ。」

「承知致しました。」

「うん。ヨロシク。」

彼は命令は直ぐに実行してくれる僕の忠実な部下。

「それと・・・ダンタリオン!。」

フルーレティーは既に消え去り、直ぐにダンタリオンが姿を現せた。

「お呼びかな?サタン。」

「ダンタリオン、君に長期の仕事。」

「ほう、長期とな?。」

「人間界に行って幻覚を送り込んで来て。」

「どの様な幻覚ですかな。」

「そうだね・・・君の得意な愛を燃え立たせる力を使って。
若い子達にだよ。
性病を流行らせるんだ。セックスこそが愛ってね。」

リリスが興奮しだした。

「やだ、私も参加したい。若い男の精気って堪らないのよね。」

乳首を尖らせてリリスは興奮している。

「駄目だよ、リリス。君の出番じゃない。
精気吸って殺しても無意味なんでね。」

「まぁ・・・残念。」

「ダンタリオン、長期の仕事頼んだよ。報酬は、成功したら、
君の位を上げてあげる。」

「ありがたい。」

ダンタリオンは消え去る。
リリスももう消えて欲しいんだけどね。
顔を顰めるも、淫欲の力しかない女は僕の気持ちなんて察する能力もない。

「アイム!。」

アイムは毒蛇にまたがり、手に火のついた松明をもち、
人、猫、蛇の三つ首の人間の姿で現れた。

「呼んだか、サタンよ。」

「ちょっと・・・人間界の山に火、点けてきて。」

「・・・わかった。」

大概の悪魔たちは僕の言う事に質問しない。
悪さをするのが好き過ぎるせいもあるだろう。
人が苦しむのがみんな大好きだからね。

「リリス、悪いんだけど・・・そろそろ帰ってくれないかな。」

「・・・そう、わかったわ。」

「後で赤ん坊を届けさせるから。」

「えぇ。またね、サタン。」

リリスは少しつまらなさそうに姿を消した。

さてさて、今からが人間界の見どころだね。

神は僕等を今自由にしている。

何百人の人間の命を奪っても、何もしてこない。
僕等に自分が作った過ちを抹殺して欲しいのか・・・。
それなら、やっぱり傲慢なのは神。






「18時のニュースです。各地に雹の嵐で多数の死者も出ているもよう。」

「速報です!。山火事がアメリカ、日本など世界中で発生!。
放火の疑いとのこと!。」






ふふ・・・

アハハ・・・

ふははははっ!。

楽しや、地獄の世界の幕開け。

神よ見ているがいい。

僕のやり方はね、人間が人間を殺して、

貴方の大切な可愛い人間が地球を破壊していく事。

スバラシイシナリオじゃない?。

絶賛して・・・くれるよね?

神様。

















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