メンテナンスのヒント集

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【掲載ポリシー】
  ・ 「CCAメーリングリスト」に掲載されている情報を紹介します。
  ・ 情報は内容をそのまま翻訳するのではなく、筆者が理解して筆者の言葉で掲載します。
  ・ 出来るだけ数多くの情報を「紹介」したいが為に、実験などは
未検証のまま掲載するケースもあります。
  ・ コリンズの機械の中でポピュラーなKWM-2、Sラインを中心に掲載します。

 

800.コリンズのパワー調整(3) 2019年6月8日
 この議論の中で更に、AD5X、PhilがKWM2等で最大出力を60W程度に低減できる−2dBアッテネーターの作成PJを進めている事が明かされた。回路は簡単で十分に自作できる。インライン・アッテネーター
Philはこの文書内で−2dBのアッテネーターを入れるとエキサイターをアンプ間のSWRの改善効果もある等の特徴を説明している。なお、最近中華製品で廉価なアッテネーターもあるので、Amazonやe-Bayで検索するとよい。$100程度の製品がヒットする。

 

801.PTOスタビライザー 2019年6月15日
 従来入手出来ていた、FRラボのスタビライザー、X-LOCKは既に入手が出来なくなっている。ただ、未だK4DPKのスタビライザーは入手が出来る。注文はメールだけなので、入用の方は在庫・納期確認を兼ねて彼にメールをしても見ると良い。

製品情報URL:https://www.dxzone.com/dx27366/k4dpk-vfo-stabilizers.html
連絡先:QRZ.Com参照

 

802.30L-1リキャップの注意点 2019年6月22日
 リキャップ時に電源平滑コンデンサーの容量を余裕を見て増やす人が居るが、バイアス電源回路の平滑コンデンサー(C10、10μF)の容量は増やしてはいけない。これは、例えば50μFや100μFに増やすと平滑効率が上がり、バイアス電圧が変わってしまうからである。これはスプリアスの原因ともなり兼ねない。コリンズが設計した定数はそれなりの理由がある事を銘記すべきである。

 

803.30L-1のバイアス抵抗の見直し 2019年6月29日
 バイアス回路のブリーダー抵抗R15(10KΩ、2W)は、近年の電源電圧高騰(Wでは)により負荷が上がり、アイドリング状態では消費電力が3Wに迫ると言われている。この為、QSO後は長時間アンプを入れっぱなしにしないほうが良い。この抵抗がオープンになる場合は良いが、ショートした場合はトランス、811Aが犠牲になる。これを未然に防ぐために、R15を5Wの物に交換するSB追加版をCCAが出している(勿論、コリンズ オフィシャルではないが)。日本ではステップアップトランスを使うので、電源電圧の高騰は無関係だが参考の為に掲載しておく。
 http://www.collinsradio.org/wp-content/uploads/2012/04/30L-1-SB-5-2019.pdf

 

804.516F-2のバイアス整流ダイオード交換 2019年7月6日
 バイアス整流器であるセレン整流器CR1をシリコンダイオードに交換すると、バイアス電圧が(マイナスに)高くなりすぎ、バイアス調整が難しくなる場合がある。これの場合はバイアス平滑コンデンサーC6に25〜27KΩの抵抗を並列に入れると良い。

 

805.PTOスタビライザー(2) 2019年7月13日
 K4DPKから入手できるPTOスタビライザー関連のURLの追加分を載せておく。
https://www.eham.net/reviews/detail/7448
https://www.dxzone.com/dx27366/k4dpk-vfo-stabilizers.html

 

806.アイソレーショントランス 2019年7月20日
 電源の一次側と二次側を絶縁出来る複巻トランス(アイソレーショントランス)は真空管リグを使う上で必須だ。まずは、一次側がグランドに落ちているトランスレスの機械を使った場合の感電を防止できる。また電源のバイパスコンデンサーのリーク等で漏電ブレーカーがトリップすることを防止する。その他にもノルマルモードのノイズループのカットも出来る。真空管オーディオ愛好家には当たり前の装備品であるこのトランスをアマチュア無線愛好家が使わない手はない。

 

807.コリンズのノブの外れ止めスプリング 2019年7月27日
 Sライン等のノブは外れない様に、シャフトに挿入する部分に鋼で作られた板バネが挿入されているが、これが折れやすい。以前、折れたときにピアノ線を焼きなましして加工、焼き入れして強度を出したことがあるが、これをしなくても折れない筒状の外れ止め器具がMark Olsen, KE9PQ.comで売られている。

 

808.30L-1ダイオードボード(4) 2019年8月03日

 30L-1ダイオードボードが多々発表されているが、纏めると次の様となる。選択の余地があり楽しめる。

  • K1RODボード
  • WN4Iボード
  • K4LAJボード
  • K6HM Kim Young ボード
  • e-bayで売っているHong Kong製ボード

 

809.半田付けのマーキング(2) 2019年8月10日
 「144.半田付けのマーキング」でオリジナルの証左とされているこの赤いマーキングはGC Electronics社 で扱っているGlyptal Redという製品であると紹介したが、これは単にマーキングをする為の製品ではない。この製品は高圧のリークを防止する製品で、3,000V/mmの耐リーク性能を持ち、単なるマーキングで使用するには単価が高すぎる。では何でコリンズは半田付け箇所のマーキングの様にこれを塗っているのか? 謎である。

 

810.75A-4ダイヤルのドット 2019年8月17日
 75A-4のダイヤル目盛りには不可解な点が付いている。よく見ると10KHzで3つ、つまり3.3KHzに一つ付いている。これは、SSBの黎明期に他局の信号が被らない目安とするために付けた物だと言われている。75A-4のメカフィルは3.1KHzの帯域があるので、これも頷ける。

 

811.Tube extender 2019年8月24日
 Tube extenderは真空管ソケットの端子にアプローチしにくい場所の測定をする場合は必需品となる。例えば、PTOの真空管(V301)、32S3のバラモジの前段のカソードフォロアの真空管(V2)。これらの端子にアプローチするために周辺をばらすのは可成り労力が必要となる。特にV2は信号のトレース経路の途上にあるため、必要となるチャンスが無くはない。

 

812.シルバーマイカの交換 2019年8月31日
 「425.シルバーマイカの罠」で古いシルバーマイカはノイズやショートの原因となると書いたが、では何に交換するか? 新しいシルバーマイカか? 勿論、新しい物なら十分に期待通りの性能を発揮するが、用途により異なるタイプのコンデンサーを使った方が良いと言う意見もある。 例えば、カップリングコンデンサーはディスクセラミック、その他の場所はディップドマイカ、51J-X等で使用されているバスタブタイプはポリエステルコンデンサー。

 

813.黄ばんだトリムリング(7) 2019年9月7日
 今まで何回か黄ばんだトリムリングの「美白」方法を紹介してきたが、余り効果がなかったりハードルが高かったりして、現実味がなかったのが実情であった。今回CCA MLである製品を使用して簡単に効果が得られる方法が紹介された。 Salon Care professional 40 volume creamという製品を使用した方法である。これをトリムリングに薄く塗り、ラップで包み6時間ほど太陽の紫外線の下に露出する。これで黄ばみが改善する。なお、この製品は日本のAMAZONのサイトから購入できる。但し、16oz入りの中瓶なので7千円弱と少々高い。なお、強い化学的性質を持っているので取り扱いには十分注意したい。

 

814.32S-3の改造に注意 2019年9月14日
 過去に32S-3のGridドライブレベルを改善する為に、BFOから1stミキサーにキャリア注入する回路のバイパスコンデンサーC20を0.1μFから0.01μFに変更する改造が発表され、かなりの機械がこの改造をしている。この改造がされているとキャリア注入レベルが高すぎ、1stミキサーで歪みが発生しスプリアスが増大する。最悪は14MHzで、高レベルのスプリアスが近傍のハムバンド外で発生する。この改造を発見、元に戻すべきと先日、何十年かぶりに警告が報じられた。具体的な内容は次の資料を参照されたい。
http://www.collinsradio.org/wp-content/uploads/2015/05/32S3-C20-Modification-Rev-4-Pub-w_Intro.doc

 

815.75A-4のPTO取り外し 2019年9月21日
 75A-4のPTOの取り外しは手順が分からないと苦労する。これの手順がCCAのMLで公開されていたので紹介する。
   https://mailman.listserve.com/pipermail/collins/2019-June/msg00080.html

 

816.NOSのスイッチに注意 2019年9月28日
 例えば、KWM2のスイッチ付きマイクゲインボリュームの新古品(NOS)をSSNで購入した時に、ボリュームは問題ないがスイッチの接点が接触不良となっていることがある。後部のカバーを開放して接点の清掃をするのが常套手段であるが、注意しないとカバーを止めている爪が折れてしまう。このリスクを負わないために、良い方法がある。接点に若干の電流を流せる状況で接点に生じた酸化被膜を飛ばす。昔の電話交換機の世界では常識らしい。

 

817.Bistol Wrench のメンテ 2019年10月5日
 Bistol Wrench はコリンズのメンテナンスには欠かせなく、利用頻度も高いものである。長年使用していると先が削れ、ネジとの噛み合わせて甘くなり、下手をするとネジをなめってしまう。このため、時々レンチの先を削りることをお勧めする。レンチの長さ方向と垂直に削ると良い。

 

818.Two Tone Genarator 2019年10月12日
 Two Tone GeneratorはSSBの送信機やリニアアンプ調整に欠くことが出来ないアクセサリーだ。従来は、モニタースコープに内蔵されている物を使用したり、キットの基盤を活用した。
https://elecraft.com/collections/test-equipment/products/2t-gen-2-tone-generator
しかし、最近はサイン波を発生させるWebサイトがあり、Single Toneだが、ブラウザーを2個立ち上げて異なる周波数を指定すればTwo Tone となる。
http://onlinetonegenerator.com/
もっと便利が物として、スペクトラムアナラー付きTwo Tone Generatorソフトがある。下記のサイトからダウンロードできる。
http://www.i2phd.org/tcube/tcube.html
既にこの分野ではハードウェアは不要な時代となった。

 

819.発送用段ボール 2019年10月19日
 KWM2やSラインを発送する時に使う段ボールが無い場合は、ネットで140サイズ引っ越し用段ボールを調達すれば良い。ただ、140サイズと言っても種々のサイズが有るので注意が必要だ。概ね、55cm(W)×400cm(D)×33cm(H)の大きさが有れば、クッションを入れて機械を収めることが出来る。1枚200円程度で売っていて、10枚組だと送料無料で売っているものもある。

 

820.コリンズのトランスの調達 2019年10月26日
 コリンズのトランスの代替品で有名なPeter Dahlは以前紹介した通り、Hammond Manufacturingに吸収され、今でも入手は可能である。Hammond Manufacturingの製品は日本にも代理店が有るDigi KeyやMOUSERといった部品通販会社で取り扱っているので、海外ショップから調達するのに高いハードルを感じる人にとっては便利である。例えば、30S-1のプレートトランスも調達が出来、Digi Keyのサイトは次の通りとなる。

 Digi Key 30S1プレートトランス

 

821.バンドスイッチ分解清掃のノウハウ 2019年11月02日
 CCAのMLにW0YJ、Jackが写真と共にSライン等のバンドスイッチ分解清掃のノウハウを記載してい居たので紹介する。動画もあり大変に興味深い。全て英語だが、翻訳サイトで日本語に訳せばなんとか理解は出来ると思う。
https://mailman.listserve.com/pipermail/collins/2019-May/msg00000.html

 

822.516F-2の起動(2) 2019年11月9日
 「189.516F-2の起動」で起動方法を紹介したが、大切な点はいきなりAC115Vを掛けない事である。それにはスライダックで徐々に一次側の電圧を上げるが、整流管の特性から低い電圧では整流出力が得られず上手くゆかない。この為に、ソリッドステート整流器を使うと良い。ソリッドステート整流器は古い機械にストレスを掛けるので使わないほうが良いと言われているが、この際には必需品となる。ソリッドステート整流器は不良となったGT管を壊しダイオードをベースの中に半田付けすれば簡単に作れる。516F-2の回路構成上、5R4と5U4のプラスの接続ピンが異なるので、各々専用のソリッドステート整流器を作成して、間違えて逆に使用しない様に注意が必要。

 

823.メーターフェース作成プログラム 2019年11月16日
 コリンズのメータフェースが汚れたり腐食したりした場合、綺麗なメータフェースのコピーを取り、オリジナルのメーターフェースの上から張るレストア方法があるが、そもそもメーターフェースその物を作成するプログラムもあるので紹介しておく。コピーが難しい場合などに使えるのではと思う。
http://www.tonnesoftware.com/
この中のMETERが同ソフトとなる。
なお、このサイトの中ではアマチュア無線で活用できる種々のソフトが紹介されていて、これらを見るのも楽しい。

 

824.コリンズに関する悪いニュース 2019年11月23日
 コリンズCedar Rapidsはボーイング737MAXのナビゲーションシステムのディスプレイやソフトウェアを供給した事により、クラッシュに関して責任を問われている。この先、どのようになるのであろうか?

 

825.無誘導抵抗の注意点 2019年11月30日
 無誘導抵抗と言えば、カーボンコンポジット抵抗を思い出すが、中には巻き線型の物もある。相対した方向の巻き線でインダクタンスをキャンセルする抵抗で、低い周波数では有効であるが、高い周波数では使えない。無誘導抵抗の名前に惑わされず、利用可能周波数を調べるべき。
https://www.vishay.com/docs/31801/mra.pdf

 

826.コルクワッシャー 2019年12月7日
 30S-1の様な高圧部のセラミックスタンドオフ端子とシャーシーに挟まれているコルクワッシャーは年月が経つと黒ずみボロボロになる。これは交換が必要だのだろうか? コルクワッシャーはネジを締め付けるときにセラミックに不必要な力が掛かり、クラックが入るのを防止していている。この為、コルクコースターの様なコルクシートがあれば、それを挟めば良い。

 

827.部品の取り外し(3) 2019年12月14日
 部品の取り外しはレストアの基本テクニックである。既に2回テクニックを紹介したが、今回は別の角度から見てみたい。例えば、片方がグランドに接続されている部品を取り外すとする。他の部品が混んでいてグランド側が取り外しにくい場合はどうするか? @古い部品を切り新しい部品を接続しやすいグランドに接続する。A地道に他の部品を取り外し部品を交換する。 少なくとも@はハムや回り込みの原因となるので止めた方が良い。もっともグランドではなく特定の端子に接続されている場合は元々無理である。 Aをやりたいが下手をすると他の部品を焦がしたり端子台を壊したりするのでテクニックが要る。 自信が無い方はB古い部品のリード線を切り絶縁に注意し新しい部品を半田付けする。これがお勧めである。AとするかBとするかは自分のテクニックとの相談となる。

 

828.6U8Aの代替 2019年12月21日
 6U8Aは劣化が激しい。劣化した場合は6EA8に交換する事もできる。但し、発振回路に使うと発振しなくなるので注意が必要である。ただも6EA8もまた劣化が早い。いっその事、SKYTECの様な半導体化を考えても良いか? これを許すかはポリシーの問題があるが。

 

829.6BF5の熱(6) 2019年12月28日
 発熱が大きい6BF5の熱対策の為に6AQ5が使えないかについて何回か説明してきた。メリットは大きいが改造が必要なので、改造を嫌う人には向かない。ただ、そのまま差し替えて使っても小出力であれば歪みが問題にならない程度なので、ヘッドホンで受信をする人にとっては有効な手段だと思われる。一方、コリンズがあえて6BF5を使う理由は、ブリーダー抵抗の役割を持たせているという人もいる。つまり6AQ5に差し替える使い方は良くない。少なくとも51S1はヒーターの電圧配分バランスが崩れるので止めた方が良い事は広く知られている。結局、コリンズのデザインを尊重するのが一番か、それとも古い機械なので発熱を抑えた方が良いか、悩ましい問題である。

 

830.30S-1の高圧スイッチ(3) 2020年1月4日

 今まで何回か高圧スイッチ(押しボタン)の代替品を紹介してきたが、廉価な中華製品で代替出来る可能性がある物がe-bayに出ていたので紹介する。ランプはLEDとなる。
https://www.ebay.com/itm/1Pcs-16mm-Rectangle-Momentary-Push-Button-Switch-Maintain-LED-Lamp-5-Pins/153061345311?hash=item23a32ac81f:m:mp7oA4_9osu5sB9eczPQxsw
オークション終了後でヒットしなっくなった場合は、キーワード(部品年バー) 153061345311 で検索すると良い。

 

831.接続ケーブル(5) 2020年1月11日

 接続ケーブルに関して何回か掲載してきたが、纏めると次の通りとなる。

  • SラインやKWM2と周辺機器の接続ケーブルは48インチのRG58/Uの両側にRCAプラグを付けた物を準備すればよい。
  • 30S-1や30L-1との接続は20.5フィートのRG58/Uとする。
  • OSC、VFO接続ケーブルはRG62/Uとすると注入レベルが上がる。

あと蛇足だがRCAコネクターをBNCやM型コネクターに変える改造を見かけるが、確かにRCAコネクターは抜けやすい欠点がありそれを補完する為には有効だが、RCAコネクターの周波数特性はUHFまで良好なので、周波数特性向上の目的で実施するのは無意味である。

 

832.KWM-380コントロールインターフェース 2020年1月18日

 KWM-380にはキーパッドのインターフェースがあるが、それを利用した外部コントロールインターフェースをNY2KW,Jerryが開発をしている。このインターフェースはキーパッドのD-SUB25ピンのコネクター経由で接続し、DXLabのCommander、Spot controller、DX keeper logが使え、外部制御、ログとの連動、等が行え、KWM-380の利用範囲を広げることが出来る。非常に興味があるインターフェースで、配布開始が待ち遠しい。なお、これら使えるソフトの詳細は次のページを参照願いたい。

http://www.dxlabsuite.com/commander/

http://www.dxlabsuite.com/spotcollector/

http://www.dxlabsuite.com/dxkeeper/

 

833.3Dプリンターの活用 2020年1月25日

 過日、CCAのMLにR389のメインノブが無いので、その3次元の寸法データがないかとの質問があった。質問者はそれを使い3Dプリンターでノブのレプリカを作るつもりである。この様に、今後はそのようなデータが出回り、ノブだけではなく種々の部品のレプリカが3Dプリンターで簡単に作れるようになると思われる。

 

834.真空管のシールドケースが取れなくなったら 2020年2月1日

 長期間の汚れと湿気で真空管のシールドケースが真空管に固着する場合がある。無理やり取ろうとすると真空管を壊しそうで怖い。この様な場合は、一旦、機械に電源を入れ真空管をウォームアップする。シールドケースの金属の膨張率はガラスより大きいので取れやすくなる。さらには浸透油を真空管とシールドケースの間に垂らし、浸透させると大体は取れる。くれぐれも根気よくやる事が大切だ。

 

835.Sメータのドリフト(3) 2020年2月8日

 75SのSメータのドリフト対策に関してはSB等も出ているが、IF真空管(6BA6)の特性変動が可成り影響がある。グリッド電流が500nA変化しただけでもS1の変化となって表れる。よってグリッド電流が最も0に近い真空管を選択するのが一つのポイントとなる。この為に測定器を使わず手軽に適切な真空管を見つける方法があるので紹介する。

  • V2を外す。(V2はAGC回路に接続され電流が流れるため、この影響をなくす)
  • RF GAINを最大にセットする。
  • IF真空管V6、V7を外す。
  • 受信機の電源を入れウォームアップする。
  • テスト対象の6BA6をV7のソケットに挿入し10分ほどウォームアップする。
  • Sメーター0セットボリュームでメーターを中央近くに調整する。(中央ではなくても±の変化が読める位置なら良い)
  • AGCスイッチをOff→Firstに切り替え、メーター読みの変化を記録する。(負に振れる場合は負のグリッド電流が流れている)
  • この測定でメータ読みの変化が0もしくは0に近い6BA6を選らぶ。

ただ、これでもSメーターのドリフトが止まらない場合は、抵抗等の部品の定数変化を疑う必要がある。

 

836.トランスの巻きなおし(2) 2020年2月15日

 再度、トランスを巻き直し業者がリストアップされていたので紹介する。(全部Wだが)

 

837.30L-1の電源スイッチ(2) 2020年2月22日

 このスイッチ代替が無い。壊れないために「534.30L-1の電源スイッチの保護」で紹介した様な付属品もあるが、壊れてしなったらそうするか? 大変なのであまりやりたくないが選択肢が無いので、電源スイッチを取り出し分解して、接点を復活出来るかを試すしかない。これが出来ない場合は、電源スイッチをショートして電源ONの状態として、外部にスイッチを付けるしかない。

 

838.PTOのF飛び 2020年2月29日

 PTOを回すと周波数が微妙に飛び、キャリアのトーンを聞いていると、ビビりながら音調が変化する様な音となる。たまにこの様な機械を見つけるが、これはPTO前面に付いている、シャフトを接地するタブがシャフトの接触部分と接触不良を起こしているからである。この部分に接点復活材を塗布して、シャフトを何回か動かすと直る。この為、PTOを分解する必要はない。

 

839.FANの注油 2020年3月7日

 30S-1やKWS-1のFAN(ブロワー)の注油にはどの様な油が良いか。便利そうに見える3 in Oneの油は絶対にしよするべきではない。いわゆるミシンオイル(マシン油)を使用するべきである。ベアリングは回転により高温になるので、この特殊環境で十分に機能する油を使うべきである。

 

840.PTOのドリフト対策(3) 2020年3月14日

 以前のこの主題でWB4HFNのサイトを紹介したが、既にリンクが切れているようだ。このサイトはドリフト対策だけではなく、PTOの内部が見れる重宝なサイトであった。この代わりにDJ7HSのサイトで内部の写真が公開されているので紹介する。このサイトも内容はドリフト対策である(英語)。

 

841.4CX1500B 2020年3月21日

 30S-1で4CX1500Bを使うと、フィンの密度が高いので冷却FANの交換が必要だと「27.30S-1での4CX1500B」で書いた。この文面からはフィンの数が多い様に取れるが、実はフィンの数は同じである。フィンの先を打ち抜きめくれ上がらせ、受風面積を2倍にしていて見かけ上の密度を上げている。いずれにせよ、受風面積が大きいので冷却FANの送風能力は上げる必要がある(4CX1000A:25 cubic feet /分、4CX1500B:34 cubic feet /分)。だ、いくら適切なFANを装備してもコリンズ設計の絶妙なバランスを崩すのはどうかと思うが。

 

842.フィルターカバー(3) 2020年3月28日

 75S-3のフィルターカバーが無いとハム音が混入するので、防止するためにμメタルで作成したカバーが必要と書いた。リプロは有ってもかなり高いので、手軽に作れる方法を当方のコリンズのページの特集に掲載した(75S-3のフィルターカバーの作成)。参考にされると良い。ただ、FA型のフィルターの場合は必要となるが、INRAD製のフィルターはピエゾ素子を使っているのでこの影響を受けない。カバーが無くハムが気になる方は、INRAD製のフィルターを試すのも良い。

 

843.KWM-2のALC(3) 2020年4月4日

 2回ほどALCが不安定になった時の対処方法に関して書いたが、ALCの振れが悪くなるケースも散見される。この場合は、V17(6BN8:ALC RECT)の入力コンデンサー、時定数コンデンサーであるC157、C159(ともに0.1μF)の不良が疑われる。これらを両方とも交換してみると良い。

 

844.簡易SSG 2020年4月11日

 受信機の調整をするためSSGは必需アテムだが、中古測定器を買うのはハードルが高いという人向けにELECRAFTが簡易SSGを販売している。XG3という機械で、アマチュア各バンドで、主要なレベルを発振できる様にプリセットが可能。その他、スウィープ等の種々の機能がある。詳細はマニュアルのページを参照願いたい。

 

845.EVT 2020年4月18日

 KWM-2AのREJECTION TUNINGで有名なWATER社では種々のコリンズのアクセサリーを製造していた。その中でELECTRONIC VERNIER TUNINGという製品がある。これはバラクターダイオードを使ったPTOに付加するアクセサリーである。これにより周波数を±500Hz動かせるので、PTOの周波数の偏差を合わせたり、RITとして使える。中古市場では見たことが無いので幻のアクセサリーではないか。

 

846.516F-2の高圧レギュレーション 2020年4月25日

 高圧のレギュレーションが悪化し、無負荷時の高圧電圧が1000Vを超える場合がある。この場合は、高圧のフィルターコンデンサー(C1:0.05μF)が劣化している場合が多い。代替品を探すこととなるが、入手し易いコンデンサーとして、高耐圧のフィルムコンデンサー0.047μFや0.068μFがある。50Hz地域では感覚的に0.068μFを選ぶと思われるが、正確を期したいなら0.047μFを選択して、パディングコンデンサーをパラレルに追加して、無負荷時の電圧が一番下がる値に調整すると良い。コンデンサー以外にチョークコイルの値の経年変化もあるので、これも併せてパディングコンデンサーで調整しても良い。

 

847.周波数ドリフトの切り分け 2020年5月2日

 SラインやKWM-2は30〜40分もすれば周波数が余り動かないと言われているが、それでも起動後と同様に周波数が動く場合は次のチェックポイントを参考に問題箇所を特定するとよい。

  • どのバンドで動くか? 1バンドだけならバンド発振水晶の問題。
  • 全てのバンドで動く場合はPTOかBFO水晶の問題。
  • 28MHzの方が3.5MHzより動く場合はPTOの問題。(PTOの場合はUSB調整トリマーや真空管(6AU6)もチェックするとよい。それでもNGの場合は、既に記載している「PTOドリフト対策(1)〜(3)」を参照されたい。

 

848.KWS-1のベアリング 2020年5月9日

 既にこの機械を保持されている方は少なくなったと思いますが、思い入れがある方は大切にされているかと思います。さて、せっかく保持されていても故障があると、電源を入れる機会も少なるなると思います。故障のなかで多いのが、ブロワーの不良。中でもベアリングのゴロが多い様です。代替品が簡単に見つかれば良いですが、無い場合は次の寸法を参考に探されると良いかと思います。

<Outer bearing>
 
outside diameter       0.865”  (21.65 mm)
  width                          0.405”  (10.0 mm)

<Inner bearing>
 
hole or inside diameter.     0.310”  (7.51 mm)
  width                            0.375”  (9.94 mm)

<Note>
  T
he inner bearing is narrower than the outer bearing by  0.030”. (0.06 mm)
  One side is flush with the outer bearing and the other side is recessed by 0.030”  (0.06 mm)

 

849.リレー接点不良対策(3) 2020年5月16日

 リレーを磨く場合は可能ならば接点復活材を紙に染み込ませて磨くのが良い。昔からよく使われている名刺は適している様だが、微細な紙屑が接点に付くと、接触不良を助長する。この意味でBond Paperを使うと良い。硬く圧縮された紙で紙屑が出にくい。接点だけではなく、コイルの磁力が弱くないかの確認も必要である。鉄心が鉄の粉末で汚れていないか、鉄心が磁化されていないか。鉄心の磁化は配線の向きを変え逆電圧を掛けると良い。

 

850.3セクションのフィルタコンデンサ(4) 2020年5月23日

 3セクションコンデンサーの代替、入手先等を紹介したが、交換方法のノウハウを紹介する。32SやKWM2は比較的やりやすいが、75Sはこの周辺の部品が混んでいるのやり難い。可能であれば半田吸い取り機で半田を吸い取り、配線を外し、新しいコンデンサーにつなげ半田付けするのが良いか、自信が無い場合は、思い切って3セクションコンデンサーの端子を配線が付いたまま切り、そのまま新しいコンデンサーの端子に半田付けをするとよい。下手をすると熱の加えすぎで被覆が溶けたり、他の被覆に半田ごてが触れて焦がしてしまったりする。いずれにせよ、根気よく作業をする事が一つのコツとなるだろう。

 

851.ペイント(4) 2020年5月30日

 Surplus Sales of Nebraskaで売っているペイントは、コリンズ社が採用していたCeder RapidsにあるKlinger Paint Company製だと書いた。スプレータイプのペイントは海外発送はしてもらえないが、パイント缶入りの物は入手が出来る。パイント缶入りの物はエアブラシを使う必要があり、慣れないとハードルが高い。適当なペイントをどこかに塗るり練習をすれば良い。ペイントは薄く塗り、濡れている状態で重ね塗りをすれば垂れることを防止できる。こればかりは慣れるしかない。

 

852.30L-1の811A(3) 2020年6月6日

 出力が従来より出なくなり、内部を見たら4本の内1本のフィラメントが点灯していない事を発見する事が有る。この場合、1本が壊れたと判断するのは尚早である。まず考えられるのはソケットの接触不良。これは811Aのフィラメントの導通を測れば切り分けができる。フィラメントの導通が無かった場合も、フィラメントとベースとの接続不良が原因になるケースも多い。これは治せる場合があるので、トライする価値がある。

 

853.51S-1の電源ケーブル 2020年6月13日

 51S-1の電源は11ピンの電源コネクター内の接続変更でAC115V、AC230Vの両用が出来る様になってる。AC115Vを使用する場合は、トランス1次側の115Vの2個の巻き線をパラで接続する様に11ピンコネクターに結線する。これが、片側の115V巻き線にだけに結線をしているケーブルがある。この場合、一応は電源が入るが、トランスが熱を持ち最悪の場合は巻き線を焼損する。電源ケーブルを購入した場合は、この様になっていないかをよく注意する必要がある。見分け方は、6−7番ピン間にジャンパーがあるか、1−8番ピン間にジャンパーがあるかである。

 

854.SB-620 2020年6月20日

 コリンズ愛好家の中で度々話題に上がるSB-620。これは、真空管式のバンドスコープで、バンド幅選択レンジは10、50KHz、VARIABLEのポジションがあり、IFが455KHzでは最大150KHz幅の監視が出来る。外見はSB-610モニタースコープ似で魅力的だが、実用性に関しては疑問符が付く。例えば、62S-1を使い50.110MHzでバンドオープンを常時監視するのには使えそうだが、ペルセウスで相手方の送信スペクトラムをモニターするようには行かない。多分、最初は興味本位で使うと思われるが、1週間もしないうちに飽きてしまうのではなかろうか。一方、SB-610なら高レスポンスの送信レベルメーターとして使えるので、スプラッター防止の役には立てそうである。この為、シャックの飾り程度に考えていた方が良いと思うが、それでも一回は使ってみたい方は、次の点に注意をされたい。この機械が対応可能なIFはHeathの3.395MHz以外にも種々準備されているが、各々利用する部品が異なる。この為、購入したSB-620が455KHz以外の仕様の場合は、IFコイル、OSCコイルを含む、部品の交換が必要である。一般的には中古品にこれらの部品が付属することはあり得ないので、ネットを見ながら改造に挑戦する事となる。

 

855.テフロン・ワッシャー(2) 2020年6月27日

 75A-4のメインダイヤルユニット等に使われているテフロン(PTFE)ワッシャーの素材のテフロンが圧力に弱い。長期間締め付けられている状態ではテフロンが流動化して、ネジが緩んでしまう。例えば、端子を抑える部分に使われていると、端子が緩み接触不良を招く。この為、増し締めをする必要があるので、要注意である。

 

856.IGが負の方向に振れる時 2020年7月4日

 初期モデルのSラインやKWM-2はファイナルの中和回路にセラミックトリマーが使われている。これに内部リークが発生すると、IGが負の方向に増加してメーターがマイナスに振れる。6146にグリッド・エミッションが発生するとこの症状が出る。メーター回路切り替えスイッチの接点不良の時もある。主にチェックするのはこれらの点か。

 

857.LOADつまみが外れない時 2020年7月11日

 KWM-2や32S-Xのメンテナンスの為に、LOADつまみを外したい時があり、稀ではあるがつまみがシャフトに固着してなかなか外れないことがある。つまみはレバー状になっているので、絶対に無理をしてはいけない。さもないとレバーが折れる。まずは冷静になり、ファイナル・ケージの手前にある、ジョイントのBISTROネジを緩め、シャフト(二重構造になっている外側のシャフト)を外す。この時に固着したつまみも一緒に外れるので、まずはPA TUNINGの(内側の)つまみを外さないと、邪魔になって外すことはできない。PA TUNIGのつまみは引っ張れば外れる。シャフトを外したら、丁度シャフトが通る穴が開いた木もしくは同等の物を用意して、つまみが木の上に来るように穴に通す。この状態で、プラスティックハンマーなどで「優しく」シャフトを叩き、外す様子にする。ここでも無理をせず、石鹸やCRCで滑りやすくして外すと良い。あとは運しだい。

 

858.エステート・セール 2020年7月18日

 CCAの米国のメンバーの書き込みを見ていると、たまにエステート・セール(Estate Sale)という言葉が出てくる。Estateとは遺産の意味で、これは亡くなった方が所有している品物を、住宅を開放して販売している事です。それがハムの場合は、種々の無線機が並べられ、驚くほどの安価で販売せれる場合がある。WEBに情報が出されていて、それが近くであれば出かけて行って、何か掘り出し物が無いかを見に行くのも楽しそうである。日本であればさしずめ、遺産処分業者に一括委託して、処分費用を払う羽目になるので、エステート・セールのシステムは合理的であると言える。オークションに出すという手間もかからず、業者経由のマージンも不要なので、この様なシステムがあれば良いと思う。ただ日本人の生死観というものもあるので、そう簡単には行かないとも思われる。

 

859.ALC(3) 2020年7月25日

 送信機とアンプを組み合わせたときのALCは奥が深い。電波の質を左右するだけにきちっとセットアップしたいが、レベルだけではなく、ループゲインや安定性にも考慮が必要である。これまで30L-1の様なコリンズのアンプにトランジスタの他社の送信機を繋げたときの注意点を書いたが、それではIC-PW1の様な最近のアンプに32S-3を繋げた場合はどの様になるか? PW1、32S-3のALCの仕様詳細は公開されていないので、これらを組み合わせたときのシステムとしてのループゲインがどなるか、レベルは合うのか、安定度はどうなるかは良く分からない。モニタースコープなどで電波の質を監視しながら、レベル等の調整可能な部分を調整するしかない。最終的にはメーカーが推奨している無難な組み合わせ(通常は自社の機器同士)を組み合わせるしかないと思われる。 

 

860.ヒースキット 2020年8月1日

 オフトピックとなるが、プワーマンス・コリンズと言われ、気になる存在でもあるヒースキットの生い立ちが簡単にまとまっていたので紹介する。 
 ヒースキットは60−70年代に真空管トランシーバーを世に出し始めた。廉価版として、俗に「ホット・ウォーター」と呼ばれていたHWシリーズを世に出した。まずはHW-100を出し、70年代にはHW-101が出され、更にHW-102とモデルチェンジされて行く。廉価版だけあって、お揃いの外部VFOもコンソールもない。高級版の真空管トランシーバーとしては「シュガー・ベイカー」と呼ばれていたSBシリーズがある。最初に出されたのはSB-100で、後にSB-101、SB-102とモデルチェンジを重ねていく。これらの機能は大きく違わず、マイナーチェンジのレベルであった。電源はHP-23で改良を重ねるに従い、A、B、Cがサフィックスとして付く。HWシリーズ、SBシリーズとも同じ電圧構成なので、どのHP-23のモデルもHW、SBに共通して使える。その後、半導体のSB-104が出され、最後のアマチュア無線の機械としてSB-104Aが出された。なお、SB-103は企画のみで実際には製品化されなかった。キットだけに手が入れ易く、今も愛好家が多い。 

 

861.NanoVNA活用 2020年8月8日

 最近、流行りのピークを過ぎている感があるNanoVNAだが、まだまだ面白い使い方がある様だ。KWM2等のバンド水晶の周波数を測定してみた。これはCCAのMLで紹介されていた。Smithチャート(S11)モードにして、水晶をCH0に接続する。CENTERは水晶の公称発振周波数。SPANは最小の10KHz。この時に写真に示した通り、Smithチャートのスタート点(測定値表示の下あたり)から右回りで最初に実軸と交わる点(矢印の先)が中心周波数における測定値となる。抵抗分(Resistance)は20Ω以下が良い様だ。これにより、水晶の周波数ずれ、良否が判別できそうである。
写真は6.955MHzの水晶(3.8−4.0MHz用水晶)を測定している様子で、中心周波数は6.9544MHzと600Hz低く、抵抗分は38Ωとやや高い事が分かる。

 

862.スラグラックの接地 2020年8月15日

 KWM2やSラインのPRESELECTORの調整が不安定な時はスラグラックの接地を疑いたくなる。ボールベアリングやシャーシーへのマウント部分。ただコアは絶縁されているので結局接地とは無関係。大抵の場合はバンドスイッチの接触不良が原因である。接点の汚れ、場合によってはシャフトの取り付け位置の微妙なずれ。思い切ってバンドスイッチを分解して清掃して、接点位置に注意して組み立てるするのが早い様だ。いっその事、トリマーも分解して清掃すると調整点がはっきりとわかる様になる。

 

863.メインノブ 2020年8月22日

 K7PI、MikeがKWM2やSラインのメインノブのレプリカを作成した。通常のレプリカとは異なり、NCを使い真鍮から切り出し、黒のアルマイト加工処理をした。これにより外見がそっくりでかつ重量感があるノブが出来た。残念ながら既に完売だが、再度作成する様だったら是非買いたくなる素晴らしい物である。
http://k7pi.com/pi_sales/knobs.html

 

864.パワーメータの精度 2020年8月29日

 先日、CCAのMLでパワーメータの精度を測定したOMが居た。測定対象は312B-4、Bird43、Drake W-4、HP 410C。なお、410Cは50Ωのダミー両端の電圧を測定。結果はどれもスペックの誤差範囲に入った事は言うまでもないが、あくまでも「フルスケールでの誤差」である。例えば、精度が良いとされるBird43は±5%であるが、フルスケール半分の出力測定をした場合は最大/最小表示に20%の幅がある。こうなると312B-4で100Wを測定するとどうなるであろうか。この前提で使う必要がある。

 

865.6146の価格 2020年9月5日

 近年6146の価格が高いという話を耳にする。過日のCCA MLでもこの話題が出ていた。曰く、「70年には$5だったが、現在は$30-50となっている」。確かに高騰していると感じるが、物価上昇率を勘案するとあながち高騰とは言えないレベルである。
https://www.bls.gov/data/inflation_calculator.htm
一方、3-500Zは、78年当時は$35だったが現在は$339である。物価上昇率よりはるかに高騰している。生産個数が少ない反面、現行機種(アンプ)に使われているので希少価値が生まれたと言える。
また、68年に発売されたカラーTVは$200で現在の液晶TVも同様な価格で買える。これは技術革新の賜物と言える。
価格はマーケット規模や需給バランスに絶妙に反応するものである。

 

866.メカフィルのパスバンドの経年変化 2020年9月12日

 KWM2やSラインでUSBとLSBのトーンが異なり、例えばLSBに比較してUSBで高音が落ち、低音が強調されて聞こえる場合がある。BFOクリスタルの偏差が大きくない場合は、メカフィルの中心周波数が経年変化で変わった事を疑いたくなる。ただこの現象はメカフィルの経年変化とばかりとは言えない。メカフィル周辺のコンデンサー、更にはIFTの調整によっても通過周波数はLSBとUSBで異なってしまうことがある。この現象は古い機械で一般的にみられるが、原因究明は可成り奥が深い。容易に原因が分かった場合(例えばBFOクリスタルの周波数偏差)は幸運と言える。

 

867.30S-1を上手に使う 2020年9月19日

 30S-1はRFの師と言われた元コリンズの故Warren Bruene氏が60年代に開発した最も優れていると言われるアンプである。当時のWの出力上限は1KWで、後に1.5KWに変更されたため、30S-1の増力をする人が出てきた。Sメータ目盛りの半分をj増やす事に掛けた愚行を、諫める記事が掲載されているので、私見を交えた要約を載せる。出力上限が1KWである日本でこの改造をして、余裕を目指すのは本末転倒であるのではと思う。

  • Warren Bruene氏の設計コンセプトはクリーン、静寂(プロア)、安定で、これがこのアンプの良さである。
  • 確かにスクリーンバイアスをオリジナルの−200VからEIMAC推奨の−325Vにすると効率は上がるが、設計より小電力で最高出力を出すことが出来るが、裏返すと簡単にオーバードライブする事になり、「クリーン」を損ねる。
  • この場合、4XC1000Aの損失も大きくなるのでブロアの増強が必要となり「静寂」を損ねる。
  • 同時に排気温度が上がり温度センサーが稼働し易くなる。温度センサーは調整に技術が要するので、トリップを恐れ温度センサーを外すケースがあり、結果「安定」を損ねる。
  • こうなるといよいよ、強靭な4CX1500Bを使い、ブロアを増強し、電源増強に至る。
  • これは最早30S-1と言えるのであろうか? 1.5KWが目的ならHenry 3K-CXでも使えば良いのではないか?

 また、30S-1(一般的なアンプも含め)の、チューニングのノウハウが述べられている。(詳細は原文を参照されたい)

  • まずはエキサイターのチューニングを取る。
  • エキサイターのキャリアレベルを絞り、PLATE、LOADのつまみをプリセット位置(初めて使う場合は、PLATEはバンド表示の中央、LOADは反時計回りに回し切った位置)にセットする。
  • エキサイターのキャリアレベルをIPが少し上がる程度に上げ、素早くIPのディップを取る。
  • 以降、キャリアレベルを少しずつ上げ、IPのディップを取る操作を最大出力まで繰り返す。
  • アンプを利用するときは、最大出力より少し下がった出力で利用できるようにエキサイターの出力を調整する。出力調整が出来ない古い機械をSSBで使う場合は、エキサイターのアイドリング電流を調整して、出力を下げる(32SやKWM2の場合は、40mAから50mAとする)。

原文:http://www.collinsradio.org/wp-content/uploads/2012/04/Tuning-the-30S-1.pdf 

 

868.送信復旧が遅い 2020年9月26日

 32S-1を例にとり部品のチェックポイントを紹介してきたが、可能性として516-F2の中圧整流管(V2:5U4GB)がぼけているとこの症状が発生する事が有るらしい。チェック項目の一つに追加すると良い。

 

869.モニタースコープ(4) 2020年10月3日

 モニタースコープの有用性を紹介してきたが、従来のモニタースコープは中古市場で見つけるしかなく、場合によってはメンテナンスを必要とする場合があり、ハードルが高い人もいるであろう。この場合、Micigan州にあるTelepost社から発売されているデジタルモニタースコープLP-500はどうか? $650と少々高いが、最新技術を導入していて、従来の物とは一線を画す。詳細は同社のサイトを参照されたい。
 http://www.telepostinc.com/LP-500.html

 また、エンベロープを抽出するデモジュレーターやサンプラーも最新の物が有るので同時に紹介しておく。
 https://preciserf.com/product-category/monitors/
 http://www.cleanrf.com/

 

870.30L-1を正しく知る 2020年10月10日

 この度、CCAのWEBサイトに「What to expact to 30L-1」というタイトルの小論文が掲載された。直訳すると「30L-1にどれだけ期待すべきか」つまり「30L-1を正しく知る」である。今まで「30L-1は80W以下でドライブすべき」とか、「700W出力で長年使っているが問題ない」とか、30L-1に対しては種々の意見が呈されている。それでは、どれが正しいのであろうか? 確かに30L-1はコンパクトで静かなアンプだけに、デリケートなところがあり、少しでも長くキャリアを入れると811Aが赤熱する事はユーザーなら誰でも理解している。この点を踏まえたうえで、入出力の関係、出力と歪みの関係を、この論文では述べている。英文であるが最後にグラフがあるので、直感的に理解は出来るであろう。30L-1のオーナーは是非、参照してほしい。
 http://www.collinsradio.org/wp-content/uploads/2020/08/What-to-Expect-from-the-30L-1.pdf

 

871.30S-1の電源(3) 2020年10月17日

 30S-1の電源は中点付きの230Vと特殊である。つまり、115V−0V−115V(両端で230V)が必要である。200Vからステップアップする中点付きの特殊トランスが有ればベストだが、容量も大きく高くつく。この解として、一次:200V、二次:115Vで二次側を短く配線する方法を「30S-1の電源」で提案したが、その他の方法として、一次:100V、二次:115Vの汎用のステップアップトランスの一次側をシリーズに接続、二次側もシリーズに接続、接続点を中点として利用したらどうであろうか? 米国で電化製品を使用する時の汎用トランスを利用できるので、廉価な解決策となる。

 

872.6DC6(2) 2020年10月24日

 なぜ、75S-XはRF段に6DC6を使ったのかという議論がまた起こっている。背景には「413.6DC6」で述べた供給不安が有るからだろうか? コリンズはRF段の飽和による歪み発生を抑えるために、RF段にもAGC掛けている。AGC電圧によるRF段のゲイン制御を確実にするためにリモートカットオフ特性を持つ真空管を採用する。シャープカットオフではカットオフ領域で歪みを発生しスムーズな制御が出来ない。例えば、R-388はリモートカットオフ管6BA6が使われているが、概ねAGC電圧1Vあたり2dBのゲイン制御をしている。R-388は3ステージに6BA6が使われているので、トータルで120dBのゲイン制御をしている。これはSメータの正確な読みにもつながる。一方、6DC6はリモートカットオフとシャープカットオフとの中間の特性を持つが、コリンズは回路構成にかかるコストや使いやすさで採用した。これを6BA6にしたらどうなるであろうか? 全体のゲイン配分やAGC回路との整合性に問題が発生し、Sメーターのリニアリティーが損なわれたり、歪みが発生したりするであろう。75A-4でよく見る改造である、gmが大きい6GM6に交換する例がこれに当たる。この様にオリジナルの設計変更は常にリスクが伴うものである。

 

873.受信機の特性(3) 2020年10月31日

 種々のメーカーの受信機の特性を一覧で発表しているサイトとしてはSherwood Engineering Incが有名だが、その他次の様なサイトもある。セカンドオピニオンとして見てみると良い。また1番目のサイトは可成り細かい比較がされており、また別の趣で読める。

 http://www.w1vd.com/BAreceivertest.html
 http://www.w1vd.com/BAdynamicrange.pdf

 

874.真空管試験機 2020年11月7日

 真空管試験機は実際の真空管回路に近似した回路で測定、真空管の良否を表示するものである。しかしながら、実回路とは異なるので、真空管の本来の良否は差し替えをしないと正確には判断できないと言われている。この為、真空管販売をするならともかく、修理では真空管の差し替えをすれば良いので、真空管試験機の必要性をあまり感じない。とは言っても、気になる機械だ。真空管測定機を大別するとエミッション測定機、gm測定機になるが、エミッション測定機は廉価で簡易だが良否判定の精度が悪く、或る程度の精度を求めるならgm測定機を使用する必要がある(曖昧な表現だが、この点が真空管試験機の位置づけが今一つ明確にならない一因である)。エミッション測定機は簡易な事もあり、種々なメーカーから発売されている。Heathkitも出している。gm測定機で有名なメーカーとしてはHickokがある。最近はオーディオ愛好家の間で人気があり中古市場の価格が高騰しているTV-7も同社の製品である(10万円を軽く超える値付けがされている)。以下にHickok製品の比較、動作原理解説のサイトを紹介しておく(英語)。これを読むとやはり欲しくなる。

製品比較: http://tubewizard.com/recommended_Hickok_testers.htm
動作原理: https://pavekmuseum.org/Hickok.html
動作原理: https://irp-cdn.multiscreensite.com/d8d319a5/files/uploaded/Hickok%20DMC%20Tube%20Testers.pdf

 

875.516F-2の電源電圧の安定化 2020年11月14日

 いままで516F-2に関しては種々記載してきたが、電源電圧安定のための改造に関して書かれたサイトがある。ソリッドステート化の方法と電源電圧の関係、ヒーターの電圧安定化、送受信切り替えに伴う電圧変動等、多岐に亘り記載されている。下記のURL先を参照されたい。(英文)

 http://www.collinsradio.org/wp-content/uploads/2018/10/516F-2-Article-Weber-K5IU.pdf

 

876.高圧フィルターコンデンサーのリーク測定 2020年11月21日

 516F-2の高圧回路や30L-1の電源に使われているフィルターコンデンサーのリーク測定は、「426.コンデンサー・チェッカー」で紹介の通り、低圧では精度が悪く、或る程度の電圧が掛けられるコンデンサー・チェッカーを使う必要がある。ただこの類のコンデンサー・チェッカーを持っている方は少ないのではないか。この代替手段として、コンデンサーに直列に抵抗を挿入し、その両端に発生する電圧でリーク電流を測定する方法がある。この方法では実回路で使われる電圧が掛かるので、正確な測定が出来る。例えば、30L-1の電源コンデンサーは両端に400V程の電圧が掛かるが、47KΩ5Wの抵抗を挿入し、その両端の電圧が(抵抗での電圧ドロップが)50Vだったとすると、リーク電流は1mAなので、コンデンサーのリークは少なく良好と判断できる。

 

877.長期保管後の機械の起動 2020年11月28日

 以前、長期保管後の機械の起動は60W位の電球を入れてすると、焼損等の事故を回避できると書いたが、科学的な方法でアプローチするには次の方法をとると良い。スライダックスと交流電流計を準備し、電流を見ながら徐々に電圧を上げて行く。これで異常電流を監視しながら起動が出来る。私は常にこの方法で実施している。また急に電源フューズが飛び、原因が特定できない場合も一旦はこの方法である程度電圧を上げながら各部の点検をするケースもある。意外と応用範囲は広い。

 

878.真空管の電圧 2020年12月5日

 真空管のフィラメント電圧が5%下がると真空管の寿命が2倍となると言われている。それでは、可成り下げたら半永久的に使えるか。カソード表面にはベリューム(Be)がコーティングされていて、その表面は酸化ベリューム(BeO)となり、電子が放出される時にBeを崩壊しない様に保護している。ヒーター電圧が低いとBeOが形成されにくくなり、Beが崩壊する。これが進むと電子放出がされなくなる。これよりヒーター寿命とカソード崩壊のバランスが重要となる。長期間の利用において、ヒーター電圧の−5%が限界点と言われている。物には限度というものがある。

 

879.真空管の冷却 2020年12月12日

 30L-1を酷使する場合にFANを追加装備する事が有る。トランスや抵抗を冷却するのは意味が有るが、811Aを冷却するのは意味がない様だ。811Aの様なガラス管を必要以上に冷却してもガラスエンベロープの温度が下がるだけで、肝心なアノード温度は下がらず、結果、真空管を保護する事は出来ない。定格通りに使用している811Aの冷却は風が流れる程度で良いというが納得が出来る。セラミック管はジャケットを冷却する事によりアノードを冷却出来るので、風量が冷却のポイントとなる様だ。W8JIのサイトにこの事が詳しく解説されていて、これ以外にも「オリジナルのエアフロー設計を乱す改造は百害あって一利なし」等の解説があり参考になる。

  https://www.w8ji.com/al811h%20fan%20speed.htm

 

880.EV-664 2020年12月19日

 コリンズ愛好家に人気が有るエレクトロボイスのEV-664は2種類ある様だ。ピーダンス切り替えをトランスでしているタイプとコンデンサーでしているタイプ。コンデンサーで実施しているタイプはコンデンサーの劣化に注意が必要である。マイクを開放してトランスが無い場合はコンデンサーを探し交換したほうが良い。これで音質が改善されることもある。早速チェックしてはどうか?

 

881.redpitaya 2020年12月26日

 今や実用的なSDRとして人気を博しているredpitaya(レッドピタヤ)であるが、実はこのデバイスの魅力はSDRだけではないく、無線機いじりには欠かせない次の測定機器の機能を備えている(オプションにより異なる)。オシロ、SG、スペアナ、LCRメーター、ネットアナ。その他にも、ロジアナ、開発機能も備えている。今後、FPGAを活用したこの様なデバイスには目が離せない。同製品のサイトのURLは以下の通り。

 https://www.redpitaya.com/

 

882.World Radio History site 2021年1月2日

 コリンズ品質標準書等の無線に関する書物がスキャンpdf化され、掲載されているサイトが有る。なかなか素晴らしい品揃えである。一度見てみたはどうか。

 https://worldradiohistory.com/BOOKSHELF-ARH/Bookshelf_Technical.htm

 

883.KWM-2のキャリブレータ 2021年1月9日

 KWM-2のキャリブレータの信号強度の目安が掲載されていた。但しこれはコリンズの標準ではなく良く調整された実機での測定値である(S表示ではなく IP目盛りで表示されている)。参考にされてはどうか。

Cal. at 3.7 MHz = 220 mA.

Cal. at 7.1 MHz = 200 mA.

Cal. at 14.1 MHz = 180 mA.

Cal. at 21.1 MHz = 150 mA.

Cal. at 28.1 MHz = 130 mA.

 

884.651S-1のクリック音を消す 2021年1月16日

 615S-1はメインダイヤルを回すとクリック音を出しながら周波数が変化する。微妙なチューニング時には便利だが、耳障りになる時もある。これを消す簡単な改造がある。 Regulator (A1) cardのR27を外す。簡単に元に戻せるように片方の足を基板から浮かせるとよい。

 

885.ケーブル引き回しの注意点 2021年1月23日

 312B-4は背面にマイク出力があるので、PJ-068プラグが付いたマイク出力をRCAで出せる便利な使い方が出来る。この為、コリンズ用マイクにリミッターなどの外部装置を付けるのに便利である。ただ配線には注意が必要である。マイクラインを引きまわすので、RFラインのケーブルと平衡に配線すると、思わぬ回り込みが発生する。高インピーダンスのオーディオラインとRFラインは相互の位置関係に気を遣う必要がある。

 

886.OAKスイッチ(5) 2021年1月30日

 これまで既に入手が困難なOAKスイッチが壊れたときの対応方法について書いたが、代替品となりそうなスイッチの情報が書かれていた。CTS社のTGCという品番のスイッチである。次のリンク先にデータシートがある。

CTS 450 Series (drtube.com)

 

887.LOAD調整 2021年2月6日

 Sライン等のLOAD調整回路は良くできている。良く調整された機械で整合が取れたアンテナを使う場合は、50Ωの印に合わせて置けば、PLATEを調整するだけで良い。LOADの調整点はGRIDが流れ始めるDRIVEレベルで、PLATEのディップ点が230mAとなる様にする。ここで定格出力が出るはずである。では何故LOADを50Ωの印に合わせるだけで良いか? LOADバリコンには並列に各バンド毎にトリマーコンデンサーが挿入されていて、予めLOADつまみを50Ωに合わせ、上記の条件となる様に調整する事により、以降は50Ωの位置から動かさずに済むようになる。常用のアンテナで、LOADをINCREASEの方向に回し上記の調整点が得られる場合、50Ωの位置より若干容量が抜けた位置となるので、該当のバンドのトリマコンデンサーのネジを左に回し容量を抜けば良い。なお、21MHzと28MHzはトリマーコンデンサーが共用になっているので、妥協点を探す必要がある。

 

888.マイカコンデンサー 2021年2月13日

 ディップド・シルバー・マイカコンデンサーの劣化は湿度にされたれた状態でDC電圧がかかると長い間に少しずつ進む。これはSilver Migrationと呼ばれる現象である。この状態が続くと、電極の金属がイオンとして溶出して短絡を起こす。これはコンデンサーに限らず種々の部品でこの現象が発生し、不具合の原因となる。これを防止するためには、パッケージを厳重にする必要がある。近年のシルバード・マイカ・コンデンサーはエポキシ樹脂の厳重なパッケージとなりこの発生が抑えられているが、昔のものはこの問題がある。メンテナンスではこれを心得ておくと良い。

 

889.メンテナンス用語 2021年2月20日

 CCAのMLを読んでいると、彼らが良く使う独特な用語が有る。これらの一部を紹介しておく。

  • NIB: New In Box の略で、「箱入新品」という意味。日本でも時々使われている
  • NOS: New Old Stock の略で、「新古品」という意味。最近は日本でもオークションよく使われる。
  • ea: $10 ea. という使い方をされ、each の略で、「単価」という意味。
  • IMHO: In My Humble Opinion の略で、「私のつたない意見としては」という意味。
  • 2 Cent: IMHOと同様な意味で使われ、「2セント位しか価値がないかも知れない意見だが」という意味。アメリカ人も結構謙遜はする。
  • FS: For Sale の略で、「売ります」の意味。主題に「FS : KWM2」という使い方がされる。
  • WTB: 上記と同様な使い方で Want To Buy 「買います」の意味。
  • Gone to south: 直訳は「南に行ってしまった」だが、意味は「壊れた」となる。
  • et al: ラテン語の et alii で「その他の方々」の意味。
  • Unobtainable: 「入手しがたい物」という意味の通常の英語だが、「残念!」という独特の感慨がある。例えば、KWM2の電源スイッチがそうである。

まだ沢山ありますが、今回はここまでとしておきます。

 

890.ガラス管Fuse 2021年2月27日
 我々のColinsの機械を始め、米国製のボートアンカーに使われている機器には3AGというタイプのガラス管Fuseが使われている。サイズは6.3×32mmである。よく、外寸で近しい日本の規格のガラス管Fuseを使用するケースを見るが、日本のものは6.35mm×30mmと若干短く、Fuseホルダーの状態によっては接触不良を起こすので注意が必要である。ガラス管Fuseの良い所は、Fuseの状態が一目瞭然で、不良となった場合も工具を使わずに交換でき、種々の電流容量の物が同サイズで得られる。しかし、最近の機器大きなにはこのサイズは合わず、表面実装タイプのセラミックFuseが使われることが多くなった。セラミックが積層構造等、特性が違う製品が7タイプある様だ。いつの日か3AGタイプのガラス管ヒューズも入手が困難になる日が来るだろう。

 

891.フィルターのソケット 2021年3月6日
 75S-3等に使われているIFフィルターのソケットが接触不良になり交換する場合は、昔使われていたTO-3型のトランジスタソケットを使うと良い。このソケットその物だと言われている。

 

892.フィルターカバー(4) 2021年3月13日
 75S3のフィルターカバーは電源トランスからのフラックスを遮断しハムを防止すると説明したが、そもそもフィルターカバーが付かない75S3もある。75S1などフィルターがシャーシーの裏側に付いているものは良いが、シャーシーの上面に付いている場合は必要がないか? 実は75S3はSB1でゲイン配分が変わり、フラックスを拾いやすくなったため、フィルターカバーを付けた様だ。この為、フィルターカバーが付く様になっているにも拘わらず付いていない場合(取り付けポストだけある場合など)以外はフィルターカバーは不要である。

 

893.クリスタルの調達先(6) 2021年3月20日
 イギリスにあるクリスタル調達先を紹介する。コリンズのクリスタルを指定すれば良いとの事。プライスリストを見て頂きたいが、安い。
 QuartSLab:www.quartslab.com

 

894.クリスタルの仕様 2021年3月27日
 今まで6回に亘りクリスタルの調達先を紹介してきたが、他にも調達できるところはあるはずだ。この様な時に、次のクリスタルの仕様を伝えると使えるものが調達できる。
  • Sライン、KWM2 :HC-6/U 20pF
  • 51S-1       :HC-49 32pF

 

895.セレン整流器の取り換え 2021年4月3日
 初期型の516F-2や30S-1に使われているセレン整流器はさっさと交換したほうが良い。壊れない限りは交換しない、というポリシーも有るが、こればかりは違う様だ。セレン整流器は下記の様な問題がある。
  • 正方向の電圧降下が大きい。これは損失が大きく発熱が大きいことを意味する。
  • 寿命が短い。このため、壊れてトランス等に思わぬ影響を及ぼす事が懸念される。
  • 毒性が有るセレンやカドミュームが使われている。焼損時等に毒性が有る臭気を発する。
  • あえて同等品に交換するとしたら、入手に苦労し高い価格を受容する必要がある。

 それでも外観上の配慮から使う予定の方は、既に紹介した、内部にシリコンダイオードを組み込む手法を検討してみてはどうか。

 

896.PTOのレストア(2) 2021年4月10日
 PTOのレストアに挑戦しようと思われる方に、そのポイントを紹介する。
  • まず交換を考える部品としては、C306C309C307C310CR301 (1N4454に交換)
  • PTOからの細い同軸ケーブルは古くなるとショートや接触不良が発生するので交換したほうが良い
  • スパイラルが切ってあるシャフトを清掃してグリスを塗布する(過剰にならない様に)
  • 内部の汚れを清掃する
  • 内部が狭いので配線がショートする可能性が無い様に、爪楊枝などで配線の間隔を調整する。
  • その後、組み立ててテストするが、問題が解決しない場合は、C302 (1000 pf dipped mica)C303 ( 3000pf dipped mica)を交換してみる。

 

897.Sメータのドリフト(4) 2021年4月17日
 ドリフトの原因の一つにSメータ0調整のボリュームがある。とてもクリティカルで、ガリオームが発生していると調整がままならない。一つの解決方法として、適当な値の抵抗を直列に入れて使用する抵抗体の場所を移動し、ガリオームの部分を回避すると良い。

 

898.真空管データーシート(2) 2021年4月10日
 最大級と言われている真空管データシートのサイトを紹介する。真空管の型名の右にある小さな真空管の記号をクリックするとデータシートに飛ぶ。JANの型名もある。TOのレストアに挑戦しようと思われる方に、そのポイントを紹介する。

 https://frank.pocnet.net/vademecum0.html

 

899.30L-1のグリッド抵抗(2) 2021年5月1日
 よく話題にされるグリッド抵抗だが以前書いたように、47Ω1W偏差10%以内の金被抵抗が良い。この抵抗の働きは万が一811Aがプレートタッチを起こした場合に焼損し、トランスを保護する役割が有る。もう一つの大切な役割として811Aのバラツキを吸収する機能がある。この為、抵抗値、ワット数、偏差はきちっと守べきである。

 

 

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