樹木用語集

 この用語集は柏書房「葉っぱでおぼえる樹木」の用語集を中心に記載したものです。転記は著作権に触れるかもしれませんが、ご理解いただきたく。記載のなかったものは、他の書物、あるいはネット情報の説明を付加しています

ヤーワ】       ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行

葯(やく)
一般的には「おしべ」といわれ、花粉を入れる袋状の葯(やく)(Anther)と葯を支える花糸(かし)(Filament)という部分で構成される。ただし花糸に当たる部分がないものや、糸状でなく葉状になっているものもある。
野生(やせい)
生物がある場所で人間による栽培的な管理や保護なしに生育、繁殖している状態。
有限花序(ゆうげんかじょ)
花茎の主軸の先端にまず花が作られ、次の花はその下方の側面に芽が伸びて作られるもの。当然、先端に最初に花が咲く。
油点(ゆてん)
植物組織のなかで細胞の内部分(細胞間隙)に油滴を含んだもので、肉眼やルーペで点状に観察できる。葉では光に透かしてみたとき、明るい点として見えることが多い。
葉腋(ようえき)
茎の一部で、葉が付いている部分のすぐ上をさす。葉の付く部分が左右に広い場合は、その中央部のすぐ上。種子植物では原則としてこの葉腋から芽が出る。
葉縁(ようえん)
葉のへり。植物の種類によって、葉縁にはさまざまな凹凸が見られ、葉から植物の名を調べるときの大切な手がかりとなる。
葉痕(ようこん)
落葉したあと、茎の表面に残された葉が付いていた跡。半円形、円形、三日月形など、植物の種類によって特徴的な形となる。葉印ともいう。
葉鞘(ようしょう)
葉の基部が鞘 (さや) 状になり、茎を包む部分。稲・カヤツリグサなどにみられる。
葉軸(ようじく)
羽状複葉の葉において、葉柄のその先で、左右に小葉をつけている軸をいう。これは単葉の中肋に対応する。
陽樹(ようじゅ)
日光のよく当たる明るい場所を好む樹木。強い光の下で効率のよい光合成を行う。幼木のときの生長が早く、枝を展開して広い樹冠をつくるが、密で暗い林の中では生育できない。
葉序(ようじょ)
一本の茎(枝)につく複数の葉の秩序ある配列様式。植物の種類によって決まっているが、同一の植物でも茎の基部と上部とで、葉序が異なることもある。一つの節につく葉の数が1,2、もしくは3以上のいずれに当てはまるかによって、それぞれ葉序は互生、対生、輪生に大別される。
葉身(ようしん)
葉の主要な部分となる扁平な部分。葉は、この葉身と葉柄、托葉とで形作られる。葉柄や托葉がなく、葉身だけでなりたっている葉もある。逆に、葉身が退化して托葉あるいは葉柄だけで構成されている葉もある。
葉柄(ようへい)
葉身、托葉とともに、葉を構成する要素で、茎と葉身との間にある棒状の部分。植物の種類によって葉柄のないものもある。
葉脈(ようみゃく)
葉身内部にある維管束(水分と有機物の通路の役割を果たす組織)。根から吸った水分を葉に運び込み、葉で作った有機物を葉から運び出す輸送の役目を担っているとともに、葉身の形を力学的に保つ役割を持っている。
陽葉(ようよう)
ある同一の植物の葉が、日当たりのよい場所で育ったものと、日陰で育ったものとで形態や性質が異なるとき、前者を陽葉という。陰はの対語。一般に、陽葉は陰葉より小さく、クチクラ層が発達して厚く乾燥に強い。気孔密度が高く、強い日光のもとで光合成速度が速い。クチクラ層とは、葉の表裏面にある蠟に似た物質が表皮から分泌されて堆積した層をいう。
翼(よく)
カエデの果実、ニシキギの茎に見られるものなど、薄く平らな突起物に用いられる語。
翼果(よくか)
果皮の一部が翼(よく)となっている果実。カエデ類やニレなど。翅果(しか)ともいう。
落葉(らくよう)
葉が茎(枝)から離れ、落ちること。葉身や葉柄の基部の一定の位置に、離層と呼ばれる組織が作られて落葉する。離層とは、花や果実、花弁などが植物体から離れ落ちるのに先立って、母体との間に形成される細胞層で、この層を境に葉などがおちる。複葉では小葉だけが落葉し、それ以外の部分がしばらく残っている場合がある。
落葉樹(らくようじゅ)
葉が展開して落葉するまでの期間が1年より短いため、成葉がない状態の季節が存在する樹木の種類。成葉のない季節は冬あるいは乾期であることが多い。
鱗状毛(りんじょうもう)
うろこのような面状の毛。鱗片毛、鱗毛ともいう。
鱗茎(りんけい)
ふくらんだ地下茎のひとつで、短い茎に多肉質の葉が密につくもの。例:タマネギ、ユリなどの球根
輪生(りんせい)
ひとつの節から生じる葉や枝の数が、3個以上であること。葉の場合は輪生葉序と言われ、ひとつの節に着くかずによって、三輪生、四輪生などと呼ぶ場合もある。同じ節につく葉は、茎の周囲360度を等分した位置につき、次の節の葉は、下の節のちょうど中間の位置につくことが普通である。対生も葉が2枚のときの輪生と考えることもできるが、便宜上区別して扱われる。
鱗片葉(りんぺんよう)
一般的に見られる葉よりも著しく小さく、いくつもの葉が重なり合って鱗状になっている葉。
裂開果(れっかいか)
熟すると果皮が自然に裂けて種子を放出する果実。乾果の一種で、莱果(きょうか)、朔果、袋果などがある。
ロゼッタ状
茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの。
矮生低木(わいせいていぼく)
地下や根際で数本の幹に分かれ、主幹が不明瞭で、樹高が0.3m以下の木本。ヤブコウジ (ヤブコウジ科)、ガンコウラン、コケモモ (ツツジ科)、イブキジャコウソウ (シソ科) など。