東京お遍路 その5 浅草通り界隈 歩いた日は、2012年1月18日。 お参りした寺院は第72番不動院、第62番威光院、第61番正福院、第43番成就院、第51番延命院、第45番観蔵院、第82番龍福院、第60番吉祥院、第78番成就院の9寺院。 今日の行程は薬研堀不動院から始まる。前回歩き終えた寺院なのだが、夕闇に閉ざされて遠目が利かず探しあぐねた場所である。都営地下鉄浅草線の東日本橋で下車して地上に出たら、何のことはない、直ぐに分る場所にあった。もう一度お参りして般若心経を唱えた。 前回、やはり暗くて様子を伺うことが出来なかった大徳院に向かった。両国橋を渡り、右折して一の橋通りに入ると、左手に大徳院が仮住まいをしているビジネスビルがある。その手前を左折すると、裏手に工事現場があり、安全塀に建築事務所が揚げた施設整備の標示板があった。そこには事業の名称として「大徳院本堂」と書かれていた。基礎工事が行われていて、今までの本堂や庫裡は跡形もなく取り払われている。文化財の解体事業には手間隙が掛かるんだろうなぁ、と思う。 一の橋通りを北に向い、国技館を右手に眺めながら歩く。折から、大相撲初場所が開かれていて、色とりどりの力士幟がはためいて賑やかだ。先場所に続き日本人大関が誕生した。新大関稀勢の里が本名の萩原を名乗っていたころからのファンである。大いに期待しているのだが、どうも大関陣との対戦成績が良くない。 国技館通りの途中から清澄通りに出て、隅田川を渡り、吾妻橋の西詰めに近い場所から東京スカイツリーを撮影した。高層ビルに並んで、空中高く伸びて行った過程を追いながら、毎年カメラに納めている。 浅草観音様にお参りした。亡妻の実家が近いこともあり、毎年正月二日には初詣をしているのだが、昨年はスカイツリーが完成に近づいたこともあり、例年に増して参拝者が多く、本堂に近付くことが出来なかった。今年も混雑が予想されたので、正月二日の初詣は避けた。 浅草通りには仏具を商いするお店が並んでいる。下世話な話だが、商売は需要と供給で成り立っている。仏具の需要がこんなにもあるものなのか、これで商店の経営が成り立つのか。50年前に上京して仏具商店街の景観をみて驚嘆して以来、疑問に思っていた。その謎が解けた。浅草通りから一歩裏道に入ると、寺院が密集している。特に、壽、元浅草、西浅草を歩いていると、次から次へと寺院が現れる。ただ、京都のように大規模な寺町ではないので、民家に紛れ込んで見落としてしまうことがある。浅草は江戸時代の歴史を濃密に伝える場所だから、伝統の息づく寺院が多い。寺院には、それぞれの歴史があり、個性がある。お遍路に拘らず、浅草の寺院の歴史を探索する小さな旅を計画するのも一興だろう。 予定の札所を廻り終えて、勢いのままに湯島天満宮まで歩いた。近くに友人が関わっている会社がある。メールをしたら運良く連絡が付いて、一杯やることになった。この友人、ちょっと変わり者で、あのロマンポルノ作家で有名な富島健夫の研究家である。膨大な資料を調べ上げ、分厚い「富島健夫書誌」を自費出版している。富島健夫は世間に広く認められている著名な作家ではない。なんせ、世間の評価がマイナーであるから、どこの出版社に持ち込んでも、「書誌」を買ってくれない。この友人には「売れない作家」という綽名がついている。 |
その5の目次 第72番不動院 第62番威光院 第61番正福院 第43番成就院 第51番延命院 第45番観蔵院 第82番龍福院 第60番吉祥院 第78番成就院 ちょっと寄り道。 お御籤、つれつ゜れ考 ちょっと寄り道。 葛飾北斎の琉球八景 東京お遍路のtop頁へ その4端書きへ その6端書きへ 烏森同人のtop頁へ |