坪庭施工例９(純和風・数寄屋造りの四種の坪庭)山形市-三澤造園

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　　　坪庭（小スペースの庭）

　　＜純和風・数寄屋造りの四種の坪庭＞

今回のお客様は、以前に造園工事をさせて頂いたお客様からのご紹介で知り合い、この度ご自宅を新築されたという事で、新庭を造らせていただける事になりました。
施主様は比較的若い世代の方たちなのですが、お宅は数寄屋門のある純和風の平屋造りとなっており、お庭となる部分にもいたるところに施主様のこだわりが見える外構デザインとなっていました。
そこで今回のお庭のポイントとしては、＜玄関前・通路前・主庭・中庭＞と四つに分かれている坪庭を、それぞれのお庭のコンセプトを考えながら、施主様好みの純和風の坪庭に仕上げるという高いデザイン性を求められた難しい造園施工となりました。

まずは数寄屋門の脇にある玄関前スペースの坪庭の写真です。ここは上の写真を見てもわかる通り、門をくぐる前とくぐってから玄関に向かう前の両方から見える造りとなっており、来客の方をお迎えする前庭としてはもちろんの事、道路からの外観の美しさを演出する重要な意味を持つ坪庭スペースとなっています。
ここではちょうどスペース内に水道があったので、施主様のご実家からお譲りして頂いた川原石のつくばいを中心として、小さめの川原石と下草類を組み合わせてまとめました。
高さの取れないスペースだったため、樹木類は植えられず、比較的シンプルなデザインとなりましたが、つくばいを中心として静かにお客様をお迎えする、茶庭のような風情ある玄関前の坪庭に仕上げることが出来たと思います。

二つ目の坪庭は門をくぐってからの通路脇にある、長方形型の細長い坪庭スペースです。
ここでは施主様お気に入りの「道しるべ灯篭」を坪庭に組み込んでほしいというご要望があったので、この灯篭を中心とした石組み・木の配植を心がけました。
ここも小さいスペースで特に奥行きがほとんど取れない場所だったため、灯篭の台座石に合わせて小さめの鳥海石とヒメシャラ、サツキを組み合わせコンパクトにまとめました。ここでは奥行きがない分、樹木で高低差をつけることによりスペースに広がりを持たせ、玄関前の坪庭と同様に門からと玄関から両方楽しめる坪庭に仕上げました。

今度は四つの坪庭の中でもメインにあたるリビング前の主庭の写真です。他の三つに比べると比較的広いスペースではありますが、それでも坪庭という範囲の広さです。
ここではある程度の大きさの鳥海石を二石・三石の組み石として配石し、バックの竹垣に合わせるようにイロハモミジ・ソヨゴ・アオダモといった和・洋どちらでも使える樹木を中心に配植しました。事前の施主様との打ち合わせで、お庭が石材や樹木であまり窮屈にならないようにとの事でしたので、ここではお庭にゆったりした空間を持たせつつ、空いたスペースが寂しくならないよう低木やコケ、豆砂利などを使ってカバーしました。
今回の主庭の施工では施主様が比較的若い世代の方々なので、特に樹木の選定は考慮し、できるだけメンテナンスのかからない、ある程度放任で育てられる樹木を配植しました。
これから和風庭園を考えている若い世代の方々も、こういった樹木を使うことによって和風庭園のデメリットとなっている、メンテナンスという問題を解消できるという一つの形をこの坪庭で示すことが出来たと思います。

最後は中庭部分の玄関内からの写真です。ここは玄関を開けてから最初に目につく場所であり、玄関内に光と開放感を演出する上でも重要なコンセプトを持つ坪庭となります。
ここでも施主様からのご要望で、ご実家からお譲りいただいた「石臼セット」を使用してほしいとの事でしたので、これを中心としての中庭造りを心掛けました。ここも狭いスペースで、あまり大きな材料は持ち込めないため、小さめの鳥海石や下草・豆砂利などを使ってシンプルにまとめました。最後に中庭で半日蔭になるということもあり、石臼の後ろにサラサドウタンを配植し、竹垣に合わせて緑の映える中坪庭に仕上げました。
今回の四つの坪庭施工では、一つ一つのスペースはそれほど大きくないものの、それぞれが独立した空間になっており、外構に合わせて高いデザイン性を求められた施工でしたが、四つとも施主様からご満足いただける坪庭に仕上げる事ができ、とても充実した内容の庭園施工となりました。