【旧原稿】 P3
舞阪版(ynk05-C1) |
浜松市西区舞阪町にて(H24夏) |
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1−2(司法書士業務)
司法書士業務
司法書士業務 |
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司法書士の業務範囲について大まかに説明すると以下のようになります。 @登記申請代理 A裁判所提出書類の作成 B簡裁訴訟代理(簡易裁判所における請求額140万円以下の事件の訴訟代理) 司法書士の業務範囲については、詳しくは、司法書士法第3条1項において定められています。 また、司法書士法第3条1項に規定されていない司法書士の一般的な業務として成年後見人等もあります。 (→「司法書士業務の範囲」)
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1−2−1(司法書士業務の範囲)
司法書士業務の範囲
司法書士法3条1項(一) |
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司法書士の業務範囲は、司法書士法3条1項により規定されています。 さらに、司法書士法3条1項以外の業務として成年後見人等の業務もあります。
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司法書士法3条1項(二) |
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1 登記申請の代理業務 登記申請代理業務は、司法書士の主な業務です。 主な登記には、不動産登記と商業登記があります。登記申請については、申請書類や添付書類を作成・収集するところから始める必要があります。「所定の用紙があって、それに名前と住所を記載して印鑑を押せば完成」ではありません。 2 供託手続きの代理業務 供託とは、例えば、お金を返そうとしたが相手がそれを受け取らない場合等に法務局にそのお金を預けることです。供託により法務局にそのお金を預けてしまえば相手方に対してお金を返したのと同じことになります。そして、相手方は法務局からお金を受け取ることになります。 3 法務局提出書類の作成業務 登記・供託以外の法務局に提出する書類としては、帰化申請等の国籍関係の業務があります。 4 法務局への審査請求の代理業務 法務局への審査請求は、登記等についての登記官の処分に不当な点がある場合等に行います。 5 裁判所に提出する書類の作成業務 裁判所提出書類作成業務は、司法書士の主な業務です。 主な裁判所提出書類には、本人訴訟の場合の訴状・準備書面等や家事事件、破産、強制執行等についての書類等があります。裁判所における手続は多種多様であり煩雑です。 6 検察庁に提出する書類の作成業務 検察庁に提出する書類の例としては、犯罪についての告訴状や告発状があります。 7 以上の業務についての相談業務 登記申請代理や書類作成についての相談も司法書士の業務に含まれます。 8 簡裁訴訟代理業務 簡裁訴訟代理とは、簡易裁判所における司法書士の訴訟代理です。 本来、訴訟代理権は弁護士の独占業務ですが、法改正により、司法書士も簡易裁判所における民事訴訟法の規定による手続であって訴訟の目的の価額が140万円を超えないものに限り代理することができるようになりました。 9 簡裁訴訟代理業務についての相談業務 司法書士は、簡裁訴訟代理すなわち民事に関する紛争についての相談を受けることができます。 10 筆界特定手続の代理業務 筆界とは、公法上の土地の境であり自分の家と隣の家の土地との境ではありません。後者は当事者間で話し合い等で境を決めることができますが前者は当事者間で勝手に境を決めることはできません。 |
1−2−2(簡裁訴訟代理権と訴額)
簡裁訴訟代理権と訴額
簡裁訴訟代理権と訴額 |
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司法書士の簡裁代理権の範囲は、司法書士法第3条1項六号において「訴訟の目的の価額が裁判所法第23条第1号第1号に定める額を超えないもの」と定められています。そして、裁判所法第23条第1号第1号は簡易裁判所の裁判権の範囲を「訴訟の目的物の価額が140万円を超えない請求」と規定しています。 そのため、司法書士の簡裁訴訟代理権の範囲は、訴額140万円までとなります。 また、訴額が140万円以下の場合には、簡易裁判所が管轄裁判所となり、訴額が140万円を超える場合には、地方裁判所が管轄裁判所になります。さらに、裁判手続を行う際の印紙代(裁判所に収める手数料)は訴額により異なります。 このように、訴額は、司法書士の簡裁訴訟代理権の範囲を決める基準だけでなく、裁判所の管轄を決める基準となり、また、裁判所に納付する印紙代(手数料)の基準になります。 そのため、裁判手続を行うに当たっては、まずは訴額を計算する必要があります。 |
訴額の計算 |
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訴額は「訴えで主張する利益」で算出されます。すなわち、裁判で全面勝訴した際に実現される経済的利益で判断されます。具体的には、金銭を請求する場合には、その請求額、金銭の支払い義務がないことを主張する場合には、その支払いを免れる額が訴額になります。金銭については、「経済的利益」は分かりやすいですが、不動産等になると何が「経済的利益」であるかは、分かりづらくなります。 不動産については、訴額は原則として不動産の評価額で計算されますが、不動産の明け渡し請求の場合には、訴額は評価額の2分の1に修正されます。さらに、不動産が土地の場合には、さらに訴額は2分の1に修正されます。 また、不動産については、不動産の明け渡し請求をする際に、未払いの賃料や損害金等も併せて請求する場合には、賃料請求等は付帯請求なので、その金額は訴額には加えられません。 さらに、、訴額が算定不能の場合や算定が極めて困難な場合もあります。この場合は、訴額は140万円を超えるとみなされます。例えば、不当解雇された場合に解雇の無効を争うような場合は算定が困難な場合に当たります。 |
1−2−3(簡裁訴訟代理権の範囲)
簡裁訴訟代理権の範囲
簡裁訴訟代理権の範囲(一) |
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司法書士の簡裁訴訟代理権の範囲は、司法書士法3条1項6号に定められています。 司法書士が簡易裁判所において行える代理業務は、以下の業務で訴額が140万円以下のものに限られます。
簡裁訴訟代理権の範囲は、訴外の「民事に関する紛争」であり「訴訟手続きの対象になるもの」にも及びます。 司法書士の訴外における簡裁訴訟代理業務等は、司法書士法3条1項7号に定められています。 司法書士の訴外における簡裁訴訟代理業務等は、以下の業務で価額が140万円以下ものに限られます。
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簡裁訴訟代理権の範囲(二) |
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1 訴訟 訴訟とは、裁判所において当事者間の紛争を解決する手続です。裁判所が強制的に紛争を解決する手続のため、話し合いによる解決が望めそうもない場合に行います。 2 訴え提起前の和解 訴え提起前の和解とは、裁判所において和解書を作成するこ手続です。裁判所で作成した和解書は執行力をもつため、当該和解書により強制執行を行うことが可能です。 3 支払い督促 支払督促とは、裁判所を通して督促状を送付することです。例えば、お金を貸したが、「借りてない」と言っているような場合には、訴訟による必要がありますが、単に「お金がなくて返せない」と言っているような場合には支払督促の方が有効です。 4 訴え提起前の前の証拠保全 訴え提起前の証拠保全とは、訴え提起後では証拠調べできなくなる危険がある場合に、訴え提起前に証拠調べをすることです。「証拠隠し」の危険があるような場合に行います。 5 民事保全 民事保全とは、訴訟が終わるのを待ってたのでは、たとえ勝訴したとしても、権利の実現を図ることができない場合に行います。例えば、マンションの明け渡し請求中に、マンションの占有者が入れ替わってしまうと、訴訟の相手方も変更しなければならないため、入れ替わりの危険がある場合には、占有の移転を禁止しておく必要があります。 6 民事調停 民事調停とは、裁判所において当事者間で話し合って紛争を解決する手続です。調停委員が仲介してくれますが、当事者間で話し合う必要がありますので、相手方が裁判所に来そうもない場合には、調停でなく訴訟による必要があります。 7 少額債権執行 強制執行については、簡裁訴訟代理権の範囲に含まれていないため、強制執行を行う場合には、書類作成業務により本人名義で行う必要がありますが、少額訴訟債権執行は簡裁訴訟代理業務の範囲に含まれています。少額訴訟債権執行は、少額訴訟による判決に基づく銀行預金や給料等の金銭債権の差押えに限られます。 8 相談 法律相談も簡裁訴訟代理権の範囲に含まれます。法律相談は本来は弁護士の独占業務のため、法律に規定がなければ行えません。たかが相談くらいと思うかもしれませんが、弁護士以外が法律の規定なく法律相談を業として行うと、非弁行為として処罰されます。 9 仲裁 仲裁とは、当事者の合意により、第三者が当事者間の紛争を解決する手続です。裁判所が判断するのではなく、第三者が判断する点で訴訟とも異なりますし、当事者間の話し合いによる解決でなく、三者の判断に基づく紛争の解決という点で調停とも異なります。 10 訴訟外の和解 訴訟外の和解とは、いわゆる示談です。裁判所は関与したないため「誰でも行えそう」と思われがちですが、あるテレビドラマで行政書士が示談交渉を行ったため、ドラマの中の話ではなく現実にある弁護士会がテレビ局に怒鳴りこんだこともあります。そのため、裁判外の和解も、弁護士以外が法律の規定なく行うと、非弁行為として処罰されます。 |
1−2−4(裁判の証拠と費用)
裁判の証拠と費用
「水掛け論」と「費用倒れ」 |
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具体的な簡裁訴訟代理業務としては、売掛金請求や貸金返還請求、未払い給料(残業代)支払請求、敷金返還請求、アパートの立ち退き請求等々ありますが、いかなる請求をするにしても、裁判において重要なことは「証拠」と「費用」です。 まず、証拠がないのに自分の言い分のみを主張すると単なる「水掛け論」になります。そのため、何とかして証拠を収集する必要があります。しかし、簡裁訴訟代理は簡易裁判所における少額の裁判の訴訟代理を想定しています。そのため、証拠収集のために労力や費用をかけすぎると、いわば「費用倒れ」になりかねません。すると、場合によっては、泣き寝入りせざるを得ない場合もあり得ます。 他方、証拠がしっかりとそろっていれば、簡易な手続きで解決する場合があるため、費用対効果も十分に図ることがてきます。例えば、知り合いにお金を貸したが返してもらえない場合に、しっかりとした契約書があれば、訴訟でなく支払督促(裁判所に督促状を出してもらう手続)による解決も可能な場合もあります。 そのため、日常の生活で何かトラブルになりそうだと思ったら、証拠になりそうなものを残しておくのが重要です。 |
過払い金返還請求 |
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過払い金返還請求は「証拠」と「費用」について心配のいらない簡裁訴訟代理業務です。そのため、簡易裁判所における裁判といえば過払い金返還請求が大半です(少し前は「大半」どころか「ほとんど」でした)。 なお、「過払い金返還請求」とは、貸金業者に法律で定める限度以上の利息を支払いすぎたため、それを貸金業者から返してもらう請求のことです。 理由としては、過払い金返還請求で証拠として使用する「取引履歴」は貸金業者から提供されるため、多少複雑な案件にでなければ証拠を集めるのに苦労することがありません。そして、確実な証拠があり、およそ勝訴する見込みがあるため、費用についても心配せずに済みます(着手金を0円としている司法書士時事務所や弁護士事務所はが多く存在するのはこのためです。もっとも、敗訴してもお金を返さない貸金業者は多数存在します)。そのため、「請求しなければ損」ということで事件件数が驚異的に増えました。 裏を返せば、過払い金返還請求でなく、未払い給料(残業代)支払請求、敷金返還請求等々であっても、確実な証拠を確保しておき、それにより、ある程度勝訴が見込めるのであれば泣き寝入りせずに済むことになります。 |
ページ削減前
家事事件の種類家事事件の種類も多くあります。家事事件を大きく分けると、家事事件には審判手続と調停手続とがありますが、司法書士の裁判所提出書類作成業務になじむのは審判手続です。けだし、審判手続のうちの特別代理人や遺言書検認は司法書士の主な業務である登記業務との親和性が高いためです。さらに、司法書士の家事事件としては成年後見等の財産管理業務もあります。これらは司法書士の比較的新しい業務です。 |
家事事件の種類 |
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任意後見契約任意後見と成年後見との違いの一つとして代理権の範囲があります。成年後見の場合には、後見人は包括的な代理権を有しますが、任意後見の場合には、そもそも任意後見は契約によるため、その代理権の範囲も契約内容として当事者間で自由に決めることになります。そのため、契約内容で後見人の代理権の範囲内と規定されていない事項については、任意後見人はこれを代理して行うことはできません。いろいろと難しいのです。 |
任意後見契約 |
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浜松市西区舞阪町にて(H24夏) |
■ 谷中和志司法書士事務所 ■ 司法書士 谷中和志(やなか かずし) ■ 静岡県浜松市西区舞阪町舞阪141番地 ■ 静岡県司法書士会所属 |
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