【旧原稿】 P4
舞阪版(ynk05-C1) |
浜松市西区舞阪町にて(H24夏) |
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1−3(紛争解決手続)
紛争解決手続
紛争解決手続 |
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紛争解決の原則は「話し合い」です。話し合いで解決すれば円満に解決できますが、そもそも話にならないので紛争になっていることが多いです。その場合には、裁判所において法的な紛争解決手続きをとる必要があります。 まず、当事者間で話し合いがひとまず成立し、それを強制力のある和解書として残したい場合には、「即決和解」の方法があります。次に、当事者間では話し合いは成立しそうになさそうだが、それでも穏便に話し合いで解決したい場合には、「民事調停」の方法があります。そして、話し合いでは解決しそうにない場合には裁判になりますが、確実な証拠があり、裁判で争うようなこともないような場合には、裁判所から督促状を送ってもらう「支払督促」の方法があります。最後に、当事者間に裁判で争うような争点がある場合には、「訴訟」になります。訴訟には簡易な手続きで行う「少額訴訟」もあります。 もっとも、司法書士の簡裁訴訟代理は簡易裁判所における少額の裁判を想定しています。そして、少額であるため無尽蔵に時間と費用をかけるわけにはいきません(例えば、知人に貸した10万円を返してもらうために、裁判に数年かかり、費用が数十万円もかかったのでは元も子もありません)。そのため、「事後的救済」よりも依頼者による「事前の備え」が重要になります。 (→「紛争解決手続の種類」)
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1−3−1(紛争解決手続きの種類)
紛争解決手続きの種類
紛争解決手続きの種類(一) |
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裁判所における紛争解決手続きには以下のような手続があります。 「話し合いの余地があるか」や「争いがあるか」、「訴額はいくらか」等により選択します。
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紛争解決手続きの種類(二) |
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1 訴訟 訴訟は、当事者間では紛争を解決できない場合に、裁判官が当事者双方の主張を聞いたり証拠を調べたうえで、判決により強制的に紛争を解決する方法です。 訴訟を行うには、時間や費用がかかります。また、専門知識も必要になります。 2 少額訴訟 少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払い請求の際に限り行うことができる訴訟による紛争解決方法です。原則として、一回の期日で終結し、判決も直ちに言い渡されます。 通常の訴訟よりも簡易な手続であり、自分で行うことも可能です。 3 支払督促 支払督促は、事実関係に争いのない場合(例えば、相手がお金を借りたことは認めているが、「今はお金がないので払えない」と言ってお金を返してくれないような場合)に、裁判所から借主に金銭の支払い請求をしてもらう紛争解決方法です。 簡易な方法ですが、債務者が異議申し立てをすると訴訟に移行してしまいます。 4 民事調停 民事調停は、裁判所において、調停委員のあっせんのもと、当事者間で話し合って紛争を解決する紛争解決方法です。 民事調停は話し合い妥協しあって紛争の解決を目指す手続きのため、柔軟な解決を図ることができるのが特徴です。 もっとも、話し合いで解決の余地がある場合に行う必要があり、当事者双方が感情的になっていると解決は困難です 5 即決和解(起訴前和解等) 即決和解は、当事者間で話し合いを行い和解が成立したは場合に裁判所で和解書を作成してもらう紛争解決方法です。 ある程度話し合いにより紛争が解決したときに行う必要があります。なお、裁判所に行かなくとも、当事者だけで和解することも可能ですが、当事者間で作成した和解書では強制執行できません。 |
1−3−2(貸金返還請求)
貸金返還請求
契約書 |
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お金を貸した際には、少なくとも契約書は作る必要があります。そして、貸金返還請求するためには、お金を貸したこと、実際にお金を渡したこと、その後、返済時期が到来したことを証明する必要があります。そのため、実際に金銭を渡したことまで証明する必要があるため、できれば、相手方が金銭の受領したことまで読み取れるような契約書を作成してもらいたいところです。 また、利息については法定利息がありますが、後々トラブルにならないように、できる限り利息も契約書に記載してもらいたいところです。さらに、できることならば、弁済期日も契約書に記載してもらいたいところです。弁済期日の記載があれば後々遅延損害金の計算が明確になります。 そもそも、お金を貸し借りする関係にあるということは、親しい関係だと思いますが、親しき間でもお金については厳格にする必要があります。そのため、お金の貸し借りをする際には契約書を作成するのが肝心です。契約書がないと、お金の貸し借りを証明するために、裁判所での(本人)尋問等もあり得ます。 |
「無い袖は振れない」 |
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貸金返還請求しても、相手方が「借りてない」や「借りたけど貸しがあるので返す必要はない」と主張した場合、息子が親の名前を勝手に使って借入を行った場合等には争いになります。 さらに、相手方に財産がない場合には、争いになるどころか、そもそも貸したお金を回収できません。 そして、相手が行方不明になった場合には、争うこともできが、回収不能になります。 そのため、お金を貸す際には、相手方の住まいや、勤務先、家族関係等々をできる限り聞いておくのが肝心です。ようするに、よく知らない人にはお金を貸さない方がよいということです。 できることなら、親しい人にもお金は簡単に貸さないのが賢明です。 |
1−3−3(未払い賃金支払請求)
未払い賃金支払請求
未払い賃金 |
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未払い賃金支払請求においては、単に給料が支払われない場合だけでなく、時間外手当や休日手当が支払われない場合もこれに該当します。そして、未払い賃金の支払を請求するにしても、未払い賃金がある場合には、雇い主の方にも「〜の不注意により会社が損害を被ったのでその分として給料を差し引いた」や、「〜は管理職なので残業代は支払う必要がない」等々の言い分がある場合もあります。すると、争いが複雑になります。 そのため、できる限り証拠となるものが必要になります。例としては、求人票や契約書、給料明細、給料が振込まれる預金通帳、さらにはタイムカードも必要ですが、タイムカードは会社にあることが多いので、会社側に提出してもらうか、事情をよく知っていて協力してくれそうな同僚に証明等してもらう必要があります。 他に、労働基準監督署等に相談する方法もありますが、会社にも言い分がある場合もあるので、よほど悪質でない限りは、直ちに労働基準監督署等が解決してくれるとは限りません。 なお、未払い賃金の請求権は2年で時効消滅するため、迅速な対応が必要になります。 |
ピンハネ |
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給料をもらっていない場合や、給料ははもらったが規定よりも少なかった場合には、誰しも気が付きますが、巧妙にピンハネされると気が付きません。数年前の話になりますが、大手の人材派遣会社が使途不明の「情報管理費」のような名目で給料から200円くらいずつ差し引いていたこともありました。また、この会社はTシャツだかポロシャツを「これを買わないと仕事に行かせられない」というようなことを言って社員に購入させていました。他の会社の例ですが、派遣元会社が派遣社員から駐車場代を徴収していた会社もあります(その駐車場代金が派遣先会社に支払われていたかは不明です)。「問題ありそうだが、明らかに違法とまでは言い切れない」のが共通点です。このような場合には、「おかしい」と思ったら、詳細をメモしておいたり、給料明細等を保存しておく必要があります。 後日、返還請求しようとしても、「そういえば、いくらだったか分からないけど払わされたような気がする」では、社会問題にでもなって会社側から返還がなされない限りはどうにもなりません。 労働者からお金をとる会社は要注意です。 |
1−3−4(敷金返還請求)
敷金返還請求
ガイドライン |
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敷金とは、借主が建物を借りる際に家主に支払い、借主が建物から退去する際に、家主が建物の修繕費等を差し引いて借主に返還するものです。 建物をきれいに使っていればほとんど返還されると考えている人もいるようですが、そんなに甘くはありません。賃貸借契約書において、特約により「修繕費は借主が負担する」となっていることがほとんどのため、少しでも建物にキズや汚れがあると、敷金はごっそりと差し引かれます。そして、実際に敷金が返還されるのは、建物を明け渡してからしばらくたった後であり、その時に初めて返還される金額が分かるため、その時に「敷金が全く返還されないのはおかしい!」と思っても「後の祭り」になります。 「敷金の返還額」、すなわち、「借主が建物の修繕をいくら支払うのか」は、「建物の損耗について借主と家主のどちらが負担するか」(原状回復の費用負担)によって決まります。そして、原状回復の費用負担は国土交通省の「ガイドライン」により定められていますが、ガイドラインは「指針」であり「法的効力」を有しないので、「ガイドラインではこうなっているので…」と事後的に争うことは困難です。ようするに、国土交通省の方針も、「敷金の返還額については、ガイドラインを参考にして当事者間でよく話し合って解決するように」ということです。 |
更新料 |
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原状回復の費用負担については契約書の特約により借主の負担と定められていることが多くあります。そして、これらの特約も有効です(借主に不利な特約ですが、当然には、消費者契約法10条の「消費者の利益を一方的に害するもの」として無効にはなりません)。少し前に(2011年7月頃)、更新料の有効性についての最高裁判決が出ましたが、それによれば、@契約書に更新料について具体的に記載されており、A更新料が妥当な金額ならば、更新料の特約は有効になります。この点から鑑みれば、原状回復を借主の負担とする契約書の特約についても、よほど借主に不利な内容でなければ無効にならないと考えられるからです。そのため、敷金については、「事後的に原状回復の借主負担の特約の有効性を争っても、そう簡単には無効にはならない」ということです。 更新料の特約が無効になると、「過払い返還請求」のような事態となりかねず、貸金業が相次いで破たんしたように全国的に家主の破産が相次ぐような事態となりかねません。 |
1−4(基本業務)
基本業務
基本業務 |
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→「一般民事事件」について |
1−4−1(相続登記)
相続登記
相続登記 |
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相続登記は、不動産の所有者が死亡した場合に、不動産の名義を相続人に変更する手続です。 相続登記については登記義務はありません。また、相続登記については期限もありません。もっとも、名義を変更せずに放っておいて、いざ名義を変更しようとしても、相続関係が複雑になり簡単には名義を変更できないということもあります。ようするに、相続登記を行うか否かは自己責任です。 ちなみに、相続財産に銀行預金があれば、相続登記は銀行預金を払い戻すのと同時期に行うのがよいと思います。けだし、銀行預金を払い戻すに際しては、被相続人や相続人の戸籍等が必要になる場合がほとんどのため、相続登記の際に使用した戸籍等をそのまま銀行預金の払い戻しにも使い回しできるからです。 なお、相続登記を行うにしても、銀行預金の払い戻しを行うにしても、まずは、相続人間で誰が何を相続するのかを決めておく必要があます。
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1−4−2(成年後見・遺言)
成年後見・遺言
成年後見・遺言 |
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認知症等により判断能力が不十分になると、自分で財産を管理したり、生活していくのは困難になります。このような場合に、成年後見人は判断能力が不十分な人の代理人として、財産を管理したり、介護サービスの手配をしたりします。 人は死んでしまえばいくらお金があってもそれを使うことはできません。しかし、遺言により、自分の死後に自分の財産を誰に相続させるか等を決めておくことはできます。他に、相続人以外の人に財産を遺贈することもできます。遺言できる事項は法律で決まっていますが、主な遺言事項は先述した「相続財産の指定」と「遺贈」です。 成年後見人を選任する必要がある場合とは、役所や金融機関等から「どうしても必要なので、成年後見人を選任してください。」等と言われた時です。一度、成年後見人を選任すると、被後見人が元気になるか、もしくは、被後見人が死亡するまで成年後見人を付け続けなければならず、その間、裁判所への報告等の事務作業が欠かせず煩雑のため、必要性がなければ選任するものではないからです。 遺言については、遺言するかしないかは全くの任意ですが、子供や配偶者がおらず、兄弟や甥・姪が相続人になる場合には、相続人の人数が20人、30人になるような場合もあるので、遺言書で相続人数を絞り込んでおけば相続手続きが簡易になる場合もあります。
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1−4−3(債務整理)
債務整理
債務整理 |
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債務整理は、返済額の見直しや債務を減額・免除する手続です。 債務整理の種類には、任意整理・特定調停・破産・個人再生があります。また、過払い金がある場合には返還請求します。過払い金返還請求は訴訟になる場合もあります。 借入金の利息が法定利率以内の利率の場合には、引きおなし計算をしても借金が減額することはありませんし、また、過払い金も発生しません。そのため、場合によっては、嫌でも破産等することを考えなければならなくなります。また、破産が嫌だからといっても、ヤミ金からだけは絶対にお金を借りないように気を付ける必要もあります。 なお、ヤミ金から借りたお金は原則として返す必要はありませんが、返すつもりがなければ、「返すつもりはない!」とはっきりとヤミ金業者に伝える必要があります。「ヤミ金から借りたお金は返す必要がないので、電話がかかってきても出なくてもいいですよね?」では通りません。
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1−4−4(不動産登記)
不動産登記
不動産登記 |
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相続登記については、依頼者と面識や紹介がなくとも依頼があれば容易に受任できる場合が多いですが、他の不動産登記(売買・贈与が原因の場合等)については、依頼者と面識や紹介がないと受任しづらいのが実情です。けだし、相続登記以外の不動産登記については、元の持ち主が存在しており、かつ、大金が動くことが多く、そのためトラブルの危険が高いため、依頼者との信頼関係が極めて重要になってくるからです。 主な不動産登記には、@相続登記・A所有権移転登記・B抵当権設定登記・C抵当権抹消登記がありますが、依頼者と面識や紹介がなくとも受任しやすいのは@相続登記とC抵当権抹消登記で、反対に、依頼者と面識や紹介がないと受任しづらいのはA所有権移転登記とB抵当権設定登記です。 不動産登記は以下のような場合に必要になります。 ・不動産を売買・贈与した ・自宅を新築した ・離婚の際に不動産を財産分与した ・不動産を担保に金融機関からお金を借りた ・不動産を担保に金融機関からお金を借りたが完済した 等々 |
1−4−5(商業登記)
商業登記
商業登記 |
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商業登記については、登記義務がありますので、役員を変更したり、商号・目的・住所を変更した際には期限までに登記する必要があります。商業登記には期限がありますので、依頼に当たっては、できるだけ早めの相談をお願いします。いきなり「急いで登記をお願いします。」と言われても、登記簿や定款を確認しなければ、そももそ登記ができるのか、さらに、できるとしても、どういった手続が必要かが分からないからです。 商業登記は以下のような場合に必要になります。 ・会社を設立「する」 ・会社の役員(取締役・代表取締役等)を変更「する」 ・会社の商号(名称)を変更「する」 ・会社の目的「事業内容」追加・変更等「する」 ・会社の住所(所在地)を移転「する」 等々 |
1−4−6(一般民事事件)
一般民事事件
一般民事事件 |
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一般民事事件とは、債務整理事件以外の司法書士の訴訟業務の総称です。具体的には、貸金の返還請求や未払い賃金の返還請求、敷金の返還請求や、その他の事件を一くくりにしたものです。 一昔前は、簡易裁判所が扱っている事件のほとんどが過払い金返還請求であったように債務整理については特に案件が多かったので同じ訴訟業務であっても債務整理は別の扱いになっています。裏を返せば、債務整理以外の一般民事事件については、まだまだ案件が少ないということです。 債務整理を専門に行っている司法書士事務所はいくらでもありますが、一般民事事件を専門に行っている司法書士事務所はあまり聞いたことがありません。 |
1−5(報酬基準)
報酬基準
報酬基準 |
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平成25年1月1日改定
→「一般民事事件」の報酬 |
1−5−1(相続登記の報酬)
相続登記
相続登記の報酬 |
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※ 登録免許税には暫定措置や減税措置等があります。
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1−5−2(成年後見・遺言の報酬)
成年後見・遺言
成年後見・遺言の報酬 |
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※ 事案の複雑さによっては依頼者と協議したうえで報酬額を増加することがあります。
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1−5−3(債務整理の報酬)
債務整理
債務整理の報酬額 |
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※ 事案によっては特定調停を検討します。その場合も報酬の加算はありません。
※ 大手の貸金業者に対する請求の場合には着手金の後払いも可能です。
※ 自己破産の場合において、以下の要件を満たす場合には報酬額を10万5,000円とします。 @財産がほとんどなく明らかに同時廃止となるような場合 Aかつ、依頼者が協力的で2ヶ月程度で個人破産の申立てをすることができた場合
※ 個人再生の場合において、以下の要件を満たす場合には報酬額を15万7,500円とします。 @財産がほとんどなく破産の場合であれば明らかに同時廃止となるような場合 A依頼者が協力的で3ヶ月程度で個人破産の申立てをすることができた場合
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1−5−4(不動産登記の報酬)
不動産登記
不動産登記の報酬額 |
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※ 登録免許税には暫定措置や減税措置等があります。 |
1−5−5(商業登記の報酬)
商業登記
商業登記の報酬 |
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※ 登録免許税には減税措置等があります。 |
1−5−6(一般民事事件の報酬)
一般民事事件
一般民事事件の報酬 |
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浜松市西区舞阪町にてH24夏) |
■ 谷中和志司法書士事務所 ■ 司法書士 谷中和志(やなか かずし) ■ 静岡県浜松市西区舞阪町舞阪141番地 ■ 静岡県司法書士会所属 |
HP/舞阪版/浜松版U/藤枝版/豊橋版/焼津版/浜松版 |
舞阪版(ynk05-C1) |
浜名郡舞阪町【旧原稿】P4 |
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