政令市移行期日を平成22年4月1日とする意見書が、多くの課題を残したまま、可決されました。
時期・財政論などを巡り、暁の可決に至る午前3時19分まで、13時間の激論は、本市の政令市移行の前途を予兆するかのようでした。
また、意見書を提案した議員の説明・答弁が、従来の市長見解の引用や市の説明を鵜呑みにした見解の表明には、議長の制止にも拘らず、傍聴席の失笑が漏れ続けるのが印象的でした。
百聞は一見に如かず、政令市を目指す議会・議員の質と量を、是非、市議会ホームページの「議会中継(録画)」でご覧ください。
「君、若し疑わば、汝の目をもって視よ」です。
急ぐ必要なし
意見書には、政令市移行日として「平成22年4月1日」が記載されています。
しかし、総務省は、相模原市同様に政令市を目指す熊本市に対し、「平成22年4月1日までに、合併していればよい。」と説明しています。
すでに相模原市は、平成22年4月1日までに政令市にならなくても、それ以降でも十分に政令市になれる条件を満たしているのです。
ですから、議会までが市長と同じ期限に拘る必要はありません。
全国初! 「38vs13」
議会の意見書決議は、自治法上、政令市移行の法的要件ではありません。
しかし、総務省は今まで、政令市移行に対する、市民の意向を把握する為に、市議会の決議を求めていました。
事実、先行政令市である新潟市・堺市・浜松市でも議会の決議がなされていますが、殆どは、満場一致可決に近く、今回のように議会議員の25%もの反対は、全国的にも極めて異例です。
全国初! 「38vs13」
市長は、12月8日(月)午後6時に記者会見し、議会に説明抜きで「線引を延期し、政令市移行日から1年以内に実施する」と発表しました。
市長説明によれば、政令市移行日が平成22年4月1日、線引実施日が平成23年3月までの日となります。
しかし、これでは、政令市移行後、線引実施まで連日、都市計画法第7条違反(未線引)状態となることが明白です。
更に、地方公共団体(自治体)は、法令違反の事務が禁止され、その事務は無効になり(地方自治法第2条第16号)、職員も法令順守義務があります(地方自治法第32条)。
しかも、市長記者発表後に「平成22年4月1日」と移行時期を明記した意見書ですから、議会自身が「市長の違法状態作出」に加担したことになります。
議会は、違法状態を招来する事態が予想される時、放置することなく、「違法状態の解消=線引問題解決まで、政令市移行延期に努める」ことが、政令市を目指す議会のあるべき姿、行政の監視機能ではなかったでしょうか。
都市計画法第7条抜粋
「大都市に係る都市計画区域として政令で定めるもの(政令市)は、区域区分(線引)を定めるものとする。」
基金取崩=地方財政法違反の疑義
市の基金は、地方自治法上、特定の目的に応じて積み立てられ、特定の目的の為にのみしか処分できず、地方財政法上からも、基金は5項目の場合に限り使用可能で、それ以外は使用不可能です。
意見書提案議員は、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。」に該当するから、市の基金取崩は問題が無いと答弁しました。
市は、圏央道の建設費の一時的に増大する経費に充てるために、基金の取崩をすると説明しています。
しかし、圏央道の建設費の負担は、政令市移行に伴うものであり、予定済みの建設工事ですから、緊急性もありません。
更に、政令市移行は、市の義務ではなく任意的判断ですから、必要やむを得ない経費にはなり得ないのは明らかです。
(積立金の処分)地方財政法第4条の4
積立金は、次の各号の1に掲げる場合に限り、これを処分することができる。
1 経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき。
2 災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収を埋めための財源に充てるとき。
3 緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
4 長期にわたる財源の育成にためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
5 償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てるとき。