樹木用語集
この用語集は柏書房「葉っぱでおぼえる樹木」の用語集を中心に記載したものです。転記は著作権に触れるかもしれませんが、ご理解いただきたく。記載のなかったものは、他の書物、あるいはネット情報の説明を付加しています。
材(ざい)
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形成層(分裂組織の一種で肥大成長をもたらす)によって作られた木部をいう。建築や工芸の材料となる竹類の桿(かん)なども含めていうこともある。
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在来植物(ざいらいしょくぶつ)
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もともとその地域に自生していた植物。
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蒴果(さくか)
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雌蕊の中が放射状に複数の仕切りで分けられ、果実が成熟した時は、それぞれの部屋ごとに縦に割れ目を生じ、心皮の数だけの割れ目ができる果実。
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さそり型花序(さそりがたかじょ)
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主軸の先端の花の下から一つだけ横枝が出て、横枝先端の花の下から同一方向へ横枝が出ることを繰り返す。全体を見ると花軸の先端は螺旋を描きながら、その外側に向かって花を並べていくように見える。例:ワスレナグサ、キュウリグサ
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里山(さとやま)
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人里周辺にあり、生活のために人が密接に関わってきた森林一帯のこと。かっては薪や炭を得るための伐採や落ち葉かきなどが盛んに行われたため、手付かずの自然とは異なる二次元的な植生が見られる。
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散形花序(さんけいかじょ)
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主軸が極めて短くほとんどなくなって、多数の花が一本の軸から側生する花序のうちで、花序軸の先端から柄のある花が多数出ているような形になったもの。
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三出複葉(さんしゅつふくよう)
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小葉が3枚の複葉のこと。ハギ類など。
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散房花序(さんぼうかじょ)
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1本の花序軸から多数の花が側生する花序のうち、下のものほど花柄が長いため、すべての花が平面、あるいは球面上についたように見えるもの。
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散房状(さんぼうじょう)
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散房花序ではないが、散房花序に似たような状態。
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三輪生(さんりんせい)
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枝の一ヶ所に3枚の葉がつくつき方。4枚なら四輪生、5枚なら五輪生。ふつう3枚以上をまとめて輪生という。2枚は対生。
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枝序(しじょ)
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樹形の輪郭を作る枝の分かれ方や付き方。
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自生(じせい)
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植物が人為によらずその地域にもともと自然に生育していること。野生と同義。
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子房(しぼう)
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被子植物の雌しべの基部にあり、膨らんで袋のようになっている部分。上は花柱に、下は花托につながる。
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種(しゅ)
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学名の命名のもっとも基本となる分類階級で、形態学的に区別のできない固体の集まり。
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雌雄異株(しゆういしゅ)
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雄花と雌花を、それぞれ異なる個体につける性質。雌雄別種ともいう。これに対して雄花と雌花が同じ固体につくものを雌雄同種(しゆうどうしゅ)、雌雄の区別がない花(両性花)がつくものは雌雄両全種(しゆうりょうぜんしゅ)という。
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重鋸歯(じゅうきょし)
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鋸歯の中にさらに鋸歯が入っている鋸歯のこと。
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集散花序(しゅうさんかじょ)
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軸の先端に花を付けることで軸の成長が止まり、次の花はその軸から出た側枝の先端に付けるという方式で形作られる花序の総称。単出集散花序、二出集散花序、多出集散花序と、1本の軸から側枝の数によって分けられる。
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雌雄同株(しゆうどうしゅ)
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雄性と雌性の生殖器官が同一の固体に生じること。被子植物では雄花と雌花が同一株に生じること。これに対して雄花と雌花が別の固体につくものを雌雄異種(しゆういしゅ)、雌雄の区別がない花(両性花)がつくものは雌雄両全種(しゆうりょうぜんしゅ)という。
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樹冠(じゅかん)
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樹木の幹以外の、枝葉が茂っている部分。一般に、樹幹の形は広葉樹では半球形、針葉樹では円錐形になるが、樹種ごとに特徴をもっている。森林の場合は個々の樹木の樹幹が連続する形となるが、これを林冠という。
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樹形(じゅけい)
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根、幹、枝、葉が総合された樹木全体の形をいう。山野に自生する樹木は環境の影響を受け、同じ樹種でも樹形は一定しない。環境のよい場所で生育した樹木は比較的均整のとれた樹形となる。
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樹皮(じゅひ)
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樹木のコルク形成層よりも外側の部分をいう。新しいコルク層が次々に内部に生じて新しい樹皮を作り、古い樹皮はやがて剥がれ落ちるが、剥がれ落ちる部分の形は樹種によって異なっていて、特徴的な模様となる。
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樹高(じゅこう)
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地面から木のこずえ(一番上)までの高さを言う。1m以下:小低木、1-5m:低木、5-10m:小高木、10m以上:高木
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主脈(しゅみゃく)
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葉脈の主たるもの。狭義には中央脈だけをさすが、その他の太い葉脈を含めていうこともある。
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小羽片(しょううへん)
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羽状複葉で、羽片がさらに分岐する場合、葉の2回目以降の分岐で形作られる部分。
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漿果(しょうか)
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3層からなる果皮のうち、中果皮または内果皮が多肉質で水分が多く、軟らかい果実。ミカン・トマト・ブドウなど。液果の旧称。
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小高木(しょうこうぼく)
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樹木をその成長した高さで便宜的に分けた区分、成長してもせいぜい高さが3~5m程度のもの。
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掌状(しょうじょう)
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ある一点から複数のものが放射状に広がり、すべてがひとつの平面状に並び、手のひらに似た形になった状態、葉の形や、複葉の形式、葉脈の分布様式などをあらわすときに用いられる。
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小葉(しょうよう)
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複葉で、その複葉を構成する一枚の葉のように見える部分。
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照葉樹林(しょうようじゅりん)
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常緑紅葉樹は林冠を主に構成する樹木となっている森林。亜熱帯から暖温帯にかけて見られる。葉は厚く、表面は無毛で光沢があるものが多いため、照葉樹林の名がある。日本ではシイ、カシ類、タブノキなどの広葉樹が優占する。
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常緑樹(じょうりょくじゅ)
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葉が芽吹いて展開してから落葉するまでの期間が1年を越えるため、成葉をつけていない時期がない樹木。日本ではシイ、カシ、タブノキなどをはじめとする常緑広葉樹のほか、ツガ、モミ、シラソなどに代表される常緑針葉樹が見られる。
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植栽(しょくさい)
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人為的に植物を植えること。自生、野生の対語。
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植物分類(しょくぶつぶんるい)
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1990年以降、被子植物の分類体系に、DNA解析(葉緑体DNA解析)による系統学手法が導入され、この手法の進展により欧米では植物図鑑などに新しい体系に変わってきている。わが国でも、将来この手法が植物分類学の主流になると考えられている(APG植物分類体系:APG法)。この新しい分類を実行する植物学者の団体名がAngiosperm Pfylogeny Group(APG:被子植物系統発生グループ)。
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真果(しんか)
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果実の大部分が成熟した子房壁 (果皮) からなるもの。カキ (カキノキ科) やミカン (ミカン科)など。
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人工林(じんこうりん)
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人が木を植えて作った林。
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針葉樹(しんようじゅ)
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裸子植物で球果類に属する樹木をいう。多くはマツなどのように針のような細長い葉を持つが、マキ科のナギなどのように幅のある葉をもつものでも、球果類であるため針葉樹に分類されるものもある。
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穂状花序(すいじょうかじょ)
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一本の軸から多数の花が側生する細長い花序のうち、それぞれの花は見たところ花柄がなく、全体として穂のような形をしたもの。
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垂直分布(すいちょくぶんぷ)
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標高の変化に対応して、生物が一定の範囲内に生息・生育する分布状況をいう。日本の中部地域を例に取ると、もっとも標高の低い地域には常緑広葉樹林があり、それより標高が高い場所には落葉広葉樹林が、さらに高い場所には針葉樹林が現れる。
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水葉(すいよう)
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水草の葉で、水中に展開する水生型の葉→気中葉。
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星状毛(せいじょうもう)
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星の形のように放射状に分布した多細胞の毛。肉眼では粒状に見えることが多い。
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切形(せっけい)
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「截形」(せっけい)とも書く。 「円形」でもなく「心臓形」でもなく、 葉の基部が平らで直線になる形 。「イタドリ」「ポプラ」
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遷移(せんい)
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ある地域を構成する生物の種類やその量が、その生物と環境との相互作用によって変化していく過程をいう。火山の溶岩地帯など無生物の状態から始まるものを一次遷移、畑地などすでに生物によって土壌が作られていて、そこに埋もれた種子などがある状態からスタートするものを二次遷移という。
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先駆性樹木(せんくせいじゅもく)
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開放的で明るい場所にいち早く生えて育つ木のこと。成長が早くやせ地でもよく育つ
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全縁(ぜんえん)
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葉の縁が滑らかで、凹凸のない状態をいう。
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箭形(せんけい)
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「矢じり形」ともいう。葉の基部の形が矢じりに似ている。 例:オモダカ、ウナギノツカミ
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腺体(せんたい)
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密腺が肥大化し粒状になったもの。葉柄や葉脚基部にある。蜜腺から蜜を出すことで蟻などを誘い、害虫を排除する目的がある。
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剪定(せんてい)
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植物の手入れを行うため、枝や幹の一部を切ること。
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腺点(せんてん)
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腺体と同じ働きをするが、腺体ほど肥大しない。イヌツゲ、ガマズミなどの葉裏にある。
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腺毛(せんもう)
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植物体の表面にあって、粘液などの物質を分泌する毛。植物学でいう毛は、形にこだわらず表皮のみに由来するものを指すが、表皮と内部組織との両方に由来する突起物(毛状体)であっても、分泌作用を持つ場合は腺毛とよぶことがある。
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痩果(そうか)
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単純で乾いた果実の一種。雌蕊は1つであり、成熟しても種を飛ばすことはない。痩果の種子は果皮にくるまれている。熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの。
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走出茎(そうしゅつけい)
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匍匐茎・匍匐枝の一種で、ランナーとも呼ぶ。
親株から出た茎が地表面を這うように長く伸びて、先端の節から芽や根が生じ、子
株になったもの。
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総状花序(そうじょうかじょ)
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主軸が長く伸び、多数の花が側生する細長い花序のうち、それぞれの花に花柄のついた花が間隔を開けてついているもの。
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装飾花(そうしょくか)
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雄しべも雌しべも機能しない中性花で、萼または花冠が大きくなり目立つ花。ガクアジサイやヤブデマリなどの花序の周辺にある花。生殖器官としては機能しないが、花粉を運ぶ昆虫などを誘引すると考えられる。
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属(ぞく)
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科(か)を細かく分類する時の単位。
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側芽(そくが)
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茎軸の側方にできる芽。種子植物の側芽のほとんどは葉腋に生じる腋芽である。
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側小葉(そくしょうよう)
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複葉の葉の左右についている小葉のこと。
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束生(そくせい)
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主に枝先において、複数の葉が束になってつくこと。これは互生や対生する葉のつく位置が近接した状態をいい葉序を示す言葉ではない。
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側脈(そくみゃく)
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主脈から分岐する脈で、主脈についで太い葉脈。
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租毛(そもう)
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太く粗い毛。例:イワガラミ
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