TERJE GEWELT
美しさ、躍動感、緊密感に溢れ
心潤し、
心浮き立つデュオ・アルバム
"HOPE"
CHRISTIAN JACOB(p), TERJE GEWELT(b),
2002年10月 ライブ録音 (RESONANT MUSIC RM16-2) 

久しぶりに渋谷のHMVに行ってみた。なんだかんだ言っても、渋谷のHMVが一番多くCDの試聴が出来る。広いフロアで試聴機が何台も並んでいる。これでBGMのジャズのボリュームがもっと小さければ最高に嬉しいのだが・・・。
この時、試聴したのは
@KIETH KEITH JARRETT "RADIANCE-SOLO:OSAKA-TOKYO"
AJOE CHINDAMO "AMERICA!"
の2枚ほかエトセトラ。
@はいかにKEITHと言えどもソロの2枚組みはいかにも重い。せいぜい東京コンサートか大阪のどちらか1枚までだろう。レコード会社は何故、別売りしないのだろう?
Aは「ポール・サイモン作品集」で澤野工房らしからぬ。最近の澤野工房は少し変調気味だと僕は思っている。
どちらも購入意欲を刺激しなかった。
そんな時に試聴コーナーにあったのがこのCD。4曲目の"THE WATER IS WIDE"を聴いてぶっ飛んだ。背筋がゾクゾクした!躊躇なく購入。JAZZっていいなと思えるアルバムだ。

@"MOON AND SAND" ドラム・レスを意識させない高密度な演奏。
A"AUTUMN LEAVES" ストレートな演奏。理屈ぬきに楽しめる。指でも鳴らしながら聴いて欲しい。
B"SMALL COUNTRY" ベース・ソロ。
C"THE WATER IS WIDE" ピアノの美しいイントロからテーマに入り、17小節目からベースが加わる。TERJEのベース・ソロも良く歌っていていいね。心を潤す1曲。何回も繰り返し聴きたくなる!

D"BYE BYE BLACKBIRD" この曲も小細工なしのストレートな演奏。ウ〜ン、いいね。
E"LYDIA'S CRUSH" 
F"HOPE" 少し理屈っぽい。
G"CHEROKEE" アップ・テンポのスウィング感溢れる4ビート。JACOBのピアノがソロでもバッキングでも切れ味が鋭い。
H"BODY AND SOUL" これもしっとりとした演奏で心潤す。
 
CHRISTIAN JACOBと言えば、"STYNE & MINE"(JAZZ批評 244.)がなかなかの秀作であった。特に1曲目の"JUST IN TIME"が素晴らしい出来であった。このアルバムを★、5つにするか、4.5にするかで悩んだが、迷ったときは辛い点ということで4.5★を献上した記憶がある。結果的には、それで良かった!何故なら、遡ること7ヶ月も前に、それを上回るこんなにも素晴らしいアルバムを録音していたのだから!
ベースのTERJE GEWELTのリーダー・アルバムだが主役はCHRISTIAN JACOB。ベースとピアノのバランスがいい。TERJE GEWELTは気配りが利いて躍動感のあるいいベーシストだ。

このアルバム、大別すると次のようになる。
心潤す演奏:@、C、H 静かなバラードにあっても決して躍動感を失っていない。
心浮き立つ演奏:A、D、G ドラム・レスでも4ビートをしっかりキープ。

こういうアルバムは多くを語る必要はない。あとは聴くのみ。僕はこのアルバムを購入以来、何十回と聴いているが全く飽きることがない。最高!
最後に一言付け加えると、録音が素晴らしい!曲後の拍手を聞いて初めてライヴだったのかと気が付くほど。
迷わず、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2005.06.10)



独断的JAZZ批評 275.