ホームページの数が多いのでホームページの整理をする予定です。 数が多くて作りが煩雑だと簡単に更新できず使い勝手が悪すぎるためです。 このホームページも作りが煩雑で2016年からほとんど更新していないので整理の対象です。 |
浜松市舞阪町と相続登記と民事事件と成年後見・他 |
司法書士事務所HP【舞阪版】 |
【静岡県】用HP |
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【不動産登記】 |
舞阪版(ynk05-C1) |
浜松市西区舞阪町にて(H24夏) |
司法書士と不動産登記司法書士の主な業務は不動産登記です。そこで、少々、不動産登記についての原稿を書いてみました。意外とすらすらと書けるものです。もっとも、内容的には基本的なことが書いてあるだけです。それほど難しいことが書いてあるわけではありません。最低限度の知識です。しかし、自分で不動産登記を行おうと思ったらこれくらいのことは当然知っている必要があります。不動産登記は「定型の書類に住所と名前を書いて印鑑を押して提出してお終い」ではありません。そもそも、不動産登記には定型の書類がありません。さらに、附属書類も必要になります。いろいろと難しいのです。 |
不動産登記とは、「不動産に関する権利関係等を登記簿に記載することにより、だれもがその登記簿を閲覧して不動産についての権利関係等を知ることができるようにし、もって、不動産についての取引の安全を図るための制度」です。不動産は特に大事な財産であるため登記制度がとられています(「登記簿」と言っていますが、現在、登記情報はデータ化されているため、登記簿とはバインダー式の登記簿のことではなく、法務局における登記情報についてのデーターのことです)。 不動産登記には、表示の登記と権利の権登記とがあります。表示の登記とは、不動産の物理的・外形的な状況についての記録です。具体的には、土地であれば、所在・地番・地目・地積等、建物であれば、所在・家屋番号・種類・構造・床面積等についての記録です。他方、権利の登記とは、さらに、甲区・乙区とがあり、甲区とは所有権に関する記録です。他方、乙区とは所有権以外の抵当権等に関する記録です。そして、表示の登記の申請代理を業務として行えるのが土地家屋調査士、権利の登記の申請代理を業務として行えるのが司法書士です(本職は司法書士のため当サイトにおける「不動産登記」とはほとんどの場合、権利の登記のことを言っています)。さらに、表示の登記と権利の登記との違いとしては、登記義務の有無があります。表示の登記には表題登記をする義務があり、さらに、それを怠った場合には過料等の制裁もありますが、権利の登記には登記義務はありません。だからといって、登記しないでよいわけではなく、何かあった場合には全て自己責任という意味です。 不動産登記について説明すると、まず、不動産登記の対象の主なものは不動産です(他には船舶等があります。船舶の価格は不動産並みのため、その扱いは不動産と同様です)。主な不動産は土地と建物です。ここまでは誰でも分かります。しかし、建物については、さらに枝別れし、一般建物と区分建物、主な建物と付属建物に分かれます。区分建物とは、一棟の建物だが構造上区分されており、それぞれ独立して使用される建物です。例えば分譲マンション等がこれに当たります。他方、付属建物とは、実体上は主な建物と主物・従物との関係に立つため、登記上は主な建物とまとめて扱われる建物です。例えば、物置等がこれに当たります。ついで、登記できる主な権利は、所有権・用益権・担保権(留置権は除く)です。そして、その中で、さらに主なものは、所有権と担保権のうちの抵当権です。そして、登記する必要がある場合は、権利関係に変動等があった場合、すなわち、移転・保存・設定・変更・抹消等の場合です。なお、分かりづらいのは保存と設定の区別ですが、簡単に言うと所有権の場合は保存、抵当権の場合は設定です。難しくいうと、すでに生じている権利を登記する場合が保存、そうでない場合が設定です。 不動産登記を行う場合には、不動産を売買した場合や、不動産の所有者が亡くなって相続財産として不動産を相続した場合、不動産を担保に金融機関から融資を受ける場合等です。このような場合には、所有権移転の登記(売買・相続)や抵当権設定の登記が必要になります。 そして、不動産登記を行う際には、法務局に対して登記の申請を行う必要があります。まず、不動産登記とは、不動産に関する権利関係等についての記録です。その記録は法務局にあります。そのため、登記の申請とは、簡単に言えば、所有者や抵当権についての記録を書き換えることです。そして、不動産登記により、不動産に関する権利の存在が明確となり、もって、取引の安全が図られます。この取引の安全が図られるとは、「物権変動における公示の原則」のことです。すなわち、不動産が二重に譲渡された際に、先に登記を備えた方が他の譲受人に対して自己が優先することを主張できる原則です。いわゆる「早い者勝ち」です。そして、優先するための要件が不動産登記です。これを登記の対抗力と言います。そのため、不動産登記は一刻も早く行う必要があるのですが、登記の有効要件を満たさないために登記できない場合もあります。この場合には仮登記が有効です。仮登記とは、本登記の有効要件を欠く際に、順位を保全しておくために行う登記です。なお、登記の優先順位は登記の順序により決せられます。例えば、不動産を購入する契約を結んだが、まだその代金を支払っていない場合には、登記を行うことは困難です(一般的に所有権の移転は代金の支払いがその条件として特約に入ります)。そこで、このような場合には、売買の予約をして所有権移転の仮登記をする方法があります。そして、仮登記が本登記になると仮登記には順位保全効があるため、本登記は仮登記と同じ順位となります。すると、たとえ他の譲受人が先に登記を備えていたとしても、仮登記がその登記よりも先の順位の場合には、自己が優先することを主張できます。なお、本登記をせずに仮登記ままだと、自己が優先することを主張できません。けだし、仮登記には順位保全効はあっても対抗力はないからです。 そこで、仮登記を本登記にする必要があるのですが、そのためには、改めて登記を申請する必要がありますが、その際には、不利益を受ける人から承諾(承諾書)を得る必要があります。それが登記の際の添付書類となります。 なお、登記の効力には、この他に2つあり、権利推定力と形式的確定力とがあります。ちなみに、権利推定力とは、登記上の権利があると推定される効力です。他方、形式的確定力とは、たとえ登記が無効であっても、登記手続上はそれを無視できない効力です。 不動産登記を行うに当たっては、登記の原則を理解しておく必要があります。 登記の原則としては、申請主義・共同申請主義・書面主義等があります。まず、申請主義により、登記は官庁が嘱託する場合を除いては当事からの申請がなければ行うことができません。すなわち、法務局が勝手に名義を変更してくれるということはあり得ません。そのため、自分で登記を申請する必要がありますが、代理人申請も認められており、その代理人になるためには司法書士の資格が必要となります。そして、登記申請を行う際には当事者が共同で申請する必要があります。例えば、不動産の売買の場合において、買主のみが単独で登記を行うことはできません。必ず売主とともに登記を行う必要があります。しかし、必ずしも売主と買主とが協力して登記を申請しなければならないとすると不都合も生じます。例えば、売主と買主との間に面識が全くないような場合には手続が煩雑になりかねません。そこで、そのような場合には司法書士を代理人として登記を行うことになります。けだし、原則として双方代理は禁止されていますが(無権代理となります)、登記申請については双方代理が認められているため、司法書士が売主と買主の両当事者の代理人として登記を申請することになります。すると、結果としては、当事者が共同で登記を申請したことになります。なお、共同申請主義については例外があります。すなわち、本来的に共同申請でない単独申請の登記があります。よくある単独申請の登記としては、相続登記があります。他には、所有権保存の登記もよくある単独申請の登記です。建物を新築した際には、まずは、表題登記を行い、次いで、所有権保存の登記を行う必要があります。表題登記は土地家屋調査士の仕事ですが、所有権保存の登記は司法書士の仕事になります。所有権保存の登記を行わなければ、その建物に抵当権等を設定することはできません。すると、住宅ローンを組むこともできなくなるため、住宅ローンを組んで建物を新築するような場合には、所有権保存の登記は必須となります。そのため、所有権保存の登記はよくある単独申請の登記です。最後に、インターネットを利用したオンライン申請の場合を除いて、登記は書面で申請しなければなりませんが、登記の申請書は白紙から自分で作る必要があるため、その作成は煩雑です(所定の用紙に名前と住所を書いて印鑑を押してでき上がりというわけにはいきません)。そのため、登記申請書の作成も司法書士の業務となります(通常は登記申請書の作成業務は登記申請代理業務に含まれます)。ちなみに、オンライン申請と言っても、現在の主流はインターネットを利用した書類の提出と直接や郵送を利用した書類の提出の入り混じった、いわゆる「半ライン」です。全ての書類を電子情報とすることは極めて困難のため、完全オンライン申請を行うことは至難の業です。しかし、そこまでの苦労をして完全オンライン申請を行うメリットは何もありません。 不動産登記の登記申請をして登記がなされたとしても、登記には有効要件があります。そのため、登記の手続において有効要件を欠けば登記は無効になります。もっとも、有効要件と言っても当たり前のようなことです。まず、不動産登記の有効要件としては、まずは、実体的要件があります。具体的には、不動産の実在・登記名義人の実在・法律関係の実在です。この「登記名義人の実在」が意外と曲者です。例えば、相続登記の場合で、祖父が亡くなった際に不動産について相続の登記をするの怠り、さらにその後、祖父の相続人である父が亡くなり再度相続が発生したような場合は、原則としては、まずは、不動産の所有者を父名義に変更する相続の登記を行い、その後、不動産の所有者を父名義から孫名義に変更する相続の登記を行う必要があります。この場合に、不動産の所有者を祖父名義から直接孫名義に変更することはできません(なお、数次相続の例外に当たる場合には可能です)。この理由としては、父はすでに死亡しており存在していませんが、祖父が死亡したときには存在しており、相続には遡及効があるため、不動産の所有者を父名義に変更する相続の登記を行うことは、登記名義人の実在を欠く登記にはならないからです。 さらに、不動産登記の有効要件としては、手続的要件もあります。すなわち、登記に必要な手続を経ている必要があるということです。具体的には、管轄や登記事由等が問題になりますが、登記に必要な手続を経ているかについては不動産登記法、不動産登記令、不動産登記規則等を十分に理解しておく必要があります。 なお、不動産登記は誰でも行えるわけではありません。すなわち、登記申請人になれるのは登記権利者と登記義務者です。この「登記権利者」とは、登記によって直接に利益を受ける者を言い、「登記義務者」とは、登記によって直接に不利益を受ける者であり、原則として、現在登記の名義人として登記されている者を言います。具体的には、売買を原因とする所有権移転登記の場合には買主が登記権利者、売主が登記義務者、贈与を原因とする所有権移転登記の場合には受贈者が登記権利者、贈与者が登記義務者となります。当たり前のことです。しかし、重要なことは、例え家族であっても、登記権利者や登記義務者でなければ登記申請人にはなれないということです。すなわち、「父から不動産をもらったので自分の名義に変更したい」と息子が登記の申請をしようとしても、その息子は登記権利者ではありますが、登記権利者ではありません。、そして、不動産登記には共同申請の原則があるため、その息子は単独では登記申請人にはなれず、登記の申請を行うことはできません。なお、以上は共同申請の場合です。不動産登記には単独申請の場合もありますが、その場合も、例え家族であっても、登記権利者でなければ登記申請人にはなれません。なお、登記申請は、登記申請人が直接行わなくても代理人が行うことも可能です。そして、登記申請の代理人なれるのが司法書士です。そのため、司法書士の主な業務は登記申請代理業務です。ひと昔前なら、債務整理(過払い金返還請求)専門の司法書士も多くいましたが、法律改正により、すでに過払い金は発生しなくなっているため、過払い金返還請求はいずれはなくなる業務です。すると、元に戻って、司法書士の主な業務は登記申請代理業務になります。 登記申請には、嘱託による登記や職権による登記もあります。この場合には、登記申請人には財務省等の官公署や静岡県・浜松市といった地方自治体、法務局等がなります。 不動産登記手続の流れとしては、簡単に言うと、「登記申請のために必要な書類を作成等して、法務局に登記を申請し、その後、登記官の審査が行われ、問題がなれば登記が完了する」です。言うのは簡単ですが、実際にやってみると、いろいろと迷うことがでてきます。例えば、「書類を作成するための用紙は何を使えばよいのか?」や「書類の綴り方の順番はどうするのか?そもそも順番が決まっているのか?」等です。さら最近では書面申請だけでなく電子申請の方法もあるため手続は意外と難しいものです。いまだにフロッピーディスクでも登記申請できるようですが、最近ではそもそもフロッピーディスクを見たことがありません。また、よほど古いパソコンでなければ使用することもできません。 登記の申請のためにはまずは申請書を作成する必要があります。登記申請書の記載内容については不動産登記法等の法律により規定されています。一般的な記載事項としては、登記の目的・登記の原因・申請人・添付書類・申請日・申請先の法務局・課税価格・登録免許税・不動産の表示等です。 次いで、登記申請の際には、申請人は申請書に記名押印する必要がありますが、多くの場合は司法書士が申請書を作成するので申請人は司法書士に対する委任状に記名押印する必要があります。このことは法務省令で規定されており、すなわち、委任による代理人が申請書に署名した場合には申請人は申請書には記名押印が不要と規定されています。なお、法務省令により記名と押印が不要な場合が規定されていますが、登記の際にはほとんどの場合において署名と押印をしてもらうのが実情です。そして、申請書に申請人が記名押印した場合には、申請書には申請人の印鑑証明書を添付する必要があります。他方、申請人が司法書士に対する委任状に記名押印した場合には委任状に印鑑証明書を添付する必要があります。そして、添付する印鑑証明書については作成後3ヶ月以内のものと規定されています。 さらに、不動産登記手続においては、申請書の作成だけでなく、添付書類の作成も重要かつ不可欠です。不動産登記申請の際の添付書類については、平成16年改正(施行は平成17年)の不動産登記法の改正を理解しておく必要があります。改正前と改正後とではだいぶ違います。まず、オンライン申請の導入に伴い出頭主義が廃止されました。次いで、「証書」に代わって、登記原因証明「情報」と変更されました。さらに、例外規定の申請書副本は廃止され、登記原因証明情報に統一されました。また、登記済書制度も廃止され、登記識別情報制度に変更されました。その他の変更点としては、保証書から事前通知・本人確認情報への変更や、住民票コードの記載による住所証明情報の省略や不動産番号の記載による不動産表示事項の省略等です。 以上を踏まえたうえで、不動産登記の際に必要な主な添付書類としては、登記識別情報・登記済証・登記原因証明情報・印鑑証明書・住所証明書等です。なお、オンライン申請の際には、住所証明「書」を住所証明「情報」と言ったりもします。印鑑証明書はや住所証明書(住民票の写し)等は分かりやすのですが、分かりづらいのは、登記識別情報・登記済証と登記原因証明情報です。まず、登記識別情報・登記済証とは、いわゆる「権利書」です。登記識別情報や登記済証は権利書の正式名称です。現在、登記を申請した際に法務局から交付される権利書は全て登記識別情報です。登記済証が交付されることはありません。しかし、登記済証も現存するものは全て有効です。すなわち、登記を申請する際には登記済証を添付して登記を申請する必要があります。そして、登記が完了すると交付される権利書は登記識別情報です。なお、登記識別情報は英数字の組み合わせであるため(紙のいわゆる「権利書」自体が登記識別情報ではありません)、登記を申請する際には特別な方法があります。また、登記識別情報や登記済証を提供できない場合には事前通知の手続を行う必要がありますが、その手続は煩雑です。、しかし、司法書士が代理人の場合には、司法書士は本人確認情報を作成できるので、その本人確認情報を添付書類とすれば、登記識別情報や登記済証を提供できない場合であっても、事前通知の手続を行わずに登記を申請することができます。次いで、登記原因証明情報とは、登記原因を証明できる書類です。そして、登記原因とは登記の原因となった法律行為や事実行為のことを言います。売買や贈与時効取得等がこの法律行為や事実行為に当たります。そのため、登記原因証明情報とは、売買契約書等のことを言います。もっとも、売買契約書をそのまま登記原因証明情報とすることは少なく、通常は差しいれ式の登記原因証明情報を新たに作成して、これを添付書類とします。なお、添付書類は登記申請後に原本を還付してもらうこともできますが、できる書類とできない書類とがあるためその区別が重要です。 さらに、不動産登記を行う際には、登記情報の確認も重要です。現在は登記情報はデーター化されているため、登記情報を直接見ることはできません。すなわち、バインダー式の登記簿であればそれを開いて直接見ることができるのですが、データー化されている場合にはパソコン等を使用してダウンロード等する必要があります。そのため、登記簿閲覧とは、「閲覧」とは言いながら、実際にはパソコ等を使用してダウンロード等することを言います。別の呼び方もあるようです。「インターネット登記情報提供サービスの利用」と言ったりするのかもしれません。なお、登記事項を調べる方法は登記簿閲覧だけでなく、登記事項証明書を取得する方法もあります。もっとも、後者の方が若干費用が割高です。 そして、不動産登記を申請するためには費用がかかります。ただではありません。登記を申請する際に登録免許税を法務局に納める必要があります。登録免許税については、所有権移転の場合で税率は評価額の1000分の20です。例えば、1千万円の不動産であれば20万円、5000万円の不動産であれば100万円です。安い金額ではありません。なお、登録免許税については軽減措置もあります。所有権の移転であれば1000分の3まで下がることもあります。 登記を申請して不備があった場合において、補正ですめばよいのですが、取下げになった場合で登録免許税を再使用する場合には使用期間があるので注意が必要です。また、登録免許税を納めずに登記を申請した場合には却下事由となります。 実際に登記を申請するに当たっては、登記申請においては登記の申請件数によって司法書士の報酬額が増減するため、最低限の登記件数で登記を行う必要があります。間違っても水増しして登記申請を行うことは許されません。不動産登記においては、1つの不動産につき1つの申請書が原則ですが、一定の要件を満たせば数個の不動産を1つの申請書で登記することも可能です。数個の不動産を1つの申請書で登記することは普段当たり前に行われていますが実は例外的な登記の申請の方法です。この他にも本来ならば申請書が複数になる登記を1つの申請書で行う例外的な登記の申請方法があります。 最後に、登記が完了すると登記識別情報と登記完了証が交付され、さらに、必要により登記事項証明書を取得するため、その3つの書類の区別と使用方法の理解が必要です。 ここまで不動産登記の手続を理解しても、不動産登記はなかなか難しいものです。不動産は一般的に高価なものです。そのため、不動産を購入する際においては、不動産の代金の支払いと不動産の名義の変更とは同時に行う必要があります。けだし、不動産の代金は支払ったが不動産の名義の変更が行われないといった事態や不動産の名義の変更を変更したのに不動産の代金支払われないといった事態を避ける必要があるためです。さらに、住宅ローンが絡むと事体はさらに複雑になります。けだし、お金を貸す金融機関としては、不動産に抵当権を設定した上で貸付金を渡したい(振り込みたい)が、そのためには、不動産の名義が買主に替わっている必要があります。しかし、不動産の名義を変更するためには不動産の代金を支払う必要があります。さらに、しかし、不動産の代金を支払うためは不動産に抵当権を設定す必要があります。そして、抵当権を設定するためには…と堂々巡りするからです。そこで、これを解決するために、不動産の名義の変更と融資と抵当権の設定とを同時に行います(実際には、登記自体を同時に行うのではなく、登記に必要な書類等の受け取りや書類の記名押印等を同時に行います)。これが売買の際の所有権移転登記の手続です。 (判決による登記) 判決による登記とは、登記手続きを命じる判決を得たうえで登記を行う手続きです。本来、登記手続きは登記権利者と登記義務者による共同申請が原則のため、登記義務者が登記手続きに協力しない場合には登記手続きが行えません。このような場合にも、登記権利者が登記手続きを命じる判決を得れば、登記権利者は単独で登記手続きを行うことが可能となります。それが判決による登記です。 なお、判決による登記を定めた規定である不動産登記法63条1項における「判決」とは判決に限らず確定判決同一の効力を有するものであればよいため、「判決」に限らず「調停調書」や「裁判所作成の和解調書」も不動産登記法63条1項における「判決」に含まれます。さらに、「判決」には場合によっては執行文の付与が必要になる場合もありますので注意が必要です。具体的には債務者の意思表示が条件付の場合や当事者に承継が生じたような場合です。 もっとも、当然のことながら、判決による登記を行うためには事前に裁判等を起こして判決等を得る必要があるため、通常の登記手続きと比べて手続は煩雑です。そのため、まずは登記義務者に対して登記手続きに協力するようにとの説得が不可欠です。 (代位登記) 代位登記とは、民法423条に基づき債権者が債務者に代わって登記を申請する登記です。あくまでも債権者が債務者に代わって登記を申請する制度のため、登記の名義人は債務者であり、債権者は直接登記の名義人になることはできません。債権者が登記名義人になるためにはさらに債務者を登記義務者、債権者を登記権利者とする登記を申請する必要があります。さらに、登記には共同申請の原則があるため、債権者(登記権利者)が債務者(登記義務者)に代位して単独で登記を申請することはできません。代位登記の例としては、債務者が購入した不動産の名義がまだ債務者名義に変更されていないにもかかわらず債権者がさらに債務者から不動産を購入した際に債務者が不動産の名義を自分の名義にしない場合には、不動産登記においては中間省略登記が禁止されているため代位登記の実益があります。 (仮登記) 仮登記とは、本登記の順位を保全するためにする登記です。すなわち、登記の優先順位は登記がなされた順序によります。そのため、登記の要件を具備しない場合であっても他者よりも早く登記を申請する実益があります。 仮登記には二種類あり、一つは、登記の対象となる物権変動はすでに生じているが登記申請に必要な添付書類を提供できない場合に行う「1号仮登記」と、もう一つは、登記の対象となる物権変動がまだ生じてはいないが、物権変動を生じさせる請求権が生じていたり、物権変動が始期付きや停止条件付の場合に行う「2号仮登記」です。なお、この「1号」や「2号」は不動産登記法105条の「1号」「2号」です。「1号仮登記」の例が許可書や同意書、承諾書を提供できないような場合であり、「2号仮登記」の例が不動産の売買の予約が成立して所有権移転請求権が発生したような場合や、死亡という始期がついた死因贈与の場合や条件付の売買契約が成立したような場合等です。 なお、仮登記の際に必要な書類としては、登記原因証明情報と印鑑証明書くらいです。権利書、住民票は本登記の際に必要となります。 そして、仮登記は本登記をすると対抗力を有する登記となり、その順位(優先順位)は仮登記の順位によります。 (処分制限の登記) 処分制限の登記とは、差押さえの登記や処分禁止の仮処分の登記のことを言います。 まず、差押えの登記とは、競売の前になされる登記です。まず、競売がなされる方法には二つあり、一つは、強制執行、すなわち、担保権を有していない一般債権者の申し立てによってなされる競売です。もう一つは、担保権の実行、すなわち、抵当権者の申し立てによってなされる競売です。そして、差押えがなされると、競売手続が行われて不動産の売却が行われ、買主の売却代金を納付により買主は不動産を取得します。差押えがなされることにより、債務者の第三者への差押え不動産の処分は買主へは対抗できないため(処分自体は可能ですが買主に劣後します)、もって、買主の取引の安全が図られ、競売手続に対する信頼も図られます。 処分禁止の仮処分の登記とは、不動産を購入したが売主が名義の変更(登記)に協力しない際に、所有権移転の登記を求める裁判を起こしても、判決が出るまでには数ヶ月や数年かかることもあり、その間に売主にさらに第三者に不動産を処分される恐れがあることから、その処分を禁止する登記が処分禁止の仮処分の登記です。なお、所有権以外の抵当権等の設定、変更の登記の際には、処分禁止の仮処分の登記とともに、仮処分による仮登記もなされます。けだし、抵当権等は順位が重要のため請求権も保全する必要があるためです。そして、保全された請求権を実現するためには仮登記に基づく本登記がなされます。 なお、処分制限の登記は、当事者でなく裁判所書記官の嘱託によりなされるため、自分で登記を申請する必要はありません。嘱託の登記にはいろいろあり、差押えの登記や処分禁止の仮処分の登記のみならず、買主が不動産を取得した際の所有権の移転の登記、さらに、担保権の実行の場合には、買主の代金納付等により消滅した抵当権の抹消登記等があります。しかし、仮処分の登記に劣後する登記の抹消登記は嘱託ではなされないため登記の申請をする必要があります。なお、単独申請が可能な場合もあります。 (区分建物) 区分建物とは、よくある例としては、分譲マンションです。すなわち、一つの建物の中の各部分が分かれている場合に、その各部分がそれぞれ所有権の対象となるものです。そのため、登記記上においても、各区分建物ごとに登記がなされます。 区分建物において重要なのが、敷地利用権・敷地権です。まず、敷地利用権とは、区分建物の専有部分(マンションの各部屋)を所有するための土地の所有権や地上権等の敷地に関する権利です。そして、敷地利用権が登記されて、かつ、分離処分が禁止されて専有部分と分離して処分ができなくなると敷地権となります。敷地権となると建物と土地の利用権とがいわば一体化されるため、敷地権は区分建物の登記簿にも記載されることになります。さらに、敷地権の登記の他に、土地の方の登記簿には敷地権たる旨の登記がなされます。 敷地権の登記がなされている場合には、登記上も専有部分と敷地権とは一体として扱われます。すなわち、区分建物について所有権移転や抵当権設定の登記がなされると、原則として、土地についても同様の登記がなされた旨の効力が生じます。なお、原則があれば例外もありますが、煩雑のため割愛です。 (名義変更登記) 名義変更登記とは、登記名義人の氏名・住所に変更があった際に行う登記です。なお、不動産の所有者が替わった際の「名義の変更」は名義変更登記ではありません。不動産の所有者が替わった際の「名義の変更」はは所有移転の登記であり、名義変更登記とは異なりますが、便宜上、「名義の変更」と言ったりするにすぎません。名義の変更登記は結婚・離婚等により氏名が変わった場合や引越し等により住所が変わった場合に行う登記であり、所有権移転の登記とは異なり権利主体に変更が生じません。これが名義変更登記と「名義の変更」との違いです。 登記を申請する際に、登記義務者の氏名や住所が登記簿上の氏名や住所と異なっている場合に名義変更登記を行わずに所有権移転登記や抵当権移転登記を行うと登記申請が却下されるので注意が必要です。補正ではすみません。そのため、司法書士が業務で登記申請をする際に名義変更登記を見落とすと所有権移転登記や抵当権移転登記が却下となり、損害賠償の問題となりかねないため注意が必要です。そのため、名義変更登記は単なる氏名・住所の変更にとどまらない重要な登記です。 なお、名義変更登記の例外として、名義変更登記を省略して変更証明情報を添付すれば足りる場合もあります。 とりあえずここまで |
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■ 谷中和志司法書士事務所 ■ 司法書士 谷中和志(やなか かずし) ■ 静岡県浜松市西区舞阪町舞阪141番地 ■ 静岡県司法書士会所属 |
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