朗読を前提とした小説です。まだ、執筆中ですが、そのうち、仕上がります。
仕上がりましたら、ご自由にお使いいただいて結構です。私への連絡も必要ありません、というか、連絡先を公開しておりませんけど。
夕子 会社からの帰り、駅の改札を出る。夕刻、久しぶりに早く帰ることができそうだ。
夕子 世の中の多くの父親は、三十前の、実家に暮らす娘にいらいらするらしい。おいおい、いい人はいないのか、と睨みつける。うーん、冷蔵庫を開けても、箪笥を開けてもいないなぁ。そんな、最初は冗談交じりの軽い応酬が、最終的には、出てけ、出て行くと大声で言い張り合い、ただ今、私は実家を出て、一人、いや、二人暮らし中だ。
夕子 別に男と暮らしているわけじゃない。夕さんと暮らしているのだ
夕子 夕さんは見た目、高校生くらいだけれど、うん、私より年上だと思う。母さんが言ってた、分娩室で私が生まれる時、夕さんも隣りで応援してくれていたんだよって。その頃から高校生くらいだったと、母と父の証言。羨ましい、齢をとらないなんて。
夕子 子供の頃、夕さんはお姉さんだった。優しくて、一緒にいると楽しい、そんなお姉さんだった。今は、なんだか、齢の離れた妹、うん、子供じゃない、齢の離れた妹だ。でも、このまま、私が齢を取って行けば、その内、夕さんは娘みたいに思われるようになって、私がおばあさんになった時は、可愛いお孫さんですねとか言われるのだろうか、あぁ、それについては考えないでおこう。 駅前の賑やかな商店街を歩く、呼び込む声が重なり合う。