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平成21年8月25日 小林正明 考え

多重債務者がいない社会を

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議会報告 12月議会一般質問


多重債務者がいない社会を


相模原市議会議員 小 林 正 明


はじめに

 多重債務問題解決には、一番市民に身近な行政(市役所)が果たす役割が最も重要であり、多重債務者掘り起こしの為に、行政内部の関係部署間の連携の強化などが課題です。

 小林市議は、貧困大国日本の現状や多重債務者の現状を踏まえ、加山市長に対し、12月議会で一般質問をしました。

 加山市長は、「今後、収納部門の相談窓口等を中心に、早期発見ネットワークの庁内会議を設置し、早期発見・債務整理の促進支援をする」と答弁しました。

 以下、小林市議の主張の要旨です。


 貧困大国・日本

 1億総中流の高度成長時代は、遥か彼方の空遠くなりにけり・・・・。

 バブル崩壊から20年後の今は、ワーキングプア「働けど貧困」層が400万世帯、非正規社員が1600万人、生活保護利用者が150万人、潜在的生活保護対象者は600万人、貯蓄0世帯は平成元年が3.3%、なんと平成18年は22.9%という有様です。

 更に、ジニ係数(経済格差指標)は、0.314、貧困率は15.3%であり、日本の人口(1億2700万人)から、約2000万人が貧困層という現実です。

 日本は、いまや先進国の中では、アメリカにつぐ貧困大国、最早日本は、経済大国ではありません。

 平成17年の自己破産者は18万人、平成16年度の自殺者3.2万人中経済苦・生活苦の自殺者は、8000人ともいわれています。

 富士山麓の青木ヶ原樹海には、「借金苦による自殺防止」の看板が設置されているほど多重債務問題は、「命」の問題であり深刻化しています。


 利用者の3割は、過払=返済不要

 以外と思われるかも知れませんが、サラ金からの借金の原因は、ギャンブルは1割位で、生活費補てんが5割以上を占め、貧困の反映です。

 本来、国や自治体が福祉政策として提供すべき、社会保障や公的融資制度の不備に、サラ金がつけ入った結果ともいえます。

 現在、サラ金利用者は約1400万人、貸付残高は14.2兆円、多重債務者といわれる5件以上の利用者は約230万人、平均借入額は230万円です。。

 平均利用期間は6.2年、10年以上利用者は28%ですから、法定金利(15%から20%)で計算をすれば、利用者の35%(約500万人)は、返しすぎの過払者で、債務整理をすれば返済不要で、逆に過払金を返して貰えることになります。

 一般的には、サラ金利用期間が5年から7年で残高0円、10年以上なら過払の可能性があります。


市内過払い者≒3万人

市内の返済不要額≒年77億円


 多重債務問題に対して、「借金問題であり個人的問題で、しかも多重債務者は安易に借入を重ねた人で、計画性のないだらしない人」という、私達にありがちな根強い固定観念(負のイメージ)からの脱却が必要です。

 多重債務者は、サラ金三悪「高金利・過剰融資・過酷な取立」の被害者であり、過酷な取立に怯えサラ金の返済を優先し、税金等は払いたくても払えない状況です。

 230万人いる多重債務者中1割から2割(約30万人)しか法律家に相談せず、残りの200万人は誰にも相談できずに、精神的に追い詰められ一人で悩んでいます。

 サラ金の残高などを、人口で換算すれば、相模原市内で約3万人が年間77億円もの金利を、過払いと知らずに返済し続けています。


 債務整理で生活再建を

 この支払不要金利(年額77億円)を、サラ金の利益に貢献させるのか、本人(3万人)の生活再建に役立てるのかが問われています。

 サラ金被害の解消は、自殺防止・家庭崩壊防止の点でも効果があり、地域の消費拡大など安心安全の町づくりにも副次的効果があります。

 今後、収納部門(税金・国保・給食・住宅など)の相談窓口等で関係部署の連携により、返還された過払金を滞納した税金等に充てることが可能です。

 秋田県の県営住宅では、担当者の親身の取り組みで、収納率が87%から99%へ向上したそうです。

 地方自治の役割は、福祉の増進が基本ですから、深刻な被害状況にある多重債務者を積極的に掘り起こし、解決の為の援助が求められています。

 多重債務問題の取組により、市役所が本当に「市民に役に立つ所」と認識され、市役所への信頼性が向上し、担当者は市民から感謝され、更に仕事の意欲が出ることは間違いありません。


 債務整理の豆知識

 専門家(弁護士・司法書士)からの受任通知で、取り立ては嘘のように止まり、過酷な取立てからやっと解放されます。

 1ヶ月から2ヶ月ぐらいで取引履歴が開示され、それまでの約定金利(高金利)から法定金利(15%、18%、20%)に引き直し計算で、「残高・過払額」が判明します。

 現在の借入だけでなく、過去10年前までの完済分も債務整理の対象になります。

 経験上、返済期間(利用期間)が、5年から7年あれば残高が0、7年以上であれば過払になる可能性が有ります。

 @残額があれば、今後はその残額のみ(利息なし)を、3年から5年の分割などで返済し、分割返済が不可能であれば、民事再生・破産を検討します。

 破産は、ギャンブルなどがあっても裁量免責の余地もあり、多く(95%)が免責になり、生活保護者なら金額が少なくても免責になります。

 A過払いなら、返還の請求をしますが、過払金(元金)の8割から9割なら任意の和解が可能です。

 返還されたお金を、健康保険税・税金に充てれば、滞納者が納税者に変身できます。

相模原市議会議員 小林正明 Mail:masaaki@kuh.biglobe.ne.jp 相模原市緑区町屋4-16-9 TEL:042-782-5969 携帯:090-4520-5447