独断的JAZZ批評 406.

METHENY MEHLDAU
これこそ、このグループの凄さであり、ジャズの真髄なのだと!
この演奏のあとに、言葉は要らない
"QUARTET"
PAT METHENY(g), BRAD MEHLDAU(p), LARRY GRENADIER(b), JEFF BALLARD(ds)
2005年12月 スタジオ録音 (NONE SUCH : 104188-2)

昨年の秋に発売になった第1弾"METHENY MEHLDAU"はデュオを中心とした構成だったが、この第2弾はカルテットが中心となっている。同じ2005年12月の同日録音であったので、買うかやめるか迷った。しかし、店頭で1曲目の"A NIGHT AWAY"を聴いて、迷うことなく購入した。
ここ何回か若手ピアノ・トリオのレビューをしてきたが、何かもやもやと鬱積するものがあった。そのもやもやを吹き飛ばしてくれたのがこのCDだ。まさに「血沸き肉踊る」演奏なのだ。
ここではMETHENYが7曲(
ACDEFIJ)提供し、MEHLDAUが3曲(BGH)、二人の共作が1曲(@)となっている。

@"A NIGHT AWAY" 
イントロの8小節を聴けば、このアルバムの素晴らしさに気付き、その後、METHENYがテーマを執るとそれは確信に変わる。ドラムスとベースが分厚いサポートをしている中、ギターがテーマを執り、ピアノが歌う。至極、単純明快でありながら深い味わいがある。余分な贅肉はない。全てが調和し共鳴している。これぞ、ジャズの醍醐味でしょう。
A
"THE SOUND OF WATER" まるでタイトルの如し!なんてことだっ!この研ぎ澄まされた感覚と包容力のある暖かさは。
B
"FEAR AND TREMBLING" 
C"DON'T WAIT" 
D"TOWARDS THE LIGHT" 
E"LONG BEFORE" 
F"EN LA TIERRA QUE NO OLVIDA" 
G"SANTA CRUZ SLACKER" 
H"SECRET BEACH" 凄いと思うのは超一流のプレイヤーが4人集まっても、アンサンブルに徹しているということだ。ここには無我の世界がある。自分のためにではなくて、構築する音楽のために心をひとつにしているということが良く分かる。GRENADIERにしろBALLARDにしろ、自己顕示欲は殺してアンサンブルのために演奏しているのだ。勿論、MEHLDAUとてそれに変わりはない。この曲の後半に行くとそれが良く分かる。MEHLDAUのソロ。そして、それに続くMETHENYのソロの凄さ!METHENYのソロのために全ての土台を作り上げてきたのだと・・・。スウィングとはこういうものだということを教えてくれる。鳥肌の立つ演奏をじっくりとお聴きいただきたい。
全てはここにある。これこそ、このグループの凄さであり、ジャズの真髄なのだと!
この演奏のあとに、言葉は要らない。
I
"SILENT MOVIE" 
J"MARTA'S THEME" 

この秋には日本ツアーが企画されているらしい。これを聴かずして、何とする!
このアルバムはグループとしての圧倒的な厚みで第1弾のアルバムを凌駕しているかもしれない。素晴らしいアルバムだと思う。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2007.04.05)




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