75S-3のフィルターカバーの作成

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 75S-3はメカフィルが電源トランスの横に付いているので、電源トランスのフラックスの影響を受けないように、磁気シールドをするフィルターカバーが取り付けれている。このカバーは透磁率が高い(ハイμの)素材で作られている。しかし、初期の機械やカバーが外されている機械では、電源トランスからのフラックスの影響でCWのトーンがハムっぽく濁る。以前はカバーのレプリカが販売されていたが、今は見当たらないので、この対策としてカバーの試作を行ってみた。

1.素材の選択

 次の素材で試作し性能を比較してみた。
  • 銅版
    半田が載りやすくカバー(箱)を作る点では良いが、ハイμではないので、フラックスの遮蔽効果は殆ど無かった。なお、高周波遮蔽の目的には良い素材である。
  • トタン板
    銅版よりハイμで、半田付けもし易いが、結果としてシールド効果は高くなく、若干ハムが減る程度であった。
  • スキミング防止カード
    一般的にラミネート加工等の軟らかい素材が多く加工がし易い。ハイμの製品も売られているので、良い効果が見込まれる。

銅板で作ったカバー


2.スキミング防止カードの選び方

 数百円〜1万円と価格レンジが広く、選択に迷う。選ぶポイントはハイμで低周波まで磁気シールド効果がある素材が使われていること。中には10MHz以上の遮蔽を目的とした製品もあり、ハムが関与する低周波での効果が低いと思われる。

 今回選んだ製品は右の写真のものでラミネート加工がされていて加工がしやすかった。公称の低周波磁気シールド特性は必ずしも良くないが、結果として満足行く結果を得た。他にもっと良い製品があると思われるので探してみるとよい。値段は千数百円と手ごろであった。


3.形状の決定
  • 当初、オリジナルカバーと同じ形状(上の写真の銅板で作ったカバーの形状)のものを作成したが、余り効果が無かった。
  • 種々試行の結果、右の写真のメカフィルの外寸に合わせた形状で良い結果を得た。
  • 加工はカードを適当な大きさにカットして接着しただけ。

4.使用結果
  • オリジナルカバー(ハイμ金属板使用)と遜色なくハム音を減らす事が出来、効果は高かった。
  • 但し、メカフィルのムーブメントの近傍に磁性体を置くので、メカフィルの損失が増大し、信号が針の幅1個分(0.1dB程度?)減衰した。
  • マウントはメカフィルへ被せるだけなので外れやすく、フィルター押さえバー等で(カバー用の長いポストが有る場合は短いものに交換してフィルター押さえバーを取り付けて)、押さえる必要がある。