降り注ぐ雨の中を  

 
 

嶋田英明氏の訃報を聞く。嶋田氏は、私と同学年であり、成東高野球部のエースであった。彼は、光中当時から、光中に嶋田、菱木(兄が習志野で全国制覇)ありと有名な選手だった。県大会でも準優勝し、私の在籍した富士見中とも練習試合をしている。

 そんな光中の主なメンバーが成東高野球部へ進み、大木氏(東海大)京相氏(国学院大)らとまた一つ成東高の伝統を築くのであった。

 嶋田氏の高校野球最後の夏は、エースナンバーを背負い順当に勝ち上がる。

180センチ80キロの体躯からコントロールいい球質の重い速球。体格のわりに小さい手から投げるカーブは、打ちずらかった。

 準々決勝で高野(故人 元ヤクルト)のいる東海大浦安と激突した。ここに勝てば

銚子商だった。

 試合は2対0で惜しくも敗れた。

 試合後、長谷川監督がナイン一人ひとりの頭を押さえながら、ねぎらっていた。

そんなうつむくナインなかで嶋田氏は、一人号泣していた。テレビでその様子を見ていた私は、嶋田氏が、何を思い、考え号泣していたか想像でしかわからない。

 今となっては、聞くことすらできない。その涙のわけを。

 40すぎから体調が思うわしくなく。亡くなる何年か前には、目の見えるうちに野球部のメンバーと飲もうと話すような状態だったと聞く。

  今は、嶋田氏のご冥福を祈りたい。

                *

私たちの同学年で、成東高のエースとなり、私たちの夢を重ねた嶋田氏。

冷たい雨が私に降り注ぐ。

この雨がやむ時がくるのだろうか?

                平成22年 春

(一部敬称略)