『人が人を愛することのどうしようもなさ』をめぐる往復書簡編集採録 | |
「映画通信」:(ケイケイさん) ヤマ(管理人) |
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◎2011年02月10日
ヤマ(管理人) ケイケイさん、こんにちは。『人が人を愛することのどうしようもなさ』、遂に観る機会を得ましたよ〜。ホント、思い掛けなかったんだけど、ラッキーでした。 (ケイケイさん) ヤマさん、こんにちは。おめでとうございます〜。もう観ていただく機会はないと思っていたので、私もすごく嬉しいです。 ヤマ(管理人) それなりに念がけていると、存外かなうものですね。まさしく「ねっ!ヤマさん向きの作品だったでしょう?(笑)。 」とおっしゃるとおりの作品だったよん(笑)。かなり痺れた、女は凄い!女優は凄い!って(笑)。 (ケイケイさん) うん、この喜多嶋舞には脱帽しました。 ヤマ(管理人) なんか鬼気迫るものがあったよね。 (ケイケイさん) でも昨日『冷たい熱帯魚』で、それ以上の黒沢あすかを観たので、ちょっと視点が変わりました。 ヤマ(管理人) ほぅ。喜多嶋舞を上回る黒沢あすかとは、これまた気になるな〜。瀬々敬久監督のR-18作品『サンクチュアリ』を観逃しているけど、塚本晋也監督の『六月の蛇』では、作品的にはイマイチながら、彼女は、とっても良かった覚えが…(あは)。 mixi日記にくれたコメントでは、「多分まだお話出来ますよ(*^。^*)。」とのことなので、久々のメール談義をしたいと思います。あのmixi日記では、この映画の話よりも展覧会のことを記してあるし。 (ケイケイさん) この作品の喜多嶋舞は、自分の生き様や己の人生全てをさらけ出した感じがしたでしょう? ヤマ(管理人) 何かあったんだろうかってな迫力があったね。芸能界情報には疎いんで、そのへん余り知らなかったけど、映画日記拝読して、なるほどそういうことかと得心した(礼)。 (ケイケイさん) お役に立てて嬉しいです(笑)。たまにはゴシップも参考になりますよね。 ヤマ(管理人) そうやね。そういうこと知ってて観ると、なんかよけいに哀しく映るやろね。 (ケイケイさん) 哀しくというより、気合を感じましたし、同性として頑張れ!って気にはなりました。 ヤマ(管理人) そーか、捨て身の演技をしてるからって、マジで身を捨ててるんやないやろし、そこで主人公の哀しさを喜多嶋舞その人にも重ねちゃ気の毒ってことね。うん。そっちのほうが適切やなぁ(感心)。 けどね、ケイケイさんの映画日記に「この役は、家に帰れば子供のいる環境では、絶対無理な作品です。子供を手放しその痛みに耐えて、このような大熱演を見せる彼女は、まさに女優の本懐を遂げた」と書いてあるのを読み、何か吹っ切らなければならない事情があったのだろうって思ったね、僕(たは)。 でもって、それはまさしく“家に帰れば子供のいる環境では、絶対無理な”役どころに体当たりすることで身の証を立てることを要するような事情だったわけだね。 (ケイケイさん) 彼女、確かCMから注目された記憶があるんです。本当に可愛かったし、内藤洋子の娘だということでも、騒がれた記憶が…。でも女優としては代表作はないでしょう? だから子供を手放したからには、絶対女優として代表作を作らなくちゃと自分を追い込んだかもですね。 ヤマ(管理人) 名実共に“捨て身”やったんやなー。 (ケイケイさん) “自分の生き様や己の人生全てをさらけ出した感じ”というのは、それはそれで立派なことだと今も思っています。 ヤマ(管理人) 必要なことから逃げ出さずに果敢に挑むのは、何であれ立派だよね。 (ケイケイさん) 一方、黒沢あすかのほうは、完全に自分の私生活を封じて、名美くらいすごい役を演じていたんですね。これがプロの演じるということなんだと、感動すら覚えました。 ヤマ(管理人) なるほど。評判になった『六月の蛇』でも、私生活を偲ばせたりはしてなかったな。そう言えば、かの谷ナオミも、出演した映画作品で私生活を感じさせるような女優さんではなかったなー。 (ケイケイさん) だから冷静に演じられたのかも。何せSMですから(笑)。 『冷たい熱帯魚』の黒沢あすかを観て思ったのですが、さらけ出した後、というのが、女優は大事なんじゃないかと。 ヤマ(管理人) ふむ。 (ケイケイさん) 三年経った今、喜多嶋舞は後続の作品がなく、自分の女優人生の記念碑的な立ち位置の作品になってしまって、ちょっと残念ですね。 ヤマ(管理人) そうだね。案外、作り手のほうが怖気づいているのかも(笑)。 でも、もしかしたら、壊れた女優を渾身で演じて、その影響ってことがあるのかもしれんよ。さっきmixi日記に読書感想をアップした雨宮処凛の『暴力恋愛』に、新興宗教の教団での修行に嵌っている女性同士の会話として「例えば(さぁ)、セックスしてる時とかもそうだけど、あんまり気持ちよくなくてもなんか気持ちいいふりして声出してればだんだん自分も盛り上がってきてよくなることってない?…懺悔もね、そういうのと似てる気がする。自分で自分を盛り上げるそのやり方っていうのかな」という一節が二度にわたって忠実に繰り返されている箇所があったんだけれども、確かに、演じていることが“虚”で演じていないことが“実”であるなどというような単純さが人間に当て嵌まろうはずがないから、渾身で壊れた女優を演じたことで、女優として壊れてしまうことも起こらないわけではないよね。 (ケイケイさん) というか、あの後すぐに結婚して子供も生まれたそうです。それが原因だと思いますね。女優より家庭に収まるほうが、彼女は居心地がいいのかな? ヤマ(管理人) お母さんの言ってたことがしみじみ沁みてきてるんだろうね、今。そういうことなら、出演作がなくてもいいや。僕の眼福の機会は失われるけど(笑)。 (ケイケイさん) 放電しまくったので、長い充電に入ったんでしょうね。 確かに彼女のスタイル、ヤマさん好みでしたね(わはははは)。 ヤマ(管理人) スリムっちゅうのとは違いますわな、あれ(笑)。妊娠線も見て取れたしなー。役的には、そこんとこは消しといたほうがええんやろうけど、なんか生々しさは尋常じゃなかったね。 (ケイケイさん) 微妙に崩れた女体も、ヤマさん好みでしたやん(笑)。 ヤマ(管理人) よく御存知で(笑)。 いやまぁ、文句のつけようのないプロポーションやて好きやけど(勿論)。 (ケイケイさん) 私も妊娠線には胸がつまってね。これは彼女、本気なんだなと。 ヤマ(管理人) なんか、ドーンと来たよね、あれって。 (ケイケイさん) ところが『冷たい熱帯魚』の黒沢あすか、バストトップを観た瞬間、あっ、子供産んでたんやと(笑)。 ヤマ(管理人) あら、そーなんや。結婚してたんか。そういうの疎くてねー。けど、そんなん知らんでも、授乳をした乳首かそやないかは一目瞭然よね〜。 (ケイケイさん) でも悲痛な感じはまるでなくてね。こちらもマジなんですけど、なんか余裕がある感じがしました。 ヤマ(管理人) ふーむ。舞とあすかのどこに違いがあるかは、女体観察者としては看過できない重大問題やな。いつか観れるやろ、きっと(笑)。 (ケイケイさん) 大阪にお越しになりますか?(笑)。 ヤマ(管理人) またまた、悪い誘い掛けよってからにぃ(笑)。 それはそうと、デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』って映画もあったなー、そう言えば。 (ケイケイさん) ヤマさんが書いてるように、もし「渾身で壊れた女優を演じたことで、女優として壊れてしまうことも起こらないわけではない」ということなら、彼女の結婚は魂の救済だったかもですね。 ヤマ(管理人) なんか、そんな気がしてきた。そこまでを丸ごと映画に出来てたら、また一味違ってくるけど、それは石井隆の芸風ではないよね(笑)。 (ケイケイさん) そうですね。石井隆には幸せなラストは似合わない(笑)。でも『ヌードの夜』の新作は、ハッピーではないけど、希望はありましたよ。心境の変化があったのかも? ヤマ(管理人) けど、ケイケイさん、確か『花と蛇2』でも希望、感じてたやん(笑)。 (ケイケイさん) お笑いアクションポルノとしての希望ね(笑)。 -------拙日誌を読んでもらって------- ヤマ(管理人) さてそれでは、先ず約十日先のサイト更新に先駆けて、拙日誌を読んでみてくださいな。 (ケイケイさん) >本作の喜多嶋舞が演じた女優の哀しみには痛切なものがあって見事だった。 演技的には、杉本彩なんか比じゃないほど上手かったですよね(笑)。 ヤマ(管理人) そりゃもう! ひたすら荒淫に耽る場面からは痛々しさがびんびん伝わってきたよねー。 (ケイケイさん) 演技力というのもあるけど、先に「杉本彩」ありきの『花と蛇』と違い、いやしくもこちらは監督自身の念のこもった「土屋名美」ですから、その辺に監督の思い入れの違いもあったでしょうね。 ヤマ(管理人) いや『花と蛇』も、1作目は監督の思い入れが、すごく伝わってきたんだけどね。でも、情感的な部分での表現力の差は、やっぱ女優としての力量さだと思うよ。ケイケイさんが「アイドル時代の自分を観て、名美が当時の振付をして狂ったように歌い踊るシーンがあるのですが、居た堪れない心地になります。」と書いているようなものまでは、やはり杉本彩は表現し得てなかったように思うし、裸演技の場面ではなくて葛城のインタビューを受けている場面で次第に滲み出てくる“危うさ”とか、実にスリリングだったし、ね。 (ケイケイさん) あの辺、上手かったですね。あのインタビューの場面で、本当の名美の内面が垣間見れた気がしました。私の感想は、扇情的な場面より、むしろ自分の内面を見え隠れさせた、インタビュー場面から触発された部分も多いです。 ヤマ(管理人) このへんは、映画観賞の年季も奏功してるなー(笑)。観慣れてないと、普通やっぱ刺激の強い場面にばかり目を奪われるとしたものだからね。 (ケイケイさん) 確かに。私が観た日はエロ目当てのおっちゃんばっかりでしたよ(笑)。 ヤマ(管理人) 僕が銀座で観たとき、前から3列目に座った僕のちょうど斜め後ろの席は30代半ばっぽい女性だったんだけど、彼女にはきっと僕は「エロ目当てのおっちゃん」に見えてたんやろなぁ。ま、事実そうでもあるわけやから、否定もせんけど(笑)。 (ケイケイさん) それと、『花と蛇』の彩さんの場合、露出狂でしたもんね(笑)。 ヤマ(管理人) そういう意味では、黒沢あすかや谷ナオミと違って、彼女もまた素の部分を窺わせてたってことになるのかな(笑)。 (ケイケイさん) 彼女、エロスの伝道師だそうですよ(笑)。その割には男っぽいですよね。 ヤマ(管理人) 伝道婦じゃなくて伝道師なんやから、ええんとちゃう?(笑) けど、考えてみたら、あの男っぽい杉本さんがけっこう女性的に描かれてたから、演技力もバカに出来んのかも。いや、やっぱ演技力じゃなくて、演出力やな(あは)。 (ケイケイさん) やっぱ杉本彩も、石井隆を信じて良かったんですね(笑)。 ヤマ(管理人) それにしても、同じように石井作品で「ここまでやるか」のとことん曝け出しに挑んでて、杉本彩に露出狂色を窺わせ、喜多嶋舞の場合はそうも感じられなかった差異は、いったいどこから来ているんだろうね? 演技力の差だと思う? それとも、それこそ二人共に窺わせていた“素の部分”の違いだと思う? (ケイケイさん) 各々抱えている背景も大事かも。 ヤマ(管理人) その背景って、具体的には? (ケイケイさん) 杉本彩も離婚直後で夫は失ったけど、タレントとしては当時もそこそこ売れっ子だったでしょう? ヤマ(管理人) 結婚してたんやっけね、彼女。なんかすっかり消えてたのが、ウリナリの社交ダンス倶楽部で再浮上してきたんやったように思うけど、そんなに売れてたっけ? (ケイケイさん) タレントとしてはね。でも、彼女を女優として観る人は少ないし、いわば芸能人として付加価値をつけるための映画出演だった気がするんですよ。 ヤマ(管理人) うん。そんな感じは確かにあったね。 (ケイケイさん) でも喜多嶋舞は、離婚して子供手放してと、全て失った直後。おまけに女優としても崖っぷち。失うもののない強さと痛々しさが混濁していた気がします。 ヤマ(管理人) そうそう。その強さと痛々しさが鮮烈やったんやけど、そーか、付加価値を付けようとの欲目と失うもののないとこまで追われた開き直りとの違いやってんね、背景の違いって。なるほどなー。 僕が他にも思ってたのは、もっと単純に即物的な差異としての経産婦・非経産婦の肉体の違いによるものかなぁ(笑)。 (ケイケイさん) 肉体というか、子供のあるなしは関係するかもです。 ヤマ(管理人) うん、そうなんだけど、ケイケイさんも映画日記に書いてたように、そのことを何よりも肉体そのものがまざまざと語っていたという意味で肉体ってことなんだけどね。 >本当は、変身が求められているのではなく、新たな役割が加わっているだけで、変じて前身を失えばむしろ不都合極まりないと思うのに、なぜか多くの女性がそこに“付加”よりも“変化”をイメージしている気がしてならない。 (ケイケイさん) 立ち位置の変化が激しいからじゃないですか? 今は結婚しても仕事を続ける女性が増えてますが、昔は寿退社が当たり前で、一旦社会から離脱してしまうでしょう? 経済的にも依存する。母になると、人としては生き甲斐や成長があるでしょうが、こと社会人としてはもっと狭まった気がするもんです。 ヤマ(管理人) なるほど。 単に役割の問題に留まらず、環境やポジションが実際に変化してしまうからってことね。それはあるかもしれないね。でも、そういう変化のほうに女性が率先して取り組みたがるような気がするンだな。例えば、名前で呼び合っていた恋愛時代を経て結婚すると、夫を名前で呼ばなくなるのは妻のほうで、夫は妻を名前で呼び続けがちだと思うし、子供ができると夫を「お父さん」と呼び始めるのは、妻の側なんじゃないかね? (ケイケイさん) 結婚生活って、賃金とか目に見える見返りがないでしょう? そうやって巣作りして、自分の居場所を早く作らなくちゃ、安心出来ないからでは? ヤマ(管理人) 呼称を変えることで居場所を確保するってことか。ふーむ。 (ケイケイさん) 男性の場合は、ずっと仕事を続けていくし、それこそ夫や父という付加が加わるだけですが。 ヤマ(管理人) それでも相方からの呼称は、変えられるような気がするよ。 (ケイケイさん) 「お父さん」ではなくて、名前で呼ぶということですか? 私は夫婦というより家庭に憧れていたので、子供ができてからは自然と「お父さん」でしたね。そういえばうちも最初は子供ができても名前で呼んでましたね。あれは父親の自覚が薄かったからだと思ってますが(笑)。 ヤマ(管理人) じゃあ、一時期、ケイケイさんが旦那さんを「お父さん」と呼び、旦那さんがケイケイさんを「ケイケイ」と呼ぶ時期を経てから、次第に双方ともに「お父さん」「お母さん」と呼び合うようになっていったんだね(笑)。 (ケイケイさん) でも割と早い時期に「お母さん」に変わった記憶が。 ヤマ(管理人) 素直なンや、旦那はん。だったらそれ、父親の自覚が薄かったからというのじゃなく、嫁はんのペースに次第に順応していっただけのことだと思うけど(笑)。 (ケイケイさん) あぁ 納得(笑)。 ヤマ(管理人) そやろ?(笑) (ケイケイさん) 女優にしても、年がいくともう恋愛対象の役はふってもらえないとか、女性が変化を求めているというより、事実世の中が付加ではなく変化を求めている気がしますね。そんな中で付加を求めるほど、自分に自信のある人は少ないと思います。 ヤマ(管理人) 自ら取り組み始めるにしても、それはそう望まれているからこそで、自分自身がそうしたいからというわけではないってことね。 (ケイケイさん) そうです、そうです。 ヤマ(管理人) それは、あるかも。そこで問題になってくるのが、やっぱ“自分自身”なんだよなー。 (ケイケイさん) 女性には「女」で生きるか「人」として生きるかっていう深いテーマもあるしね(笑)。 ヤマ(管理人) これがかねてより不思議なとこでね、今なおそんなふうに殊更問題として位置づけられている気がするけど、男は「男」で生きるか「人」として生きるかなんてこと考える奴ほとんどいないと思うのに、なぜ「女」ってのはかくも“特別”なんだろうね(笑)。 (ケイケイさん) やっぱり未だMANは人間ですけど、WOMANは人間ではなく女性なんですよねー。 ヤマ(管理人) でも、最近はきちんと「human」ってのを使う場面のほうが多くなっててmanで済ますことのほうが少なくなっているような気がするけどなぁ。父兄会とかも言わんようになったしなー。女性のほうが自分の性を特別視しているような感じが僕にはあるよ。 (ケイケイさん) それはあるかもですね。明確に閉経というもんがあるし。端的にいうと、男性は60歳でも恋愛もセックスも現役な人いるでしょう? 女性では稀ですよ。 ヤマ(管理人) そうなんかなー、灰になるまでってのはむしろ女性に対して言われてないかい? 男のほうはEDで御仕舞みたいにされちゃうけど(苦笑)。 (ケイケイさん) そんなん、実際は無理だと思いますよ。老齢になると快感より痛さが大きいって聞きますけど。 ヤマ(管理人) SEXって脳でするもんやから、挿入が全てとちゃいまんがな。そこんとこがよう分かってないからEDでじたばたするンやけどね。そらまぁ、勃つうちは入れたいに決まってるけど(笑)。 (ケイケイさん) あぁ、なるほどね。『欲望』のヒロインの、「裸で抱き合って、眠りましょう」なら理解出来ますよ。 ヤマ(管理人) でひょ(笑)。でもって相手が痛がったら、そうまではしたくないって気になるもんだと思う。若いときと違って、そこんとこでセーブできるくらいにしか、どうこうゆうてもポテンシャル落ちてるとしたもんじゃなかろうか。そういう意味では、衰えっていうのも悪いことばかりじゃないよね(笑)。 (ケイケイさん) その時、痛がらない相手、端的にいうと若い女性に、肉体の関係は乗り換えようとする男性もいるでしょう? ヤマ(管理人) そりゃまぁ、そうでしょうが、先にも年齢や性別だけで単純化できないと書いたように、実に一概には言えないから、若い女性がみんな痛がらないわけではないように、すぐに乗り換えを考える男もいれば、痛むことの乗り越えを二人して取り組もうとする男も少なからずいる気がするよ。 (ケイケイさん) 性的魅力の活発な年齢=人生の盛りみたいな、なんか思い込みがあるような気がしますね。もっと具体的に言えば、出産可能な年齢までが、社会が女性だと認めるような気がしてますね。 ヤマ(管理人) 妊娠懸念がなくなってからのほうが欲求が強くなったという女性もいるみたいだけど、ホント性欲って不可解だよね。 (ケイケイさん) 前も書いたと思いますけど、閉経後、生でやってやってやりまくりたい女性の記事、私も読みましたよ。 ヤマ(管理人) そういう記事を直接読んだ記憶がしっかとあるわけじゃないけど、さようなこともあらんという気はするよね。なにせ、ホルモン支配と脳支配、意識と無意識、環境、相手、もう様々な要素で変動しちゃうんだから、そもそも年齢や性別だけで論じることが無理っぽいよね(笑)。 (ケイケイさん) うんうん、個人差がありすぎる問題です。 >いっそ異性として彼女の前に立ち現われる逸脱を彼のほうが果たし得ていれば、彼女の逸脱は食い止められたのかもしれないとも思った。だが、そうはできないところがまさしく岡野なのであり、名美の逸脱がそうであったように、全編が色濃い“どうしようもなさ”に彩られていて、実に哀しい物語だった。 (ケイケイさん) 本当に忠実な下僕のようでしたね。ちょっと『サンセット大通り』を彷彿させました。 ヤマ(管理人) なるほど、確かに。 でも『サンセット大通り』の場合、元夫であり元監督ってとこが凄いんだけどね。 (ケイケイさん) うんうん。 岡野には、下僕でなくなったら自分ではなくなる、という思いがあったと思います。 ヤマ(管理人) 『サンセット大通り』のマックスには、そういう思いはなくて、忠実な下僕に身を落としてまでも、との“執着”として描かれてたように思うな。 (ケイケイさん) 確かに岡野の場合は執着はなかったですね。無償の愛かな? ヤマ(管理人) 無償だったんだろうか、本当に。もちろん金銭とか名美の肉体とか、そんな代償を求めたりはしてないけど。 (ケイケイさん) では名美には女優として成功して欲しかったとか? ヤマ(管理人) そう。それ、すごくあったと思う。それは同時に「自分が成功させた女優」でもあるわけだから。でも、マックスの場合は、ノーマへの執着が叶うのなら、下僕という形への執着はなかったんじゃないかなぁ。そういう意味では、岡野が執着していたのは、女性としての名美ではなく、芸能人としての名美だったのかもしれないね。 (ケイケイさん) うん、女優の名美が大好きだったと思います。だからマネージャーでいることが大切だったんですね。 ヤマ(管理人) 名美に託した自分の願望ないしは達成感って気はしない? ステージママみたいな(笑)。そういうのも“無償の愛”っていうのかな。 (ケイケイさん) ステージママっていうか、パパ?(笑)。 でもあれは父性じゃないでしょう? ファンじゃないですか? 彼女の最大のファン。 ヤマ(管理人) うん。そうとも言える、確かに。 -------ケイケイさんの映画日記から触発を受けて------- ヤマ(管理人) ケイケイさんの映画日記も読みましたよ。「卑猥なシーンが満載なのに、まぎれもない女性向け映画だ」との卓見には、相変わらずのものながら、大いに感心。 (ケイケイさん) ありがとうございます。 ヤマ(管理人) この作品を観て即座にそのように断じられる女性は少ない気がするけど、さすが映画を観続けン十年、年季が入ってらっしゃる(笑)。 (ケイケイさん) あはは、そうですかね?(笑)。こんなに卑猥なのに、観た後びゃーびゃー泣きましたよ。エロに惑わされず映画の核が見えるようになるには、確かに女の年季はいるかもですね(*^。^*)。 ヤマ(管理人) なるほど。小娘にはとうてい無理そうだから、確かに映画観賞の年季よりも女の年季のほうが問われることかもなー。 (ケイケイさん) でも映画観賞の年季もないと、この手の作品は行きづらいですよね、女性は(笑)。この作品、観た女性は少なくてね、私の周りじゃまめしばさんとモクさんくらいかな? ヤマ(管理人) お二人は、どんなふうに御覧になってたの? (ケイケイさん) まめしばさんは、あんまり私が感激したし、彼女向きの作品だから、私からメッセして「行け!」と強引に勧めました(笑)。ちょうど迷っていた時だったそうで、観て良かったとメールいただきました。モクさんは女性一人で観たんですって。内容が内容だから、居心地悪いですよね(笑)。モクさんも良かったと仰っていた記憶があります。 ヤマ(管理人) それはそうと、この作品で名美がインタビューに答えて話していた出演作は『レフト・アローン』と『愛の行方』と二作あって、若手女優の小谷純子(美景)が女優の夫とベッドを共にしていた夫婦ものは後者のほうだったように思いますが、 (ケイケイさん) この辺うる覚えですが、そうだったと思います。 ヤマ(管理人) 「グロテスクの奥の壮絶な哀しみに心が揺さぶられ」るのは全く同感でした。でも、僕は名美が壊れた理由を『人が人を愛することのどうしようもなさ』ゆえとは直球では感じなかったのですが、そっちのほうが素直な観方でしょうね。 (ケイケイさん) 上に書かれていた、変化に追いつけなかったからだという観方ですか? ヤマ(管理人) 先ほど触れた『暴力恋愛』のあとがきに書かれていた「恋愛対象の評価くらいによってしか自分を確かめることができないこの時代」というような言い方をすれば、キーワードは“恋愛”にもなってくるわけだけど、僕的には、むしろ後段の“自分を確かめることができない”という部分が彼女を壊していったように感じたなー。 (ケイケイさん) うんうん。 ヤマ(管理人) あとがきに併せて書かれてあった「自分自身の価値や評価のすべてを相手に委ね、それが思ったとおりに満たされないと死にたいくらいの不安に取り付かれてしまう」という部分も、本作の名美にすごく通じているように感じた。 (ケイケイさん) それが私は夫の愛情だと思いました。ヤマさんと違うのは、「土屋」という男でなければだめだという点ですかね? ヤマ(管理人) そうだね。土屋への執着という部分への重要視の仕方の違いだな、うん。 そうして、この“自分を確かめることができない”という部分の重さが、拙日誌に「己が出自を自身の生まれた産科医院の分娩台にまで遡らなければならないほどに、生まれてから後の全て一切の自身を形作っているものへの偽り感と不全感に苛まれていると思しき、名美の姿が痛ましくてならなかった。」と綴らせたように、僕は“愛することのどうしようもなさ”よりも“自身を形作っているものへの偽り感と不全感”が、彼女を壊していったと受け止めたし、その偽り感と不全感を突きつけてくるのがアイドルから女優、ただの女優から体当たり演技の女優への転身などによって常に変わることを求められる職業的事情と夫の心変わりだと感じたんだよね。 だから、ケイケイさんの観方とは、ビミョーに重なってるし、ずれてるって感じかな。 (ケイケイさん) うん微妙に違いますね。私は夫ありきだから。 ヤマ(管理人) そうそう。 (ケイケイさん) そういう観方をしたので、心打たれたわけで。もちろん、芸能界という抜きつ抜かれつの生き馬の目を抜くような世界も、彼女の神経を蝕んだと思います。 ヤマ(管理人) 僕の思いのなかには、たぶん前述した『マルホランドドライブ』とか今敏の『PERFECT BLUE』なんかが大きくよぎってるんだろうなぁ。 (ケイケイさん) 私は両方とも浮かびませんでした。 ヤマ(管理人) それはともかく「女優だったが故に、迷路に入った彼女」との観方には全面的に賛同。 (ケイケイさん) 心の底から女優だったんでしょうね。演じることで心の状態を保っていたと思います。 ヤマ(管理人) だよね。 目前の安定をそこに依存することで、生そのもののリスクはより高くなっていってたわけだけどね。なんか麻薬みたいなもんだよなー(笑)。 (ケイケイさん) あっ、麻薬!それは言えてる! ヤマ(管理人) 震えを止めるには必要だけど、そうすることでますますボロボロになっていくみたいな。その象徴とも言える“演じること”というのが、まさに売春婦を演じることだったんだろうね。 (ケイケイさん) 『善き人のためのソナタ』のクリスタは、売春しない代わりに、本当に薬に手を出したわけね。何とも大変な仕事ですね。 ヤマ(管理人) さっき岡野のことについて話したけど、マネージャーにとっての女優というのも、だから麻薬的なんだろうな。自己の代替であり且つ憧憬の対象ともなり得る存在なんて普通、在り得ないよね。それで言えば、ケイケイさんは『PERFECT BLUE』、観てる? (ケイケイさん) CSで観てます。だいぶ前ですね。 ヤマ(管理人) そっか。 (ケイケイさん) 評判高かったから期待してたんですけど、オチがわかってしまって、それほど感激はなかったですね。 ヤマ(管理人) 謎解きものとしては、僕、観てなかったから、そういう拍子抜けはなかったなぁ。でもって、拙日誌に綴ったような視点から観てたもんだから、本作に通じてくるンよね。 (ケイケイさん) 私も謎解きと思わずに観ていましたが、どうもこの手は『シャッター・アイランド』でもそうですが、オチがわかると興ざめしてしまって。損ですね。 ヤマ(管理人) うん。そりゃ損や(笑)。まぁ何もかも得ばっかりというわけにもいかんやろし。映画観賞の総収支では、ずいぶんと儲けてるように見えるから、エエやん。 それはともかくとして、ケイケイさんの観方の核心は「アイドル時代の若き日に、夫の愛が欲しくて路頭を彷徨い、抱かれる男を探す自分を、彼女は想像したことはないでしょう。頑張って芸能界で花開き大衆に愛されながらも、一番愛して欲しい人は、彼女を素通りしていく」との一文に凝縮されているように思います。僕は少し異なる観方をしていましたが、この一節には心打たれましたよ(礼)。 (ケイケイさん) ありがとうございます。ほんとにほんとに、彼女が可哀そうでね。 ヤマ(管理人) 僕の観方でも、彼女はとっても可哀そうでしたよ。 (ケイケイさん) そう言ってもらえると、名美も私も救われます(笑)。 ヤマ(管理人) いやぁ、あれ観て淫乱なんていうのは、僕が『オアシス』を観たときに来ていたオバサンたちくらいじゃないかしら(笑)。意外といてたりすると、コワイんだけど(たは)。 (ケイケイさん) いや〜手強い一般人、多いですよ(笑)。 夫に愛されたい、努力もしている。なのに夫が振り向いてくれない。だから彼女は可哀そうな妻でした。でも夫が抱いてくれなくて、マスターベーションしている名美を夫が見たとき、それをビデオに撮ろうとすると、彼女が逃げ出すでしょう? 屈辱ですよね。でも言われた通りしたなら、その後の夫婦の展開は違ったかも知れません。あの愛人なら、言う通りしたと思いますよ。そういうところで女を支配したい卑小な男ですけど、好きなら言うことを聞くべきだと思いました。 ヤマ(管理人) うぉ〜、女の年季じゃぁ〜(喝采)。確かに映画観賞の年季だけでは及ばない鋭い指摘だな(感心)。 (ケイケイさん) 本当に妻に興味がないなら、あんなことは要求しないと思うんですよ。 ヤマ(管理人) なるほど。 (ケイケイさん) 妻の側はセックスだけではない、心の繋がりを一番求めているでしょうけど、それがセックスがきっかけでもいいと思うな。無防備な姿を晒すことで、妻に引け目を感じている夫も男の沽券が保てますよね。 ヤマ(管理人) いやぁ、ますます感心(拍手)。ええ奥さんやなぁ。 (ケイケイさん) イニシアチブは夫が持っているんですから、がむしゃらに相手の要求を呑んでから考えてもいいと思います。夫婦の寝室に愛人を呼び込むなんて、それで復讐したつもりの卑小な夫なんて、ちょろいもんですよ(笑)。服従しているようで、すぐに夫を征服できたと思うけどなぁ。 ヤマ(管理人) あれって、復讐だったの? なんかそんな因縁あったっけ? ただのあてつけだったんとちゃうのん? ますますもって卑小なんやけど(笑)。 (ケイケイさん) どっちでしょう? まあ同じようなもんですね(笑)。 ヤマ(管理人) ところで、名美に対する「好きなら言うことを聞くべき」とのケイケイさんの指摘を逆手にとって言うのは何だか恐縮だけど、さればこそ、彼女が壊れていった真の原因は、夫の愛が得られなくなったからってなもんじゃないんじゃないですかね?(笑) (ケイケイさん) いや、だから夫の愛です(笑)。この辺の概念が崩れてしまうとね、私の感想の根本や感激した部分の支障を来すので、譲れませんね(笑)。 ヤマ(管理人) 了解しました(笑)。 (ケイケイさん) ありがとうございます。(笑)。好きだからプライドを持って接したかったのは理解出来ますけどね。 ヤマ(管理人) 女性の気高さは、性的恥態を晒すことで損なわれるような代物じゃないのは、YOYOCHUのドキュメントビデオを観れば、一目瞭然なんだけどなー(笑)。感動を与えることはあっても侮蔑を招くことなど一切ない気がするよ。このへんについては、どう思う? (ケイケイさん) 相手への信頼感によると思います。 ヤマ(管理人) うん。これ、大きいよね。名器神話(女性)だとか、テクニック神話(男性)だとか、にも通じる話だけどそういうのって多少は要素的にはあったとしても、むしろウェイトが小さくて 実際のところは、ケイケイさんが書いているような内発的なことのほうが大きいのに、どうもそこんとこが誤解されている気がしてならないね。 (ケイケイさん) 昔何かの雑誌で、風俗嬢へのインタビューがあって、どんなセックスが一番いいか?というのがあって、その人が「一番好きな人とのセックス」と答えてね。当たり前ですよね。でも私もテクニックがどうのこうのと言うと思ったんですよ。これはちょっと感動でした。彼女たちは性にはプロでしょう? それでも愛なんですよ、愛。 ヤマ(管理人) っていうか、百戦錬磨なればこその実感と重みってとこ、あるよねー。当たり前のことを本当に実感できるようになるには意外と年季が必要だったりするのは、お金の価値や食べ物の美味しさだって同じようなとこがあって、頭で知ることと体感することの差って、大きいよね。 (ケイケイさん) 年とるのは、決してネガティブなだけじゃない、心を豊かにするもんだとは、実感出来ますよね。 ヤマ(管理人) もちろんエエことばかりじゃないんだけど、エエこともあるんだと思えるのは大きいよねー。ま、女性のすべてが芯から“愛あるセックス”の真の値打ちを体感するようになるのもまた、なかなか困難やろうけど(笑)。 (ケイケイさん) 数も必要ですから(笑)。 それはそれとして、夫からの要求に対して、私は出来るけど、名美は出来なかったというのは、彼女自身、夫を心の底から愛していても、現在は信頼できなかったんじゃないかな? ヤマ(管理人) 愛は愛、信頼は信頼、クロスするところは勿論あるけど、別物ってことね。なるほどなー。年季やね(笑)。 (ケイケイさん) うんうん。愛は快感を呼び、信頼は変態を目覚めさせ(笑)。 ヤマ(管理人) なんやそれ!(大爆笑) もう年季、突き抜けてるなー(感心)。じっさい、それ大ウケ〜〜〜。で、ケイケイさんは、愛と信頼の変態に目覚めてまっか?(笑) (ケイケイさん) 受けていただいて、ありがとうございます(笑)。 名美たち夫婦の場合は、たぶん当初はそうじゃなかったけど、どこかで歯車が変わったんだと思います。 ヤマ(管理人) その「どこか」が問題だよねー。「どこ」にそれが生じやすいと思ってます? (ケイケイさん) 芸能界での立ち位置です。立ち場を妻に抜かれた頃ですかね? やっぱり男の沽券に傷ついたんではないか。同じ職業というのは、こういうとき辛いですね。 ヤマ(管理人) この“男の沽券”ってやつ、ほんま侮れんのよね〜。これ聞いて『パーマネント野ばら』のまだ幼かったミっちゃん自身の記憶としては朧だったはずの「父ちゃんが一番輝いていたとき」を彼女に語り伝えた亡き母親のことを思い出した。男を磨き輝かせるのは、やっぱ女やね。 (ケイケイさん) それだけ家族への強い愛情を、妻に実感させた夫ですから、やっぱり男性が重要なのでは?(笑)。 ヤマ(管理人) え〜? あのチェーンソー親父が?(笑)うーむ、なかなか贔屓目に見ても、それは難儀な気が(あは)。 (ケイケイさん) チェーンソーを振り回す非常識でも、それが家族を守るためのことなら夫への信頼は損なわれないけど、名美の場合は夫への信頼をいつしか失ってしまい、心が裸になれない自分に苛立っていたことが、街で客を取っていた原因だと思います。 ヤマ(管理人) ほぅ。そーか。ケイケイさんの文脈で観ると、アイデンティティの危機という自己課題以上に、夫との関係性の問題になるわけだから、逸脱行動への動機づけは、代償行為としての露悪的なまでのプライド放棄ってことになるんやね。うん。筋が通ってるなー(感心)。 (ケイケイさん) そう思って観ていました。名美にも実は、根底に変態的なセックスへの欲望はあったと思いますよ。でも愛する夫にそれを知られると、羞恥心が湧くでしょう? 自分が見下げられないかとか。 ヤマ(管理人) 土屋名美としては決して捨てられないプライドによって傷ついているから、匿名の売春婦として、とことんプライドを放棄する自涜に耽るわけやね。そうなってくると、またまた東電OL事件あたりへの接近が感じられるけど。 (ケイケイさん) うんうん、東電OLはすごく浮かびました。次の園子温の新作は、東電OLが題材ですって。 ヤマ(管理人) 『冷たい熱帯魚』の次? そいつは楽しみやなぁ。 (ケイケイさん) 名美たち夫婦のことに話を戻すと、妻の恥態のビデオ撮りとか、あの夫はそんなん好きそうでしたが、このへん彼女も、本当に夫を理解していたかは疑問です。 ヤマ(管理人) ケイケイさん的には、あないにして壊れていかんとに、ちゃっちぃプライド捨てて夫の洋介と変態的なセックスをして潜在的な欲望を開放させてたら、相変わらず芸能界一のおしどり夫婦続けられたろうになぁってとこかい?(笑) うーん、確かに、そーかもなー(あは)。 (ケイケイさん) お話ししていて気がつきましたが、プライドもですが、一番は信頼関係ですね。これが壊れたから、プライドが牙城になってしまったと。 ヤマ(管理人) おー、気づきが得られたとは嬉しいな(うふ)。そうだねぇ、プライドを捨てられるか否かってとこで信頼関係ってめちゃくちゃ大きいよね〜。 (ケイケイさん) 男性でも妻に要求出来ないあんなこと、こんなこと、お金の関係の女性には要求する人がいますやん? それで表面では良き夫として振る舞える。彼女も同じかと思いました。 ヤマ(管理人) なるほどねー。 根底には、夫との間では満たされない性的欲求不満があって、その不満足感の夫への伝播と自身の加齢によって夫からの愛情を失っているということが彼女のプライドに引っ掛かり、夫からの愛への執着を生んだあげく、彼女を壊していって、ついには年若い新進女優との浮気現場の目撃によって逃れようもなく突き付けられたことでいっきに壊れていったということなんかなぁ。 ところで、夫が自分のしたい刺激的なことを「お金の関係の女性には要求できて妻には要求出来ない理由」って、何にあるとケイケイさんは思ってる? (ケイケイさん) 妻に拒否されたり、変態呼ばわりされるからじゃないですかね? 私の周りでも、結構セックスがいやだという女性、多いですよ。まだ素人女性はエロではいけないという、刷り込みがあるんでしょうか? それ以上は深く話しませんけど。 私は、男性は許される範囲は、スケベで変態のほうが魅力があると思いますけどね(笑)。それこそ断られて蔑まれたら、夫心が傷つくんじゃないですか? ヤマ(管理人) これについては、前に『マリッジ・セックス』(亀山早苗 著)を読んだときmixi日記に書いたけど、僕は「要求できるできない」ではなくて、「要求したいしたくない」の問題だと思ってるんだよね。無論いい悪いでもなく。 (ケイケイさん) 要求する男性としない男性の違いは、何でしょうね? ヤマ(管理人) 『マイレージ・マイライフ』の拙日誌でちょっと触れた「非日常を日常として生きようとする」か、「日常を生き抜くために非日常を必要とする」か、のスタンスの違いじゃないかな。 (ケイケイさん) なるほどね。これはストレスの大小とは関係ないですね。 ヤマ(管理人) はい。 (ケイケイさん) 『おくりびと』のモックンみたいに、妻に慰めて欲しい夫もいるし、あくまでスタンス。 ヤマ(管理人) 慰めや癒しは、“非日常”に求めるものではありませんよね。やっぱ非日常に求めるのは、“刺激”や“触発”でしょう。 (ケイケイさん) ただ非日常型というのは、男性に多いとは思うんです。それは男女の性差だと私は思うんですけど、これからはアレックスのような非日常を求める女性も増えるはず。やっぱり女性の社会進出は男性化と連動しているんですかね? ヤマ(管理人) そう思うなー。本来的な性差ではなく、やはりジェンダーなんだろうな。今や女性のジェンダーは、かつてとは随分と趣を異にしてきている気がするよ。 (ケイケイさん) 女性が本来の女性性を保ちながら仕事を続けられる社会が、私は健全だと思います。 ヤマ(管理人) 健全さを保つのがどんどん難しくなってきているからなー。そうそう、それで言えば『ゴールデンスランバー』は観てる? HPの「あいうえお順インデックス&リンク集」にはなかったけど。 (ケイケイさん) 未見です。お茶屋さんちベストキャラ観て、見逃して惜しかったなと思ってます。 ヤマ(管理人) チネチッタの掲示板に、そう言えば、そんなこと書いてたね。 (ケイケイさん) 去年は観ても書かなかった作品多いですよ。『ぼくのエリ』『17歳の肖像』『大奥』『孤高のメス』『十三人の刺客』『ヌードの夜』『トイスト3』。他にもあったかも? 年々全部書くのは難しいですね。 ヤマ(管理人) 僕もmixi日記とサイトアップとを対照すると分かるように、全部は書いてない。とてもじゃない数やしね(苦笑)。 (ケイケイさん) 時間がなければ、ちょっとだけでも書くべきかとも思うのですが、そうすると全部ちょっとになる気もするし(笑)。 ヤマ(管理人) そのちょっとのが僕の場合mixiだけになってる分やね。 映画とセックスを一緒くたにするのは乱暴かもしれないけど、僕らの場合、映画に置き換えると分かりやすいかも(笑)。それで言えば、アホみたいに毎日でも映画を見て、映画観ることを日常としたいのか、あくまで映画は非日常として楽しみたいと思うかってことの違いと言ってもいいかもしれないよ(笑)。 (ケイケイさん) もう非日常じゃないですね、ヤマさんも私も。寝食みたいなもんですやんか(笑)。 ヤマ(管理人) まぁそうだけど、僕は6万マイル飛んでいるアレックスがあくまで非日常としていたように、180本でも自分的には非日常としているつもりなんだけどなー(笑)。やっぱ、非日常と日常の境目は頻度ではないとしたなら、ケイケイさんが上でも言ってたように“スタンス”なんだと思うからね。 それはそうと、ケイケイさんの映画日記の末文「女性ならみんな、名美に陥る可能性がある」との一文には震撼しました。でも、きっと、そうなんだろうなー(笑)。 (ケイケイさん) 女性って強いけど弱いんですよ〜。でもその弱さを知る男性は少ないんだなぁ(笑)。 ヤマ(管理人) 弱さ見せられると、イチコロやしねー。剣呑剣呑(笑)。 (ケイケイさん) 昔夫と大喧嘩したとき、「そんなに腹立つのか!」と言われたので、涙でぐしょぐしょになりながら「哀しいねん!」と言ったわけ。そしたら「哀しいと言われたら、謝らんとあかんな」と、それであっさり向こうが引き下がったんですよ(笑)。 しばらくして、深夜のヴァラエティで、やしきたかじんが石野眞子に、「旦那に浮気されたら腹立つ?」と聞かれて、「ううん、哀しい」と答えたんですよ。そしたらたかじんも、「哀しいと言われたら、謝らんとしゃーないなぁ」と答えたわけ。 そうか、腹立つでは男の沽券が傷つくけど、哀しいと言われたら、男は顔が立つのかと。 ヤマ(管理人) ケイケイさんも眞子さんも、ええなぁ〜。やっぱ女は、年季重ねてないとアカンね(笑)。 (ケイケイさん) 今の私の女の蓄積を記憶したまま、次も女で生まれて、男たぶらかし回って人生送りたいわぁ〜(笑)。 ヤマ(管理人) そりゃ、イチコロやで〜(笑)。そんなんに掛かったら、男は、ひとたまりもないやろな〜(笑)。そうやのうても、男は女に弱いのに(苦笑)。 (ケイケイさん) 私、年がいったら老人会のマドンナになりたいんですよ。そこで使います(笑)。 ヤマ(管理人) なれますよ、そりゃ。年いかなくても、既に老人のマドンナや言うてたやん(笑)。 (ケイケイさん) ありがとうございまーす。でも今は、そのおじいちゃんたちより、だいぶ若いもん(笑)。 ヤマ(管理人) そやから、血ぃ見んと収まってンで(笑)。けど、歳若い中年相手ならわきまえられても、老年同士になるとけっこうのぼせ上るらしいから、あんまり手管つこうてたら刃傷沙汰になるで(笑)。年取ると、辛抱きかんなるからね。年寄り甘うみると、血ぃ見るど〜(笑)。 (ケイケイさん) ありましたね〜、老人ホームで女性を巡り、お爺ちゃんが傘でシバキあいしたっていうの(笑)。私もそんなんしてほしいな(笑)。 ヤマ(管理人) ほんま、女っちゅうのは、いくつになっても罪作りやなぁ(笑)。 (ケイケイさん) 灰になっても、ですから(笑)。 ヤマ(管理人) ほんまや(笑)。 |
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by ヤマ(編集採録) | |
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