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著作権法

知的財産権について

「知的財産権」とは,知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される,「他人に無断で利用されない」といった権利であり,これには以下のようなものが含まれます。なお,同じものを意味する用語として,「知的所有権」や「無体財産権」という用語が使われることもあります。
著作権法
近年,知的財産権の対象は拡大される傾向にあり,今後,上記以外にも様々なものが保護の対象となる可能性があります。
なお,これらの権利のうち産業財産権等は,権利を取得するために「申請」「登録」などの手続きが必要ですが,著作権は,こうした手続きを一切必要とせず,著作物が創られた時点で「自動的」に付与するのが,国際的なルールとされています(権利取得のための「登録制度」などは禁止)。これを「無方式主義」といいます。

著作権制度の概要

著作者の権利

1. 著作物について

著作権法で保護の対象となる著作物であるためには,以下の事項をすべて満たすものである必要があります。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること → 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること → アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること → 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること → 工業製品等が除かれます。
具体的には,小説,音楽,美術,映画,コンピュータプログラム等が,著作権法上,著作物の例示として挙げられています。
その他,編集物で素材の選択又は配列によって創作性を有するものは,編集著作物として保護されます。新聞,雑誌,百科事典等がこれに該当します。

2. 著作者について

著作者とは,著作物を創作した人のことです。
 一般には,小説家や画家や作曲家などの創作活動を職業とする人だけが,著作者になると 考えられがちですが,創作活動を職業としなくても,小説を書いたり絵を描いたりすれば,それを創作した者が著作者になります。すなわち,幼稚園児であっても絵を描けばその絵の著作者となり,作文を書けばその作文の著作者になります。
※ 法人著作について
以下の要件をすべて満たした場合に限り,創作活動を行った個人ではなく,その人 が属している会社等が著作者となります。
(1)その著作物を作る企画を立てるのが法人その他の使用者であること。
(2)法人等の業務に従事する者の創作であること。 → 部外者に委嘱して作成された場合など,会社との間に支配・従属関係にない場合は除かれる。
(3)職務上作成されること。 → 具体的に作成することを命じられた場合に限られ,大学教授の講義案のように,その職務に関連して作成された場合は除かれる。
(4)公表するときに法人等の名義で公表されること。 → 通常,コンピュータプログラムの場合には,公表せずに利用するものが多いため,この要件を満たす必要は無い。
(5)契約や就業規則で職員を著作者とする定めがないこと。

3. 著作者の権利の発生及び保護期間について

著作権,著作者人格権,著作隣接権は,著作物を創作した時点で発生します。権利を得るための手続は,一切必要ありません。
著作権の保護期間は,原則として著作者の生存年間及びその死後70年間です。
※ 例外

著作物の種類 保護期間
無名・変名(周知の変名は除く)の著作物 公表後70年(死後70年経過が明らかであれば,その時点まで)
団体名義の著作物 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは,創作後70年)
映画の著作物 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは,創作後70年)

*このほか,外国人の著作物の保護期間については,若干の特例が設けられています。

4. 著作者の権利の内容について

著作権法
著作権法

著作者の人格権(著作者の人格的利益を保護する権利)

著作者の人格権

(著作者の人格的利益を保護する権利)

公表権(18条) 未公表の著作物を公表するかどうか等を決定する権利
氏名表示権(19条) 著作物に著作者名を付すかどうか,付す場合に名義をどうするかを決定する権利
同一性保持権(20条) 著作物の内容や題号を著作者の意に反して改変されない権利
著作権(財産権)(著作物の利用を許諾したり禁止する権利)

著作権(財産権)

(著作物の利用を許諾したり禁止する権利)

複製権(21条) 著作物を印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製する権利
上演権・演奏権(22条) 著作物を公に上演し,演奏する権利
上映権(22条の2) 著作物を公に上映する権利
公衆送信権等(23条) 著作物を公衆送信し,あるいは,公衆送信された著作物を公に伝達する権利
口述権(24条) 著作物を口頭で公に伝える権利
展示権(25条) 美術の著作物又は未発行の写真の著作物を原作品により公に展示する権利
頒布権(26条) 映画の著作物をその複製物の譲渡又は貸与により公衆に提供する権利
譲渡権(26条の2) 映画の著作物を除く著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利(一旦適法に譲渡された著作物のその後の譲渡には,譲渡権が及ばない)
貸与権(26条の3) 映画の著作物を除く著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利
翻訳権・翻案権等(27条) 著作物を翻訳し,編曲し,変形し,脚色し,映画化し,その他翻案する権利
二次的著作物の利用に関する権利(28条) 翻訳物,翻案物などの二次的著作物を利用する権利

著作隣接権

1. 著作隣接権

著作隣接権

著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者(実演家,レコード製作者,放送事業者及び有線放送事業者)に
与えられる権利

著作隣接権の発生  

実演,レコードの固定,放送又は有線放送を行った時点で発生する(無方式主義)。

著作隣接権の保護期間

実演,レコード発行が行われたときから70年間,放送又は有線放送が行われたときから50年間

実演家等の権利の内容
著作権法
(注) 実演家の了解を得て「映画の著作物」に「録音」「録画」された実演については,その後の利用について,実演家に財産権がありません。

 

実演家の権利

実演家人格権

氏名表示権(90条の2) 自分の実演に実演家の名を付すかどうか,付す場合に名義をどうするかを決定する権利
同一性保持権(90条の3) 自分の実演について実演家の名誉や声望を害する改変をされない権利

著作隣接権

録音権・録画権(91条) 自分の実演を録音・録画する権利
放送権・有線放送権(92条) 自分の実演を放送・有線放送する権利
送信可能化権(92条の2) 自分の実演を端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信し得る状態に置く権利
譲渡権(95条の2) 自分の実演の録音物又は録画物を公衆に譲渡する権利(一旦適法に譲渡された実演の録音物又は録画物のその後の譲渡には,譲渡権が及ばない)
貸与権(95条の3) 商業用レコード(市販用CD等)を貸与する権利(最初の販売後1年のみ)

放送二次使用料を受ける権利(95条)

商業用レコードが放送・有線放送で使用された場合の使用料を放送事業者・有線放送事業者から受ける権利

貸レコードについて報酬を受ける権利(95条の3)

貸レコード業者から報酬を受ける権利(貸与権消滅後69年間)

 

レコード製作者の権利

著作権法

著作隣接権

複製権(96条) レコードを複製する権利
送信可能化権(96条の2) レコードを端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信し得る状態に置く権利
譲渡権(97条の2) レコードの複製物を公衆に譲渡する権利(一旦適法に譲渡されたレコードの複製物のその後の譲渡には,譲渡権が及ばない)
貸与権(97条の3) 商業用レコードを貸与する権利(最初の販売後1年間のみ)

放送二次使用料を受ける権利(97条)

商業用レコードが放送・有線放送で使用された場合の使用料を放送事業者・有線放送事業者から受ける権利

貸レコードについて報酬を受ける権利(97条の3)

貸レコード業者から報酬を受ける権利(貸与権消滅後69年間)

 

放送事業者の権利

著作権法

著作隣接権

複製権(98条) 放送を録音・録画及び写真的方法により複製する権利
再放送権・有線放送権(99条) 放送を受信して再放送したり,有線放送したりする権利
テレビジョン放送の伝達権(100条)

テレビジョン放送を受信して画面拡大する特別装置(超大型テレビ,オーロラビジョン等)で
公に伝達する権利

 

有線放送事業者の権利

著作権法

著作隣接権

複製権(100条の2) 有線放送を録音・録画及び写真的方法により複製する権利
放送権・再有線放送権(100条の3) 有線放送を受信して放送したり,再有線放送したりする権利
有線テレビジョン放送の伝達権(100条の4) 有線テレビジョン放送を受信して画面を拡大する特別装置で公に伝達する権利

※レコード製作者,放送・有線放送事業者には「人格権」はなく,「財産権」のみ認められています。
(注) ・「放送法」上の放送 :「不特定の人」向けの同時無線送信
・「著作権法」上の放送:「不特定の人」又は「特定多数の人」向けの同時無線送信(「特定多数の人」向けの場合,「放送法」では「通信」に当たります)
・ 著作権法には「通信」という概念は存在しません。
・許諾権………… 他人が「無断で○○すること」を止めることができる(使用料などの条件を付けて他人が○○することを認める)権利
・報酬請求権…… 他人が「○○した」ときに使用料を請求できる権利

著作物が自由に使える場合

1. 著作物が自由に使える場合

著作権法では,一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して,著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています(第30条?第47条の8)。
これは,著作物等を利用するときは,いかなる場合であっても,著作物等を利用しようとするたびごとに,著作権者等の許諾を受け,必要であれば使用料を支払わなければならないとすると,文化的所産である著作物等の公正で円滑な利用が妨げられ,かえって文化の発展に寄与することを目的とする著作権制度の趣旨に反することにもなりかねないためです。
しかし,著作権者等の利益を不当に害さないように,また,著作物等の通常の利用が妨げられることのないよう,その条件は厳密に定められています。
また,著作権が制限される場合でも,著作者人格権は制限されないことに注意を要します(第50条)。
なお,これらの規定に基づき複製されたものを目的外に使うことは禁止されています(第49条)。また,利用に当たっては,原則として出所の明示をする必要があることに注意を要します(第48条)。

著作物が自由に使える場合

私的使用のための複製

(第30条)

家庭内で仕事以外の目的のために使用するために,著作物を複製することができる。同様の目的であれば,翻訳,編曲,変形,翻案もできる。
なお,デジタル方式の録音録画機器等を用いて著作物を複製する場合には,著作権者等に対し補償金の支払いが必要となる。
しかし,[1]公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(注1)を用いて複製するときや,[2]技術的保護手段(注2)の回避により可能となった(又は,その結果に障害が生じないようになった)複製を,その事実を知りながら行うとき,[3]著作権等を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を,その事実(=著作権等を侵害する自動公衆送信であること)を知りながら行うときは,この例外規定は適用されない。
また,映画の盗撮の防止に関する法律により,映画館等で有料上映中の映画や無料試写会で上映中の映画の影像・音声を録画・録音することは,私的使用目的であっても,この例外規定は適用されない(注3)

図書館等における複製

(第31条)

[1]国立国会図書館と政令(施行令第1条の3)で認められた図書館に限り,一定の条件(注4)の下に,ア)利用者に提供するための複製,イ)保存のための複製,ウ)他の図書館のへの提供のための複製を行うことができる。
利用者に提供するために複製する場合には,翻訳して提供することもできる。
[2]国立国会図書館においては,所蔵資料の原本の滅失等を避けるため(=納本後直ちに)電子化(複製)することができる。

引用

(第32条)

[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注5)[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。

教科用図書等への掲載

(第33条)

学校教育の目的上必要と認められる限度で教科書に掲載することができる。ただし,著作者への通知と著作権者への一定の補償金の支払いが必要となる。同様の目的であれば,翻訳,編曲,変形,翻案もできる。

教科用拡大図書等の作成のための複製等

(第33条の2)

視覚障害等により既存の教科書が使用しにくい児童又は生徒の学習のために,教科書の文字や図形の拡大や,その他必要な方式により複製することができる。同様の目的であれば,変形,翻案もできる。
ただし,教科書の全部又は相当部分を複製して拡大教科書等を作成する場合には,教科書発行者への通知が,営利目的で頒布する場合には著作権者への一定の補償金の支払いが必要となる。

学校教育番組の放送等

(第34条)

学校教育の目的上必要と認められる限度で学校教育番組において著作物を放送等することができる。また,学校教育番組用の教材に著作物を掲載することができる。ただし,いずれの場合にも著作者への通知と著作権者への補償金の支払いが必要となる。同様の目的であれば,翻訳,編曲,変形,翻案もできる。

教育機関における複製等

(第35条)

教育を担任する者やその授業を受ける者(学習者)は,授業の過程で使用するために著作物を複製することができる。また,「主会場」での授業が「副会場」に同時中継されている場合に,主会場で用いられている教材を,副会場で授業を受ける者に対し公衆送信することができる。複製が認められる範囲であれば,翻訳,編曲,変形,翻案もできる。
ただし,ドリル,ワークブックの複製や,授業の目的を超えた放送番組のライブラリー化など,著作権者に不当に経済的不利益を与えるおそれがある場合にはこの例外規定は適用されない。

試験問題としての複製等

(第36条)

入学試験や採用試験などの問題として著作物を複製すること,インターネット等を利用して試験を行う際には公衆送信することができる。
ただし,著作権者に不当に経済的不利益を与えるおそれがある場合にはこの例外規定は適用されない。
営利目的の模擬試験などのための複製,公衆送信の場合には,著作権者への補償金の支払いが必要となる。
同様の目的であれば,翻訳もできる。

視覚障害者等のための複製等

(第37条)

[1]点字によって複製,あるいは,点字データとしてコンピュータへ蓄積しコンピュータ・ネットワークを通じて送信することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。
[2]政令(施行令第2条)で定められた視覚障害者等の福祉に関する事業を行う者に限り,視覚障害者等が必要な方式での複製,その複製物の貸出,譲渡,自動公衆送信を行うことが出来る。同様の目的であれば,翻訳,変形,翻案もできる。
ただし,著作権者又はその許諾を受けた者が,その障害者が必要とする方式で著作物を広く提供している場合にはこの例外規定は適用されない。

聴覚障害者のための自動公衆送信

(第37条の2)

政令(施行令第2条の2)で定められた聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者に限り,[1]著作物に係る音声を字幕等の聴覚障害者等が利用するために必要な方式によって複製,自動公衆送信を行うこと,[2]聴覚障害者等への貸出の目的で,字幕等付きの映画の作成を行うことができる。
同様の目的であれば,翻訳,翻案もできる。
ただし,著作権者又はその許諾を受けた者が,その障害者が必要とする方式で著作物を広く提供している場合にはこの例外規定は適用されない。

営利を目的としない上演等

(第38条)

[1]営利を目的とせず,観客から料金をとらない場合は,公表された著作物を上演・演奏・上映・口述することができる。ただし,出演者などに報酬を支払う場合はこの例外規定は適用されない。
[2]営利を目的とせず,貸与を受ける者から料金をとらない場合は,CDなど公表された著作物の複製物を貸与することができる。ただし,ビデオなど映画の著作物の貸与については,その主体が政令(施行令第2条の3)で定められた視聴覚ライブラリー等及び政令(施行令第2条の2第1項第2号)で定められた聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者(非営利目的のもの限る)に限られ,さらに,著作権者への補償金の支払いが必要となる。

時事問題に関する論説の転載等

(第39条)

新聞,雑誌に掲載された時事問題に関する論説は,利用を禁ずる旨の表示がない限り,他の新聞,雑誌に掲載したり,放送したりすることができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

政治上の演説等の利用

(第40条)

[1]公開の場で行われた政治上の演説や陳述,裁判での公開の陳述は,ある一人の著作者のものを編集して利用する場合を除き,方法を問わず利用できる。
[2]議会における演説等は,報道のために新聞等への掲載,放送等により利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

時事の事件の報道のための利用

(第41条)

著作物に関する時事の事件を報道するために,その著作物を利用する場合,又は事件の過程において著作物が見られ,若しくは聞かれる場合にはその著作物を利用できる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

裁判手続等における複製

(第42条)

[1]裁判手続のためや,立法,行政上の内部資料として必要な場合,[2]特許,意匠,商標,実用新案及び国際出願の審査等に必要な場合,[3]薬事に関する審査,調査等に必要な場合には,著作物を複製することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。
ただし,著作権者に経済的不利益を与えるおそれがある場合にはこの制限規程は適用されない。

情報公開法等における開示のための利用

(第42条の2)

情報公開法等の規定により著作物を公衆に提供又は提示する必要がある場合には,情報公開法等で定める方法により,著作物を必要な限度で利用することができる。

国立国会図書館法によるインターネット資料収集のための複製

(第42条の3)

国立国会図書館の館長は,国,地方公共団体,独立行政法人等により公衆に利用可能とされたインターネット資料を収集するために必要な限度において,当該インターネット資料に係る著作物を記録媒体に記録することができる。
また,国,地方公共団体,独立行政法人等は,国立国会図書館の求めに応じインターネット資料を提供するために必要な限度において,当該インターネット資料に係る著作物を複製することができる。

放送事業者等による一時的固定

(第44条)

放送事業者又は有線放送事業者は,放送のための技術的手段として,著作物を一時的に録音・録画することができる。
なお,録音・録画したものは政令(施行令第3条)で定める公的な記録保存所で保存を行う場合を除き,6ヵ月を超えて保存できない。

美術の著作物等の原作品の所有者による展示

(第45条)

美術の著作物又は写真の著作物の原作品の所有者等は,その作品を公に展示することができる。
ただし,屋外に恒常的に設置する場合にはこの制限規定は適用されない。

公開の美術の著作物等の利用

(第46条)

屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は,方法を問わず利用できる(若干の例外あり(注6))。

美術の著作物等の展示に伴う複製

(第47条)

美術の著作物の原作品又は写真の著作物の原作品を公に展示する者は,観覧者のための解説,紹介用の小冊子などに,展示する著作物を掲載することができる。

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

(第47条の2)

美術又は写真の著作物は,それらの譲渡等の申出のために行う商品紹介用画像の掲載(複製及び自動公衆送信)を,政令(施行令第7条の2)で定める著作権者の利益を不当に害しないための措置(画像を一定以下の大きさ・画素にすることなど)を講じている場合に限って行うことができる。

プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等

(第47条の3)

プログラムの所有者は,自ら電子計算機で利用するために必要と認められる限度でプログラムを複製,翻案することができる。
ただし,プログラムの所有権を失った場合には作成した複製物は保存できない。

保守,修理等のための一時的複製

(第47条の4)

記録媒体が内蔵されている複製機器を保守又は修理する場合,その製造上の欠陥などにより複製機器を交換する場合には内蔵メモリに複製されている著作物を一時的に別の媒体に複製し,修理後等に機器の内蔵メモリに改めて複製し直すことができる。
修理等のあとには一時的に別の媒体に複製した著作物は廃棄すること。

送信の障害の防止等のための複製

(第47条の5)

インターネットサービスプロバイダ等のサーバー管理を業とする者は,[1]アクセス集中による送信の遅滞等の防止(ミラーリング),[2]サーバーへの障害発生時における復旧(バックアップ),[3]著作物の送信の中継の効率化(キャッシング)のために必要と認められる限度で,著作物を複製することができる。

送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等

(第47条の6)

インターネット情報の検索サービスを業として行う者(一定の方法で情報検索サービス事業者による収集を禁止する措置がとられた情報の収集を行わないことなど、政令(施行令第7条の5)で定める基準を満たす者に限る。)は、違法に送信可能化されていた著作物であることを知ったときはそれを用いないこと等の条件の下で、サービスを提供するために必要と認められる限度で、著作物の複製・翻案・自動公衆送信を行うことができる。

情報解析のための複製等

(第47条の7)

コンピュータ等を用いて情報解析(※)を行うことを目的とする場合には,必要と認められる限度において記録媒体に著作物を複製・翻案することができる。
ただし,情報解析用に広く提供されているデータベースの著作物については,この制限規定は適用されない。
※情報解析とは,大量の情報から言語,音,映像等を抽出し,比較,分類等の統計的な解析を行うことをいう。

電子計算機における著作物の利用に伴う複製

(第47条の8)

コンピュータ等において著作物を適法に利用する場合には,当該コンピュータ等による情報処理の過程で行われる著作物の複製を行うことができる。

(注1)自動複製機器
 ビデオデッキ等,複製の機能を有し,その機能に関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器を指しますが,当分の間,文献複写機等,もっぱら文書又は図画の複製のための機器を除くこととなっています(附則第5条の2)。
(注2)技術的保護手段
 電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法により,著作権等を侵害する行為の防止又は抑止をする手段のことで,現在広く用いられている技術的保護手段としては,
[1] 音楽CDなどに用いられている,デジタル方式の複製を一世代のみ可能とする技術
(SCMS [Serial Copy Management System] )
[2] 映画のDVDなどに用いられる,デジタル方式の複製を「複製禁止」「一世代のみ可能」「複製自由」の三とおりに抑制する技術
(CGMS [Copy Generation Management System] )
[3] 映画のビデオテープ等に用いられる,複製をしても鑑賞に堪えられないような乱れた画像とするようにする技術 (擬似シンクパルス方式(いわゆるマクロビジョン方式))
などがあります。
(注3)映画の盗撮の防止に関する法律について
 映画の盗撮の防止に関する法律は,映画館で盗撮された映画の複製物が多数流通し,映画産業に多大な被害が発生していることから,その防止目的として議員立法により成立し,平成19年8月30日から施行されました。
 この法律により,映画館等で映画の録音・録画を行うことは,私的使用のためであっても,第30条に定められた例外の適用対象外となりました。
 したがって,権利者に無断で映画の盗撮をした場合は著作権侵害となり,差止請求,損害賠償請求等の民事的措置や,刑事罰の対象となります。
 なお,この特例は,日本国内における最初の有料上映後8月を経過した映画については適用されません。
(注4)図書館等が複製サービスをする際の注意事項
(1)複製行為の主体が図書館等であること。
(2)複製行為が営利を目的とした事業でないこと。
(3)図書館等が所蔵している資料を用いて複製すること。
(4)コピーサービスの場合には,利用者の求めに応じ,利用者の調査研究の目的のために,公表された著作物の一部分
(発行後相当期間を経過し,通常の販売経路による入手が困難となった定期刊行物に掲載された一つの著作物についてはその全部も可)を一人につき1部提供するための複製であること。
(5)所蔵資料の保存のための複製の場合には,汚損の激しい資料等の複製に限ること
(6)他の図書館への提供のための複製の場合には,絶版等一般に入手することが困難である資料の複製を求められたものであること
(注5)引用における注意事項
 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)
(注6)公開の美術の著作物等の利用の例外
(1)彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2)建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3)屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4)もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

著作物の正しい利用方法

1. 著作物の正しい利用方法

著作物を利用する場合の手順
著作権に様々な種類があることについては,既に説明しましたが,著作物を利用する場合は,著作権者の許諾等が必要です。許諾等が必要かどうかについては,次の手順にしたがって調べてください。

著作権法

前述の手順においても見てきたように,他人の著作物は,著作権が制限を受けている場合のほか,原則として,著作権者に無断で利用することはできません。何らかの形で,法的に利用の権限を取得することが必要です。他人の著作物を利用する方法としては,次の四つの方法があります。
(1) 著作権者から著作物の利用について許諾を受ける。
(2) 出版権の設定を受ける。
(3) 著作権の譲渡を受ける。
(4)文化庁長官の裁定を受ける。

 

(1) 利用の許諾(第63条)
著作物の許諾を得る場合,口頭であっても差し支えありません。しかし,後から問題が生じないように,できるだけ利用の態様を詳しく説明したうえ,文書で,その利用の仕方,許諾の範囲,使用料の額と支払い方法などを確認しておくのが望ましいと考えられます。
(2) 出版権の設定(第79条?第88条)
著作物を出版するにあたり,他の出版者から別途出版されては困るという事情がある場合,著作権者から独占的な出版の許諾を得ることが必要です。ですが,このような許諾を得たとしても,通常,著作権者が約束に違反して他の出版者に別途出版の許諾を与えてしまった場合には,その別途出版の許諾を得た出版者に対してはストップをかけたり,損害賠償を求めたりすることはできません。最初に独占的な出版の許諾を得た者は,著作権者に契約違反の責任を主張できるだけです。
このような事態を防止する方法として,出版権の設定の制度.が著作権法上定められています。著作権者から出版権の設定を受けた者は,著作権者から別途出版の許諾を得て出版する者に対し,自らの出版権を侵害するものであるとしてその出版をやめさせることができます。出版権を設定されることによって,著作権者が二重に出版の許諾を与えるのを防止することができ,出版の許諾を得たにすぎない者より,安定した地位に立つことができると考えられます。ただし,文化庁に出版権の設定の登録を行わなければ,第三者に対抗することができないこととなっています。
なお,出版権の設定を受けた場合は,出版者も,著作物を継続的に発行する義務など一定の義務を課されることになります。
(3) 著作権の譲渡(第61条
単なる利用の許諾と異なり,著作権を譲り受け自らが著作権者となりますから,譲り受けた権利の範囲内で自由に著作物を利用することはもちろん,他人に著作物を利用させることもできます。
なお,著作権の全ての譲渡のほか,支分権ごとの譲渡(例えば,複製権のみの譲渡)や期間,地域を限定した譲渡などの方法も考えられます。
(4) 文化庁長官の裁定(第67条?第69条)
(a) 著作権者不明等の場合(第67条)
他人の著作物を利用する場合,相当な努力を払っても著作権者がわからない場合や,著作権者はわかるがその居所が不明で交渉ができない場合,文化庁長官の裁定を受け,所定の補償金を供託して著作物を利用することができます。
(b) 放送及び商業用レコード製作の場合(第68条,第69条)
著作物の放送について著作権者と協議が整わない場合や,発売の日から3年を経過した商業用レコードを他の商業用レコードに収録しようとし,協議をしたが協議が成立しない場合等,法律が認める場合に,文化庁長官の裁定を受け,通常の使用料に相当する額を著作権者に支払うことによって,他人の著作物を利用することができます。

著作権の紛争処理について

紛争解決あっせん制度

著作権等に関する紛争が生じた際,第3者が関与して解決する制度としては,訴訟,民事調停法に基づく調停制度などがあります。これらのほかに,著作権等に関する紛争の特殊性から,実情に即した簡易,迅速な解決を図るために,著作権法においては,「紛争解決あっせん制度」が設けられています。
あっせんは,あっせん委員により,申請のあった内容について,当事者を交えて,実情に即した解決を目指して行われます。争点があまりにもかけ離れているなど解決の見込みがないときは,あっせんが打ち切られることがあります。
また,あっせん委員により得られたあっせん案を,受け入れるかどうかは当事者の自由意志によります。
なお,詳細につきましては,「あっせん申請の手引き」をご覧下さい。

著作権登録制度

(1)著作権登録制度とは

著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し,その取得のためになんら手続を必要としません。ここが,登録することによって権利の発生する特許権や実用新案権などの工業所有権と異なる点です。著作権法上の登録制度は,権利取得のためのものではありません。また,登録は著作権の移転の要件ではなく,登録をしなくても移転の効力は有効に生じます。
では,なぜ登録制度があるのでしょうか。
それは,著作権関係の法律事実を公示するとか,あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのためです。そして,登録の結果,法律上一定の効果が生じることになります。
なお,プログラムの著作物を除くその他の著作物については,創作しただけでは登録できません。著作物を公表したり,著作権を譲渡したなどという事実があった場合にのみ,登録が可能となります。

 

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