基本連関杖、左半身中段追い突きから、右半身、回し打ちへの変化について。
中段追い突きで、軸が左の脇に移る。軸はその空間にて定位置になる。
この軸の位置を、その空間において絶対的に置いた上で、脇腹から後へ体を捲っていくようにさげながら、右半身になる。
言い換えれば、体の部分部分が前方の軸を通って、捲れるようにして後へと移動する。
上から見ると、鞭のしなりのように変化していく。
さて、問題は、体は紙のように薄くはなく、「捲る」という動きをそう簡単には実現できないということだ。
そこに技術がある。
体術でいうところの含みと流し、相手の突きを含み込みながら後方に流し、位置を捕る技術である。
杖の変化を相手の突きとし、含み込むことで、擬似的に、「捲る」と同じ動きを実現させることができる。
左半身追い突きから、右の腰構えに移る動作について。
両の掌は杖を掴まないこと。
右手は右の腰と連動しての中段の突き。
左手は、右の腰から左への移動、これは同時に腰を開く動作になる。
杖を掴んでいると固まってしまう。
左手は右手に道を作る。
すべては速やかに同時に。
体は前を維持。
例えば中段の突きから、右の腰構えに移行するとき、
杖は正面から見て、出来るだけ杖の下端が見えないように。
杖は握らないように。両手のひらと腰の三点で落ちないように支えているだけ。握ると杖の変化に指先がついて行かない。また、この時左手は腰の真横、手の甲が微かに腰に触れている状態。
左半身追い突きの時、右手は胸にある。
だから、右の腰を前へと寄せる、閉じると同時に右手は体の側面に添って、胸から腰まで落ちる。
左足と右足が揃う時間で、右手は胸から腰まで落ちる。左手は右手と近づく。右手が前へ出だすと左手は右の腰から、左の腰へ移動するのだが、感覚としては、左手を動かすというより、お腹で杖を割る感じ。
工夫する。
先生と同じように動いているつもりなのに、どうも違う。
この思いはずっとあったし、今もある。
私の動きは鋭さにかけるのだ、ふっと杖が現れたり、消えたりしないのだ。
先生の動きを思い出しながら、思うところあり、工夫してみる。
ちょっと、似て来たかもしれない。
手の内のこと。
杖は柔らかく持ちます。
とくに肩から指先まで、緊張が入らないように気をつけます。
ただし、間違ってはならないのは、柔らかく持つというのは、ふわっと持つのではありません。指先で持つわけでもありません。
普通に手の内で持ちます。そして、手の力を少しづつ抜いて行き、杖が落ちる寸前の力で持ちます。
その上で、杖の向きが変われば、当然、手の内も変わりますが、その変化を遮らない速さ、これが柔らかさです。
杖を中段右構えに立ったとき、両手の指先を伸ばせば、杖は落ちます。
これは二点で杖を支えていたからです。
しかし、杖の先端が相手に接していれば、杖は落ちません。
また、二点でも、杖の動きを手が先導すれば、つまり、胴体が先導すれば、杖は自重により、指先を伸ばしていても落ちません。
このように、杖の持ち方は状況により、さまざまに変化しますが、その変化を先導するように胴体が動けば、杖は体の一部となります。