樹木用語集

 この用語集は柏書房「葉っぱでおぼえる樹木」の用語集を中心に記載したものです。転記は著作権に触れるかもしれませんが、ご理解いただきたく。記載のなかったものは、他の書物、あるいはネット情報の説明を付加しています

カ行】       ア行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤーワ行

蓋果(がいか)
成熟すると果皮が横に裂け、上部がふたのように取れ、下部が椀状に残る果実。
外花被(がいかひ)
ふつう萼(がく)と呼ばれるもの。花を構成する要素のうち、雄しべ、雌しべより外側にある部分を花被といい、その花被が二重にあるとき、内側にあるものを内花被、外側にあるものを外花被という。内花被は花冠にあたり、外花被は萼にあたり、花冠と萼が似ているとき、内花被、外花被とよぶことが多い。
開出毛(かいしゅつもう)
葉や茎などの表面にある毛のうちたっているもの。必ずしも表面に対して直角とは限らない。表面に沿って寝たように生えている毛を伏毛という。
外来植物(がいらいしょくぶつ)
外国から渡来した植物の総称。人間の生産活動や移動によって国外から侵入し、野生化した帰化植物に加え、薬用や食用、観賞用、牧草などとして人為的に栽培されている有用植物も含む。
返り咲き(かえりざき)
花木や果樹などが通常の開花期のほかにもう一度花を咲かせること。桜や躑躅などによく見られる。
花冠(かかん)
ひとつの花にあるすべての花弁の集合体をいう。内花被にあたる。それぞれの花弁が独立しているものを離弁花冠、花弁どうしが互いに合着しているものを合弁花冠という。
萼(がく)
花を形作る要素の一つで、多くの花ではもっとも外側にあるもので、外花被にあたる。何枚かの特殊な葉であり、それぞれの葉を萼片という。
核果(かくか)
液果一つで、外果皮うすく、多肉で液質の中果皮と厚く堅い内果皮とをもつ果実。石果ともいう。
革質(かくしつ)
ツバキのように、厚くて丈夫なようすをあらわす表現。
殻斗(かくと)
ナラ・クヌギ・シイ・クリなどブナ科植物の、実の一部または全部を覆う椀(わん)状・まり状のもの。
学名(がくめい)
生物を分類整理するために、国際的な規約に従って付けられた名前。ラテン語あるいはラテン語化された語が用いられる。主な分類階級は種を基本として、その上に順次、属、科、目、綱、門、界があり、必要に応じてそれぞれの階級の間に補助的な階級を入れる。また、種をさらに分けるときは、亜種、変種、品種などの階級を置く。種より上の学名は1語で記し、種の学名は、その種が含まれる属の学名と種形容語(種小名)との2語で記す。2語のあとに「subsp.」あるいは「ssp.」とあるのは亜種、「var.」は変種、「form.」または「f.」は品種、「' '」は栽培(園芸)品種をあらわす。
隔離分布(かくりぶんぷ)
ある生物の分布地が連続せず、隔たって存在している状況をいう。古くは広い分布域をもっていた種が、環境の変化などで一部の分布域のものが絶えてしまい、いくつかの地域に分かれて残された場合や、偶発的な長距離移動によって離れた分布域が生じた場合など。
花糸(かし)
雄しべの、葯(やく)を支える糸状の柄。
花軸(かじく)
花序において花柄を分枝している中央の茎のこと。
仮種皮(かしゅひ)
種子の外面を包むものを種皮という。そのさらに外側を覆う特殊なもの。多くのものでは、胚珠の柄が特殊な発達を遂げたものである。
花序(かじょ)
複数の花が集まってまとまりのある形を作っているとき、その配列様式を花序という。単に花の集まりをさしていうこともある。
花床(かしょう)
花托(かたく)参照
花穂(かすい)
花が稲穂のように、長い花軸に群がってつく花序。ススキ、エノコログサ、ケイトウなど がこれにあたる。
果穂(かすい)
小さな果実が穂状に多数集まったもの。果穂の中で個々の実を支える柄のことを小果梗(しょう かこう〕と呼ぶ。
花托(かたく)
花のつけ根。 花柄の上端にあって、花弁・めしべなどをつける部分。花床(かしょう)ともいう。
花柱(かちゅう)
雌しべの一部で、胚珠を内側に包み込む子房と、花粉を受け取る花頭との間の棒状の部分。先のほうでいくつかに分かれていることもある。モクレンなどのように花柱とよべるような部分がないものもある。
果皮(かひ)
果実の種子を包む部分。子房壁が発達したもので、普通外果皮、中果皮、内果皮からなる。
花被(かひ)
花の部分で、雄しべ、雌しべよりも外側にある何枚かの特殊な葉からなる部分を言う。花披を構成するそれぞれの葉を花披片という。
花被片(かひへん)
花被を構成する個々の特殊な葉をいう。ひとつの花の花被片をまとめて花被という。
株立ち(かぶだち)
ひとつの根株から複数の幹が群がって生えること。固体としては1固体。低木では自然に株立ち樹形となることが多いが、高木では伐採された切り株から萌芽して株立ちとなるケースが多い。
花柄(かへい)
その頂端に花を付ける茎。花とそれをつけている軸との間にある棒状の部分を指す。
皮目(かわめ)
樹木の幹や枝の皮の部分にあって、内外に空気を通わせるための組織。樹種によって形が異なる。
稈(かん)
稲・竹などの、中空になっている茎。
乾果(かんか)
皮(果皮)が乾燥した状態になる果実(反対:液果)
帰化植物(きかしょくぶつ)
もともと国内に自生していなかった植物で、外国から人間の経済活動や移動を通じて人為的ではなく渡来した植物。
偽果(ぎか)
花托、がく、総苞など子房以外の部分が子房とともに成長肥大してできた果実。 仮果、副果。ナシ、リンゴ、イチジク、オランダイチゴなど。
偽花(ぎか)
複数の花や周辺器官が集まって1個の花のようにみえるもの。キク科植物の頭状花序と総苞、ヤマボウシの花序と4片の苞など。
気孔(きこう)
葉についている小さな穴のこと。普通葉裏にあり、光合成の際の二酸化炭素、酸素の吸入、排出口となる。
気孔帯(きこうたい)
気孔が多数集まって帯状になったもの。
気根(きこん)
空気中にある根、気中根ともいう。ガジュマロの支柱根、キヅタの付着根、ハマザクロの呼吸根など形、機能はさまざま。
基準種(きじゅんしゅ)
属を設ける際の基準となった種。
基準変種(きじゅんへんしゅ)
分類学上、正式にあらわされた種には、その命名元になったタイプがある。のちにそのタイプと同一の種として分類されるが、変種階級で区別されるグループが認められ、新変種として発表された場合、タイプを含む変種を基準変種という。階級が異なるとm基準亜種、基準品種などの語も同様に用いられる。
寄生根(きせいこん)
寄生植物が寄生される植物(宿主)の体内に差し込んで、水分や有機物を吸収するための根。
気中葉(きちゅうよう)
水草の葉で、空気中に展開する陸生型の葉→水葉。
絹毛(きぬげ)
絹のような柔らかい毛。例:イヌブナ
旗弁(きべん)
マメ科などに多く見られる蝶のような形の花(蝶形花、ちょうけいか)の一部で、上に立ち上がる形の花弁を旗弁という。この旗弁の内側に左右に広がる二枚の花弁を翼弁(よくべん)、さらにその内側で雌蕊(めしべ、しずい)・雄蕊(おしべ、ゆうずい)を包む形の花弁を竜骨弁(りゅうこつべん)、あるいは舟弁(しゅうべん)という。
毬果、球果(きゅうか)
木質化した鱗片が重なって球状になったもの、マツの松ぼっくりのように、種子をつけた鱗片状のものが軸のまわりに集まって球状あるいは円柱状になったもの。裸子植物のうちの多くの種類に見られ、果実に似ているが、子房がないことから果実とは異なる。
距(きょ)
植物の花びらや萼の付け根にある突起部分。内部に蜜腺をもつ。スミレの花びら、ヒエンソウの萼などにみられる。
偽葉(ぎよう)
葉の葉身が退化し、葉柄が左右からつぶれて上下に広がり、その部分が葉身のようにみえるもの。アカシア属などにいくつかの種が見られる。
鋸歯(きょし)
葉の縁にある凹凸の一つの様式で、凹凸の突端が葉の先のほうに向いたものを言う。のこぎりの歯のように見えるためこの名がある。凹凸の突端が葉先に傾いていないものを歯牙という。粗い鋸歯の縁に、さらに細かい鋸歯があるものを重鋸歯という。
屈毛(くつもう)
曲がっている毛。
蜘蛛毛(くもげ)
細長い毛が伸びて複雑に絡む毛。例:ヤマブドウ、エビヅル
毛(け)
表皮の一部が変化し、外側に突出したもの。植物学上は、必ずしも動物の毛のような細長いものだけではない。単細胞のもの、多細胞で一列に並んだもの、多細胞で平面的に鱗状や星状に並んだものなど、様々な形態がある。バラの棘など、同じ植物体の表面の突起であっても、表皮だけでなく、内部の組織から生じる部分を含んだものは毛とはいわない。
堅果(けんか)
外側が非常に堅くなっているもの。ドングリやヤシなど。また、ドングリの台のような部分を殻斗(かくと)という。
原産地(げんさんち)
栽培植物が元来自生していた場所。
原種(げんしゅ)
交配や選抜によって改良された栽培品種のもとになった野生の植物。
原生林(げんせいりん)
過去から現在に至るまで、人間による伐採や植栽などの影響をほとんど受けずに存在してきた森林をいう。その多くは極相林(遷移の最終段階)である。
交雑(こうざつ)
遺伝子の異なる2個体間の交配。異系統、異品種、異種、異属の間の交配。結果として雑種が生まれる。
高山帯(こうざんたい)
森林限界よりも標高の高い場所にできる、低木、草本、コケ、地衣類により構成される植生帯。本州中部では、おそよ海抜2,600mよりも高い高山がこれにあたる。生育に適した期間が短く、風や日光が強いなど環境が厳しいため、ここに育つ植物の多くは丈が低い多年生草本や矮小低木で、地下部が発達し、枝は密生して、葉が厚く毛が多く、縁を巻き込んでいる。
向軸側(こうじくがわ)
枝や葉などが、軸から横に分かれ出たときに、もとの軸(母軸)に近い側をいう。葉の場合、茎に側生して、向軸側の面が上面になるのが普通である。向軸側の反対を背軸側という。
合弁花(ごうべんか)
花弁が一部または全部が合着している合弁花冠の花。
高木(こうぼく)
幹が直立する樹木で、一般に高さが5-6m以上に伸びるものをいう。ただし、低木との境界は明確でなく、成長しても高さ3-5mほどにしかならないものを小高木ということがある。
剛毛(ごうもう)
硬くて太い毛。例:ナツハゼ
根生(こんせい)
根際から葉が出ていること。