平成19年12月22日 小林正明 考え
政令指定都市推進に反対 〜検証抜き、市民不在の拙速行政
市民不在の拙速行政
政令指定都市推進に反対
〜検証抜き、市民不在の拙速行政
相模原市議会議員 小 林 正 明
地方自治体の仕組み
地方自治体は、広域自治体として都道府県、基礎自治体として市町村の二層構造になっています。
更に、市レベルでは、普通市以外に特例市・中核市・指定都市(政令市)の三種類の大都市制度があり、県事務の一部が代行されることになり、政令市に一番多くの事務が移譲されます。
事務の拡大を、権限の拡大と錯覚!?
政令市になれば、今まで県が行っていた事務を、市が担当することになりますが、事務の内容(サービスなど)が変わるものではなく、結局、県と市の分業のあり方にすぎないのです。
現在、県に代わって市では保健行政を行っていますが、合併前の津久井郡4町では、県の保健所があり、県で保健行政を担当していましたが、格別不便はありませんでした。
どうやら、権力志向の発想から、「事務」の拡大を「権限」の拡大と錯覚しているようです。
豊かな財政の保証なく、厳しい財政を予測
政令市になれば、財政が豊かになるわけではありません。
確かに、交付税補正・宝くじ発売・県並みの地方道路譲与税等の財政上の特例があり、一見有利、豊な財源の保証ありと思えそうです。
しかし、平成14年現在の政令市の半数(12中6)が、旧城山町より財政力指数が低かった現実から、政令市になれば財政が好転することはないのです。
寧ろ、国道・都道府県道の管理・河川管理の負担、しかも過去の関連債務まで県から引き受け、大変な財政負担となります。
ドイツ連邦憲法には、「事務移譲=財源移譲」「仕事(事務)と財源の対応関係」を求める考え方(連結性の原理)が、確立していますが、残念なことに日本では未確立です。
事務の増加により、増加する財源では賄えず、「持ち出し」が常態化し深刻な財源不足に陥る恐れが強いのです。
不利な条件、拒否不可能?
早々と政令市の「財政分析・市民的議論」抜きで、県・国に態度表明後は、如何に不利な条件でも呑まざるを得ないのが、現在の市の立場です。
今回の合併は、旧相模原市にとっては、政令市行きの「特急券」獲得手段であり、拙速行政の歪みは必至です。