晩酌であれ、居酒屋であれ、男の一日を締めくくるにはどうしても欠かせないのが酒。 男の料理もそれに合った酒があれぱ、さらに真価を発揮するというものです。 ここでは私の行きつけで、埼玉県蓮田市にある「今宮酒店」のラインナップを中心に、 男の夜を演出するにふさわしい、私お勧めの厳選地酒銘柄を紹介します。


竹鶴

竹鶴

醸造元

竹鶴酒造梶@ 広島県竹原市

杜氏

石川 達也

お勧めの1本

雄町純米 酸味一体

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 「日本酒界のゴジラ松井」あの石川杜氏が造る竹鶴です。全国に勢力を拡大する神亀一門では 1番の高弟で、超個性派杜氏、「吟香なんて香りじゃない、臭い」とか、「温度管理なんて しない」とか、ちょっと酒づくりをかじったことのある人間には信じられないような爆弾発言も 飛び出します。まあ、酸度3.6なんて非常識な酒を平気で市場に出すわけですから、並みの男で ないことは確かです。この考えに賛成するかどうかは別にして、酒づくりのひとつの勢力を代表する 銘柄であり、現代の日本酒を語る上ではずせない存在、まだ飲んでいないかたは是非、 お試しください。スタンダードの純米はもちろん、この蔵の酒なら大吟醸クラスになっても、 米の旨みとコクを感じさせる実に野太い味わいが体感できます。お燗に向いてるのも竹鶴の特徴、 酒質がしっかりしていて、温度が少々上がってもびくともしません。
 それと、この蔵の酒を飲む際の注意事項ですが、開栓して2〜3日後からが本領発揮です、 最初硬い感じがしてもがっかりしないでくださいね。
 2年前から市場にでている純米生もとのシリーズは石川杜氏の酒造りに対する考えが凝縮された酒です。 先日今宮さんで試飲した「生もと」純米原酒」仕込2号、3号、4号、(私の好みは3号でした) 共に深みのある味で中華料理に合いそうですねー。 東波肉なんかに最高だと思います。
 お勧めの一本はいまや竹鶴ワールドの代表選手「酸味一体」、お燗でどうぞ。

日置桜

日置桜

醸造元

(有)山根酒造場 鳥取県鳥取市

杜氏

松崎 英吉

お勧めの1本

鍛造生もと 強力

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 お燗好きに是非お勧めしたいのがこの銘柄です。この蔵は米へのこだわりから 出荷管理まで一貫して「こういう酒を造ってやろう」という強固な意志を感じさせます。 米は山田錦、地元の玉栄も使用していますが、やはりこの蔵の看板は強力。 栽培が難しく希少種ですが非常お燗に向いた米で、熟成によって旨みが増してくタイプです。 それと飲みごろを見極め、熟成させて出荷してくるストイックな姿勢もすばらしいですね、 わかっていても中々真似のできることではありません。お勧めの一本は温度を上げることに よって力強い旨みがグーンと出てきて、正直癖になりますね(48℃くらいがベスト)。 この鍛造シリーズはネーミングからして気合が入っていますが味のほうも気合が入った傑作ぞろいで、 こってり系の肴に抜群の相性です。冷したものを開栓して、 お燗もせずに冷奴なんかを肴にして飲み、「なんか渋いな」なんて首をひねるのは、 もっともやってはいけない「暴挙」ですから、その点十分取扱いに注意してください。

東一

東一

醸造元

五町田酒造梶@佐賀県嬉野市

杜氏

北 重則

お勧めの1本

純米吟醸 山田錦 49

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 芳醇という言葉がピッタリくる「東一」、香りも非常に華やかですが、意外にボディも しっかりしています。わかり安くいえば「可愛い顔でおっぱいが大きい」グラビアアイドル的 な酒がこの東一。たとえば、ほしのあきちゃんに「ほしーの」と言われたとき、ほぼ 100パーセントの男性が顔面の筋肉に緊張を保てなくなるわけです。これがまさに男の急所を ついた反則技であるように、「東一」も酒飲みの急所をついた、実に悩ましい酒なのです。 私にとっても、「見つけると、どうしても飲まずにいられない酒」のひとつです。
 お勧めの1本「純米吟醸 山田錦 49」は芳醇甘口の傑作といっていいでしょう。生ものでも いいのですが、脂の強い焼魚、味の濃い煮魚に併せてみたいですね。のどぐろ塩焼き、きんき の煮付けなんていいと思いますよ。
 九州といえばどうしても焼酎のイメージが強いのですが、この「東一」をはじめ、「独楽蔵」、 「三井の寿」などのハイレベルな蔵も多く存在します。先入観を持たず手にとってみてください。

雪の茅舎

雪の茅舎

醸造元

齋彌酒造店 秋田県由利本庄市

杜氏

高橋 藤一

お勧めの1本

山廃 純米吟醸

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 山廃を看板にしている蔵は沢山ありますが、こんな山廃を造る蔵はそうないでしょう。 ぬる燗にすれば上品な吟香を漂わせ、柔らかなタッチで我々を魅了してくれますし、 冷酒でも、実に洗練された飲み口が味わえます。 冷酒で飲むなら特にお勧めなのが純吟ですね、味に奥行を与えている酸味は、 山廃とは到底信じられないような綺麗さです。
 もう一つ素晴らしいのは「ネーミング」。これは日本一と言っていいでしょう。 「深々と降る雪景色の向こうにたたずむ茅葺屋根の家」、水墨画の世界であり、まさに一幅の絵と言えますが、 それを見事に一言で表現しています。 尚且つ、綺麗で奥行のあるその酒質にもぴったりとマッチしており、文句のつけようがありません。
 冷酒なら光物や脂ののった焼き魚、お燗なら鍋物に併せてみたいですね。
「雪の降る夜に、こたつで鍋をつつきながら、色白の着物美人のお酌でぬる燗」 このような甘美すぎる妄想に貴方を誘う酒、それこそが「雪の茅舎」です。

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