晩酌であれ、居酒屋であれ、男の一日を締めくくるにはどうしても欠かせないのが酒。 男の料理もそれに合った酒があれぱ、さらに真価を発揮するというものです。 ここでは私の行きつけで、埼玉県蓮田市にある「今宮酒店」のラインナップを中心に、 男の夜を演出するにふさわしい、私お勧めの厳選地酒銘柄を紹介します。


御湖鶴

御湖鶴

醸造元

菱友醸造梶@長野県諏訪郡下諏訪町

杜氏

近藤 昭等

お勧めの1本

純米吟醸 Girasole

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 最近日本酒界にも有望な若手が次々と進出していますが、近藤杜氏はその代表格といっていい でしょう。メディアにも紹介されていますが、仕込みに使う和田峠の湧き水「黒曜天然水」 は豪雪の中200mの雪かきをして汲んでくるとのこと。モダンでおしゃれな御湖鶴のイメージ に反して、その仕事には職人的な妥協の無い頑固さを感じます。
 この蔵の酒は全般にどぎつい香りはなく品がありますし、酸味が綺麗で後味にキレがあるのが特徴 です。低酸系のものに綺麗な酒はたくさんありますが、酸度を上げても綺麗な酒は 中々、見当たりません技術的に難しいものがあるのででしょう。
 御湖鶴は食中酒として飲んでも腰の弱さを感じません。なお且つ、クリアで軽やかなタッチを実現し、 その実力に非凡さを感じさせます。
 私お勧めの「一本純米吟醸 Girasol」ですが、お洒落なネーミングからもトマトソースやチーズ を使ったイタリアンなどに併せることを意識しているのでしょうし、事実間違いなく好相性かと 思いますが、私個人的には、あえて生牡蠣やなまこ酢などを併せてみるのがいいと思います。 綺麗で豊かな酸味を持つ酒には、このての肴は相性がいいというのが私の持論なのです。

磯自慢

ブルーボトル

醸造元

磯自慢酒造梶@静岡県焼津市

杜氏

多田 信夫

お勧めの1本

特別本醸造

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 銘醸蔵の多い静岡、ざっと思いつくだけでも「開運」「喜久酔」「正雪」「初亀」「若竹」 「高砂」「臥龍梅」などきりがないほどですが、その中でもひときわ光輝く「磯自慢」。 近代的な設備と徹底した品質管理でもよく知られています。
 酒造りの品質管理について徹底しているというのは、品質にこだわりをもつ蔵ならある意味 当たり前のことですが、磯自慢は売り手にもそれを求めました。冷蔵庫を備えるなどして管理の 行き届いた酒販店でなければ、お酒を卸さないという徹底ぶりです。
 磯自慢といえば華やかな香りが特徴ですが、華やかな酒にありがちな嫌味というものは全く ありません。厚化粧の酒には真似のできない上品さが磯自慢たる所以でしょうか。
 日本酒マニアの方なら、洞爺湖サミットで飲まれた「純米大吟中取り35」とか「ブルーボトル」 などの高級酒にどうしても目がいってしまいますよね。華やか且つゴージャス、藤原紀香的で完璧 な美の世界といえるでしょう。しかしそれは一般庶民にとっては「ハレの酒」です。我々が藤原紀香 に手が届かないように、これまた、いつも飲める酒ではありません。私はスタンダード版の 「特別本醸造」をお勧めします。高級酒の旨さを支えている蔵の姿勢がここに見えるからです。

遊穂

遊穂

醸造元

御祖酒造梶@石川県鹿島郡中能登町

杜氏

横道 俊昭

お勧めの1本

純米吟醸55 山田錦

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 この蔵のものは正直言ってまだ論評するほどの種類を飲んでいないのですが、最初に飲んだ 「純吟55」があまりに美味しいので書かずにいられませんでした。Duncyuで紹介されていた ので名前は知っていたのですが、飲んでみて味わいの深さ、酸と旨みのバランスを知り、 Duncyuテイスターの皆さんが高評価をつけていることに、改めて納得いたしました。 ビッグネームのカリスマ杜氏がごろごろしている能登杜氏自醸酒鑑評会で、初年度から最優秀賞を 獲得したのも、これを飲めばうなずけます。
 それと、裏ラベルに蔵元の藤田さんが「味わいや、適温、合いそうな料理などを手書きで書きこむ」 という、今までに有りそうでなかったサービスも面白いですね。人によっては「飲む前に余計な先入観が入る」と嫌うかもしれませんが、私には蔵元の一生懸命さが伝わって すごく好感が持てます。
 お勧めの1本「純吟55」、裏ラベルの評を裏切りますが、個人的には赤味の刺身、出来れば戻り鰹 なんかと併せてみたいですね。

黒龍

黒龍

醸造元

黒龍酒造梶@福井県吉田郡永平寺町

杜氏

畑山 浩

お勧めの1本

吟十八号

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 吟醸らしい吟醸を楽しみたい方にお勧めしたいのが、「石田屋」「ニ左衛門」など、日本酒マニア 垂涎の高級酒を醸すことで有名な黒龍です。有名な蔵でもあり、きわめて評価の高い蔵でも ありますが、神亀の持つ教祖的カリスマ性や十四代の持つスター性などは感じません。かっちりした 隙の無い酒造りで、知性のようなものすら感じます。例えてみれば日本酒界のエリート官僚という 感じです。
 吟醸を得意としている黒龍ですが、香りが強いだけの品の無い吟醸ではありません。 前述の高級酒だけでなく2,000円台の酒から、非常に透明感のあるクリアな酒質が特徴です (味がなくて水っぽいのとは違います)。知性が華やかさをまとって登場するという共存しがたい 黒龍の美を例えるとすれば「滝川クリステル」をおいて他にはありません。
 肴は少々選ばなければならないでしょう。純吟燗酒や本醸造などを除き、全般に味の濃い 田舎料理や洋食系統はあわせが難しいと思います。逆に生もの、特に白身魚や貝類との相性などは 抜群ですから、鮑の刺身なんかだったら絶対のお勧めです。


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