豊富な品揃えがある酒屋はたまにあります。その中で酒選びに適格なアドバイスをして
くれる酒屋も今の時代ですから探せばそれなりにあるでしょう。しかし飲みながら酒について
語りあえる店(試飲して車で帰らなくてすむ距離という意味も含む)は一生のうち1軒
見つかれば幸運な者と言っていいでしょう。私にとって蓮田市の今宮酒店がそれです。
ここでは私の晩酌ライフを支える店、私が愛してやむことが無い今宮酒店をご紹介します。
久保田、八海山などの一般受けしそうな銘柄も取り扱っていますが、純米フリークや燗酒ファンをうならせる個性派揃いの
ラインナップが今宮の真骨頂です。看板銘柄の神亀を筆頭に竹鶴、生もとのどぶ、奥播磨、日置桜、菊姫など
一癖も二癖もありそうな顔ぶれがズラリ。ロックフォールチーズやくさやの挑戦を堂々と受けてたつ、何でもありの重量級スター
軍団があなたの日本酒感を変えてしまうかも知れません。
今でこそ純米教の教祖的存在として崇められている神亀酒造ですが、中々理解されない時代が長くあり、
苦労に苦労を重ねて今日の名声を得たのは日本酒業界では有名な話です。そんな不遇の時代をよき理解者として
支え続けてきたのがこの今宮酒店。いいものは必ず評価されると辛抱して造り続けるほうも立派ですが、
たとえ売れなくても店に置き、流行や売れ筋とは全くかけ離れた酒をお客さんに薦め続けるのも、これまた立派
と言わなければなりません。雑音に動かされること無く終始一貫、ブレないその姿勢はさすがの一言です。どこかの国の首相も
是非見習っていただきたいものですね。神亀といえば今宮、今宮といえば神亀、神亀のお酒ならほぼ何でも揃うのにはこんな理由が
あるのです。
酒屋に限らずいいお店に共通して言えることですが、ポリシーがしっかりしていますね。ここ今宮ももちろんそんな
お店の一つ、流行や世評に惑わされず独自の今宮ワールドを構築しています。推察するに、「こういうお酒を薦めることが
人類のため」という確信のもとご商売をなさっているようです。
店の品揃えと普段の言動から見てとれる店のポリシーは以下のようなものです。
店に入って正面、日本酒セラー入り口の左に試飲コーナーがあり、いつもワインクーラーにさりげなく
お勧めのお酒が入っています。だいたいこういう場所をみると店の個性や店主の考え方を知るのに役立
つんですよね。いつも見ていますが、羽前白梅、秋鹿、梅の宿なんかが入っているとが多いような気がします。
うれしいことに、ちろり、熱燗器、温度計も揃っていますので温度チッェクしながら、お燗酒を試飲する
こともできますし、ポットにお湯も入っていますので焼酎をお湯割りすることもできます。乾き物主体ですが
つまみも置いてあり至れりつくせりです。ここで試飲していると、時々奥からレアものの酒が出てくることが
あります。写真は奥播磨5種のブラインドテスト、醸造年度や精米歩合、酒米の品種などを変えたものを
冷酒とお燗で比べてみました。家では中々できないこんな贅沢ができるのも、ここの試飲コーナーの
すばらしいところです。店に来るときは試飲ができるよう、お車でのご来店は避けたほうがいいですよ。
運がよければ普段お目にかかれないようなものも試飲できるかもしれません。
この試飲コーナーで夜7時以降に、年のころなら40代後半、体が大きく、いかにも常連風の男を見かけたら、
それは私かも知れませんのでお声がけください。
お酒だけでは晩酌は成立しません、ここでは晩酌ライフを演出する脇役たちも充実しています。
まず絶対にお勧めしたいのが酒粕。純米、純米大吟醸など時期によって異なりますが神亀酒造の酒粕が
入手できます。スーパーなどで売っている一般的な酒粕とは全く別のものだと思ってください。
お酒自体を無理に絞っていませんから味も香りも芳醇そのもの、カスと呼ぶのが憚られる実に
上等なもので、三流の鶏肉をブランド地鶏に変わえてしまうという、魔法のような代物です。
この酒粕を使ったレシピは後日、別にアップする予定です。その他にもチーズ、漬物、乾き物
なども充実。ソフトドリンクも良いものが揃っています。特にお勧めは砂糖を一切使用していない甘酒、
麹の持つ上品な甘味がお酒の飲めない方にも大人気のようです。
今宮さんの自慢の逸品「神亀酒造の酒粕」を使ったレシピはこちら
今宮酒店 支店
|
プロフィール
日本晩酌研究所主席研究員こと当HP管理人の紹介です。
《Mail to 日本晩酌研究所》
このページに関するご意見・ご感想・お問い合わせはこちらからお願いします。
Copyright © 2010日本晩酌研究所. All Rights Reserved.