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vol 40:愛しき地球
「ほー、此処がショッピングモールっていうのか。」
「弥勒、デパートだよ。」
「ハァ・・・どっちでもええやん。」
本日、晴れ。弥勒と大樹と俺で買い物に来た。
なぜにこのメンバーかというと、事の始まりは大樹のメール。
この世のモノに興味津々の弥勒に明日俺と買い物に行くって言うたから。
案の定、弥勒は興奮してついて来た。
大樹はデートなのにと不貞腐れるも自業自得。
巨大デパートには、いろんな店が並ぶ。
「なぁなぁ!あのTシャツ、すっげー!。」
弥勒は田舎もんのように叫び、しかも坊主姿で人目を呼ぶ。
俺は少しでも他人のフリがしとうて、それ程興味もない石屋に入った。
いろんな石のアクセサリーが並ぶ。
ふと目についた石のネックレス。
その石の袋には、パワーの説明が書いてある。
俺の興味をそそる言葉。
ブラックオブシディアン。宇宙の力。
神秘的な深い黒の石は、闇が光へ通じる様に、
迷う心を光の中へと導き、
次なるチャンスをもたらしてくれると云われます。
「宇宙の・・・力。」
その言葉と、闇が光へ通じる、迷う心を光の中へと導く。
俺は欲しくて堪らなくなった。
それと共に、逆の世界との関わりへの不安も込み上げる。
自分には宇宙の力も必要や。
パパは宇宙の神で、俺は宇宙の神の子供やけど、
人として生まれてきて、元の力が不足しとる。
地球を守る為に必要な力が欲しい。
そう思った瞬間に、石からもの凄い力が出、一気に空気を変えた。
「な、なんや・・・これ。」
俺を見つけた二人が店内に入って来るも、すぐに異変に気付く。
「カン、大丈夫?。」
「おいおい、なんだよ。スゲー力だな。お前か?。」
「ち、違う。・・・この石が急に。」
店内にも関わらず石の主が姿を現わした。
40歳くらいの長白髪のオヤジ。
(待っていた。よくぞ来たな。)
(待ってた?。どういう事だ。)
弥勒が問い掛けるも大樹には聞こえない為、
俺が言葉を教える。
(私はこの者が来るのを待っていた。)
(カンを知ってるのか?。)
(いいや。知らない。ただ、私の想いと同じ人間が来ると信じていた。)
(想い?。想いってなん?。)
俺と男の会話が始まると弥勒が大樹に伝える。連係プレー。
(思っただろう?。お前は地球を守る為にと。
その為に私の力が必要だと。)
(ほんなら、アンタは何者やねん!。)
(私は宇宙の神。地球を守る為に来た。)
(宇宙の神・・・。)
(この石を求めた者は沢山いたが、同じ気持ちの者はいなかった。)
「なぜ、貴方は地球を守りたいんですか?。」
大樹が問い掛ける。
(私は地球が大好きだ。宇宙から見ていても美しい惑星。
その地球の美しさが消えかかっている。)
宇宙の神は、とても悲しそうな表情をした。
俺もその悲しみを心で感じた。
「俺、この石買うわ。」
「カン。」
「だって、俺には必要やもん。」
石の袋を持ってレジに進む。
(アンタ、あいつが誰の子か知ってるのか?。)
弥勒が宇宙の神に問い掛けた。
(知らない。なぜ?。)
(アイツもアンタと同じ宇宙の神の子だ。)
宇宙の神は目を見開きレジで精算をするカンを見つめ、
(それは、どなたの御子息か?。)
(地球を守っている神の娘。下界に自ら人として生まれた。)
(地球の神!天の子か!幼い頃、2度程地球の神に見せられたが・・・。)
清算を済ませて近づくと、宇宙の神は問い掛けた。
(お前たちは皆、私のことが解る人間なのか?。)
弥勒は笑みを浮かべて答えた。
「俺は弥勒。黄泉の国の菩薩だ。こっちが大樹。黄泉の国の蛇神。」
大樹は自分を紹介されてニッコリ笑み挨拶をした。
「どうも。」
「で、カン。天の子だ。」
「おう。」
俺も笑む。
「カン、この方、お前の父の友人らしい。
幼いころにお前と会ってるって。」
「え?。パパの?。」
(あぁ、そうだ。まだお前が小さな小さな頃。
2度、自慢された。)
宇宙の神はニッコリほほ笑み俺の頭を撫でた。
それを見た大樹は少し顔を顰めている。
大樹は他の男が俺に触れるのを嫌がるから。
買った袋からネックレスを取り出して首につけると、
宇宙の神は石の中に入っていった。
ネックレスはチェーンは革紐で首にフィットする長さ。
石は黒く金で神秘的な模様が彫られてある。
「大樹、強敵出現・・・。」
大樹の耳元でボソっと弥勒に呟かれると、
大樹は俺の隣に歩き手を繋ぎ始めた。
「ちょー、外でやめてや。」
俺が手を離そうとするも大樹は強く握り拗ねた顔で、
「その人、カンの首に触れてるじゃないか。ずるい。」
「ハァ?。」
俺にしては意味不明で、その光景を見てニタニタ楽しむ弥勒。
飯を食べて、無理矢理泊めようとする大樹を蹴り離して家に帰った。
自室に行くとベッドに座って話しかける。
「出てきて?。」
すると目の前に宇宙の神が姿を現した。
「地球って・・・そんな綺麗なん?。」
(あんな美しい惑星は地球しか存在しない。)
「そっか。・・・人間ってな、脆いねん。
弱いし欲の塊やし。」
(・・・。)
「せやけどな、温かいとこもある。学習能力もある。
木も花も生物全てが素晴らしいんや。
ただ・・・逆の勢力も増してる。」
(うむ。地球を滅ぼしてはいけない。その為に、私も来た。
私の力をお前に仕えよう。)
宇宙の神は優しい笑みを見せて俺を抱きしめた。
自分の力を出しながら。
体に伝わる強いエネルギー。体が熱い。
(カン。悪魔のサタンにはもう会ったか?。)
「サタン?。名前は知っとるけど、まだ会ってない。」
(そうか。まずサタンに面会を申し込むんだ。)
「面会?。どうやって?。」
(念じて呼べば向こうから会いにくる。)
サタンは逆の世界の神的な存在で、逆の世界の主。
そんな相手と、まだ未熟な俺が会っていいんやろか。
不安に胸が押し潰されそうになった。
(大丈夫。私がいるのだから。自信を持ちなさい。)
「・・・うん。」
(ところで、蛇神とお前は惚れあっているのか?。)
「はいぃ?。」
まさかの質問に俺は顔を真赤に染めた。
(蛇神は私に嫉妬していたように感じた。父上は知っているのか?。)
大樹のアホめ。
「あー、うん。知っとうよ。大賛成って言うてた。」
ニッコリ笑い嘘を吐く。
(そうか。地球の神は娘は絶対に嫁に出さんと申していたのでな。
良かったではないか。)
優しく笑む宇宙の神に俺はハハっと渇いた笑を溢す。
「しっかし、宇宙の神って呼びにくいなぁ~。」
胡坐をかいて腕を組み相手の呼びにくい名前に何かないかと考えた。
「宇宙やからウっちゃん?。ん~なんかしっくりこん。」
(必要なのか?。それは。)
「当たり前やん。・・・パパと知り合いのおっさんやからー・・・、
おいたん!。」
(おいたん?。)
「そう!。おっさんの可愛くした版。決定!。」
(おっさん・・・?。)
おいたんは地球用語をまだ詳しく知らないらしく、
何度も付けられたあだ名を復唱していた。
俺には大事な仲間が出来た。
弥勒に大樹、阿修羅、帝釈天に白六象、白蛇神に大神、
水の神、ニコニコさん、大和の姫、五百埼、兄さんにパパ、
そして、おいたん。
今の俺に何か変わったと思うところは自分では感じない。
それに、何をすればええんかも解らん状態や。
おいたんが言うようにサタンに会おうと思う。
とりあえず、弥勒と大樹においたんの命名と、
サタンに会う事をメールで報告した。
地球は人間の俺が守る。
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