"PEACE"
GEORGE ROBERT(as,ss), KENNY BARRON(p)
2002年8月 VICTORIA HALL IN GENEVA にてライヴ録音(DIW RECORDS DIW-945 TGCS-1726)
1曲目の"PEACE"を試聴した時、タイトルといい、流れてくるメロディといい、これは環境音楽に近いのかなと思った。ところが、2曲目からはスタンダードナンバーがずらりと並んでいるし、6曲目にはブルースまで入っている。次に聴いてみたのが2曲目の"I
DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS"。これはいけると思った。
背筋がゾクゾクと痺れたものだ。
前回紹介したHIROMI UEHARA
(JAZZ批評 146.)と比べると
大人の音楽という懐の深さを感じるんだなあ。たった二人の演奏でありながらその音楽の深さといい、その広がりといい、それは「流石」と言うしかない。まさに「芳醇な馥郁たる香り」がするのである。
これは絶品である。
ゾクゾクするほどのデュオを聴いて欲しい!
「美しさ」「躍動感」「緊迫感」を全て兼ね備えたジャズの醍醐味を堪能して欲しい。
全てが文句なく素晴らしい。個々の曲の解説は不要だが簡単なコメントを追記しよう。
演奏曲目は以下の通り。
@"PEACE"
ソプラノ・サックスの響き。
A"I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS" 背筋がゾクゾク。
B"SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE" この躍動感とインタープレイが堪らん!
C"SOUL EYES" 二つの楽器の一体感。
D"TRISTEZA" ボサノバ調。
E"BLUE MONK" ブルースはこうありたい。
F"ROUND MIDNIGHT" この名曲のアドリブを聴け!
G"A DAY IN PARIS" ワルツ。美しくもハイテンション。
H"SONG FOR ABDULLAH" ピアノ・ソロ。曲が良い。ああ〜!至福の時。
アルトサックスを吹く
GEORGE ROBERTはスイスで活躍しているプレイヤーらしい。非常にナチュラルでありながらも熱い演奏に痺れてしまう。
このアルバムの凄さは一方の雄、KENNY BARRONのピアノの素晴らしさにある。奥の深さ、楽しさ、哀しさ、浮き立つような喜び、全てを内包した演奏だ。ピアノという楽器の持つ能力、即ち、
ハーモニー、リズム、メロディという3つの要素を余すことなく引き出した演奏である。
BARRONの最高傑作と言って間違いないだろう。
僕は、最大限の賛辞を惜しまない。
これこそが "JAZZ"だ、と・・・。
勿論、
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2003.08.10)
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