Toppage | Critic | 図書室 | リンク | Emigrant |
◆呼びかけ文(2008.02.09)◆ |
||||
沖縄の戦後の結節点となった72年の世替わりに日本復帰運動の孕む同化主義を、近代に遡り内側から越え、沖縄における新たなる主体の戦線を創出した「反復帰・沖縄自立論」が、80年代に「琉球共和国への架け橋」として「琉球共和社会/国憲法」<私・試案>へ累進していった思想資源を発見し直し、新たな視座の可能性を展望する。 沖縄の来るべき自己決定権とは何か? その思想的・政治的主体はどのように打ち立てられるべきなのか。そして沖縄にとって「日本国憲法」とは何か? その理念と現実、誕生から現在までの軌跡、現れては消え、消えては現れることを繰り返しながら確実に制度的インフラを整えつつある「改憲」状況を、沖縄の経験と視点で洗い直すとき、全く違った光景が見えてくるはずである。その光景とは冷戦体制下で日米安保を傘にした日本の一国主義であり、帝国と植民地主義を忘却した私小説的内面である。 近代日本国家=大日本帝国は1879年・琉球処分に始まる、侵略に次ぐ侵略、戦争に次ぐ戦争の果てに1945年の破局を迎えた。連合国の軍事占領下、47年日本国憲法制定、51年サンフランシスコ講和条約・日米安保条約締結をへて戦後日本国家は再出発した。だが沖縄は72年「返還」にいたるまで米軍の分離支配下に置かれ続けた。現在にいたる日本の「歴史問題」未決着がここに象徴されている。従って日本における反改憲の選択は、沖縄とそれにつながる東アジア―中国・朝鮮・台湾・環太平洋島嶼諸地域…―の歴史経験をくぐって、ようやく今日の世界的規模で変容を続ける〈帝国〉と対峙する内実を獲得することになるはずだ。 ポスト冷戦によって露になりつつあるグローバリゼーションの全領域的な浸透と日米の軍事的な再編・一体化は、いかなる歴史的・政治的要請によるもので、それは東アジアに何をもたらすものなのか。沖縄の経験と視点、思想的資源を結び目とすることによってアジアを呼び込んでみよう。そのとき、戦後日本の出自と履歴が語の正確な意味で問われ、「日本国憲法」をアジアの文脈で選び直していく、不穏にして創造的な試みのはじまりに立つことができるはずである。沖縄・憲法・アジアが重なり絡まり合う交差路に、未聞の<われわれ>が樹立されなければならない。 |
||||
◆開催要綱◆ |
||||
名 称:シンポジウム「来るべき自己決定権のために―沖縄・憲法・アジア」 主 催:5・18シンポジウム実行委員会(チームデルタ、前島夜塾、沖縄文化講座) 日 時:5月18日(日)13:00〜21:00 会 場:沖縄県立美術館講堂(那覇市おもろまち3-1-1 TEL098-941-8200) |
||||
◆シンポジウム構成◆ |
||||
○映像 「100の眼、100の沖縄ダイジェスト」(30分程度) ●第1部 <反復帰>の思想資源と琉球共和社会/共和国憲法(私・試案)の意義 コーディネイター 豊見山和美 基調講演 屋嘉比収 パネル 新川 明、川満信一、比屋根薫、屋嘉比収 ●第2部 沖縄・憲法・アジア―その政治展望 コーディネイター 長元朝浩 基調講演 佐藤 優 パネル 佐藤 優、孫 歌、仲里 効、松島泰勝、崔真碩 |
||||
★5.18シンポジウム「来るべき自己決定権のために―沖縄・憲法・アジア」開催趣旨 ☆川音 勉「東京からの応答/沖縄の〈自己決定権〉に向き合う、日本の主権性創発のために」(『月刊情況』08年5月号) |