メンテナンスのヒント集

[目次] [1-99] [100-199] [200-299] [300-399] [400-499] [500-599] [600-699] [700-799] [800-899] [900-999] [1000-]
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【掲載ポリシー】
  ・ 「CCAメーリングリスト」に掲載されている情報を紹介します。
  ・ 情報は内容をそのまま翻訳するのではなく、筆者が理解して筆者の言葉で掲載します。
  ・ 出来るだけ数多くの情報を「紹介」したいが為に、実験などは
未検証のまま掲載するケースもあります。
  ・ コリンズの機械の中でポピュラーなKWM-2、Sラインを中心に掲載します。

 

400.メータランプの怪 2011年9月2日
 パイロットランプに関しては、過去、何回か書いてきたが、次のような不可解な現象がある。後期モデルのSライン等は#47が使われているが、これを前期モデルに使われている#44を使うとメータ指示が変わるとの事。因果関係ははっきり解説されていなかったが、どうも、ランプコイルに生じる磁界の影響らしい。つまり、#47では影響が無いが、より明るい#44を使うと鋭敏なメータ駆動部に影響を及ぼすとの事。一部では熱でメータコイルが伸長するとの説もあったが、より熱を発生するがコイルが無い小型キセノンランプでテストしたが、この現象は発生しなかった。

 

401.75S-1、3でのハム(2) 2011年9月9日
 ボートアンカーにはハムが付きものと諦めていませんか。「133.75S-1、3でのハム」でハムの退治方法を紹介しましたが、追加事例として、
  • ボートアンカーにSENNHEISER等の周波数特性が良いヘッドホンは使わない。不要な低域での減衰量が大きい通信用のヘッドホンを使うべき。
  • PRODUCT DETECTOR(V8:6EA8)を交換してみる。ハムを発生の大きな原因の一つ。

 

402.ネジの止め方のノウハウ 2011年9月17日
 工具が入らない場所にあるネジとの格闘ほど大変なものはない。何回もやり直しを迫られ、下手をするとワッシャーやナットを無くす。Sライン等でやり難いネジの扱い方法を2点紹介する。
  1. メータをシャーシに止めている下2本のナットの扱い
    • 外し方は「25.メータのガラス」を参照願いたい
    • 止め方は、メータをひとまず上のネジでシャーシに固定し動かなくする。
    • 綿棒の綿を切り落とした物を用意し、ワッシャーを棒に通し、ネジの頭に合わせワッシャーをネジの方向に押し込む。
    • 綿棒の棒にナットを軽く回し込み固定し、ナットが付いた綿棒を持ち、ネジにネットを回し込む。
    • 回し込む過程で自然にナットが綿棒から外れ、ネジにはまるので、このままナットをネジに回し込む。
  2. トリムリングを止めているキャビネット前方上の角にあるネジの扱い
    • 外し方は裏にあるナットを指の腹で固定しながらネジを回す(難しくない)
    • 止め方は、ワイヤーに菊座、平ワッシャー、ナットを通し、ワイヤーをキャビネットのネジ穴に裏から通す。
    • 菊座、平ワッシャー、ナットをネジ穴に押し付け、正しい位置にセットし、慎重にワイヤーを抜く。
    • この時、位置がずれていないかをネジ穴からのぞき確認する。ずれた場合は、爪楊枝等で位置を修正する。
    • 慎重にネジ穴にネジを挿入し、ナットを止める。

 

403.KWM-2のRIT回路 2011年9月23日
 KWM-2はCW運用には向いていないが、あえてCWで使う場合、ピッチの可変が出来ず、RITが欲しくなる。312B-5のオナーならまだしも、KWM-2単体ではRITが無いとお手上げである。Ernst、DJ7HSのページにRIT回路を付加する改造が紹介されていた。

 

404.コリンズの中のクリスタルフィルター 2011年9月30日
 コリンズはメカニカルフィルターで有名だが、KWM-380以降、HFシリーズなどはクリスタルフィルターを使用している。何故か? KWM-380を例にとると、第1 IFに39MHz、第2 IFに455KHzを使用している。我々が身近に見ている日本のトランシーバは、第1 IFにルーフィングフィルターを使い、第2 IFに選択性を持たせるフィルターを使用する構成だが、KWM-380は第1 IFの39MHzに選択性を持たせるフィルターを使用している。これは、イメージ除去にはIFが高いほうが有利であることは想像に難しくない。39MHzで稼動するメカニカルフィルターは作れないので、クリスタルフィルターを使っているのが理由だ。第1 IFに選択性を持たせるフィルターを使うのは、KWM-380が先駆けと聞いている。コリンズはイノベイティブな事をやる会社には間違えは無い。

 

405.KWM-1について 2011年10月7日
 KWM-1はその特徴よりファンが多い様だ。コンパクトサイズ。20m−10mのカバレッジ。バンド切替は局発のクリスタルだけ(RF回路の切替は無くTUNEダイヤルでオールカバー)。シンプルな回路構成。初のモービル用SSBトランシーバ。この数々の特徴の裏にArt Collinsの拘りや開発陣の努力が隠れている。20m−10mの限定されたカバレッジはシンプルな回路構成とする為のみならず、実は、モービルでは80m−40mの効率的なアンテナが実現できない事より、Art Collinsがバンドを限定したと言われている。

 

406.516F-2のFuseホルダー 2011年10月14日
 516F-2のFuseホルダーの代替品が紹介されていた。HKP社の製品で外寸が同じらしい。欠けているFuseホルダーの代替品に如何か? http://www1.cooperbussmann.com/pdf/6a0cf653-3423-48a4-b0d8-5b3b433e4858.pdf

 

407.電解コンデンサの耐熱温度 2011年10月21日
 電解コンデンサーは経年変化が顕著で、長期間経過したものは交換が必要となる。代替品や再生方法に関して何回か紹介しているが、耐熱温度に注意したい。利用環境の温度はコンデンサーの寿命を左右する大きなファクターとなる。コリンズは85℃の耐熱温度のコンデンサーを使用しているが、近年のコンデンサーは55℃の物があり、一方、105℃の物もある。特に、大容量で利用環境の温度が高くなる電源に使用する物はよく吟味が必要である。

 

408.30L-1のTUNEメータ 2011年10月28日
 TUNINGとLOADINGの調整で0に合わせると同調が取れる便利なメータである。この原理の分かりやすい説明があった。TUNEメータは入出力の高周波を整流し電圧を比較している。入出力は位相が反転している為、入力が増加するとメータは右(正)方向に振れ、出力が増加するとメータは左(負)方向に振れる。出力は丁度、IPを見ている様に、タンク回路に同調するとディップする。よって、入力による電圧(正方向)と最大出力によるディップ点の電圧(負方向)が丁度0になる様に予めメータ回路を調整すると、同調が取れた時点でメータは0を指示する。入力が変化しても出力がリニアに変化するので、これによりメータは0をキープする。SSBでも同調状況が分かるのはこの為である。但し、アンテナがミスマッチの場合は、入出力の位相反転が崩れ誤差を生じる。30S-1のTUNEメータも同じ原理である。

 

409.312B-4のパワー計調整 2011年11月4日
 312B-4のパワーメータの精度は余り高くないが日常運用では参考程度にはなるので重宝である。しかし、部品の経年変化で精度が大幅に悪くなっているものがある。ダイオード等の部品を交換する前に調整してみるのも手だ。マニュアルには載っていない調整手順を紹介する。

@送信機を「TO ANT」に接続し、ダミーロードを「RF IN」に接続する。(「逆方向接続」と呼ぶ)
AFORWARD 200W、FORWARD 2000Wレンジで各々、50Wで送信、C1を調整してNULL点に合わせる。(調整はブロードである)

B送信機を「RF IN」に接続し、ダミーロードを「TO ANT」に接続する。(「順方向接続」と呼ぶ)
CREFLECTED 200W、REFLECTED 2000Wレンジで各々、50Wで送信、C2を調整してNULL点に合わせる。(調整はブロードである)

D「順方向接続」のままとする。
EFORWARD 200W、FORWARD 2000Wレンジで各々、100Wで送信、C1を調整して指示を100Wに合わせる。

F「逆方向接続」する。
G上記Aを再確認する。(この調整はEとトレードオフの所がある)
HREFLECTED 200W、REFLECTED 2000Wレンジで各々、100Wで送信、C2を調整して指示を100Wに合わせる。

I「順方向接続」する。
J上記Cを再確認する。(この調整はHとトレードオフの所がある)
K上記Eを再確認する。また、出力を変えて指示が正しいことを確認する。

なお、調整箇所はCMカップラーの側面「TO ANT」側に調整穴が開いていて、上がC1、下がC2となっている。セラミックドライバー等で調整をするとよい。

 

410.75S-3のハム 2011年11月11日
 75S-3のハムの原因は、一般的な電源の電解コンデンサーの容量抜けや、パスコンのリーク以外にProduct Detector(V8:6EA6)のプレートに接続されているL12が原因であることがある。L12は金属でシールドされているが電源トランスのFluxに影響を受けやすく、L12の方向を変えたり、L12のリード線を磁気シールドすると思いのほか大きな成果を得ることがある。ハムでお悩みの方は一度試してみるとよい。

 

411.Sメータのドリフト(2) 2011年11月18日
 「32.Sメータのドリフト」で75Sのドリフト解消の対処療法を書いたが、多くの場合は2本あるIF AMP(6BA6)のGridからのエミッションが原因である。この場合は、6BA6を新しい真空管に交換するか、6BA6の高信頼管5749Wに交換するか、TUBESTER等の半導体系に交換する事により解消する。

 

412.4CX1000A 2011年11月25日
 Eimacの4CX1000Aには下部に1000HRSと印刷がされている。これは、1000時間のエージング済みとの意味か? この意味は、1000時間の保証があるとの意味らしい。

 

413.6DC6 2011年12月2日
 6DC6の供給薄の話題が出ていた。そのスレッドの中では6CB6は問題なく使えると紹介されていたが、シャープカットオフ管が果たして使えるかは甚だ疑問である。それを暗示するように、RF増幅管の代替をする場合の注意点が紹介されていた。
  • 増幅度や内部雑音に関してはあまり気にする必要は無い。外部要因の方が大きい。(6CB6でも動く)
  • Sメータのリニアリティーを損なう場合があるので注意 (6CB6を使うとてき面)

「246.KWM2の真空管代替品リスト」で代替品を紹介しているのでこれも参照願いたい

 

414.モニタースコープ(2) 2011年12月9日
 真空管の機械を使っていると電波の質が気になることがある。このようなときにはモニタースコープが便利である。モニタースコープで見る波形は、当初はどう見たらよいかを戸惑うが、目が慣れてくると現在の電波の質が想定できるようになり、必須アイテムとなる。モニタースコープのお勧めが紹介されていた。
  • SB-610    ヒースキットの人気モデル。コリンズのデザインとも相性が良いが、老朽化が目立つ
  • SB-614    SB-614の後継機。ただ、デザインが異なるのであまり話題に上ることは無い
  • YO-100    FT-101と統一デザインでコリンズとも相性が良い。日本では入手しやすく機能も良い。
  • YO-101    YO-100の半導体化されたモデル。
  • SM-220    TS-820と統一デザイン。日本では入手しやすく機能も良い。
  • SM-230    TS-950と統一デザイン。バンドスコープの機能が良いが、値段が高い。

 

415.30L-1の冷却FAN 2011年12月16日
 大量の熱を発生する30L-1に追加のFANを取り付ける方が多いが、果たしてコリンズの熱に関する設計はそれほどいい加減なのだろうか。コリンズは811Aの硝子表面の温度を計測して必要な冷却能力を設計している。では本当に不要か? コリンズは「342.Cetron 811A」で紹介したような良品の使用を前提としている。この様な製品は信頼度があり、耐熱性も十分である。ところが、我々の30L-1は必ずしもその様な811Aを装備しているとは限らない。「有名ブランドの811Aを装備している以外は追加FANを使うべき」との提言があった。至言である。

 

416.ソケット 2011年12月24日
 多種のソケットの供給先が紹介されていた。
   Sphere Research Corporation

 

417.51Jの歴史 2011年12月30日
  History of the 51J series と題して、白熱したディスカッションがCCAのML上で行われた。その一端を紹介する。51Jシリーズは言わずと知れた50年代のコリンズのゼネカバ受信機である。51J-1から51J-5まで有るといわれている。51J-1は生産台数が120台と少なくエンブレムが「51J」となっているので、51J-1は無いと言う人もいる。また、51J-2のプロトタイプの位置づけという人も居る。51J-5は51Jシリーズに75A-4のSSBの機能を融合した受信機であるが、プロトタイプのみ存在し実際には生産されず、後に51S-1に取って代わられたと言われている。今でのWのAM愛好家などの間で51Jシリーズが使われているが、概ね、51J-4が多いようだ。51J-2以降にアンテナトリマーが装備され、51J-4は選択度が良いので、実用を考えると51J-4に軍配が揚がるのであろうか。
   

 

418.部品の取り外し 2012年1月7日
  コリンズの機械は部品をからげ配線をしているので、取り外しが厄介である。レストアする者の人情として、からげ配線を綺麗に取り外し新しい部品を付けたいものだが、自分のテクニックや、部品の込み具合によりケース・バイ・ケースの対応を迫られる。中には半田を溶かし千枚通しで器用に配線を外すテクニックを持った人も居るが、やはり一般的には「313.半田吸い取り器」紹介した器具を用いて半田を吸い取り外すのが失敗が少ないようである。半田は完全に吸い取らなくてもある程度吸い取れば、熱でもろくなっている為、軽くゆすると外れるようになる。特に、プリント基板ではスルーホールが有ってもかなり綺麗に取れる。

 

419.KWM-380用メモリーボード 2012年1月13日
  KWM-380オーナーには耳寄りな情報を紹介する。KWM-380はバンド情報がROMで制御されているが、@オリジナルではWARCバンドが送信出来ない、AEPROMなので劣化により制御情報が揮発する可能性がある、BKIRONメモリーのバックアップ電池が劣化すると電源オフ前の状態保持が出来なくなりメモリー内容が揮発する。これらの対策として、W4AX、Mackが新しい部品を使用したメモリーボードを開発した。但し、メモリーを使用する為には外付けキーパッドを利用する必要があり、オリジナルの代替品として新規開発のキーパッドとインターフェースボードも一緒に紹介されている。興味がある方は下記のリンクをチェックすると良い。なお、価格や注意点などは下記リンクのOrderingのページを参照願いたい。

 

420.パイロットランプ(4) 2012年1月20日
  パイロットランプに関しては、度々、紹介してきたが、新しい情報が入ってきたので紹介する。
  • #47はピンボールやスロットマシンに良く使われている(Wではこの様なソースがある)
  • コリンズ専用のLEDランプが売られている(少し高いが) D.A. Buska Engineers LLC
  • 廉価なLEDランプ Super Bright LEDs Inc.
  • やはり従来のランプが良い方は Amazonで探すと ここ 
  • Radio Shack: 6.3V 150mA Incandescent Flashlight Bulb (2-Pack)Model: 47  Catalog #: 272-1110
  • #755 は #47と同等に使用でき、2万時間の耐久性がある

 

421.51S-1の素晴らしさ 2012年1月27日
  51S-1は言わずと知れた人気が高い受信機である。その人気の秘密は・・・。@音が良い。2.4KHzのメカフィルを使っているが低音から高音まで驚くほど良く鳴る。若干多い内部雑音やSSBにしては早いAGC時定数をも凌駕する音の良さ。A性能が安定している。特に30バンドを選択するバンドスイッチはRF、IF、局発等、多数の回路を切り替え、接点の数は尋常ではないが、金メッキが施されているターレットを採用しているので接点不良がおきず、メンテナンス性も良い。真空管の劣化やコンデンサーの劣化には気を使う必要があるが、これはレストアをお行う者にとっては当然の事。

 

422.516F-2のスピーカー 2012年2月3日
  メンテナンスの話題ではないが、スピーカーが搭載されている516F-2を良く見かける。これは、アフターマーケットでの改造である事は皆良く知っているが、中にはコリンズで取り付けられた物もある。あくまでも出荷後にユーザーからの改造依頼に基づき取り付けられる物であるが。

 

423.ネジ 2012年2月10日
  ネジが壊れていたり無かったりする場合はどうするか? コリンズのネジはインチネジなので、探すのに意外と苦労する。通常のキャビネットの使われているUNC#4 で10mmくらいの長さのネジ等はパソコンで使われているので、DIYショップでよく見かける。これ以外の特殊ネジは三和鋲螺を探すと見つかる可能性が高い。事実、70K-2 PTOの円筒形ハウジングを固定している70mm長位のネジは同店で見つかった。エスカッションやキャビネットに使われているペイントが施されたネジも困る。ステンレスネジにペイントをしても定着が難しく、暫く時間が経過するとペイント表面にヒビ割れが出来て剥げる。この様な場合は、ステンレス専用ペイントを使用する。Caswell社で入手が出来る。但し、もっと簡易な方法として、ネジに#600くらいのサンドペーパーで傷をつけ、ペイントをすると通常のペイントでも定着がよくなる。

 

424.516F-2の無負荷電圧 2012年2月17日
  仕様では、516F-2の無負荷時の高圧電圧は約900Vで、負荷時の電圧は800Vと言われている。無負荷時の電圧は年数が経過すると1,100Vにもなる場合がある。これは、主にチョークコイルの経年変化によるものである。516F-2はレギュレーション改善のために、出力が120Hzに共振しているが、チョークの経年変化による残留磁気やコアに生じたギャップ等により、インダクタンスが大幅に変化し、共振点が変わり無負荷の電圧を上げると言われている。この対策として、消磁やチョークのネジを強く絞めるのが効果的である。また、次の手も有効である。2個のチョークが同じフレームに納まっているが、高圧は下のチョークが使用され、中圧は両方のチョークが使用されている。高圧を上のチョークを使用する様に配線を変更して症状回復する場合がある。なお、チョークのリアクタンスは次の方法で簡易に測定できる。AC6.3Vの電源にチョークとボリュームを直列に接続し、ボリュームに半分の電圧が掛かったときのボリュームの抵抗値を読む。これがチョークのリアクタンスである。なお、チョークのリアクタンスは数百Ωのはずなので、ボリュームは大きなものではなくても良い。

 

425.シルバーマイカの罠 2012年2月24日
  シルバーマイカ・コンデンサーは性能が安定していることより、高周波回路等に多用されている。但し、エポキシでモールドされていない昔の部品は(NOSでも)経年変化により銀電極が劣化し、ノイズが発生したり温度により容量が突如変化したりする事がある。R390、R388、75A-Xではこの現象が散見される。これは、電極に混入した不純物が原因の様である。リード線をコンデンサ本体の付け根から曲げると、コンデンサにリード線が通る部分のシーリングを傷め、湿気が内部に入りやすくなり、劣化を助長するという意見もある。この様な現象が出たら、C0G、NP0級のセラミック・コンデンサーに交換すると良い。このクラスのセラミック・コンデンサーは高周波特性が良く、安定性も抜群である。但し、低クラスの物は、使用に耐えないので注意が必要である。では、どうやって劣化したコンデンサーを発見するか。これはシルバーマイカ以外にも適用できる。DMM等の高抵抗レンジで、リーク抵抗を測定し、数十MΩ程度ならNG。抵抗測定不能な抵抗値であればOKと判断できる。更に、劣化した物は抵抗値が徐々に変化する。また、方向性を持つ(測定方向により抵抗値が異なる)場合もある。

 

426.コンデンサー・チェッカー 2012年3月2日
 「425.シルバーマイカの罠」でコンデンサーのリークを調べる方法の一部を紹介したが、低電圧ではリークしないが高電圧がかかるとリークする場合が多々ある。この場合は、DMMの高抵抗測定レンジでコンデンサーの抵抗値を測定しても「正常」としか表示されない。高電圧をかけ、コンデンサーの抵抗値を測定する必要がある。この測定が出来る測定器で有名なのは、ヒースキットのIT−11、IT−28である。マジックアイが付いていて、いかにも年代物の測定器であるが、正確な容量測定を目的とするのではなく、高電圧下のリークの大小が分かれば良いので、可也使える。

 

427.モニタースコープ(3) 2012年3月9日
  75S-3受信機に455KHzのモニタースコープを接続する方法を解説する。1段目のIF AMPL(V6:6BA6)のプレートから12pfのマイカコンデンサーで信号を引き出す。マイカコンデンサーは旧型の平たい物ではなく、粒の形をしたものを使用する。引き出した信号はRG-188/U等の細い同軸ケーブルで背面のスペア端子に接続する。なお、同軸ケーブルのシールドは両端をアースに落とすこと。これにより、IF段に繋がる浮遊容量が少なくなるが、IFトランスは再調整が必要となる。

 

428.KWM-2の電圧、抵抗チャート 2012年3月16日
  機械の調子が悪くなった場合はまずは疑わしい真空管を交換し、それでも駄目な場合は、次に真空管ソケットの電圧、抵抗値をマニュアルに沿って確認すると思う。手順はマニュアルの一覧表に書かれたピン番号の電圧、抵抗値に従い、シャーシー裏側で実際の位置を探しながら各ピンの値を測定する事となるが、意外とこの作業がやり難い。これをやり易くするために、シャーシーの裏側から見たソケットの配置図に各ピンの電圧、抵抗値の一覧を添えたチャートをGlen、K9STHが作成した(KWM-2用のみ)。これを使うと作業が少しは楽になると思われる。

 

429.フィルターのレストア 2012年3月23日
 コリンズのメカフィルが壊れたら何とか分解して修理をトライしたいと考えるのが人情であろう。多くの場合、原因はトランスデューサーと端子を繋いでいる極細ワイヤー断線と言われているので、それを半田付けすれば良いと思うのだが、内部がどうなっているかが分からず、分解時にさらにダメージを与えないかが不安でなかなか手が出ない。そんな時に役に立つサイトがあるので紹介しておく。Y型フィルタのレストアの様子を写真付きで解説している。
 http://www.r-390a.net/FilterRepair/index.html 

 

430.リード線のビーズ 2012年3月31日
  KWM-380の基盤を良く見ると、全てのDIP型コンデンサーのリード線にビーズが入っている。これは何のためか? エポキシを皮膜された本体からリード線が出ている部分はリード線にエポキシが被っていて、この部分が両面基盤の背面から半田を流し込み部品を固定する工程でスルーホールを塞ぎ、半田が上面のランドに行き渡らない、半田不良を防ぐためである。ビーズが入っていなく、D型にリード線が巻かれていて、同様な目的を果たしている部分もある。

 

431.PJ-068(2) 2012年4月6日
 コリンズのマイクコネクターの日本版を「 300.PJ−068」で紹介したが、Wでも電話交換用のコネクターは安く入手出来る。MOUSERでは800円位で売っている。色が赤い点は少々難が有るが。

 

432.KWM-380キーパッド(2) 2012年4月13日
 「102.KWM-380 キーパッド」で、既に入手が困難になったキーパッドの入手方法について紹介した。キーパッドのキーの部分は未だSSNに在庫があり、他社の代替品もあるが、キーパッドをマウントする金属彫りだしのケースは「Unobtainium(※)」と称されるくらいに入手困難で高価なものとなった。この代替手段としてとして次は如何か? 
  1. SM-280にキーパッドを仕組む。Lee、WB6SSWのページで紹介されている方法で、結構イケている感じがする。
  2. LMBMOUSERで扱っている前面傾斜の小BOXにキーパッドを取り付ける。最も手軽な方法だが、見栄えがいま一つ。
  3. AirForceバージョンのHF-380の様にフロントスピーカー・グリルにマウントする方法もあるが、フロントスピーカー・グリル自体が希少なので少々リスキーか。

  ※特定のデザインや機能を実現する理想的な素材。高価、希少等、入手困難な物。

 

433.516F-2のFuseが飛んだら 2012年4月20日
 516F-2のヒューズが突然、飛んだ場合の初期切り分け方法をおさらいしてみたい。
  1. 電源を抜いて、送信機から電源コネクターを外す。
  2. ヒューズを2A(容量が小さなもの)に交換する。
  3. 電源ケーブルの5番ピン、7番ピンをショートして電源を入れる(送信機の電源スイッチを入れた状態)。
  4. ヒューズの切れ、トランスの異常なうなり、暗いところで放電の有無を確認する。
  5. 問題が無い場合は送信機の問題と考え、以降の切り分けを進める。

 

434.75S-1の改造(2) 2012年4月27日
 「169.75S-1の改造」で種々の改造が有ることを紹介した。今回はその中のIF段を追加して感度改善を図る記事を紹介する。75S-1は21MHz、28MHzで感度がいま一つ良くなく、IF段を追加するという大胆な改造手段が発表されている。リセールバリューを考えると、そこまでの大改造はなかなかし難いが、75S-1のシャーシーの中央にはNBをオプションで取り付ける為のカバーが有るので、アルミ板に真空管ソケット等をマウントしたものをここに取り付ければ、シャーシーに穴を開けずに大胆な改造が出来る。自由度が大きい機械である。

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435.コリンズ受信機 2012年5月4日
 コリンズ業務用受信機の総決算が掲載されていた。年代順に紹介する。
  • 51Jシリーズは51J-4まであり、11,000台生産された。
  • R-390/R-390Aは全生産台数は67,000台で内、コリンズ製は20,000台。
  • 51S-1は12,000台生産された。
  • 651S-1は半導体化され、後期のBモデルを含み6,000台生産された。Artお好みの受信機。
  • 451S-1はKWM-380と外観が同じ受信機で、10台のみ生産された。
  • 851S-1は、8050、8054、851S-1、851S-2と4タイプあり2,000台生産された。851S-1Aというコンピュータ制御が出来るプロトタイプも存在する。
  • 2050は1,150台生産され、カナダ軍向けの受信機。
  • S-1、S-2は一枚基盤の受信機で、HPの電卓型のPCで操作する。710台生産された。
  • 95S-1は95S-1、95V-1の総称で、SDR受信機。350台生産された。

 

436.KWM-380用AFフィルターボード 2012年5月11日
 「419.KWM-380用メモリーボード」でW4AXのメモリーボード、キーパッドを紹介したが、彼の新しい380関連のプロダクトを紹介する。この製品は受信AF段の高音帯域のヒスやクロックノイズを低減する300Hz〜3KHzのバンドパスフィルターで、SB-11でコリンズからもオリジナル製品が提供されている。このフィルターの効果は確かに高く、未適用の機械との受信音の差は明らかである。詳細はW4AX、Mack フィルターのページを参照願いたい。

 

437.30S-1のダイオード代替品 2012年5月19日
 30S-1のCR206、CR209は1N1084というヒューズホルダーに入る特徴的な形をしているダイオードだ。この代替品はなんとかネット上で見つかるが非常に高い。400V 500mAのダイオードであれば代替が利く。汎用品をヒューズホルダーに半田付けをすれば良いが、どうしてもオリジナルの形に拘りたい向きは、ダイオードの中をくりぬいて中に汎用品中に入れればよい。

 

438.CCA Web サイトリニューアル(2) 2012年5月25日
 Collins Collectors Associaton (CCA)のサイトがリニューアルされた。最大の目玉は、日本語でCCAのサイトが見れるようになった事だ。もちろん、過去にMLでやり取りされた英知が保存されているArchiveも日本語で見れる。翻訳ソフトを使っているようなので訳にぎこちなさは有るが、訳の精度は良いと思われる。これを機会に是非、試してみてもらいたい。

 

439.RCAコネクター(4) 2012年6月1日
 RCAプラグについて過去何回か掲載したが、今回はレセプタクル(雌)の交換について掲載する。機械が古くなると接触不良が発生したり、陶器の絶縁体が欠けたりして交換をしたくなる。ここで問題になるのはリベット固定である。工業用の圧搾空気を用いるリベッターは陶器の絶縁体や機械にかかるインパクトが大きく使わないほうが良い。手でかしめるリベッターを使用するのが良い。但し、ツールが届かない部分にリベットを打つ場合は手製のツールを使い、固定するしかない。使うリベットはアルミ製の軟らかい物が良い。また、リベットは固定時に緩み易くシャーシー間の接触不良を起こす事がある。これを防止するために、リベットの頭とシャーシー間に菊座ワッシャーを入れるとよい。また、レセプタクルは絶縁体が樹脂の物は使わず、陶器の物を使うことを奨める。

 

440.デジタル・マルチ・メータ 2012年6月8日
 デジタル・マルチ・メータ(DMM)は便利で、最近は価格が安くなったのですっかり定着した観がある。しかし、安価なDMMを高圧測定に使用するのは注意が必要だ。例え、定格が800V以上有っても、600V以上の電圧測定には使うべきではないとの意見もある。最も憂慮すべき点はリード線の絶縁不良による感電である。また、安いDMMで516F-2の電圧を測定していたら、516F-2のヒューズが飛んだという様な報告もある。高電圧を測定する場合は、有名メーカーのDMMを使用して、プローブを使用するくらいの留意が必要だ。

 

441.RCAコネクター(5) 2012年6月15日
 「438.RCAコネクター(4)」でレセプタクル(雌)の交換のヒントを掲載したが、どうも問題を起こすのはRCAプラグの方が多いようだ。プラグは良質の物を使用したい。推奨するプラグの仕様は次の通り。
  • 絶縁体が耐熱性のあるテフロン製
  • シールドの先が4つ以上に割れている(プラグの差込を確実に維持できるポイント)
  • 金メッキをしている

 秋月通商あたりでは1個100円程度で売っているので、さして高価ではない。但し、「229.RCAコネクター(2)」で紹介したが、センターピンの長さには注意が必要である。

 

442.30L-1プレートタッチ保護 2012年6月22日
 30L-1で使用している811Aでプレート&グリッドタッチが発生するとグリッドバイアスを提供しているトランスが焼損し最悪の事態を招く。この様な事故は粗悪な811Aを使用した場合はまま発生すると報告されているが、高価なトランスを保護するためにサージ吸収デバイスを活用すると良い。サージ吸収デバイスとしてはMOVがあるが、MOVは応答速度が遅く、経年変化でリーク電圧が増大する特徴を持っているので、この様なアプリケーションにはそぐわない。Vishay社で製造しているTransZorbが適していると言われている。推奨は、Mouserの製品番号「625-1.5KE300CA-E3 」(双方向性、絶縁破壊電圧285V〜315V)。これをC2とパラ(バイアス回路とグランドの間)に入れる。この事により、万が一、タッチが発生した場合でも高圧は瞬時にグランドに逃げ、トランスは保護される。

 

443.30L-1の電源 (読者の方からの情報) 2012年6月29日
 メインテナンス集 92 30Lー1の電源の極性 はその通りなんですが、実はもっと危険なのはスイッチの前に貫通コンやセラミックコンが入っており(ホット側、コールド側共)、その中の貫通コンが破壊、短絡されていて恐らく誘導雷が原因か、スイッチが入ってなかったにもかかわらずアースに向かって電流が流れていて、電気代が急上昇して驚いたことがあります。コンセントに差し込んであるだけで最悪火事のリスクもあり、要注意です。(漏電ブレーカが使われていない場合には特に) 長山/JA1COR

 

444.バラモジ(3) 2012年7月6日
 「136.バラモジ」「282.バラモジ(2)」で入手困難になったKWM-2やSラインのバラモジの代替品を紹介し、1N60等のゲルマニュームダイオードが最適としたが、特性を揃える問題が有る事がMLで提起された。揃える特性はVF等の性的特性ではなく、I-V特性(動的特性)である。これの測定比較は難しい。近年の製品は生産ロットが同一なら特性の相違は大きくない見てよいので、結果的には1N5711等の現行品のショットキーダイオードを使うのがベストと結論付けている。

 

445.パイロットランプの着色 2012年7月13日
  とはいっても、ランプに色を塗るのではない。30K1などで使われているランプケースのレンズの裏側に貼る着色シートの話である。これを使用するとランプの色を変えられる。30K1のレストアのみならず、機械の雰囲気を少し変えたい時には如何でしょうか? http://www.stagespot.com/gel.html

 

446.30S-1の3分間タイマーリレー(2) 2012年7月20日
 タイムディレー機構(K202)である115NO180は入手困難で有っても高い。この代替品として、「47.30S-1のステップスタート」ではOMRONのH3CR-A8という半導体のディレータイム可変型タイマーリレーを紹介した。あくまでもオリジナル品にこだわる方は、Nationwide Radio & Eq. Sales LLCのサイトでEdison社のB2133という製品が売られているので参照されたい。$29.99と安い。この会社はコリンズ関係のパーツ等を扱っているので、立ち寄ったついでにサイト内を色々散策してみるのも面白い。

 

447.リキャップ(2) 2012年7月27日
  コンデンサーのメンテナンスに関しては「177.リキャップ」等で多々書いているが、リキャップをする上で参考になる情報が分かりやすくまとめられているサイトがあるのでリンクを紹介する(但し、英文です)。中でも、交換すべきコンデンサ、交換すべきではないコンデンサの記載は参考になる。 この記事によると、Paper Capacitors (ペーパーコンデンサ)、Round molded paper capacitors (モールド(丸型)ペーパーコンデンサ)、Flat molded paper capacitors モールド(平型)ペーパーコンデンサ)、Electrolytic capacitors(電解コンデンサー)は交換すべきで、Mica capacitors (マイカコンデンサ)は特別な理由が無い限りは交換すべきではないとの事。

http://antiqueradio.org/recap.htm#choosing

 

448.30S-1メーター分流器のSB 2012年8月3日
  Multi Meterのグリッド電流測定レンジの分流器に関する技術情報であるSB-1は30S-1にとって重要である。この分流器(R221:カーボン抵抗)は110Ωが正しい値であるが、初期の30S-1では1KΩが使用されているケースがある。これを正しい値に変更するのがこのSBの目的である。グリッド電圧は正しく測定できないと4CX-1000Aの寿命を縮める結果にもなり兼ねないので、是非、チェックしたいものだ。

 

449.30S-1ドアロック代替品 2012年8月10日
 30S-1はドアキー紛失により、ドアロックが壊されているケースが多いが、この対処方法を「247.30S-1のドアロックの外し方」や「307.30S-1ドアキー」で紹介した。この度、ドアロックの互換品の情報を得たので紹介する。オリジナルと変わらない規格なのでそのまま交換が可。CCL社、製品番号:02068 Dead Bolt Drawer Lockサイズは02068-1/2 7/8を指定。色はクロム色か真鍮色が選択可?(CCL MLの情報では選択可だったがメーカーのページでは真鍮のみ)。因みに、一部のRCの30S-1は真鍮色。キーが2個付いて$8。

 

450.30S-1のリレー(2) 2012年8月18日
 「347.30S-1のリレー」でK201(ステップスタートリレー)、K203(高圧リレー)は入手が難しいと紹介した。また、K202(3分間タイマーリレー)も入手が難しい。これらの代替品の販売をCOLLINS RECEARCHが開始した。少々値段が高いが、完全な代替品なので利用価値は高いと思われる

 

451.ラグ版端子の緩み 2012年8月24日
 真空管の機械はラグ版を多用しているが、ラグ版の端子を支える絶縁部がぐらぐらになるケースが多々ある。これは、絶縁部に使用しているベーク版等の劣化に伴い発生する。これを改善する方法として、端子を固定している部分の穴にネジとナットを突っ込み、ナットを出来るだけ強く締める。この事により、固定部分がかしめられ、しっかりと固定できる。場合によってはエポキシ系の接着剤で補強しても良い。

 

452.メーターのガラスが割れたら(2) 2012年8月31日
 「117.メーターのガラスが割れたら」で写真立ての薄い硝子を使用すると良いことを書いたが、その他のアイディアとして、薄いアクリル板を使用することが紹介されていてた。アクリル板は元の硝子と同一の厚さである1mmのものを使用するとケースに良くフィットする。アクリル板は専門業者にカットしてもらわなくても、自分で加工できるので手軽である。

 

453.バスタブコンデンサのリキャップ 2012年9月7日
 「5.3セクションのフィルタコンデンサ」や「88.3セクションのフィルタコンデンサ(2)」で代替品の入手が難しいので中をくり貫いて新しいコンデンサを仕込む方法を紹介した。この他に、バスタブ型コンデンサ(四角いアルミケーシングに入っているペーパーコンデンサ)も入手が難しい部品に上げられ、これも中に新しいコンデンサを仕込む方法が Al、W8UTのページに紹介されているので、参考にされたい。

 

454.75Sのプリセレクターダイヤル 2012年9月14日
 75Sはクリスタルを入れればWARCバンドでも受信は出来る。プリセレクターをどの位置にしたら良いかはマニュアルには書いてあるがダイヤル目盛には具体的な位置が示されていない。これを分かりやすくダイヤル目盛にした物をGlen、K9STHが扱っている。但し、見栄えはいまいちである。皆さんはどう評価されるか?

 

455.受信機の性能 2012年9月21日
 受信機の性能テストサイトとして、100種類を超える受信機の性能測定結果が公表されているSherwood Engineering Incのテストデータサイトは有名である。ここでは、新旧あわせた有名な受信機のノイズフロア、感度、ダイナミックレンジ、感度抑圧性能、等の実測結果が得られる。ただ、注意をして見ないと誤解を生む。例えば、ノイズフロアの測定値であるが、75S3は−145dBmとなっていて、IC-7800には−126dBmという数字が載っていて違和感がある。dBmで表記されるノイズフロアは、受信されているノイズのエネルギーを表すが、測定する受信機のIFフィルタの帯域幅により異なる。注記を良く見ると、使用しているフィルタの種類により無印、aが数字の肩についていると区別されているようだ。但し、フィルタの帯域幅は明記されていない。いっそ、NF(dB)を測定してくれればこの様な混乱は無い、他にも数字を見る上では注意を要する。他にも、受信機の性能を公表しているサイトとして、Jay、W1VDのサイトが有るので紹介しておく。

 

456.受信機の性能(2) 2012年9月28日
 「444.受信機の性能」で受信機の性能テストサイトを紹介したが、コリンズの受信機の性能に関して次のようなコメントがあった。
  • 75S-3Cは途中でダイナミックレンジ改善のSILが有った様で、この様に同じ受信機でも製造年代により性能は異なる。
  • 実機を測定している点は評価できるが、特に古い受信機は経年変化により性能も大きく変わっているので、レストアの状態により全てがこのデータに示されているような性能ではない。
  • KWM-380はノイズフロアが高い。これは、初期のシンセサイザーはフェーズノイズ多いため。また、RS-232Cインターフェースやシールドをしていないフラットケーブルもノイズ源として寄与しているので、この対策を実施して効果を確認している。
  • 51S-1はノイズフロアが高いが、概してゼネカバ受信機のノイズフロアは高くなる。

 

457.マイク(2) 2012年10月5日
  最近は送信機の音質改善に取り組んでいる方が多いが、コリンズの機械でも、DSPの様には行かなくても、音は気になるところだ。「213.マイク」でベストマッチと言われているマイクを紹介したが、ここではメカニズムに少々触れたい。
 ダイナミックマイクやリボンマイクは自らの振動で電気エネルギーを発生する発電型で、負荷インピーダンスが必要となる。それに対して、カーボンマイクやコンデンサーマイクはファントム電源などの外部電源が必要で、例えば、カーボンマイクは音声信号により抵抗値が変化するので、定電流電源を与えるとこによりマイクエレメントでの発生電圧が変化し、音声電圧が得られる。
 ダイナミックマイクやリボンマイクの特性インピーダンスは低域から上昇し共振点でピークに達する為に、インピーダンスマッチングが取れた回路で使用すると低域が減衰する。
 セラミックマイクやクリスタルマイクは特性インピーダンスが高くコンデンサーと考えられるので、並列な抵抗分が回路上に存在すると(マイク入力回路の負荷抵抗など)RCハイパスフィルターとなり低域が減衰され、並列な容量が回路上に存在すると(マイクケーブルの容量など)、ローパス・フィルターとなり高域が減衰される。この為、入力インピーダンスが低い送信機にクリスタルマイクを使用するとキンキンした音となる。
 コリンズの様な真空管の機械はHiインピーダンス(一般的に特性インピーダンス50KΩ)を使用する様に設計されているので、Hiインピのマイクを使用すべきか? Hiインピ入力機械はLoインピーダンス(一般的に特性インピーダンス600Ω)のマイクでもHiインピのマイクでもOKだ。インピーダンスマッシングは、長い伝送路で伝送ロスを気にする時には重要だ。Loインピ入力の機械(トランジスタ送信機)にHiインピのマイクを使用した時に入力不足を経験する事が有ると思うが、これは、マイク自体の出力電圧不足に起因する。この意味で、マイクトランスを使用するのは、インピーダンスマッチングの為ではなく、出力電圧のステップアップの為である。

 

458.トランスの巻きなおし 2012年10月12日
  コリンズを始め、117社にも及ぶ真空管機器のトランスの巻きなおしのサービスを請け負っている会社がある。一見の価値がある。Transformer Rewind Service

 

459.Sラインのバンド拡張 2012年10月19日
 バンド拡張と言っても改造の話ではない。Sラインで12MHz以上は局発の高調波を利用している。
  • 受信周波数=局発×2−(PTO周波数+455KHz)

この周波数にプリセレで同調させて受信をしている。このため、プリセレの位置により無改造で次の周波数が聞ける。

  • 受信周波数=局発−(PTO周波数+455KHz)
  • 受信周波数=局発+(PTO周波数+455KHz)

例えば、14.1MHzを聞いている場合は、プリセレの位置を0近くにすると5522.5KHz、プリセレの位置を4.5にすると11632.5KHzが聞ける。この理屈で言うと、

  • 14MHz:11−12MHz(プリセレ4.5)、5−6MHz(プリセレ0)
  • 21MHz:15MHz(プリセレ4−5)、8−9MHz(プリセレ0−0.5)
  • 28MHz:15−16MHz(プリセレ外)、12−13MHz(プリセレ1.2)

海外放送バンドである49mb(5900−6200KHz)、25mb(11650−12050KHz)、19mb(15100−15560KHz)が無改造で聞けることとなる。是非、お試しあれ。

 

460.7360 2012年10月26日
 コリンズのメンテナンスとは離れた話になるが、先日、CCAのMLでこんな話がされていたので紹介する。バラモジに使用される7360は最近価格が非常に高い。この代替品として、7630と伴にかつてカラーテレビの復調に使用されていた6ME8、6JH8、6HW8が安価で入手できる(1/10位の値段)。直線性が7630より良いと言われているが、ピンアサインが異なり回路変更が伴う。

 

461.SB適用の注意点 2012年11月2日
  30S-1のOVERLOAD RALAY(K204)の不要なトリップを防止する改善情報(SB2)がある。SB2は高圧回路にC260(2,000μF)を挿入する簡単な改善だが、これを一部後期バージョンのマニュアルの回路図を参考に実施すると大変なことになる。C260の極性が逆になっている。マニュアルは改訂を繰り返しているので記載に間違えが有ることがある。例え簡単なSBでもSBの資料を入手し、記載されている回路図、手順を参考にして実施すべきである。

 

462.真空管のソリッドステート化 2012年11月9日
  「15.Tubester」で真空管の代替品を紹介した。この使用については賛否両論あるが、技術的には気になるところだ。Don Kang氏のサイトで75S-Xをソリッドスタート化する記事が掲載されているので紹介する。簡単に言えばTubesterの自作記事。

 

463.送信管のTube Checker 2012年11月16日
  今まで何回かTube CheckerやTube Checkerを使わない簡易測定法を紹介したが、送信管は消費電力の大きさよりTube Checkerでは扱えず良否の判定が出来ない。それなら、いっそのこと中古の送信機をテスト用として使い、送信管の良否を判断したらどうだろうか。機械によっては1万円以下で入手できる。

 

464.516F-2のバイアス調整不良 2012年11月23日
  後期の516F-2と初期のKWM-2(A)や32S-X、あるいはその逆(初期の516F-2と後期の送信機)を使用した場合に、バイアスが規定値に調整できない場合がある。この対処方法として、バイアス電圧調整可変抵抗とグランドの間に入っているR10を交換すると良い。抵抗値の決め方は、症状によりカットアンドトライで。但し、前提として、バイアス不良の原因が故障ではない事を確認している事は言うまでも無いが。

 

465.メータ硝子の固定 2012年11月30日
  メータの硝子は内部のリングでケースに固定されている。たまに、硝子が緩む場合があるが、これはリングをケースに固定しているWAXの劣化が原因である。リングを固定するのに最も適している接着剤が紹介されていた。模型の飛行機の硝子とピラーを接着するのに使用するPacer Formula 560 Canopy Glueという製品である。米国のAmazonで入手できる。シリコンゴム系の透明な接着剤でもOKだ。

 

466.アースの必要性 2012年12月7日
  Sラインをはじめ、古い機械を使用するときは必ずアースを取るべきだ。古い機械はバイパスコンデンサーのリークによりシャーシーには電圧が発生する場合があり、特にACライン入り口のバイパスコンデンサーは曲者である。Wのコンセントは3Pになっており、その中点は接地されていることが電気事業法で定まられている。これは、シャーシーに発生する電圧を適切にアースに逃がし、感電を防ぐためである。日本のコンセントはWでは禁止されている中点アースが無い2Pである。これは、必要な機械は別途、アースを取ることを前提にしている。こう考えると我々が日本で古い機械を使う時にはアースが必要なことが良く分かる。もしくは、電源にアイソレーショントランス(複巻きトランス)をを使用して、感電を防ぐ対策も有効である。

 

467.RCAコネクター(6) 2012年12月14日
  RCAコネクターについて度々書いてきたが、コリンズはなぜRCAコネクターを使用したかを裏付ける史実を示しておこう。
  • あるTIのエンジニアがコネクターの周波数特性の実験をした結果、1.2GHzまでRCAはBNC、N型と同様に良好な特性で、M型の使用上限は50MHzとレポートしている。
  • モトローラ、GEは450MHzまでの業務用トランシーバにRCAコネクターを使用した。
  • モトローラは70年代、80年代の960MHzの業務用トランシーバにRCAコネクターを使用した。

世界に名だたるモトローラ、GEは、特性が良くなければ、RCAコネクターを業務用には使用しないだろう。

 

468.真空管ショップ 2012年12月21日
  お勧めの真空管ショップが紹介されていた調達先を紹介する。見るだけでも楽しい。

http://www.esrcvacuumtubes.com/index.html
http://www.vacuumtubes.com/
http://www.vacuumtubesinc.com/Home.aspx
http://www.vacuumtubes.biz/index.html
http://www.tubesandmore.com/
http://stores.ebay.com/K5SVC

 

469.KWM-380修理 2012年12月28日
  KWM-380は現用として通用し魅力ある機械なので、使ってみたいと思われる方も多いと思われるが、既に製造後、年月が経過しているのでトラブルが多いことが敷居を高くしている。自分で修理できる方はまだしも、修理できない場合は、修理請負先のソースが重要になる。W国内ではあるが、ボードを送ると修理してくれるソースを紹介する。連絡先はQRZ.comで。
  • Wayne Spring, W6IRD
  • Bob Struck, KX6K

 

470.KW-1の改善 2013年1月4日
  お正月気分でKW-1のオーナーになったつもりでお読みください(KWM-1ではありません)。
KW-1をお持ちの方は経験があると思われるが、スタンバイ時に100%変調時の高周波電圧の数倍に及ぶスパイクが出る時がある。これは、スタンバイ時に高圧トランスの一時側に入っている高圧リレー(K-402)が切れる前にアンテナリレー(K-101)が切れる為で、原因は高圧、アンテナリレーを制御する送受制御リレー(K-403)の接点が汚れ、そのシーケンスが乱れるからである。これを解決するために、新たなリレー(K-404)を追加して、これをK-403で制御させ、K-403に高圧リレー、K-404にアンテナリレーを制御させるようにする。そうする事により、高圧⇒アンテナと順序を乱すことなく切れる様になる。世界に名だたる名機KW-1でスプラッターを撒き散らさないめに是非、実施したい改善だ。

 

471.コリンズ宣伝集 2013年1月11日
 1945年〜1983年にQSTに掲載されたコリンズ社の宣伝集がNorm,WA3KEYのページで紹介されている。コリンズの歴史を宣伝で垣間見れる。

 

472.ボートアンカーの香り 2013年1月18日
  メンテナンス関係では無いが、ボートアンカーが発する香り(匂い)に一種独特な感情を描く人が多いので紹介する。ある人は昔やっと買った機械の前でその香りを嗅いだ事を思い出し、ある人はプロジェクトで成功を収めた安堵の中でその香りを嗅いだことを思い出す。人それぞれにその香りが連想させる思い出がある様である。香りの元は真空管の熱により蒸発したペイントのエナメル質、半田のペースト、コンデンサーの電解液、等の種々の物がミックスされたものであると想像できるが、これ以上の分析は無用であろう。言える事は、その香のお陰で、今日もボートアンカーを、たとえ時代遅れと言われたとしても、プライドを持って使っている自分が居ると言うことである。

 

473.電解コンデンサーの劣化過程 2013年1月25日
  電解コンデンサーは時と伴に劣化するが次の過程を経る。まず、電解液が劣化しリーク抵抗が発生、そのために、内部に熱が発生する。発生した熱によりコンデンサー内部が膨張して弁より内部の電解液が発散される(この過程で「て行き、やがて電解コンデン472.ボートアンカーの香り」で述べた匂いが出る)。電解液が減少し容量が減少しサーの役をなさなくなる。電解コンデンサーの匂いがきつく?なったら交換時。

 

474.メーターの引っ掛かり(3) 2013年2月2日
  「134.メーターの引っ掛かり」「297.メーターの引っ掛かり(2)」の補足として、メータ内部の強力な磁石に付着する鉄粉への注意を喚起したい。鉄粉が磁石とメータのムーブメントコイルとの狭い隙間に付着した場合は引っかかりの原因となる。鉄粉は種々の理由により内部に侵入するが、メータランプのソケットも鉄製なのでその一因となることを忘れてはならない。鉄粉は一度付着すると磁力でなかなか取れないので、ムーブメントを外しテープで吸着すると良い。メータを分解する前に、新たな鉄粉が付着しないように周りを十分に掃除する注意も払いたい。

 

475.Sメータの指示誤差 2013年2月8日
 75S-XでSメータの指示誤差が大きい場合は、IF AMPのSメータ回路の抵抗を疑う必要がある。特に、IF AMPのスクリーングリッドに繋がっているR16(47KΩ)はSメータ指示を補正するTest Select抵抗のため、この値が変化すると、当然ながら補正値は狂いSメータ指示誤差の原因となる。

 

476.Peter Dahl トランス撤退 2013年2月15日
 Peter Dahl の後継として彼の秀作のトランスを製造販売していたHarbach Electronics LLC がついに 2/14 より Peter Dahl のトランスから撤退すると発表した。理由は、原材料費と人件費のコスト高だそうです。現在、このビジネスの後継先を探しているが未だ決まっていないとの事。

 

477.ペイント(2) 2013年2月22日
 「49.ペイント」でSラインにマッチするペイントや「337.KWM-380のペイント」を紹介したが、最近は車のボディーペイントショップで、更に自由な色のマッチをITを駆使したシステムで提供してくれる。これは、カラーマッチナビ、等のシステムで、持ち込んだサンプルの色調をコンピュータで計測し、自動的にペイントを調合してくれる。可也、色のマッチングは良いみたいだが、実際は下地の色、下地の荒さ、ペイントの仕上げ面の粗さに仕上がりの色調は左右され、更にはサンプルの日焼けによる色むらが有るので、これらを考慮する必要があるようだ。Glen、K9STHの調合も参考となる。

 

478.OAKスイッチ(3) 2013年3月1日
 、「74.OAKスイッチ」でOAKスイッチの入手先を紹介したが、SSNは既に在庫が無くなりWでは既に入手先が無い紹介されている。日本ではハムズオフィスの在庫がなくなり、FRラボも時間の問題かと思われる。このため、Wでは次のような代替に関する話題が出ている。
  • HeathKit SB100/102の物が使えそうだ。
  • いざとなれば、接点の所にフォトカプラーを仕込み516F-2をON/OFFすればよい。

但し、特殊部品だけあって代替品の話は聞こえてこない。

 

479.Peter Dahl トランス撤退(続報) 2013年3月8日
 「476.Peter Dahl トランス撤退」でHarbach Electronics LLCの撤退により、Peter Dahlのトランスは入手できなくなると伝えたが、先日、故Fred Hammond, VE3HC が創立したHammond Manufacturing Company, Inc.が事業を買収存続させるニュースが飛び込んできた。これにより、当分、Peter Dahlのトランスの入手の道が確保された。

 

480.幻のコリンズ 2013年3月15日
 Art Collinsの時代、Rockwellの時代と通じ、プロトタイプまで製作され市場に出なかった幻のコリンズの機器が紹介されていた。
  • Dual PTOのKWM-2と言われているトランシーバであるKWM-1000。時にKWM-5000とも呼ばれていて、コリンズ博物館に展示されている。
  • ソリッドステートでPLLを採用したKWM-2であるKWM-3は651S-1に似ていて、実際は718-Tの改造型と言われている。
  • 30S-1をオートチューン化したのが30S-2。
  • 30S-3はプロトタイプが2台作成され、1台はコリンズ博物館に、1台はオーストラリアのハムに譲渡されている。ファイナルは3CX1000A7が使用され、その他はソリッドステート。

 

481.51S-1のトランジスタ 2013年3月22日
 51S-1にはトランジスタが使われている。Geの2N388である。これが壊れたときにはSiの汎用品である2N2222が使用できる。この回路は比較的高いバイアスで稼動しているのでGeとSiのVbeの閾値の相違(0.6Vと0.2V)は問題とならず、低周波で利用されているので、GeとSiの接合容量の相違も問題とならない。但し、歪を最小限にする為にR53、R107を調整し、Ie=0.4mA位にセットすると良い。また、メタルケースの外観に拘るのならば2N2222Aという選択肢もあり、NFに拘るのなら、2N5088という選択肢もある。但し、2N2222は安く入手しやすくβが2N388に近いので、ベストな選択肢かもしれない。不幸にも壊れた場合はこれらの選択肢を考えながら修理を楽しもう。

 

482.KWM-2のRIT回路(2) 2013年3月29日
 「403.KWM-2のRIT回路」でKWM-2のRIT回路を紹介したが、KWM-2にとってのRIT回路のメリットは、@送受信の周波数のずれを補完してくれる、ACW時のオフセットを設定できる様になる、Bその他、日本の機械同様の利便性が得られる。新たに回路の情報を得たので紹介する。
  • Ernst、DJ7HSのページのRIT回路(「403.KWM-2のRIT回路」でを紹介済みの自作のボード)
  • RITEK社のボード。既製品のアドオンボードなので取り外しが容易。既に製造はしていので中古を探す。
  • KH6JFのボード。Ham Radio Magazine 84年7月号 109ページに掲載

 

483.KWM-3(2) 2013年4月5日
 「393.KWM-3」で概ねのプロファイルを紹介したが、プロトタイプのマニュアルらしい物が出てきた。興味ある方は下記のリンク先を見てみるとよい(8MBサイズのpdf)。但し、実際に製品化はされなかった。

http://www.w1vd.com/KWM400-1000.pdf

 

484.メカフィルの修理 2013年4月12日
 「308.メカフィルの修理?」で、壊れた場合は駄目元で開けて見ようと書いたが、この修理方法は一般的な様だ。メカフィルをオーブンなどでプレヒートして半田吸い取り器でケーシング淵の半田を丁寧に取り除く。この後、爪楊枝等でケーシングを分離、内部を取り出す。多くの場合はトランスジューサーへの配線の半田が外れているので半田を付け直す。また、トランスジューサーを支えているウレタンフォームが劣化しているのでこれも交換する。多くの場合はこの方法で復活するが、トランスジューサーへの配線がしっかり付いているにもかかわらず、壊れている場合はトンラスジューサーの巻き線に問題が有り、修理は難しい。

 

485.R-390用プロダクトディテクター 2013年4月19日
 R-390でSSBを聞くアダプターとしてCV-591がある。しかしながら、CV-591は希少価値もあり値段が高い。この代替品としてTreetop CircuitsがSB-390というボードを出している。音の歪が少なくR-390の背面に取り付けられるボードなので手軽で、値段も$95と安い。その他にも、R-388、51J-X等のSSBアダプターも出しているので興味が有る向きは社のサイトをチェックしてみると良い。

 

486.テフロンワイヤー利用時の注意 2013年4月26日
 テフロン(3M商品名、一般的にはPTFE)ワイヤーは耐熱絶縁体として比較的新しいコリンズの真空管の機械に使用されているが、この利用法に関する注意点が紹介されていた。テフロンは圧力が掛かると、コールドフローやクリープと呼ばれる、素材が変形して流れだす様な現象が発生する。これにより、絶縁部が薄くなりショートの原因となる。このため、角等の鋭角な部分に対して力が掛かるような方法でテフロンワイヤーを配線するのはショートの原因となるので注意が必要だ。

 

487.HP-410C(2) 2013年5月3日
 「100.HP-410C」ではその仕様を紹介したが、実はプローブの仕様にその凄さの秘密が隠されていた。入力インピーダンスが122MΩと、通常のVTVMの10MΩと比べると非常に高い。例えばグリッド入力電圧を測定する場合は、この様な高入力インピーダンスが高い機器ではないと測定誤差の為に測定にならない。この高インピーダンスと700MHzまで伸びている特性が今もなお人気がある理由だ。

 

488.真空管のシールド使用上の注意 2013年5月10日
 「46.真空管のシールド」でシールドケースについて紹介した。この役目をまとめると、
  • IERCシールド以外はガラス管からの熱輻射をかえって阻害する。
  • ストレーにより回路の再調整が求められる。
  • マイクロフォニック雑音の抑制効果がある。
  • 電源トランス等からの磁気をシールドし、ハム防止に効果がある。
  • 高周波回路ではストレーによる異常発信防止に効果がある。
  • 移動体搭載時の振動による真空管の緩み防止に効果がある。

高周波回路以外では積極的な利用を否定する人も居て、R390のMLではまま激論が交わされる。

 

489.低電圧での真空管 2013年5月18日
 エアボーンで使用されていたR-392の電源はDC26Vだが、この時代の機械なので真空管を使用している。特にDC26V用に設計された真空管を使用しているわけではなく、6BE6等の通常の真空管を低電圧でオペレーションしている。Hi-Fi SSBの世界では低電圧で真空管を使うアンプが一時話題の的となたが、これは珍しいことではなく、50年近く前に既に活用されていた技術である。但し、小信号回路に限定された使用法である。 参考:Copperwood Media, LLC.(英語)

 

490.3セクションのフィルタコンデンサ(3) 2013年5月24日
 3セクションのフィルタコンデンサの代替方法を紹介したが、調達先を紹介しておく。現在確認出来ている調達先は次の通り。

 

491.Dayton 2013 2013年5月31日
 今年のデイトンハムフェストの撮れたての写真がK4NYW、Nickのサイトに掲載された。リンクの永続性は保証できないが、コリンズの機械等、大量の写真が掲載されていて興味深いので紹介する。早めに見たほうが良い。

 

492.高圧ケーブル 2013年6月7日
 KWS-1に使用されている高圧ケーブルはRG-58Uである。このケーブルの耐圧は2〜3KV位有る。但し、最近のRG-58Uの中には品質の問題より耐圧が低いものがあり、特に安価なケーブルは要注意である。高圧コネクターもMillenのコネクターのほかにBNCコネクターも使用されている。3KV以内であればこの品揃いで高圧周りに使える。

 

493.32S-1のプロトタイプ 2013年6月14日
 コリンズが32S-1の量産に入る前に作成された、いわば、プロトタイプの写真が紹介されていた。量産機とノブが異なるのが判る。シリアルナンバーは「E2」と鉛筆でシャーシに記載されている。この機械は量産前に廃棄される予定だったが、社員が会社に懇願して$140で売ってもらい、現在は某コレクターーの手にある。日本ではなかなかこのような物は見れない。

 

494.コリンズ受信機(2) 2013年6月21日
 「435.コリンズ受信機」で歴代の通信型受信機の種類と生産台数を紹介したが、生産年月と特徴を紹介したい。
  • 51Jシリーズ:1946-62年J-1からJ-4、希少だがJ-5もある、75Aシリーズはこの派生
  • R390、R390Aシリーズ:R390:1950-54年、LCフィルター、R390A:1955-70・84年、メカフィル
  • 51S-1:1961-82年、初のMT管採用、50年代の或るカタログには51J-6と記載されている
  • 651S-1:1970-79年、初のオールソリッドステート
  • :451S-1:1980年、希少、HF/KWM-380の受信部を使用
  • 851S-1シリーズ:1981-89年、4タイプ:HF-8050、HF-8054(4チャンネルISB、RFトランスレータ装備)、851S-1(スピナーノブのHF8050、ISB付属)、851S-2(1Hzステップチューニング)、A付きはリモートコントロールタイプ
  • HF-2050:1985-88年、初のDSP
  • -1、S-2:1985-87年:シングルボード受信機、S-1:ラックマウント、S-2:可搬型で0.1〜88MHz
  • 95S-1、95V-1:1995-2001年、DSP、パソコン制御
  • この他に、第二次世界大戦時に使用された51F:固定チャンネル受信機がある。

 

495.部品の取り外し(2) 2013年6月28日
 「418.部品の取り外し」で部品の取り外し方法を紹介した。取り外しは次の2つの方法がある。
@部品のリード線を残し、そこに新しい部品を半田付けする。
A古い部品のリード線を綺麗に取り外し新しい部品を取り外す。
@はひげが他部に接触しない様、ジョイント部の処理に注意が必要で、処理後の外観に拘りを持つと避けたくなる。軍では確実性からAを推している。綺麗に確実に仕上げるための次の様な補助具もある。KWIKETTE
Aは部品の足を端子盤の直前で切り、半田を吸い取り残った足を千枚通しなどで取り外すとよい。但し、加熱により他の部品や端子盤を傷めるリスクが有るので半田吸い取り器を使用して素早く取ること。特にロータリースイッチのウェファー等、熱に弱い部品が有る場合は要注意。器具として「313.半田吸い取り器」で紹介したHakko808が人気がある。
熱が他の部品に与える影響、綺麗さへの拘りにより双方賛否両論があるが、出来るだけAを実施し、部品の混んでいる場所や熱に弱い部品が有る場合はAを実施する様にすると良いのではないか。

 

496.コリンズの品質管理マニュアル 2013年7月5日
 半田付け方法、部品の取り外し方法、ワイアリングの方法、ネジの締め方、接着手順、等々、品質維持に必要な大量な技術が掲載されているマニュアルが公開されている。レストアをする上で非常に参考になる。下記のリンクから参照されたい。

 

497.30L-1バンドスイッチの保守 2013年7月12日
 我々コリンズのレストアラーはそのプロセスを楽しむが、中には余り(絶対?)にやりたくない部分もある。例えば、32S-3のモードスイッチの交換や30L-1のバンドスイッチの交換。不幸にして30L-1のバンドスイッチが壊れた場合、2002年第4四半期のSignalに交換手順が掲載されているので参考にするとよい。SignalはCCAのサイトにpdf型式で公開されている。CCAサイトのSignal一覧

 

498.Bristolネジとの格闘 2013年7月19日
 ノブやPTOシャフトの固定等、コリンズの機械はBristolタイプのネジを多用している。専用レンチを使用して外すのは勿論だが、古い機械だと取れない場合がある。どんなに大変かをコリンズMLで紹介されて一例で説明する。
  • まずはBristolレンチで外そうと試みるがダメ。
  • ネジを半田ごての先で暖める。その上で再度力を入れて外そうとするが外れない。
  • 再度暖め、今度はレンチが捩れてゆくほど力を入れるがダメ。
  • 再再度暖める。これでダメならネジをドリルで外すしかない。レンチをネジに入れて渾身の力を入れてレンチが殆ど捩切れそうになる。ここで、3回緩む感触がある。可能性が生まれた。
  • 再度、暖め、既に捩れているレンチをだましだまし回すとやっと外れた。ラッキーな瞬間である。

 

499.真空管の回路設計 2013年7月26日
 コリンズの回路設計において、真空管の規格の上限を使用しているケースを多々見る。特にアマチュア無線機器においては、例えば、30L-1の811Aの使用方法、75S-3の6BF5の使用方法等、思い当たる点が多い。この中で、エアボーンの機器においては例外で、規格に対して可也の余裕を持って設計をしている。これは、人命を預かる設備に搭載されていること、気圧、振動、温度変化が激しい環境に置かれている事が理由である。改めてエアボーンの機器に興味が湧いてくる。

 

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