メンテナンスのヒント集

[目次] [1-99] [100-199] [200-299] [300-399] [400-499] [500-599] [600-699] [700-799] [800-899] [900-999] [1000-]
Top > コリンズのメンテナンス > メンテナンスのヒント集
 
【掲載ポリシー】
  ・ 「CCAメーリングリスト」に掲載されている情報を紹介します。
  ・ 情報は内容をそのまま翻訳するのではなく、筆者が理解して筆者の言葉で掲載します。
  ・ 出来るだけ数多くの情報を「紹介」したいが為に、実験などは
未検証のまま掲載するケースもあります。
  ・ コリンズの機械の中でポピュラーなKWM-2、Sラインを中心に掲載します。

 

100.HP-410C 2007年3月10日
 コリンズのメンテナンスの話には、HP-410Cが良く出てくる。これは60年後期に発売されたHPのVTVMで、未だに人気がある。電圧増幅器には真空管を使用していて、後期型のものは半導体化されている。通常の保守では、正確な電圧測定よりはむしろ、電圧を最大にする等の相対的な測定が多いので、オシロ程度で済ませてしまうが、受信機のレベル調整等で電圧の絶対値の測定が必要な場合は一台欲しくなる。オークションで良く見かけるが、日本では高いので手が出ない。因みに、緒元は次の通り。

Input 10 Mohm / 1.5 pF
AC 0.5 V - 300 V (7 ranges) 20 Hz - 700 MHz.
DC 15 mV - 1500 V (11 ranges)
DC 1.5 μA - 150 mA (11 ranges).
10 ohm - 10 Mohm (7 ranges).

HP-410Bという型のVTVMもあるが、これは50年代に発売されたモデルで、HP-410Cと同様な諸元である。

 

101.ネジ固定のノブ 2007年3月10日
 SラインやKWM2では、ネジで固定されているノブと固定されていないノブがあるので、ノブを抜く時には不必要な力を掛けない様に注意したい。ネジで固定されているノブは、ノブの側面に穴が空いているので見れば分かる。ブリストル・レンチでネジを外す。ネジで固定されていないノブは、ノブの中に入っている板バネで固定されていて、引っ張ると抜ける。板バネを無くさない様に気をつける必要がある。外れ難い場合は、パネルを布等で保護した上で、マイナスドライバーをパネルとノブの間に指しこみ、テコの応用で外すと良い。機械によりノブが交換されている場合が有るが、ネジで固定されているノブの場所は、KWM-2A、75S-3Bでは次の通り。

【KWM-2A】

  • BAND、メインダイヤル、ヘアライン調整、クリスタル・バンク切り替え

【75S-3B】

  • BAND、メインダイヤル、ヘアライン調整、AF/RF GAIN、BFO、REJECTION TUNING

 

102.KWM-380 キーパッド 2007年3月10日
 KWM/HF-380のオリジナルのキーパッドは、Surplus Sales of Nebraska未だで入手出来るが、現品限りになってしまった。この代替品がPipo Communications社とから販売されている。価格は、オリジナルの半額であるが、外見は異なるので、機能重視と考える必要がある。

 

103.高圧整流管 2007年3月17日
 30S-1やKWS-1の高圧整流は866Aや3B28(DCX4/1000)といった整流管が使われている。これを、信頼性が高いダイオードに交換する事が良く行われている。特に、866Aは十分な余熱時間が必要なので、ダイオードにすることにより、この煩わしさから開放される。このダイオードは、4ピンの足と、アノードピンを持っているので、そのまま差し替えられる。1N2637が有名だが、S5130、ED8805、SA7217も使えるとの事。

 

104.30L-1の入力回路の測定 2007年3月17日
 30L-1の入力回路の調整を30L-1を稼動させずに出来る方法がある。この方法を採ると、じっくりと調整が出来るので便利である。最初に、必ず30L-1の電源コンセントを外し、絶対に電源を入れないで下さい。811Aのヒーターとシャーシの間に、470Ωか560Ωの抵抗を接続する(4本個々に)。アンテナリレーは何らかの形で、オペレーと同様な状態とする(これをしないとスルー状態になる)。この状態で、アンテナアナライザーを使い、入力のSWRが最低になる様に入力回路のコイルを調整する。

 

105.メータのくもり 2007年3月17日
 メータの内部に水蒸気が付着して曇る事があるが、メータをドライヤーなどで暖めて水分を飛ばそうとしても直らない。これは、メータの前面ガラスの内部が汚れている事が原因だ。メータ内部がパイロットランプで暖められ外部より温度が高くなると、温度が低いガラス表面では汚れを核として水蒸気が凝結する。これを解決する為には、メータを分解してガラスの内部を綺麗に拭く以外にはない。

 

106.パンチングメンタルのパターン 2007年3月23日
 516F-2や312B-4のフロントグリルはパンチングメタルなので、交換部品は市中で調達できる。但し、パンチングのパターンを気を付ける必要がある。丸穴であるが、一つの穴の回りに、何個の穴が空いているかがポイントとなる。コリンズのグリルは60度おきに6個穴が配置されている、いわゆる千鳥抜きというパターンである。その他に、4個や8個のものがある。良く見ないと違いが判らない様に思われるが、全体の雰囲気が異なってしまう。

 

107.PTOの6AU6に注意 2007年3月23日
 今更言う事も無いが、SラインやKWM-2をケースから出し、シャーシを上向きにして置くと、PTOの真空管である6AU6が僅かであるが出っ張る。この為、机の上に置いてメンテナンスをしていると、6AU6に力が掛かり壊す事があるので注意が必要だ。柔らかいタオルなどの上に置くと、タオルのデコボコがシャーシを若干ながら持ち上げ、6AU6が引っかからない。

 

108.30L-1のダイオード・ボード(2) 2007年3月23日
 「72.30L-1のダイオードボード」で30L-1に搭載する、アップグレードされたダイオード、コンデンサがインストールされたボードの紹介をしたが(WN4I、K1ROD製作)、それ以外に W6BN、Bill が同様のボードを作ったとの事なので、紹介しておく。詳細は彼のサイトを参照されたい。

 

109.コリンズ結び 2007年3月30日
 配線をバインディングする時の結び方に、コリンズの流儀がある。某氏はCollins Knot(コリンズ結び)と言っている。紐を2回ハーネスに巻きつけ、結び目の所で両端をクロスして結ぶ。ただ、これだけだが、覚えておくとオリジナリティーを損なわずにレストアが出来る。

 

110.IPメータの精度 2007年3月30日
 送信電力をモニターする大切なプレート電流計の精度は、日ごろ余り気にしていないが、プレート電流計の分流抵抗の値が経年変化して、読みが変わることがある。正常な6146を使った場合、次の手順でチューニングすれば、概ね説明通りの出力とプレート電流の読みが得られるはずである。これが大きくずれている場合は、読みの精度を疑う必要が有る。この場合は、分流抵抗R161を交換する必要がある。なお、R161は機械により適当な値が選択されていて、その値の選択方法はマニュアルの4.7章に説明されている。
  1. メータスイッチをGRIDにし、EMISSIONをTUNEにして、EXEITER TUNINGでGRIDの読みを最大にする。
  2. EMISSIONをLOCKにして、GRIDが僅かに振れる様にMIC GAINを調整する。
  3. メータスイッチをPLATEにして、P.A.TUNINGを調整してメータ読みがディップする点を見つける。
  4. LOADでIPが増加する様に調整する。
  5. 3.4.を繰り返して、メータ読みがディップする点でIPが230mAになるように調整する。
  6. この時の出力が80Wくらいになる。

以上は、KWM-2の場合の説明であるが、32S-Xでも同じ事が言える。

 

111.75S-3Bと75S-3Cの相違 2007年3月30日
 「12.32S-3Aのコンバージョンキット」で、32S-3と32S-3Aの相違点に触れたが、WB4HFN Ron Baker のサイトに75S-3Bと75S-3Cの見分け方が詳しく載っている。以下はその要点。
  1. PRESELECTOR目盛りの太さ:3Bは細い。3Cは太い
  2. エスカッションプレートの型式表示:75S-3Bと75S-3C
  3. シリアル・ナンバー:3B、3C各々にシリアル・ナンバーの系列がある(「18.シリアル番号」参照)
  4. バンド表示の印刷場所:3Bはフロントパネルに直接印刷されている。3Cはフロントパネルには印刷されていなく、エスカッションパネルに印刷されている。
  5. クリスタル・バンク(ソケット)の位置:3Bをコンバージョンキットで改造すると#1(ハムバンド用)が上、#2(追加用)が下。3Cは#1が下、#2が上。
  6. シャーシの部品ナンバー:シャーシにスタンプされている、若しくはシールに印刷されているナンバーで、3Bは522-3316-000、3Cは522-3317-000

 なお、1、3は稀な例外があり、2は交換可能なので、注意が必要。

 

112.75S-3D (エイプリル・フール) 2007年4月1日
 http://www.btinternet.com/~henryflewis/

 

113.コリンズの価格 2007年4月7日
 メンテナンスの話題からは外れるが、516F-2の価格は、61年には$114であったが、77年には$440になった。これを考えると、現在の中古市場の価格は如何なものか・・・等と考える参考となる価格情報がWB4HFNのサイトに掲載されていると紹介されていた。

 

114.PAの覗き穴 2007年4月7日
 日頃のレストアの話題とは少々かけ離れているが、KW-1や30K-1等の40年代の送信機では、送信管の覗き窓が付いている。これは、送信管の輝きを楽しむ為ではなく、送信管の可動状態を目視で確認する為のものらしい。牧歌的な感じもするが、機械とのコミュニケーションがしっかりと取れ、安心感がある。それに引き換え、半導体の機械は静かに逝ってしまう事があり、コミュニケーションが下手な都会人の孤独死をも連想する。それにしても、KW-1は大陸間の輸送費を含め$30,000は下らず、しかも非常に希少で、夢のまた夢の機械であろう。

 

115.30S-1の電源 2007年4月7日
 30S-1を所有した時にまず悩むのが電源だ。以下にその方法について考察する。
  • 1次:AC200V、2次:AC230Vのトランスを使用==>AC115Vが必要、NG
  • 1次:AC200V、2次:中点付きAC230V(115V−0−115V)のトランスを使用==>OK、特殊
  • 1次:AC200V、2次:AC115Vのトランスを使用==>OK、2次側の配線は太い線で短くする必要あり
  • 1次:AC200Vのスライダックを使用する==>OK、2次側の配線は太い線で短くする必要あり
  • 1次:AC100V、2次:AC115Vの容量が大きいトランスを使用==>1次がAC100Vで1KW出力にはNG
  • 1次:AC100V、2次:中点付きAC230V(115V−0−115V)のトランスを使用==>(同上)NG
  • 1次:AC100Vのスライダックを使用する==>(同上)NG

 

116.PM-2 2007年4月14日
 PM-2はKWM-2の後ろに取りつける半導体の電源装置だが、後ろに取りつけた場合はKWM-2のコネクター類が隠れて使えない。これを別置きにしてケーブルで接続すると、この不便さが解決する(ケーブルについては、「58.516F-2との接続ケーブル一考」を参照)。また、32S-3でも問題無く使える。32S-3はKWM-2より消費電力が小さいのでむしろ、適しているのではないか。PM-2は516F-2の半額程度で見つかるので、実用的な電源装置だと言える。外観が気になる場合は、中の回路をシャーシーに組み付け、レプリカの516F-2のケース等に入れるのも良い。

 

117.メーターのガラスが割れたら 2007年4月14日
 メーターのガラスを割ってしまった事がある。ガラスが緩んでいたので、メーターを分解して内部のガラスを固定するリングをガラスに押し付けて直そうとした時に、リングが動かなかったので、必要以上の力を掛けたらガラスが割れてしまった・・・。この様な時はどうしたら良いか。メーターのガラスは1mm程度と薄くて特殊なため、ガラス屋では扱っていない。これには、写真立てのガラスを使用すると良い。安価な写真立てを購入して、ガラス屋に持ち込み、カットしてもらう。メータの交換品は送料込みで10K円以上はするので、非常に安く済む。

 

118.ペイントの下地 2007年4月14日
 「49.ペイント」でコリンズのペイントを紹介し、下地はそのままにして上塗りした方が良いと書いたが、全て剥がして塗り直しをする場合は、プライマーから塗る事をお奨めする。アルミのプライマーは、ジンク・クロメート・プライマーという、クロム酸亜鉛のプライマーを使う。SME社製 Self Etching Primer という製品が紹介されていた。Surplus Sales of Nebraskaでも同様なプライマーが販売されていた。国内で調達する場合は、検索エンジンで「ジンククロメート プライマー」と入れると、種々のサイトがヒットするので参考にされたい。  (※)有機溶剤を含む製品は海外発送をしない場合があります

 

119.上蓋に付いた円形の汚れ 2007年4月21日
 75S-Xの上蓋の下部には、円形の汚れが付いている。これは、オーディオ段の6BF5から発せられる熱により、埃が焼きついたものである。32S-XやKWM-2のファイナルBOXの上にも付いていて、なかなか取れない。そこで、某氏は何か得策は無いかとMLに問うた。しかし、妙案はなさそうで、曰く、円形の汚れはコリンズを真に愛している証拠である・・・と。

 

120.KWM-2の発振 2007年4月21日
 KWM-2や32S-Xで共通する問題だが、3.5MHzや7MHzのローバンドで、寄生振動を起こす場合がある。プレートバリコンの位置に関係無く、大きなIPが流れる症状が起きる。種々の原因が考えられるが、多くの場合は、シャーシ下部に付いている、バンド切り替えスイッチ回りを覆っているカバーのシールド不良が原因だ。カバーとシャーシの接触部分を磨くと解消する。手順は、
  • バンド切り替えノブの裏に付いているリンクのブリストルを緩める。
  • グラス・ファイバー製のシャフトをシャーシ後方の穴から引きぬく。
  • 個々のシールドケースの取りつけネジを緩め、ケースを外す。
  • シールドケースのシャーシとの接触部分をピカール等で磨く。

 

121.811Aのベースの緩み 2007年4月21日
 811A等のGT管のベースは、長年の熱により接着が悪くなり、緩む事が有る。この場合は、耐熱接着剤を使うと良いとの事。耐熱接着剤は、セラミックなどの無機系、エポキシなどの有機系があり、無機系は1000℃以上の耐熱性があり、有機系は数百℃程度の耐熱性で、有機系の方が扱いやすいとの事。製品例として紹介されていたのは、Black Furnace Cementという製品で耐熱上限は1000℃程で、無機系だが使いやすいとの事。「耐熱接着剤」で検索し、日本のサイトを探してみるのも面白い。但し、高価で、新しい真空管を買う方がよっぽど安い様に思われた。

 

122.真空管のグロー 2007年4月27日
 一般的な話題かもしれないが、真空管が紫色やピンク色に発光している場合がある。この発光は、問題がある場合と問題が無い場合がある。紫色の光がガラスケースの近くから発光している場合は、真空管内部(ガラス、プレート、マイカスペーサー)の不純物(コバルト等)の迷走電子から発せられる光で、問題は無い。ピンク色の光が極間から出ている時は、真空管内部の真空度が落ちて空気の分子が高電圧によりイオン化し光を発している為で、真空管の交換を要す。

 

123.トリマーのくっ付き 2007年4月27日
 トリマー・コンデンサがくっ付いて動かなくなる場合がある。グリスが硬化する事が原因だと言われているが、この解消法を紹介する。トリマは、セラミックで出来ているので、無理な力が加わると割れる事を念頭に対処することが必要である。絶対に無理にまわしたり、剥がしたりしない事。まず、トリマを外し、洗剤を溶かしたぬるま湯に浸ける。暫くしてから、剃刀の等の薄いナイフの刃を挿しこみ剥がす事を試みる。駄目な場合は、再度トリマーを浸け、再度トライをする。中性洗剤の代わりにアルコール類を染み込ませて良いが、シンナー類は使わない方が良いと言われている。剥がれたら、表面を消しゴムで良くなすり清掃し、極少量のシリコングリスを塗りっておくと、くっ付きが再発し難い。

 

124.516F-2の欠点 2007年4月27日
 516F-2はシャーシ後部の電源ケーブル導入口の近くに、シールド線がグランドに接続されているが、長年の間のケーブルのよれにより接触不良を起こす事がある。この時の症状はヒーターの配線方法により異なるが、例えばKWM-2ではシールド線がヒーターのグランド・リターンとして使われているため、半数の真空管のヒーターが点灯しなくなる。この障害は古くなった516F-2で良く発生するので、516F-2の欠点と言われている。

 

125.接続ケーブル(2) 2007年5月6日
 「17.接続ケーブル」で、Sライン等の相互接続には良質のRG58/Uを使うと良いと記した。更に正確に記すなら容量性でドライブする様に回路設計がされているため、接続ケーブルの容量を規定する為に、4feetで接続する様にと長さが指定されている。特性インピーダンスは余り重要ではない様である。因みに、RG58/Uは特性インピーダンス:52Ω、容量:32pF/1footである。あまり神経質に考える事はないとは思うが、新しくケーブルを作るときには、参考となる。

 

126.Preselector のスリップ改善 2007年5月6日
 SラインやKWM2のPreselectorがスリップしたり、固い事がままある。この場合の改善、調整方法を説明する。
  • Preselectorつまみを引きぬく。
  • スラグ・ラックの後ろ側に付いているBristolネジをロックナットを緩めてから、緩める。
  • シャフトからスラグラックに繋がっている駆動ベルトを注意深くスラグラックから外す。(ベルトを折り曲げない様に注意)
  • シャフトをスラグラックから外す。
  • スラグラックの後ろ側に付いているベアリング、シャフトに付いているベアリング、駆動ベルト回りの古いグリスをKUREエレクトリック・クリーナーなどで綺麗に除去し、良質のグリスを塗る。(クリーナー、グリスに関しては、当サイトのメンテナンスのノウハウ(その1)の「揃えておきたい薬剤」を参照)
  • シャフト、Preselectorつまみを組み立てる。但し、スラグ・ラック背面のネジはこの後の調整のために仮止めする。この時に、シャフトの芯をスラグ・ラック背面のベアリングのセンターに合わせる事。
  • Preselectorつまみを回しながら、Bristolネジを調整し、スリップしない程度に出来るだけスムーズに回る様にする。
  • Bristolネジの位置をレンチで保持しつつ、ロックナットを締める。(ロックナットは余り強く締めると壊れるので注意。180度位まわす程度で良い。)

 

127.HUNTER 2007年5月6日
 メンテナンスの話題ではないが、Hunter Bundit 2000C というリニアがある。これは、3-400Z×2を使っているが、30L-1に良く似たデザインのリニアだと言われている。この会社は、Ted Hunterという元COLLINSの技術者がCeder Rapidsに創立したので、これもうなづける。他に2000A、2000Bという572Bを使ったリニアや送信機、アクセサリーも製造していたとの事。

 

128.ラベル 2007年5月12日
 Sライン等の機械は多数の接続ケーブルを使用するので、ケーブルにラベルをつけておかないと、接続時に不便である。テプラー等を使いラベルを作れば良いが、紙のラベルを印刷し透明なテープでカバーする方法もよく取られる。K6MAY、Johnのサイトにこの時に使うテンプレートが掲載されている。これを使うと便利である。

 

129.51S-1のAGC時定数 2007年5月12日
 51S-1は非常に優れた受信機であるが、AGCに不満を抱く方も多い。AGCのアタックタイムは早く(5ms)、オーバーロードになる感じは全くしないが、リリース・タイムが早く、SSB受信時には音声の合間でノイズが耳障りになる。このAGC特性の改善方法を紹介する。AGC整流ダイオード(CR14)の負荷として、「R73/C192の並列回路」が接続されているが(回路図ではRF GAINの近く)、これと並列に「10KΩ+4.7μFの直列回路」を接続する。なお、4.7μFは無極性のコンデンサとし、値は好みにより調節してもよい。

 

130.ノブが外れない場合 2007年5月12日
 「101.ネジ固定のノブ」でノブの外し方を解説したが、ノブが外れない場合はどうするか。
  1. まず、冷静に「スプリング固定のノブか、ネジ止めのノブか」をチェックし、ネジを外し忘れていないかを確認する。
  2. マイナスドライバーにビニールテープを巻き、ノブとパネルの間に挿入し、注意深くノブをこじる。大抵の場合はこれで外れる。
  3. ネジ固定のノブは、ノブの内面とシャフトの密着度が高いので、グリス等が固着し簡単には外れない場合がある。この場合は、ヘアドライヤーで熱すると外れ易いが、熱で他の部分にダメージを与えない様に、紙筒をドライヤーに巻きつける等で、ヘアドライヤーの熱風をノブに集中させる考慮が必要。

 

131.PTOのベアリング 2007年5月19日
 「23.PTOのレストア」でPTOの分解掃除に関して紹介したが、この中で注意が必要な事がある。PTOシャフトの端が円形のケーシングに接触している部分に直径3mm程のアクリル・ベアリングがあるが、これを無くさない事。万が一無くした場合は、代替品として Small Parts, Inc. の アクリルベアリング (Parts Number : BL-02 , Diameter 1/8") が紹介されている。

 

132.電源プラグのセンターピン 2007年5月19日
 32S-XやKWM-2に使われている11ピンの電源プラグのセンターピンが折れてしまう事がある。センターピンがないと、プラグを間違えた方向で挿しこむ可能性があり、最悪のケースはヒーターにAC115Vがかかり、全ての真空管を焼損する。修理には2通りの方法がある。一つの方法としてプラグを交換する事が考えられるが、多芯ケーブルのプラグをを交換するには多少の忍耐が必要である。もう一つの方法として、センターピンを修復する事が考えられる。この手順を紹介したい。
  • 不要になったGT管等からセンターピンを切り取る。
  • 電源プラグのセンターピンが折れた後を成形して、センターピンを移植し易くする。
  • センターピンの中心に穴をあけ、ビスを通す。
  • センターピンを電源プラグに取りつけ、プラグの後ろからナット+平ワッシャーで止める。(この時に、センターピンの方向を間違えない様に要注意)
  • センターピンが後から回らない様に、更に瞬間接着剤等で、電源プラグに固定する。

この方法でセンターピンを修理した場合、元のセンターピンよりは強度がある構造となるので、再度折れる事が無くなる利点がある。

 

133.75S-1、3でのハム 2007年5月19日
 75S-1、75S-3でヘッドホンを使った場合にハムが気になる時がある。規格通りのヘッドホン(500Ω)を使うと、かなり気になる。ハムの原因は、磁気ループ、ヒーターからのハム、グランドループ等、種々あり、これらを取り除く事が基本となるが、効果的な具体策としては、次の様な物がある。
  • 8Ωのヘッドホンを使う。また、ヘッドホンに抵抗をシリーズに入れ、またはヘッドホンにボリウムが付いている場合はボリウムを絞り、受信機のボリウムを上げ、ノイズマージンを稼ぐ。
  • コリンズより発表されている性能改善速報(75S-3用のSB-2)を適用し、回路をアップデートする。(性能改善情報に関しては、「60.性能改善情報」を参照)
  • リキャップ(電解コンデンサ、カップリングコンデンサを新品に交換する)を実施する。

 

134.メーターの引っ掛かり 2007年5月26日
 メーターがスムーズに戻らない等、引っ掛かる様な動きをする時には、メーター内部の掃除が必要である。その手順を紹介する。
  • 機械からメーターを外し開放する(@メーター下部のネジは、6mmのボックスレンチを使用すると外しやすい。Aメーターの開放は、ケーシングに付いている止めネジ(3箇所)を外し行う。Bメーターの可動部の取り外しは慎重に)
  • ストローでメーターのテンション・コイルの回りを慎重かつ念入りに吹き、埃を吹き飛ばす(繊維の埃がスムーズな動きを阻害しているケースが結構ある)
  • 針を用意し、針先にCRC等を雫状に着け、慎重にメーターのピボットに染み込ませる。
  • その他、メーターフェース、ガラスの固定部が緩み、メーターの針に当っていないかを確認する。

 

135.6BF5の熱(2) 2007年5月26日
 「13.6BF6の熱」でソリッドステート化による熱対策を紹介したが、その製作例がCRAのサイトに掲載されているので紹介する。ただし、51S-1ではソリッドステート化による対策を実施すると問題が発生するので、注意を要す。51S-1はヒーターがシリーズに繋がっており、AC24Vより供給されたヒーター電圧のバランスを取っているため、6BF6が抜けると同一グループの真空管のヒーターが点灯しなくなる。また、発熱量が少ない6AQ5を使う改造も同様な問題が発生する。

 

136.バラモジ 2007年5月26日
 KWM-2や32S-Xに使われているバラモジはFairchildのFA400であるが、入手し難い。CCAのメンバーが次の現代のダイオードを代替品として使用して、良い結果を得たとの事なので、紹介する。これなら少なくともMouser Electronics あたりでは入手できる。
  • 1N4154
  • 1N5711 Schottky Diodes

 

137.エンブレムのリプロダクション 2007年6月2日
 エンブレムが無くなっている機械のレストアに、リプロダクションを紹介する。Sライン等の小型エンブレム(WE、RE)、30S-1等の大型エンブレム(WE)が入手できる。取り扱い先:Advanced Optics

 

138.Tube Checker(2) 2007年6月2日
 「76.Tube Checker」で、その利用価値として「マッチド・ペアを探す時のgm測定機としては有効で、オーディオマニアの方は良く使う。」と書いたが、コリンズのメンテナンス現場においても、30L-1に使用する811Aのマッチド・ペアを探す時には有効に活用出来るので追記しておく。

 

139.30S-1のブロワー 2007年6月2日
 4CX1000Aで使う場合の代替品なら、1600RPMのブロワーが標準。4CX1500Bを使いパワーアップをする場合は、3000RPM位のブロワーを使い、風量を増やす必要があるが、かなり騒がしくなる。以下、製品情報。

【標準タイプ】
Packard, Inc.
Impedence Protected, Class "A" Ins., Cont.,
Air Over, HP 1/200, RPM 1600,
V 115, HZ 60, Amps .34, Rot. CWLE.

【高速タイプ】
Dayton Electric Model # 4M093
Type: Shaded Pole
RPM: 3000
H.P. 1/40
Rotation: CCW
Bearing: Sleeve
Therm. Protection: Auto
Shaft: 1/4 X 2 1/4

 

140.KWM-2でCW運用時の注意点 2007年6月8日
 KWM-2でのCWは、キャリア注入方式ではなく、サイド・トーンのAF発振出力を注入する方式を使っている。この為、サイド・トーンを好みの周波数にカスタマイズする場合は、注意が必要である。KWM-2のメカフィルの通過帯域である、300Hz〜2.4KHz内に、トーンのハーモニクスが落ち込まない様にする必要がある。例えば、サイド・トーンを1KHzに変更した場合は、2倍のハーモニクスが2KHzとなり、帯域内に落ち込んでくる。

 

141.6U8’s & 6EA8 2007年6月8日
 6U8はその機能より、コリンズの機械でも良く使われている複合管だが、ボケやすい事で定評がある。これを改善した球に6U8Aがあり、更には6EA8がある。6U8/6U8A/6EA8は性能的(gmや内部雑音)には大差が無いので、性能改善を目的として、球を挿し換える事にあまり価値は無い。ただ、6U8は製造後の年数がかなり経っているので、6EA8を利用した方が無難である。

 

142.瞬間接着剤にご注意 2007年6月8日
 瞬間接着剤の成分には毒物のシアンが含まれているが、接着剤が熱せられると気化して吸い込む危険性がある。よって、真空管のベースやプレートキャップが緩んだ時の接着に使うのは危険である。「121.811Aのベースの緩み」で紹介した耐熱接着剤を使うべきである。

 

143.リレー磨き 2007年6月15日
 リレー磨きに専用のツールがあるが、無い場合はピカール等の金属磨き剤を使うと良い。ピカールが無い場合は、歯磨きペーストも効果がある。ミントの香りがして良いかも・・・

 

144.半田付けのマーキング 2007年6月15日
 半田付けの上に赤いマーキングがされている場合がある。これは、コリンズ社で付けている、検査/改造確認のマーキングで、オリジナリティーの証であると言われている。使用されている塗料は、GC Electronics社 で扱っているGlyptal Redという製品である。この塗料はGlyptal樹脂という、光沢が強い一種のポリエステル樹脂から出来ている。同社のサイトでGlyptalとキーワードを入れ検索すると見つけられる。改造後、この塗料を塗りオリジナリティーを謳っている場合があるので、要注意。

 

145.SラインでAM(2) 2007年6月15日
 「61.SラインでAM」で32S-3改造方法が掲載されているサイトを紹介したが、既にリンクが切れているので、内容を紹介ておく。USBでキャリア(BFO出力)を1st Mix に注入する。

<材料>

  • RG-174/U   ・・・ 2本 (入力側・出力側用)
  • 0.01μF/400V ・・・ 2個
  • 5KΩ VR    ・・・ 1個
  • スイッチ     ・・・ 1個 (ON-OFF動作 :SPST)

<改造手順>

  • 入力側の同軸の芯線の片側を Emissin Switch (S8J) の 12番ピンに接続する(BFO出力)。ここには、C92(0.01μ)、L28(2mH)が接続されている。シールドはグランドに接続する。
  • 入力側の同軸の芯線の反対側を次の様に接続する。芯線 - 0.01μF - 5KΩVR - グランド。
  • 出力側の同軸の芯線の片側を V4(1st Mix)の7番ピンに接続する。シールドはグランドに接続する。
  • 出力側の同軸の芯線の反対側を次の様に接続する。芯線 - 0.01μF - SW - VRワイパー。

<調整手順>

  • 通常の手順で32S-3のチューニングを取る。
  • USBモードでにして、送信状態にする。この時は片切りSW(AMスイッチ)は切っておく。
  • AMスイッチを入れ、VRをまわし、IPが100〜125mAになる様に調整する。
  • この時に、キャリアで約30Wの出力があるはず。
  • Mic Gain を適宜調整する。

 

146.ゴム足 2007年6月23日
 ゴム足は、年月が経つと硬化し亀裂が入るために、定期的に取りかえる必要がある。少しこだわると、前期の機械には先が丸まっているゴム足を選び、後期の機械には先が平坦なゴム足を選ぶ。面倒になると、なるべく原型に近いプラスティックの足を使いたくなる。

 

147.KWM-2と75S-X 2007年6月23日
 KWM-2でスプリット運用を実現するために、312B-5というVFOがあるが、価格が高い。実用的な解決策として、75S-1、3を使う方法がある。セッティングの手順は、
  • KWM-2の MUNTE 端子と75S-Xの MUTE 端子を接続する
  • KWM-2の受信アンテナ端子(REC-ANT)と75S-Xのアンテナ端子を接続する

これにより、KWM-2のトランシーブ周波数と完全に独立した周波数を75S-Xで受信が出来、KWM-2の送信時には75S-Xがミュート出来る。

 

148.薄くなった真空管の型番を読む 2007年6月23日
 裏技の部類だが、真空管を冷凍庫に入れて十分に冷やし、外部に出した瞬間に、数秒ではあるが型番が浮き出てくる。但し、この裏技はオールマイティーではなく、完全に消えてしまった場合は効果が無く、印刷方法によっても効果が異なる様である。

 

149.ウェイト・ノブ 2007年6月29日
 ウェイト・ノブは、シルキータッチのSラインやM2のノブにまた違った重厚なフィーリングを与えてくれる。ただ、オリジナルは高い。リプロダクションも有るが、やはり高い。以前、釣具店で適当な大きさの重りを見つけて、両面テープでノブの裏に貼った事が有ったが、なかなか良い感じであった。ただ、半年も使わないうちに、両面テープが剥がれた。Wでは、ショットガンの鉛の粒を集め、エポキシ系の接着剤で固める方法が紹介されている。日本では、ショットガンの玉は一般的には入手できないので、釣りに使う小さな重りで代替するのはどうであろうか? ガスバーナーとるつぼで、板鉛を溶かし、型に入れ成形する方法を考えているが、いまだ実現していない。板鉛は簡単に溶けるので、実現性は十分にあると考えている。

 

150.516F-2のトランスの唸り 2007年6月29日
 516F-2でトランスが唸る機械がある。対処療法としては、機械を出来るだけ柔らかいベースの上に載せる、防振ゴムを使う、等が考えられるが、根本的な解決法方は、唸りの元を断つ事である。ペーパータオルの芯等を使い、唸りが出ているトランスを探し、そのボルトを締めなおす。それでも直らない場合は、パラフィンオイルを積層コアの間に十分に染み込ませ、防振を施す。パラフィンオイルを染み込ませる方法としては、十分な量のオイルを熱し、その中に浸ける事が考えられるが、もっと実用的な方法がないかと思う。

 

151.黄ばんだトリムリング 2007年6月29日
 プラスティックのトリムリングは黄ばむ。この原因は、長年の間、紫外線にさらされた為、タバコなどの付着物により着色した為が考えられる。紫外線にさらされ、黄ばんだ場合は、プラスティックの組成変化したためにの変色なので、元の色には戻らない。タバコなどの付着物による変色は、漂白剤や研磨剤を使うと取る事が出来る。

 

152.6146B利用改造 2007年7月7日
 前期型のKWM-2や32S-Xは、「3.6146’s」で説明の通り、終段の中和回路の設計による理由から、現在入手しやすい6146Bは使えず、6146Aを使う様に指定されている。これを、改造するSBはコリンズより発表されていない。CCAのMLでも度々、改造方法に関する問い合わせが有るが、この改造は、単に中和トリマをセラミックトリマよりエアバリコンに交換するだけでは済まず、中和回路の全体の改造となり、手数が掛かることより、概して実施には否定的なトーンが多い。否定的なヒントで申し訳無いが、当面は入手可能な6146Aをおとなしく使うのが良さそうだ。

 

153.PSK31への挑戦 2007年7月7日
 時代の要求か、最近、KWM-2やSラインでPSK31にオンエアするノウハウの投書を良く見かける。ポイントは次の通りらしい。
  • パソコンとの接続は、現代の機械と同様に、MIC端子、ヘッドフォン端子。312B-4が使えると、接続が楽である。
  • Sラインでトランシーブした場合は、BFO発振のクリスタルが独立して使用されるので、微妙に送受の周波数がずれる。75S-3Xではこれを回避する為に、BFOを調整すれば良い。
  • 周波数偏差対策は、十分にウォームアップしてから使う事は言うまでも無いが、実績として、PSK31のソフトで解決出来る範囲の様だ。ただ、個体差があるので、それでも解決出来ない場合もある。

一番の問題である周波数偏差がソフトで解決出来ない場合は、DDSを使うという手もあるが、諦めるという意見も多い様だ。むりろ、実用性よりも、実験的な運用と位置付けているのか?

 

154.整流管の半導体化 2007年7月7日
 本ヒントでは過去に「15.Tubester」「42.Copper Caps」で紹介した話題だが、また新らしいデバイスを紹介されていた。オクタルベースのソケットにマウントされた、半導体整流回路。ディレー回路がついているので、半導体整流器独特なインラッシュ・カレントが無く、古いデバイスには優しい。ピンの差し替えで、4種類の遅延時間を選択できる。N3LLL、Tomのサイトに掲載されている製品で、未だ試作段階の様だが、興味ある製品なので紹介しておく。

 

155.ダイヤル表示板上の黒い点 2007年7月13日
 Sライン等のダイヤル・アセンブリーは、数字が印刷されている白い円盤と、目盛りが印刷されている透明な円盤がある。透明な円盤の目盛りの上方に、何かの目印の様に、一箇所黒い点が付いているのを見た事があるだろうか? これは、両方の円盤をあわせる時の目印の点である。これがうまくあっていないと、透明な円盤の中心付近に印刷されている白い「歯車」により、数字が上手くブランキングされなくなる。ただ、目盛りには厳密な方向性が無いので、あわせ方はかなり自由な様だ。私は「100」の真中の「0」の丁度中心に来る様にあわせている。「23.PTOのレストア」で紹介したKK5IM Jim Miller のPTOのレストアのページでは、「50」か「150」にあわせると解説してある。どれでも問題は無いようだ。

 

156.コイルの修理 2007年7月13日
 リレーのソレノイド等のコイルが断線した場合、線材が非常に細く、半田付けをする為に被覆を剥くのに苦労する。この場合、砕いたアスピリンと伴に線材を熱すると被覆が容易に剥げる、という珍回答が載っていた。効果のほどは確認をしていないが、試してみる価値はある。アスピリンと言えば、日本では、バファリンか。

 

157.DCリレーとACリレー 2007年7月13日
 KWS-1やKWM-2はDC110Vのリレーを使っているが、もっと廉価なAC110Vのリレーを使えないだろうか? そんな疑問が呈された。結論は、電流に考慮すれば問題無い。DC110Vを使っている理由は、過渡での立ち上がりがDCの方が早い為である。AC110VのリレーをDCで使った場合、リアクタンスによる電流抑制が働かず、ソレノイドの電流が過多となり、熱を持つ。これを回避する為に、抵抗を挿入する等の考慮をすると良いとの事。なお、定格電流が不明な場合は、一般的には、ソレノイドが働き始める電流値は、定格の80%と言われているので、これを目安にすると良い。

 

158.コイルの修理(2) 2007年7月20日
 今回はIFTの修理。IFTのコアが壊れた場合は、ジャンクのIFTのコアを流用する。コアが取り出せずに、紙で出来ているコイルのフォームをも壊してしまった場合は、コイルをほぐし、フォームを適当に成形して、コイルを巻きなおす。コイルまでも断線させた場合は、古いITFから線材を流用すれば良い。ポイントは、コイルをほぐす時に巻き数を数えておくことである。ただ問題は、人の手で巻くので、機械巻きのような綺麗な巻き方はできない。巻き終わったコイルは、エポキシで固める事。この方法で修理しても、案外上手く機能するものである。未だSurplus Sales of NebraskaではIFTの交換部品があるが高価である。修理をトライしてみてはどうか。

 

159.クリスタルの調達先 2007年7月20日
 SラインやKWM-2のバンド水晶の供給元を紹介する。International Crystal Manufacturing 社。WARCバンドならCP-1という手もあるが高価で、WARCバンド以外のクリスタルやBFOのクリスタルはこの様な供給元に頼るしかない。

 

160.KWM-2の受信復帰が遅い 2007年7月20日
 KWM-2で送信状態から受信に切り替えた時に、復帰が遅くなる障害が発生する事がある。復帰の遅れは、6秒くらいから30秒以上に亘る。これは、6146のスクリーンからの二次輻射が原因で、対処法方としては、6146を交換すれば良い。二次輻射が発生しても復帰の遅れが発生しないようにする抜本的な対策としては、コリンズから出されている性能改善情報SB6で指示されている改造(スクリーン回路にダイオードを挿入)を実施すると良い。なお、SBに関しては、「60.性能改善情報」を参照願いたい。

 

161.真空管の包装箱 2007年7月27日
 真空管を包装している箱がどこかに売っていないかの質問が有った。確かに、大切な真空管を裸で保管するのは問題である。Antique Electronic Supplyでは、1個用$0.17から15本×15本収納$9.6まで、様々な箱を扱っている様だ。

 

162.デジタル ディスプレイ 2007年7月27日
 AORの外部DDSは製造中止の上、高くてなかなか入手し難いが、デジタル ディスプレイで良ければ、現行品が入手しやすい価格で販売されている。知っている方も多いとは思うが、AADEのC75ディスプレイである。日本では、JA3KEV氏が代理店となっている様だ。PTO、バンド発振水晶、BFOを測定して、キャリア周波数を直読できる便利な周波数カウンター、というところだ。

 

163.Gridドライブ 2007年7月27日
 Sラインを何週間か使わずに放置しておくと、Dridが振れなくなる場合が有る。この場合のチェック箇所は、@トランシーブで接続するケーブルの接触不良が無いか(VFO、XTAL OSC)、Aチューニング・トリマの再調整、BVFOの出力の低下や、XTAL OSCの不良、等。多くのケースは@又はA。

 

164.CCA Web サイト リニューアル 2007年8月3日
 CCAのWEBサイトがリニューアルされたと、CCA会長のKE3WV、Jackより、現地時間7/27夜にアナウンスがありました。Collins Collector's Association

 

165.機械の水洗い 2007年8月3日
 古い機械を水で洗う事に関しては、慎重な意見は出るものの、意外と反対意見は多くない。Wで水洗いに良く使われる洗浄剤としては、Windex、GUNK、Simple Green がある。Simple Greenはヤニ取りに効果が有るが、アルミを腐食させるという噂が流れた事もある(問題は無さそうである)。因みに、私はヤニ取りに、稀釈したアンモニアを使用している。いずれにせよ、使用方法を守る必要がある。さもないと、大切なレタリングが剥げる憂き目に遭う事になる。

 

166.SM-3のスイッチ 2007年8月3日
 PTTスイッチが壊れているSM-3を持っている方への朗報だが、Grayhillというメーカーで代替部品が入手出来るとの事。同社のサイトで部品番号を30−3と入力して製品の検索をしてみると、スイッチが見れる。トライしてみては如何か?

 

167.30S-1のドア・スクリプト 2007年8月11日
 30S-1のフロント・ドアに付いているスクリプト Thirty-S-One  が何故か良く割れる。主な原因としては、奥様が掃除機の先で、スクリプトの先を引っ掛けるからだ、との議論がまじめにされていた。この解決策として、@ベースを作り、30S-1をフロアより一段高い場所に置き、掃除機の先が届かない様にする、A部屋に鍵を掛け、奥様が入れない様にする・・・等、珍答が出されていた。何年か前は、W3ST、Daveがリプロダクションのスクリプトの在庫を持っていたが、未だ有るかは定かではない。

 

168.ローバンドで寄生振動 2007年8月11日
 KWM-2のローバンドで寄生振動が発生する事がある。プレート同調が全く効かず、プレート電流が振れっぱなしとなる。これは良く聞く現象で、原因はパンド切り替えスイッチを覆っている、シールドCANとアースとの接触不良である。対処方法は、バンドスイッチのシャフトを抜き、シールドCANを外し、シャーシーとの接触部を良く磨く事。これで、殆どは改善する。

 

169.75S-1の改造 2007年8月11日
 シンプルかつ、頑強な75S-1を愛用しているコリンズファンは多いようです。75S-1は、手を入れる余地も十分に有り、種々な改造が発表されています。そのいくつかを、タイトルのみ紹介します。改造の中身は、CCA Archive等で探してみてください。
  • Warters Rejection (Bod Waters の 337 S1A という Rejection Tuning を追加する改造。KWM-2でも良く見かける)
  • Q Multiplier (Bod Waters の Q-Multiplier を追加する改造。75S-3B と同様の機能となる)
  • AGC Mod (AGCの時定数の変更。75S-X一般に良くなされている改造)
  • IF Mod ('67年1月の CQ Magazine に掲載された、IFゲインを増強する改造。T1とL4の間に6AB6を追加する)
  • Noise Blanker (こちらは Collins オリジナルのアクセサリーであるノイズ・ブランカを追加する改造)

 

170.ダイヤル 2007年8月17日
 KWM-2やSライン等のダイヤルのクリーニングは注意を要する。KHzダイヤルのレタリングは結構強いので、安心して洗剤をで洗えるが、白い歯型の部分は、簡単に傷付き、擦れてしまうので注意が必要である。古い物は、水洗いした後に、布で水分をふき取る時でさえ、擦れる場合が有る。疑わしい場合は、ぬるま湯で濯ぎ、自然乾燥をさせる事をお奨めする。なお、長い年月を経る間に、ダイヤル・ライトで変色した場合は、リプロダクションの物と交換する以外に、綺麗な白色を復旧する術はない。

 

171.電解コンデンサの交換 2007年8月17日
 32S-Xや75S-Xの電源の3ステージの電解コンデンサが駄目になった時は、「5.3セクションのフィルタコンデンサ」で紹介した方法で、代替品を作ることが出来るが、よりオリジナリティーを追求したい場合は、未だSurplus Sales of Nebraska等で、代替品を探すと有るケースがある。ただ、NOS(新古品)である事より、利用に際しては注意が必要である。部品の製造年月を確認し(確認方法は「35.製造年月」参照)、80年代以前の物である場合は念の為に次の手順で養生を行うと良い。
  • コンデンサの容量計につなぎ、概ね規定の容量があるかを確認する。
  • 電流計と可変電圧電源装置を準備し、極性に注意して、100Ω/耐圧電圧の割合で計算したシャント抵抗を直列に接続する。
  • 電流を見ながら電源電圧を徐々に上げ、電流が流れ出す電圧で止める。
  • 電圧を下げ、再度電圧を上げ、これを、電圧が耐圧付近に達するまで繰り返す。

なお、電解コンデンサ再生に関するMIL SPECがダウンロードできるDODのサイトを参考の為に紹介しておく。MIL SPECによる、利用可能な製造年月からの経過期間の基準、再生に要する電流の基準、再生に利用する回路例、等が説明されている。但し、実施には忍耐力が必要な様だ・・・

 

172.曇ったメーターのガラス 2007年8月17日
 メーターのガラスが曇る時がある。メーターのランプを外し、ドライヤーなどで曇りを飛ばしたくなるが、対処療法にしかならない。メーター内部のガラスの表面が汚れているので、湿度が上がるとまた直ぐに曇っていまう。やはり、メーターを分解して、ガラスを清掃するしか手は無い。メーターの分解方法は、「25.メータのガラス」を参照願いたい。メーターは、機械の顔であるので、メーターが綺麗になると、機械が新しくなったような気がする。是非、トライして欲しい。

 

173.モニタースコープ 2007年8月24日
 コリンズファンならず、ボートアンカー・ファンは電波の質に気を使いたいものだ。そこではモニタースコープが活躍する。Wのコリンズ・ファンの間で人気があるモニタースコープは、ヒースキットのSB-610だ。外見がコリンズとマッチするのと、通常のオシロを使用する時の様に機械からRFを引き出す改造が不要で、アンテナへの同軸の間に挿入するだけで出力波形がモニター出来る。中には、この機械を312B-4の箱の中に仕組んだ人もいて、よりコリンズの環境にマッチした外観に仕上げている。ここまでやれば、大した物だと思う。

 

174.メカフィルの良否判断 2007年8月24日
 中古のメカニカルフィルターを買う場合に、良否を簡易的に判断する方法は、@振り、からから音がするのはNG。A端子間の導通を測り、導通がない様ならNG。これらのテストでは、経年変化による中心周波数の偏差や挿入ロスの増大は判断できない。スペアナを使えば判るが、ハムフェア等ではそこまでは出来ない。そのようなリスクを負うなら、いっそのことInrad製の新しいフィルタを買うのは如何か。最近のこの種のフィルタは、コリンズの特性に似せて作られているのみならず、リップル、中心周波数、左右のスカート特性の揃い方において、オリジナルを凌ぐ。

 

175.LOADの指示 2007年8月24日
 KWM-2や32S-XのLOADの同調点が、50Ωからずれている事が有る。アンテナのインピーダンスにより、ずれるのは当たり前でだが、50Ωのダミーを使ってもずれる場合は、ロードバリコン補正用のトリマコンデンサを調整する必要がある。このトリマバリコンはバンド毎にあり、ロードバリコンの目盛り位置が50Ωで同調を取れるように調整する。詳細は、マニュアルで確認をされたい。

 

176.ダスト・カバー 2007年8月31日
 機械を大切にする貴方へ、ビニール製のダストカバーは如何でしょうか? Collinsのロゴが入っているカバーで、Collins以外の各社用のカバーも売っているようです。確かに、気がつかないうちに、沢山の埃が機械の中に入っており、この掃除をしなくても済むのは助かります。ただ、常にCollinsの勇姿を見ながらヒーリングをしている私みたいな人間には向かないと思います。 Ché Art Supply company

 

177.リキャップ 2007年8月31日
 問題の有無に拘わらず、ある基準でコンデンサを交換する予防保守を、リキャップと呼んでいる。対象は、経年変化が大きな電解コンデンサ、ペーパーコンデンサ、リークにより動作特性に大きな影響がある段間のカップリングコンデンサである。電解コンデンサやプラック・ビューティーと呼ばれるペーパーコンデンサは、使われている素材より賞味期限は避けられない。一方、予防保守反対派(オリジナリティー温存派)は、壊れるまで部品は交換すべきではないと主張。私自身も以前は反対派だったが、リキャップにより、長年の懸案であった時間と伴に変化する動作状態が安定するという恩恵を被り、すっかり賛成派になってしまった。

 

178.シャーシ背面の穴 2007年8月31日
 KWM-2やSラインのシャーシの背面で、RCAジャックが付いている部分の中央に、RCAジャック様のスペアホールと思われる穴が空いている。これは、スペアホールではなく、バンドスイッチのシャフトを抜く穴である。このシャフトを抜く必要がある時は、「120.KWM-2の発振」で紹介した、シールドケースを清掃する時等である。私の75S3-Bは当初、ここにスコープへIF信号を引き出すRCAジャックが付いていて、それを外したが、シャーシに余計な穴が空いている機械を買ってしまったと考えたものだ。

 

179.コリンズの調整 2007年9月7日
 Wでは、一寸したヒントを、「2セント程の価値のヒント(my 2 cents (worth)」と言うが、受信機の調整に関する「2 cents」が載っていたので紹介する。SラインやKWM-2は調整がし易く、キャリブレータとSメータでマニュアル通りに調整すれば、特殊な測定機無しに性能維持が出来る(これがコリンズの素晴らしさだと言う人もいる)。キャリブレータはハーモニクスを使っている為、ハイバンドに行く程、Sメータ読みは小さくなる。このため、例えば、21メガより14メガの方がSメータ読みが小さい場合は、14メガは調整を要すると判断できる。

 

180.30L-1のFAN 2007年9月7日
 30L-1に使われているFANは、現在は一般的なブック型FANの一世代前のFANで、モーターがむき出しになっている型である。このため、長年使っているとFANに埃が付着して、風量が減少したり、音が出たりする。これを解消する為に、定期的に次の手順で整備すると良い。
  • FANを本体から外し分解する。
  • FANを水洗いし、埃を十分に落とす。油で固まった埃は、エレクトリック・クリーナー等で洗浄する。
  • 洗浄後、良く乾かし、油やグリス・アップを行う。

以上で、FANは元気良く回転するようになり、音も静かになる。

 

181.ワットメーターの調整 2007年9月7日
 312B-4、5、302C-3等のワットメーターの調整は、インストラクション・ブックが一般には入手出来ず、ご法度と考えられているが、下記の調整方法がCCAのMLで流れていたので紹介する。検証していないので、結果についてはなんとも言えないが、読みに大きな誤差が有る場合や、内蔵のダイオードや抵抗を交換した場合など、調整を余儀なくされる場合にはトライする価値は有る。

これらのワットメーターに内蔵されているカップラーユニットには、C1、C2というトリマーがあり、予め、その位置を確認しておく。その上で、

  • 50Ωの純抵抗の負荷を接続する。
  • カップラーユニットを逆方向に接続し、許容最大近くの電力を入れ、反射波を読む。
  • この時に、反射電力が0を指示するように、C1またはC2を調整する。この調整はブロードである。
  • カップラーユニットを順方向に接続し、許容80%位の既知の電力を入れ、先程調整したトリマを調整し、読みを合わせる。
  • 再度、カップラーユニットを逆方向に接続し、反射波が未だ0を指示している事を確認する。
  • 同様の事を、他のトリマについても実施する。

 

182.ワットメーターのダイオード 2007年9月14日
 「181.ワットメータの調整」で、ダイオードの交換に関して触れたが、そもそも、交換するダイオードはどう入手するか。これについての情報が流れていたので紹介する。
  • オリジナルのダイオードは 1N82A。(廃盤だがネットで探す事は可)
  • 代替品は ECG-112/NTE-112 で、MOUSER ELECTRONICS で入手が出来る。 

但し、ダイオードを交換する場合は、直線性の個体差により、何本かのダイオードより適当な物を選択する必要があり、メータ指示補正抵抗も適当な抵抗値に交換する必要があり、決して容易い事ではない。手順は次の通り。

  • ダイオードを交換する。
  • 50Ωの純抵抗の負荷を接続する。
  • カップラーユニットを逆方向に接続して、許容最大近くの電力を入れ、反射波を読みながら、トリマでNULLに調整する。
  • カップラーユニットを順方向に接続し、ヘリカル・ポテンショメータ等をメータ指示補正抵抗の代わりに接続する。既知の電力を入力し、ポテンショメータを調整し、電力を合わせる。
  • 再度、逆方向のNULLを確認する。
  • 入力電力を変え、電力測定の直線性を確認する。
  • 直線性が満足できない場合は、ダイオードを交換し、再度、上記の調整を試みる。
  • 入手できる抵抗値、ダイオードの直線性のファクターの中で、妥協点を探す(言うは易し・・・)

 

183.ダイヤルコード 2007年9月14日
 KWM-2や32S-のバンド切り替え機構に使われている、ダイヤルコードはどう入手するか。代替品として、金属の釣り糸で、45〜60lb(ポンド)の透明なナイロンコーティングの金属ワイヤーが良いとの事である。因みに、「45〜60lb(ポンド)」は、張力強度の表示で、「号」という表示も使う。釣具屋の店員の方に相談すれば良いと思う。例えば、Berkley の D60 や Cabela's の #27 test という製品が該当する。

 

184.75S-の特性 2007年9月14日
 75S-をはじめ、コリンズの機械は聞き疲れがしないと言うが、その一つの理由に、ノイズフロアが低い事が言える。特に、下手な最近の受信機はPLLノイズが大きい多いので、良く比較に出される。それを、定量的にして発表しているサイトがある。Sherwood Engineering Inc. のサイトだ。種々の受信機のノイズフロア、感度、ダイナミックレンジ等の特性を実測した一覧だ。実測なので、特に古い機械は個体差が有る事を含んでおく必要があるが、大変に興味深い結果が現れている。75S3-Bは他の現代の受信機と比べると、ノイズフロアが極端に低い割には、感度は悪くない。ダイナミックレンジこそは、劣るが、コンテストで稼ぐ事を考えない限りは、日本で使うには十分な特性を持っている。

 

185.電源電圧の簡易昇圧方法 2007年9月21日
 コリンズ等のWの機械はステップアップトランスで電源電圧を115V位に昇圧して使う事が鉄則であるが、トランスをわざわざ買わなくても一次100V、二次12Vくらいのトランスが有ればBOOST接続で昇圧が出来る(右の接続図参照)。この接続なら、一次電圧+二次電圧の電圧が得られる。因みに、最近のWの電源電圧は120V位にもなる場合があり、古い機械にとって問題となるので、ヒータートランスを使いBUCK接続で降圧して使用している場合がある。なお、許容電流は二次側に依存すると考えれば良い。なお、安全の為に一次側には必ずヒューズを入れる事。

 

186.パネルに付いたインクの除去 2007年9月21日
 フロントパネルにボールペン等のインクが付いている場合の除去方法はどうするか。特に、PLATE、LOADの目盛り上にボールペンで付けられたマークは、シルクスクリーンを傷める可能性があるので、除去方法に頭を悩ます。CCAのMLで各位各様な手法が紹介されていたので、紹介する。(効果とリスクは各位でご判断願います)
  • 工業用、消毒用アルコール
  • 自動車用コンパウンド
  • 歯磨きペースト
  • Typewriter eraser (砂消しゴム)
  • アンモニアとCLOROX 409の50/50の混合
  • Windex
  • Simple Green

個人的にはアルコールとコンパウンドは試した事がある。コンパウンドは良く消えるが下地が削れ、あまり細かい物を使うと てかり が出る。歯磨きペースト、砂消しゴムはコンパウンドと同等か。アンモニアと409の混合は未知数。Windex、Simple GreenはWでの定番だが、Windexは少々ハード。

 

187.スピーカーのレストア 2007年9月21日
 Wにあるスピーカーのコーンの張り替え業者が何社か紹介されていた。その内の一社は Tri-State Loudspeaker 。この様な業者が存続するのは、アメリカ人は物を大切にする証か。

 

188.30S-1の弱点 2007年9月29日
 30S-1で注意を要する弱点として、次の部品が紹介されていた。
  • プレート電源トランス(T201)
  • プレート電源整流管のヒータートランス(T202)
  • プレート電源チョーク(L201)
  • プレート電源制御リレー(K203)
  • BIAS回路セレン整流器(CR207、208) 前期型
  • ステップスタート用セレン整流器(CR205) 前期型

既に、製造から年月が絶った30S-1の弱点やはり高圧部か。

 

189.516F-2の起動 2007年9月29日
 「93.ヒューズの溶断」で書いた内容に重複する部分もあるが、516F-2を始めて通電・起動する場合の注意は次の通り。
  • 通電の前に、ヒューズがスロー・ブロー・ヒューズになっているかを確認する。通常のファースト・ブロー・ヒューズが付いている場合は、電源投入時のラッシュ電流で切れる場合がある。
  • 通電する時は、60W位の電球を電源ラインにシリーズに入れ、電源を入れる。電球が明るく点灯する場合は、トランス等の一次側のショートの可能性が有る。
  • 一次側にバイパスコンデンサが付いている場合は、老朽化によりリークしている場合があり、また、後期型にはバイパスコンデンサがついていないので、取り外しても良い。
  • 万が一、トランスが疑わしい場合も、一旦冷静になり、11ピンのショートを疑う等の周辺のチェックを再度実施する。
  • PM-2にもこのチェックの手順は適用できる。

 

190.ノイズブランカ 2007年9月29日
 KWM-2のノイズブランカとしては有名な136B-2があり、75S-1のノイズブランカとして136A-1がある。いずれのノイズブランカも、外部アンテナを接続する。その外部アンテナは、7メガに同調する様に展張し、モービルでは、ラジオのロッドアンテナに接続すれば良いと指示されている。これで、市街地ノイズに対応するか、パルス性のノイズに対応するかが決まるのか。ノイズ用アンテナで受信したノイズはRFアンプで増幅され、ブランキング回路をドライブする。なお、136A-1は75S-3にはスペースの関係で取りつけ出来ない。

 

191.CWキーイング 2007年10月5日
 コリンズの機械をCWに使う時には、他の真空管の機械と同様にキーインングには十分注意する必要がある。キーイング電圧が高い機械に縦振り電鍵を使った時には、アームを高電圧側につなげると、アームに触れた時に感電する。キーイング電流が大きい機械に、接点容量が小さいキーヤーを使うと、キーヤーを壊す。例えば、接点に擦れ防止リードリレーを使ったバグキーでは、リードリレーがくっ付き、使い物にならない。現代のトランシーバーを、コリンズのリニアアンプのスタンバイ回路に繋げた時にも同様な注意が必要だ。

 

192.フロントパネルについて 2007年10月5日
 KWM-2やSラインのフロントパネルは強度を出すアルミのフロントパネルに梨地処理が施されている薄いパネルが貼られていている。このパネルにコリンズカラーのペイントがなされ、シルクスクリーンが施されている。このため、この薄いパネルを交換する事により、新しいパネル面に生まれ変わる事が出来る。経年変化やアフターマーケットの保守により、フロントパネルの状態は、種々有り、それらにより再生品か否か判断がある程度出来る。
  • 梨地のパターンは疎なもや密なものと、若干ながら変化がある。これは、生産時の相違だと言われている。
  • 梨時のパターンの彫りは、深くシャープなもの、浅く緩やかなものがある。浅く緩やかなものは、ペイントが厚くなり、その様に見える場合が有るので、リペイントを疑っても良い。
  • ペイントの色彩は、暗いもの、明るいものがある。暗いものは長年の紫外線によるペイントの焼け、若しくはリペイントによる色彩の相違と考えられる。どちらかは、ペイントが比較的新しいか否かによりある程度想定が出来る。
  • ペイントに輝きがある物、無いものがある。オリジナルはつや消しの仕上げなので、不自然に輝きがある場合は、リペイントの場合が有る。

 

193.BAND SW シールド・ケースの外し方 2007年10月5日
 「120.KWM-2の発振」で紹介した様に、BANDスイッチ回りのシールド・ケースを外し保守をするが、シールドケースの取り外しには、ネジのトルクに十分に注意する必要がある。ケースは薄いアルミで出来ているので、無理なトルクを絶対にかけない様に。特に外れない時は、CRCや熱を用いて、ケースをケアしながら外す。取りつけ時には、無用なトルクはかけない様にする。

 

194.トランスの唸り(2) 2007年10月13日
 トランスの唸りに悩まされる事がある。音を出す原因は、温度変化による素材の伸張による、トランスのネジ類の緩み、コアとなっている積層板の緩み等が考えられる。516F-2や30S-1等、複数のトランス/チョークが搭載されている機械では、まず、どこから唸りが発生しているかを特定する必要が有る。これには、トイレットペーパーの芯などを使い、トランスの音を聞く(感電に十分注意)。唸りの防止策は次の通りである。
  • トランスの四隅のネジを締めなおす。
  • トランスのシャーシーへのマウントネジを締めなおす。
  • トランスを開放して、積層板に圧力をかけ、緩みを無くす。
  • 積層板を叩き、緩みを無くす。
  • 積層板をエポキシ系の接着剤で固める(但し、積層板の奥までは接着剤は浸透できない)
  • 絶縁ワニスにトランスを浸け、オーブンで暖め十分にワニスを行き渡らせる。効果は十分であるとの事である。
  • トランス吊り、シャーシーから離す・・・という珍案も出ていた。

 

195.312B-3の音の改善 2007年10月13日
 「62.コリンズのスピーカー」で312B-3の音があまり良くないと書いたが、音の改善方法が流れていたので紹介する。312B-3にしっかりはまる発泡スチロールを探し、312B-3の足を取り、奥まではめる。これで、密閉型のスピーカーとなり、低音の回りこみによる音の劣化がなくなり、音質が改善する。

 

196.スピーチ・プロセッサー 2007年10月13日
 32S-XやKWM-2のスピーチ・プロセッサーは純正品が無いが、有名な製品としては、DX ENGINEERINGのLC-1-32S/LC-1-KWM、MAGNUM6 である。一頃流行った日本のスピーチプロセッサーと異なるのは、IF段の真空管を抜き、そこに挿入する点である。これにより、マイクは通常どおり挿しこんで使える。

 

197.FANモーター・ベアリングの保守 2007年10月19日
 「180.30L-1のFAN」で30L-1の簡易型FANの保守を書いたが、KWS-1や30S-1に搭載されているやや大型のFANは長期間の使用でベアリングの磨耗があり、ゴロ音を発生する。この修理の為には、ベアリングを交換あるいは、ベアリングに溜まっている油で固まった埃等の異物を取り除く必要がある。KWS-1のFANモーターの保守に関して、W8ZR、Jimのサイトに紹介されているので、参考にするとよい。

 

198.ボリウムのガリ対策 2007年10月19日
 コリンズのメンテナンスのみならず、ボートアンカーのメンテナンスに欠かせない対策が、ボリウムのガリ対策である。犯し易い過ちとしては、汎用の接点復活剤を用いる事で、症状を悪化させてしまう。簡易な対処方法としては、ボリウムを分解して、磨耗部分を鉛筆でなぞる事。正攻法としては、ボリウム専用の接点復活剤を使う事。Wで有名な製品としては、Caig社のDeoxIT FaderLube がある。これなら、接点復活剤を吹きかける感覚で使えるので、使いやすい。

 

199.32S-1の送信復帰が遅い 2007年10月19日
 古い32S-1ではよく起こる現象で、原因の内主なものとして、VOX ACTUATOR:V11(6U8A)の8ピンに接続されているR89、R112(伴に68KΩ、2W)の劣化によるものである。この抵抗は、定格一杯で使われている為、発熱の為の劣化が激しい。抵抗値を測定後、おかしい場合は交換をする必要がある。交換する場合は、68KΩ、5Wの抵抗にすると、現象の再発防止に役立つ。なお、KWM-2のV4(6AZ8)の7番ピンに接続されているR20、R47(伴に68KΩ、2W)も熱による劣化により、同様な症状を起こす。

 

  [目次] [1-99] [100-199] [200-299] [300-399] [400-499] [500-599] [600-699] [700-799] [800-899] [900-999] [1000-]