線引き隠し
平成16年の合併協議会では、後記の参考資料(以下、「資料」といいます。)を示しながら「原則は1つの都市計画区域(1市1制度)が望ましいが、困難な場合は、複数の都市計画区域(1市2制度)も考えられる」と説明されていました。
当時も現在もそうですが、線引済みの相模原都市計画区域(旧市・旧城山町)と未線引きの津久井・相模湖都市計画区域(旧3町)があります。
複数の都市計画区域を指定することは、内容の異なる(線引と非線引)複数の都市計画区域を認めることであり、行政は「1市2制度」が可能と資料まで示して積極的に説明したのです。
旧津久井町の永井助役は、平成16年7月30日開催の津久井町議会・合併問題特別委委員会で、政令市と線引に関する質問に、資料を示しながら「1国2制度が大変重要な基本的考え方になる」と答え、政令市になっても1市2制度(非線引)が可能と明言しています。
不可分一体の関係
しかし、都市市計画法第7条により、政令市では線引が必要・不可避で、非線引のままでは、政令市移行は不可能です。
都市計画法上、政令市と線引は「不可分一体」の関係です。
合併協議会のまちづくりの将来ビジョン・新市の将来のP35には「政令指定都市を視野に入れた新しいまちづくりにチャレンジします」と明記されています。
政令市を視野に入れるなら、同時に線引も視野に入れるべきで、行政は旧3町の住民に対し線引必要・不可避と説明すべき責任がありました。
行政のウソ=行政犯罪
しかし、あろうことか、行政は、線引が必要・不可避と説明すべき重要な局面で、資料まで掲載して、敢えて非線引可能と「1市2制度」を提示したのです。
法的に全く根拠のない、全く不可能な1市2制度を、意図的に可能と議会・住民にウソの説明をしたのですから、驚きです。
白紙撤回を
現在の線引きの混乱の責任は、旧3町の市民には一切なく、全て相模原市にあります。
将に、行政の禁じ手、住民に対する背信行為であり、素案説明以前の問題ですから、今回の線引そのものを白紙撤回すべきです。
現在の線引きの混乱の責任は、旧3町の市民には一切なく、全て相模原市にあります。
<参考>
土地利用の考え方について(抜粋)
原則として、1つの都市計画区域を指定し、一体の都市として総合的に整備、開発、及び保全を行うことが望ましい。
しかしながら、1つの都市計画区域を指定することが困難である場合には、実質的に一体の都市として整備することが適切な区域ごとに、複数の都市計画区域を指定することも考えられる。(合併協議会資料P38)
合併前駆け込線引否定
現 在駆け込線引真最中
宮崎副市長(平成20年6月議会)答弁
線引の時期、
詳細に決めていない!
駆け込み線引否定、線引時期を説明(平成16年)
平成16年の合併協議会で内田都市部会長は「住民の意向を伺いながらですから、例えば、10年以内とか、そういうスケジュールと思いますので、線引の駆け込みは特に今の段階ではない。」と説明していました。
明確に駆け込みを否定し、線引に必要な期間として、10年位との認識を示しています。
更に、尾崎都市計画課長は相模原市議会・合併特別委員会で「事務的に考えると平成20年だが、時間的にはかなり厳しい。平成25年か、もう少し先になるかわからないが、次々回の線引きの日程をにらみながら検討していきたい。」と説明しています。
合併協議会の決定事項では、「土地利用の規制の急激な変化を避けるため、現行のまま新市に引き継ぎ、合併後の新市において住民の意向を踏まえた中で検討します」となっていました。
急激な変化を避けるとは、「急がず、時間をかけて、一定期間の猶予をもって取り組む」ことです。
しかし、平成20年6月議会で宮崎副市長は「線引時期を詳細に決めていないから、上記決定事項に違反していない」と断言しました。
確かに、線引時期を「○年○月○日」とは決めてはいませんが、合併協議決定事項と担当者の説明から、線引の検討期間が、10年間位となります。
必然的に、線引き実施時期が、その後となることは明らかです。
副市長の発言は、こじつけ、ごまかしの詭弁であり、行政不信の拡大は必至です。
第4回合併協議会会議録(平成16年8月4日)
内田都市部会長の説明
「住民の意向を伺いながらですから、その後、何年、例えば、10年以内とか、そういうスケジュールと思いますので、線引きの駆け込みは特に今の段階ではないと思われます。」(P39)
10年後には、線引制度見直し方向?
旧津久井町の永井助役は、平成16年8月23日開催の津久井町議会・合併問題特別委員会で「これから10年位向こうへいった時には、人口フレーム方向ではなく、線引制度そのものが今、見直されてる方向へいくから、前回の土地利用の方針が出ている」と説明しました(同会議録P14)。
永井助役は、10年間は線引きがないことを前提に、10年後には線引き制度が見直されるから1市2制度の方針が出たと明言しています。
千葉市 財政危機
政令市返上検討!
4月19日開催「政令市を考える集い」講師の元県企業庁長・関山泰雄氏は、「最近政令市になった千葉市は、財政再建団体転落を懸念し、もう政令市返上論が出ている。政令市の権限を県に戻し、県道の維持管理など全部県で負担してもらわないと、市の財政危機は救えない深刻な話になっている。相模原市も財政的には相当大変になることは間違いない。相模原市が政令市になることは早すぎる、他の政令市のように都市としてもっと成熟する必要がある。しかし、再来年の3月で人口70万人の期限が切れ、運用上の人口要件は100万人に戻ると相模原市は政令市になれなくなる。だから、市当局・市議会はここで駆け込もうとしている。今、相模原市が政令市になることは、非常に危険なことである。」と衝撃的な事実を指摘されました。
見かけ倒れで、市民に無意味な、財政危機必至の政令市誕生より、市民福祉の充実・向上を目指すべきです。
尚、市民が作る総合雑誌「アゴラ45号」(定価500円)に、講演内容が要約して掲載されています。