樹木用語集

 この用語集は柏書房「葉っぱでおぼえる樹木」の用語集を中心に記載したものです。転記は著作権に触れるかもしれませんが、ご理解いただきたく。記載のなかったものは、他の書物、あるいはネット情報の説明を付加しています

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亜高山帯(あこうざんたい)
温帯、熱帯の山岳地帯に見られる植生帯で、本州中部では標高1,600mから2,500mくらいにあり、トウヒやコメツガなどの常緑針葉樹林が中心となる。緯度が高くなるほど標高は低くなる。
亜種(あしゅ)
生物の分類上で、種より下で、変種より上の分類階級。生殖的な隔たりの程度は少ないが、分布域が異なっていたり、いくつかの形質が異なっていたりする場合に用いられることが多い。学名の表記では、Subspeciesの略号であるsubsp.またはssp.を用いる。
亜低木(あていぼく)
地下や根際で数本の幹に分かれ、主幹が不明瞭で、茎の下半分~根際のみが木化しているもの。草本と木本の中間的な性質をもつ。ヤマブキ (バラ科)、ヤマハギ (マメ科)、コウヤボウキ、ヨモギ (キク科) など。
アントシアン
葉、花、果実の細胞に含まれている色素で、赤、青、紫に見える。紅葉が赤いのはこの色素による。
育種(いくしゅ)
生物のもつ遺伝的性質を利用して、利用価値の高い作物や園芸植物などの新種を人為的に作り出したり、改良したりすること。品種改良とも言う。淘汰法(選択法)、交雑法、突然変異法やバイオテクノロジー利用などの方法がある。
異形葉(いけいよう)
同じ種類の植物に、2種類以上の形態をした葉があるとき、それらの葉を言う。たとえば、幼樹や若い枝の基部につく葉と、成木や枝先につく葉とが形が異なる場合など。ヒノキなど同一の節に異なる形態の葉がつく場合、これを不等葉というが、異形葉と不等葉の区別は必ずしも明確ではない。
逸出帰化(いっしゅつきか)
栽培目的で持ち込まれた外国の植物が野生化してしまうこと。繁殖力が旺盛で栽培場所を出て野生化してしまう場合と、人為的に栽培場所から自然の中に持ち出されて野生化してしまう場合がある。
異名(いめい)
ひとつの生物につけられた別の名前。すでに正式な学名がつけられているにもかかわらず、重複して名づけられてしまったり、それまで別の種と思われていたものが実は同一の種であったりした場合などに生じる。
陰樹(いんじゅ)
あまり陽が当たらない暗い場所でも生育できる性質をもつ樹木。生長がゆっくりで、幼木のうちは光の強い場所は生育に適さないが成長するにしたがって明るいほどよく育つようになる。ブナ、モミ、ヒノキ、アオキ、ヤツデ、スダジイなど。
陰葉(いんよう)
同一の植物の葉が、日光のよく当たる場所のものと日当たりの悪い場所のものとで形態や性質が異なるとき、日当たりの悪い場所で育った葉を言う。日当たりのよい場所のものに比べて大きく薄い。林内の葉や樹冠内部の葉は陰葉になりやすい。
羽状(うじょう)
軸があり、その左右に葉や脈が並んでいる状態を言う。複葉のひとつの形や、葉脈の分布形態を表すときの用いられる。
羽片(うへん)
羽状複葉の葉の場合、1回目の分布でつくられる部分をさしていう。2回目以上の羽状複葉の場合、羽変はいくつかの小羽片をもっている。
液果(えきか)
3層からなる果皮のうち、中果皮または内果皮が多肉質で水分が多く、軟らかい果実。ミカン・トマト・ブドウなど。多肉果ともいう。(反対:乾果)
腋芽(えきが)
葉が茎についた部分のすぐ上の部分を葉腋といい、この葉腋に生じた芽をいう。原則的には枝はこの腋芽から発生する。
腋生(えきせい)
葉や花などが腋芽に生じることをいう。
園芸品種(えんげいひんしゅ)
交配などによって、原種植物を人為的により育てやすく鑑賞向きに作った植物のこと。属名+種小名+‘園芸品種名’または属名+種小名+cv.+園芸品種名で表記する。なお、「cv.」は正式な表記ではないため、通常使われない。
円錐花序(えんすいかじょ)
多くの花が全体として円錐状に集まって花序を形作ったもの。
黄葉(おうよう)
秋のイチョウのように葉の色が黄色に変わる現象。葉の葉緑素が分解してしまい、それまで現れていなかったカロチノイドの黄色い色が見えるようになるため黄変する。
雄しべ(おしべ)
花を形作る器官のひとつで、花粉を作る部分。ふつう花糸と呼ばれる細長い柄の先に葯(やく)と呼ばれる器官がついている。雄しべの数は植物の種類によって異なっていて、雄しべのないものから多数あるものまである。
尾状花序(おじょうかじょ)
単性の花が穂状に付き垂れ下がる。枯れたときには、花序の基部から外れて落ちる。ヤナギ科、カバノキ科などのものを特にこう呼ぶ。
雄花(おばな)
機能している雄しべがあって、雌しべはない、あるいはあっても機能していない花。