『ターミナル』をめぐって
飽きっぽい女のブログトライアスロン実験」:(タンミノワさん)
DAY FOR NIGHT」:(映画館主・Fさん)
(あんのさん)
映画通信」:ケイケイさん
ヤマ(管理人)


  No.5181から(2004/12/30)

-------佳作ながらのちぐはぐ感-------

(タンミノワさん)
 ヤマさん、こんばんわ。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、タンミノワさん。

(タンミノワさん)
 今年の締めにスピルバーグの『ターミナル』を見てきました。

ヤマ(管理人)
 実は僕ももう観てますが、日誌を綴っておりませんでした(苦笑)。

(タンミノワさん)
 かなり甘めの味付けのおとぎ話で、お話自体の完成度とかアラはあるんですけど、好きな映画です。

ヤマ(管理人)
 僕は『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のほうが好きですが、悪くはないですね。おとぎ話の甘さ加減の味付け具合が少々中途半端で、僕としては、どっちかにもう少し潔く振れてほしかったですね(笑)。

(タンミノワさん)
 私は『キャッチ』と余りにもテイストが似ているので「続編」と位置づけております。

ヤマ(管理人)
 犯罪者だったフランクと善良なる不運者だったビクターという違いはあるものの、これは誰しも思うとこですよね〜。ですから僕もつい比較して…なんてこと言ったりするんですが、この映画もまるでつまらない作品だとは思ってませんよ。

(タンミノワさん)
 確かにおとぎ話と現実の味付け、「どっちなん?」と聞きたくなる展開ではありましたね。どちらの作品もちょっと長すぎるという感想を持っておりますが、

ヤマ(管理人)
 これはシネコンが出来てからの傾向として顕著に窺えるような気がしますが、少々嘆かわしいことですよねぇ。近頃は90分に編集されてれば、それだけでもう支持したくなっちゃいますね(笑)。

(タンミノワさん)
 おとぎ話としての「ありえね〜」度は、今作のほうが上のような気がしますし、主人公の孤独とか心のひだに触れた感覚は、前作のほうが深かったような気がしますね。

ヤマ(管理人)
 これは僕も同感です。
 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の日誌に「ある種の意外さとともに感心したのは、あまり丹念に描出していたとも思えないのに、人物描写がしっかりしていたことだ。」と綴ったように、この点ではスピルバーグらしからぬ充実を感じたものでした(笑)。
 そのへんの及ばなさが「おとぎ話と現実の味付け」の中途半端さみたいな印象を残し、少々調和を欠いて後者が妙に生々しいというか、現実感的な冷や水を掛けられましたよね〜、時々。

(タンミノワさん)
 かと思うと、その他の部分では、あのようにありえないくらいのハートウォーミングな展開、ですもんね。確かにバランスは悪いですわね。

ヤマ(管理人)
 そうなんですよね。スピルバーグらしからぬ「大人の恋を描いてみたい男の子の背伸び」みたいなとこが、アメリアの描き方についての混乱を招いていたようにも見えたんですが(笑)、でもまぁ、僕がスクリーンで観たなかでは最も魅力的なキャサリン・ゼタ=ジョーンズを映し出してくれていたので、自分としては、わりと気に入ってる作品です(笑)。
 女優さんがよければ、大概のことは気にならなくなるとしたものですよ(あは)。

(タンミノワさん)
 そうそう、この映画のキャサリン・セダ・ジョーンズ演じる女性は、かなりヤマさん好みではないかと推察いたします。

ヤマ(管理人)
 むむ〜、おそるべし!(苦笑)
 僕、『エントラップメント』も『トラフィック』『シカゴ』も観てますが、今回の彼女が一番でした…。例の女優銘撰に入れようかどうしようかと迷っているくらいですよ〜、実は。なんで僕の好みだと思ったんですか?(興味津々)

(タンミノワさん)
 あはは。あたりでしたか。
 まあ、ほとんどの男性はあの役柄にかなりクラリと来るとは思いますが、

ヤマ(管理人)
 それはまぁ確かにそうですね、僕に限った話じゃないでしょう(笑)。

(タンミノワさん)
 ヤマさん的好みだなあと思ったのは、成熟した年頃、キャラだったのと、不安定で自信がないところかな。

ヤマ(管理人)
 うひょ〜、痛撃ですねー(苦笑)。
 前段は僕もここで随分と繰り返してますから尤もな話ですが、後段ってのは、ナンですかね、僕には庇護欲みたいなのがありそうだってこと?(笑)

(タンミノワさん)
 庇護欲をかりたてる、というよりは、彼女って不器用そうではないですか、いかにも。強気で生きてるように見えて、不器用な感じがお好みかな、と(笑)。

ヤマ(管理人)
 なんかグサグサっと核心突いてきますね(笑)。
 ふーむ、そう言われるとそうなのかもしれんなぁって気がしてきたぞ(笑)。健気さとかってかなり好きだしなー。

(タンミノワさん)
 そうでしょうとも。えぇ(笑)。そういうとこでアメリアは、ファンタジーの登場人物な割には、味付けが生ナマしい「女」でしたね。

ヤマ(管理人)
 そうなんですよ!! 僕もそこんとこが気になったというか(笑)。
 この映画の味付けが中途半端だと言ったのも、実は専ら彼女の描き方でした(あは)。他の人物との関係では、そうでもなかったのに、特にアメリアとの関係性のとこが妙に生々しいというか、現実感的な冷や水を掛けられましたよ。

(タンミノワさん)
 恋愛に関しては、やはり「妙に甘ったるくせんぞ!大人なんだから!」と意気込みすぎた結果でしょうか(笑)。

ヤマ(管理人)
 そういうとこって確実にありましたよね〜(笑)。

(タンミノワさん)
 もちろん、結ばれないホロ苦い恋、でもいいんですけどね。

ヤマ(管理人)
 それならそれで、待つことの意味なり問い直しをもっと掘り下げた作品にして、叶わなかった恋の代わりに得たものとして、あのような所期の目的とは異なる内面的な何かを明示してほしかったですね。
 でも、そうすると、スピルバーグ作品じゃなくなる気もしますが(笑)。

(タンミノワさん)
 そうですね〜。そもそも、スピルバーグの映画でそういうモノを観ようという期待もこっち側に無いような気もしますが…(笑)。

ヤマ(管理人)
 ですよね(笑)。

(タンミノワさん)
 いえ、別にバカにしているわけではありませんけど、やっぱり私にとっては『ET』だとか、『インディ』を見せてくれてきた監督でありますからね。

ヤマ(管理人)
 僕は『アミスタッド』なんかも支持してるんですよ。

(タンミノワさん)
 なんか不倫から逃れられないって設定は私もちょっとなあ・・って感じしましたね。

ヤマ(管理人)
 あの結末にしちゃうと、初めのほうに出てきた「彼とのSEXは素晴らしいのよ」というアメリアの台詞がえらく生々しく現実感を帯びて来ちゃいますよね(笑)。まぁ、それだけでもないんでしょうが。

(タンミノワさん)
 もう少し彼女のキャラをファンタジックにしてもよかったですね。

ヤマ(管理人)
 ファンタジー色を捨てずに、奇想天外なおとぎ話みたいな味にこだわっているんだから、それならそれで全うすべきで、中途半端な生々しさを持ち込んでしまうと、それが作品のテイストのバランスを欠くことに繋がったようにも見えますね。

(タンミノワさん)
 トム・ハンクスのキャラとのバランスが取れにくい、というのが違和感の元だと思いますね〜。かなりナゾの人でしたし。>トム

ヤマ(管理人)
 フォレスト・ガンプほどじゃなかったでしょーに(笑)。

(タンミノワさん)
 アメリアのキャラのほうは、あれだと現実的なロマコメに出てきそうな設定ではありますから、生活感がありすぎるというか。

ヤマ(管理人)
 ビクターが入国資格のない空港生活者だとディキンスから聞かされての判断だったようにも見えましたからね。彼に「貴女のような女性が何も…」と言われた以上、ああいうふうに答えるのは彼女のプライドだろうし、それでOKなんですが、その後やっぱりビクターを選ばない判断をさせちゃうと、彼女の返答の台詞自体が、本心を含みつつもそれを言わせたのは彼女のプライドであり、今後の生活上の判断としては、やはり現実感を優先させるシビアさを放棄できないことを露わにもしているわけですよね。
 そのことが作品的に効果をあげているか損なっているかでいうと、僕にとっては、おとぎ話を中途半端にさせて損なっているように感じたってところがありますね。

(タンミノワさん)
 彼女のキャラは、歴史好きとかいうところを拡大してもよかったかも。
 物語で言えば、そもそも国が無くなった人が空港で暮らし続けるという有り得ない物語が軸になっているのに、その中に点在するエピソードの有り得ない度合いがそれぞれバラバラで統一性がないのが、一番の原因なのかなあ。

ヤマ(管理人)
 これ自体は、実話の元ネタがあるそうですよ。

(タンミノワさん)
 そうなんですか!それは知りませんでした。ますます『キャッチ』の路線、ですね。

ヤマ(管理人)
 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』はスピルバーグにとって、山田洋次の『たそがれ清兵衛』みたいなものだったのかもしれません(笑)。  それはともかく、これは、おっしゃるところのエピソードの有り得なさに調和が感じられないということにも重なると思うのですが、生々しさとファンタジーのちぐはぐ感っていうのは確かにありましたよね。

(タンミノワさん)
 この映画好きなんですけどね。なんか文句言ってますね(笑)。

ヤマ(管理人)
 まぁ僕も『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のほうがいいと思いますけどね。でも、まるでつまんない作品なんかじゃ決してありませんよね。

(タンミノワさん)
 それにしても、この映画はパンフレットのレイアウト、グラフィック、統一感などのオシャレさがハンパではなくって、映画の後に盛り上がってしまいました。

ヤマ(管理人)
 パンフは見てもいませんでしたが、そうでしたか。
 アメリアのいい写真がありました?(笑)

(タンミノワさん)
 あ〜見てないんですか!それは残念!
 ジョーンズ、脱いでる写真があったのに〜!!

ヤマ(管理人)
 え?ナニ! それは一大事(笑)。
 でも、スピルバーグのドリームワークスでそいつは、元々期待してなかったんですがね(笑)。

(タンミノワさん)
 …などというウソを最後に、今年もこちらではずいぶんと楽しませて頂きました。また来年もよろしくお願いいたしますね〜。

ヤマ(管理人)
 こちらこそですよ。新年もよろしく願いますね。

(タンミノワさん)
 映画を観た後のイロイロな発見や、再びそれについて思いを巡らす機会を与えてくださってありがとうございます。

ヤマ(管理人)
 この機会というのがもう「一粒で二度美味しい」というか、観後の醍醐味ですよね。タンミノワさんにも随分とお世話になっております(感謝)。お書き込みくださる方々の首位打者でいてくださってますよね〜。つくづくありがたいことです(礼)。


-------「構成破綻」型の映画?-------

(Fさん)
 そうか〜、知らなかった(こちらの掲示板へのエロ書き込み見ながら)。
 あの女はランク落としてオレと付き合ってたんか…(涙)。
 というわけで、ヤマさん、こんばんわ(笑)。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、Fさん。
 その書き込みは、管理人モードで削除しちゃいましたが…(笑)。
 近頃多くて、せっせと削除してますねぇ。前は面白がってレス付けたりしてましたが、なにぶん多くなるとそれも辟易(苦笑)。それにしても「ランク落としてオレと付き合ってたんか」ということは、有夫恋に覚えありですか、Fさんは?(笑)
 でも、ちょうどタイミングよくというか、この女性研究家と称する書き込みの「女性は風俗の代わりに旦那や彼氏よりも多少ランクを落とした男性と無料でHをして性欲を満たしているのです」という「■女性向け風俗店が少ない理由」みたいなところでは、『ターミナル』のアメリアも観方によっては、愛人の位置で待ち続ける憂さと孤独の気晴らしでビクターと関わったようにも観られそうですね(笑)。

(Fさん)
 『ターミナル』は出来の善し悪しは別にして、個人的には支持したい作品でした。スピルバーグは今後あの路線でいって欲しいんで。

ヤマ(管理人)
 それは同感ですね。例のアメリアのためにビクターが作った噴水をスピルバーグがファンタジックに視覚化しなかったことには意表を突かれましたよ。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でのフランクの偽札印刷の場面と比べて際立った差異を示すとともに、ある種の訣別を示していたのかも、てなことも思いました。
 その点では前作よりも一段と歩みを進めてはいるわけで、その方向性自体は僕も支持したいと思うところです。
 でも、それが却って味付けの中途半端さを招いたようなところはあるわけで、好みとして僕は前作のほうを支持するということであって、前作も今作も含め、スピルバーグの求めている方向性自体は今作においても支持していますし、今作もつまらない作品じゃないとは思っています。

(Fさん)
 アレがウォン・カーウァイあたりなら、多少構成に難があっても何となくそれで通っちゃうんだし、ここは大目に見てあげてくださいヨ(笑)。

ヤマ(管理人)
 僕に鬼門のカーウァイを持ち出されても、ちょっと返答に困るところですが(苦笑)、少なくとも破綻のなさのみが映画の出来の善し悪しではないですよね。それにまぁ僕らは、大目に見てやるってな立場でもありませんし(笑)。

(Fさん)
 構成に難があると言えば…。
 個人的には、今年は映像のテクニシャンがオノレの話術をあえて捨ててもナマな訴求力をとったかのような、「構成破綻」型の映画が大挙して上陸した一年でした。

ヤマ(管理人)
 そーですねー、なかでも『LOVERS』は僕にとって際立ってます(笑)。

(Fさん)
 そして、その対極として…基本や映画史に忠実で、あくまでオーソドックスにキッチリつくり込んだような「ベーシック」映画も一方で増えて来たような気がします。

ヤマ(管理人)
 往年の映画というものを偲ばせてくれる作品も数々ありましたね。『ウォルター少年と、夏の休日』もそうでしたし、僕の日誌で言えば、『トロイ』『デイ・アフター・トゥモロー』でもそういったことに言及した覚えがありますよ。

(Fさん)
 今後この二極化はドンドン進むのか?

ヤマ(管理人)
 万事すべからく、世の中の趨勢は二極化に進展にありますからね、貧しいことに(笑)。

(Fさん)
 さらに混迷する政局を睨んで、永田町からFがお届けしました。
 良いお年を(笑)!

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。
 Fさんから投げかけていただく、映画というものへの問題意識の喚起には、とても刺激的で有意義なものが多く、僕のブレイン・ストーミングやかねてよりの想念の言語化にも大いに役立っております。
 こちらこそ、新年もよろしくお願いします。


------永田町からのリポートを受けてFさんのBBS 他力本願寺2へ(笑)------

賀正 投稿者:ヤマ 投稿日:2005/01/01(Sat) 20:30 No.6706
 Fさん、こんにちは。
 昨年もたくさんのテクスト拝借をさせてもらい、ありがとうございました。
 今年もよろしくお願いします。
 僕の昨年の観納め映画は、例年より少し早めの25日でした。
 作品は、あんのさんと同じく『ターミナル』。

 あんのさんが「物語よりシーンの雰囲気重視の映画」とお書きのとこに僕も全く同感で、ある意味、非常にスピルバーグらしい作品でした。
 その一方で、スピルバーグらしからぬ「大人の恋を描いてみたい男の子の背伸び」みたいなとこがアメリアの描き方についての混乱を招いていたようにも見えましたが、僕がスクリーンで観たなかでは最も魅力的なキャサリンを映し出してくれていたので、僕としては、わりと気に入ってる作品です(笑)。

哀愁のターミナル(笑)映画館主・F - 2005/01/01(Sat) 21:25 No.6709
 ヤマさんがご自分の掲示板でおっしゃっていた、トム・ハンクスがつくった噴水のキレイな絵が出てこなかった・・・ってところは、結構大切なポイントですよね。
 アレをやったら、「いかにも」スピルバーグだった。ゼタ・ジョーンズとハンクスが結ばれることもなく、さまざまな人生が交錯するターミナルの一点景として別れ別れになっていくあたりも、そうでした。
 スピルバーグはどこかで従来の自分らしさを決別しようと思っているのかもしれません。
 そういう意味では、彼なりにグレー・ゾーンを見つけてきたと言えるのではないでしょうか?
 今年もよろしくお願いいたします。
*********************************************************


-------うまく出なかった噴水の示すもの-------

(タンミノワさん)
 ヤマさん、あけましておめでとうございます。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、タンミノワさん、あけましておめでとうございます。

(タンミノワさん)
 Fさんへのレスに書かれていた「例のアメリアのためにビクターが作った噴水をスピルバーグがファンタジックに視覚化しなかったことには意表を突かれました」なんですが・・私、これ、見逃している情報かも、です。
 ファンタジックに視覚化してないっていうのは・・?

ヤマ(管理人)
 せっかく作ったのに、うまく噴水がでなかったとの設定だったでしょ。あそこは本来のスピルバーグなら、素敵な噴水をあげるばかりか『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でフランクが工場で偽札印刷をしていたシーンをミュージカルばりのファンタジックな映像で展開したように、思いっきりの見せ場にして、アメリアとのハッピーエンドへと持っていきそうなところですよ(笑)。
 まぁ、ほろ苦く終わる恋へと向けるにしても、あそこでは盛り上げたくなるのが、スピルバーグのスピルバーグらしさとも言うべきところなんですが、それをしなかったところに、ある種の決意というか訣別があるかもってな好事家話です(苦笑)。
 二十年前に『カラー・パープル』の拙日誌にも綴ったことですが、「これは彼の映画の特長なのだが、作品で最も重視されるのはストーリーではなく、キャラクターでもなく、個々の場面場面なのである」ということがあるんですよね(笑)。

(タンミノワさん)
 その「ある種の決意というか訣別」に「大人になったボクだ」のメッセージあり、ってことだったんでしょうかね。

ヤマ(管理人)
 それは、やっぱ、むしろほろ苦い恋の結末のほうに、でしょ(笑)。

(タンミノワさん)
 まあ、そもそもど〜やってあんな大変なモン作れたんや?とツッコミを入れたくなりますが…(笑)。

ヤマ(管理人)
 スピルバーグの作品にそれやってちゃ始まりませんよ(笑)。

(タンミノワさん)
 まぁヤマさんが『カラー・パープル』の日誌に書いてはるとこに繋がるということがあるんですよね(笑)。

ヤマ(管理人)
 まぁ、それはそうですね。でもだからといって、それがやれるのは、あの日誌にも綴ったように「スピルバーグの観せることの上手さゆえ」なんですし、それは映像の力なんですよね。
 ただ絵の力に負った場面重視の気質が今回の作品でも出ていたような気がします。ビクターのみならずディクソンやグプタなどの言動に、シーンの演出効果に要求された形での唐突感のようなものがつきまとっていて、それを割り引きながら、こちらから乗っていってやらなければいけなかったようなところがあるように思うんですよ。
 でも、それっくらい場面重視のスピルバーグなのに、この作品では、おとぎ話のテイストを語りながらも、ファンタジックな視覚イメージというのを映像的には一切使わなかったところに非常に意識的なものを感じたってことです。

(タンミノワさん)
 映像の力に頼まずに観客に魔法をかけたい、というとこなんでしょうかねえ…。

ヤマ(管理人)
 それはあるかも(笑)。自らの得意手を禁じての果敢な挑戦!

(タンミノワさん)
 以前スピルバーグが「音声を消して映画を観るのが勉強法」と語っていました。そうすると映像に力があるかどうかわかる、と。

ヤマ(管理人)
 そうでしたか、なるほど、彼らしい話ですね。しかも的を射てますね。

(タンミノワさん)
 『オアシス』みたいな作品を見ると、ファンタジックな映像手法とか技術なくしても魔法はかけられると思っちゃいましたけどね(笑)。

ヤマ(管理人)
 でも、僕が日誌に綴ったような韓流映画ファンには通じないわけで、それよかスピルバーグのほうが断然間口は広いでしょうね(笑)。

(あんのさん)
 あけましておめでとうございます。書き込みさせていただくのはお久しぶりです(笑)。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、あんのさん、あけましておめでとうございます。
 そーでしたねー、お目に掛かってからも、もう一年半になりますか?(笑) 『ゴールト・ワールド』談義では、お世話になりました(礼)。

(あんのさん)
 『ターミナル』の噴水。
 見てる時は少し気になったものの、映画館を出た時にはすっかり忘れていたので(苦笑)、なんだか新鮮に感じてます。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。ちょっとまぁ好事家話なんで恐縮なんですけど、僕には、アレ?どうしちゃったの?って感じで、けっこう鮮烈でした(笑)。

(あんのさん)
 空港の雰囲気だけ楽しんでた自分としては、あの作品に「大人の寓話」という部分で違った視点での楽しみも持てそうで、(たぶんテレビでだと思いますが)もう一度見るのが楽しみです。

ヤマ(管理人)
 ひとくちに「大人の寓話」って言ってもいろいろありますからね〜(笑)。新たな違った視点が得られそうだとのお言葉は、嬉しい書き込みでした(礼)。
 僕は、あんのさんがFさんとこの掲示板に「物語よりシーンの雰囲気重視の映画」とお書きのとこに『カラー・パープル』の拙日誌に綴った一節を想起し、なんだか嬉しくなってました。

(あんのさん)
 もう一度見る頃にはスピルバーグの新作も公開されて見てるでしょうから、今と彼の作品を見る目がさらに違ってるかもしれないし(なんか映画を見る目が野次馬だなあ…)。

ヤマ(管理人)
 でもそれって、監督を追って観るなかでの楽しみの一つですよね〜。そればっかに偏るのもヘンな趣味ですが(笑)、長らく観てると当然のように生じてきたりもしますよね。あんのさんのように、野次馬などと自嘲する視線を保っているのが健全でよろしいかと(笑)。そのことで言えば、僕など、もう野次馬の目どころか小姑の目みたいで…(苦笑)。


-------スピルバーグを解く鍵-------

(Fさん)
 今回「ターミナル」談義も行われている事ですし、スピルバーグの功罪というのは、どこかでちゃんと語られないといけないなと思ったりするんですよね。

ヤマ(管理人)
 高校の映画部以来のFさんのライフワークでもありますよね(笑)。

(Fさん)
 以下、問題をわかり易くするために、あえて極論を言ってる部分があるとご承知の上でよろしくお願いします。

ヤマ(管理人)
 はい、いつものように、そのつもりでおります(笑)。

(Fさん)
 例外は数限りなくあるし言葉のアヤもあると知りつつ、あえて言ってみるならば…。『ターミナル』という映画は、これまでヤマさん、タンミノワさんがおっしゃっているごとく、非常にスピルバーグ・イズムを考えていく上でわかりやすい要素を持っている映画だと僕は思ってますね。

ヤマ(管理人)
 同感ですね。そのへんが僕の好事家部分を擽ってくれましたもん。
 スピルバーグ・イズムというのは、FさんがBBS 他力本願寺2にお書きになってたアレですね。タンミノワさんが僕とFさんのやり取りを読んでくださって、この掲示板で質問なさったことをFさんとこでも問いかけてた件へのレスに出てきてましたよね。僕も拙掲示板で回答してますが、余りにもFさんの回答が提起した僕の意図と寸分違わなくて、「…というような事でいいんですよね、ヤマさん(笑)?」ってフリに「何も付言する余地なしです(笑)」って書いたように思います。
 「噴水のナゾ」と題してFさんはトム・ハンクスがゼタ・ジョーンズに見せたくって、空港構内に噴水をつくる。でもそれを彼女に披露した時に、なぜかそれは作動しなかったんですよ。本来ならばパーッと水が吹き上がって逆光でキラキラして、ジョン・ウィリアムズの音楽が盛り上がって…と、いかにもスピルバーグらしい見せ場(「太陽の帝国」での修理中のゼロ戦から飛び散る溶接の火花と、それを仰ぎ見る少年をとらえた場面をご想起ください。)が、そこに出現するはずじゃないですか。そんなスピルバーグ好みのオイシイ趣向をあえてやらなかった。そもそも、せっかくあそこまで出来た噴水がスカだった…という意味がよく分からないんですよ。なぜスカじゃなきゃいけないのか?
 その場面とゼタ・ジョーンズとハンクスが結局結ばれず、無数の人生が交錯するターミナルに飲み込まれるがごとく擦れ違ってしまう…というあたりに、“いかにもキマった!”という感じのスピルバーグ・イズムを出来るだけしないようにしようと意識的にやっている印象を抱かせるんですよね。と書いておいででしたね。

(Fさん)
 で、僕はスピルバーグを解くカギはたった一つ、「単純」だと思うんですよ。そんなの当たり前だって? まぁそうなんですけど(笑)。

ヤマ(管理人)
 ええ、まぁ(笑)。

(Fさん)
 でもこの国では(よそもそうかもしれませんが)この言葉がそれこそ「単純」に使われてしまってる。

ヤマ(管理人)
 これも同感ですね。

(Fさん)
 彼は物事を良くも悪くも単純に考えている。だから彼の映画でのメッセージとかが露骨に出ると、すごく安っぽく感じられる。幼稚に見えちゃいますから。

ヤマ(管理人)
 なんか小泉みたいですね(笑)。

(Fさん)
 だが「単純」ってのは映画をつくる上ではいい性質で、映画ってのはイメージの具象化=単純化ですから、これを突き詰めれば力強い表現が可能になる。

ヤマ(管理人)
 ここんとこが大事ですよね。その力強さがよい方向にも悪い方向にも作用しうるわけで、小泉なんかは悪い方向ばかりが目立って来ちゃってますが、スピルバーグは、小泉とはひと味もふた味も違いますよね。

(Fさん)
 「単純」はシンプルでありダイナミックと同じ。

ヤマ(管理人)
 そうそう。だから、どっかの首相みたいに姑息な使い方しちゃいけない。スピルバーグは、玉砕するときだって成功するときだって、姑息だったりしたことって一度もないような気がしますね。

(Fさん)
 元々が彼はアニメ映画を模倣していると思うんですよ。一種の映像の「記号化」だと思います。

ヤマ(管理人)
 アニメと記号化を繋げておっしゃりたいことの主旨が今いち把握できないでおりますが、立体感とか陰影を求めてないってことですか?
 あ、それよりも、解釈を期待するような不定形ではなく、よくも悪くも図式化ってことですかね?

(Fさん)
 何でメッセージを露骨に出すとダメなのかと言えば、それは言葉でもいえることを映画でやろうとしているから、ダメだと思うんですよ。言葉という形では彼の「単純」さは単なる幼稚や馬鹿と同義語になりかねない。

ヤマ(管理人)
 スピルバーグを頭から拒んでいる人たちにとってはそうなのかもしれませんね。

(Fさん)
 彼が一番近いのは黒澤明だと思います。

ヤマ(管理人)
 これは、大いに頷けるところですね。彼自身も黒澤ファンのようですし、映画的にも通じているように思いますね。両者ともFさんの愛好する作り手である点でも共通してますね。

(Fさん)
 あの思想の単純さと幼稚さ、映像の単純さから生まれる力強さ。映画というものを分かっているという点でも共通するはず。

ヤマ(管理人)
 全く異議なし、ですね。

(Fさん)
 ところが世の中の文化的空気ってのは、この「言葉」文化が支配的でしょう?

ヤマ(管理人)
 それならいいんですが、むしろ言葉が手垢にまみれたり、痩せ細ってきているように感じられてならないんですが。

(Fさん)
 そっちの方が高級とみなされがちですよね? 曖昧なほうがカッコよかったりするじゃないですか(笑)。

ヤマ(管理人)
 こういう傾向はありますね、近頃は怪しくなりつつありますが、まだまだ単純なのより複雑なほうが高級そうってのは、ね。でも、高級っていうんじゃなくカッコイイっていうのは、既に複雑さは、単純さに敗れ去っているような気がします。
 先のFさんのおっしゃってたことと同じになりますが、「シンプル・イズ・ベスト」って言葉が、それこそ本来の含蓄を失って単純に使われ、流行しだしてからおかしくなってきているように思いますね。

(Fさん)
 だから元々の言ってることの「単純」さとあいまって、彼は馬鹿にされてしまう。

ヤマ(管理人)
 こういう輩が却って「シンプル・イズ・ベスト」から含蓄を奪っていったような気がします。だって、彼らの馬鹿にしかたって実に形式的で単純ですよね。

(Fさん)
 そうなんです。「単純」とバカにする側のケナし方が「単純」。それは二つの意味があって、まずあまりに短絡的で単細胞的。次にそれはあまりに手垢がついた実感のない既成概念だと。僕が言い足りてなかったところを見事に補足していただき(笑)、ありがとうございます。

ヤマ(管理人)
 いえいえ、かねがね僕も思っていることですから、ちょうど触発していただいたようなもんです(笑)。御指摘の二つの意味が示しているように、何よりも彼の各作品の個別性に触れるところじゃないですもんね(笑)。ホント、外形的な上っ面を指して言っても、ピンと来ませんよね。

(Fさん)
 で、スピルバーグからは離れますが、こういうことばっかりやってきた結果がヤマさんのおっしゃる「それならいいんですが、むしろ言葉が手垢にまみれたり、痩せ細ってきているように感じられてならないんですが。」とか、「でも、高級っていうんじゃなくカッコイイっていうのは、既に複雑さは、単純さに敗れ去っているような気がします。」につながっているように思うんです。

ヤマ(管理人)
 そうですねー、個別性とか具体性とかってとこに目を向ければ、単純さも単純には語れなくなるんですけどね。

(Fさん)
 ただスピルバーグの「単純」さとは全体を瞬時に大づかみにして、ダイナミックにわかり易く具象化するという難事でして、これは誰にでもできることじゃない。単なる「単純」バカならできますが(笑)。

ヤマ(管理人)
 そうですね。彼の現出させる視覚イメージのダイナミズムっていうのは、肝のとこですね。有無を言わせぬ巧さと凄さがあります。ダイナミズムが得意なだけに、調和とかバランスみたいなとこのセンスは欠けてますけどね(笑)。

(Fさん)
 それと、それが「単純化」できる対象かどうかを見極めて、さらに「単純化」するための方法を選ぶ必要がある。これも難事ですよね。下手な「単純」ならやらん方がいいと僕は思っていて。それならゴチャゴチャ理屈並べてるほうがもっといい。「単純明快、時代はスカーッとしたのを求めてる」っていう今時の風潮は、僕も全然好まないですね。

ヤマ(管理人)
 同感です。

(Fさん)
 「人生いろいろ」なんて「単純」に人生語ってもらいたくない(笑)。

ヤマ(管理人)
 あれなんか、単純どころか、単なる誤魔化しですからねー。

(Fさん)
 スピルバーグの場合、映像的なことだって、彼はお金を使える地位にいるし、技術も使い放題となればCGもSFXも使ってしまう。で、そういう作品が多いから、そこをまた馬鹿にされてしまう。特撮絡み映画はどうしてもお子さま向きというイメージがまだ強いですしね。それに金かけてるというあたりで、「清貧主義」からも冷たく見られてしまう。

ヤマ(管理人)
 どれもこれも、実に形式的で単純ですよね(笑)。

(Fさん)
 こうして言われなくてもいいところまで悪く言われる、言われやすい体質を持っていると思うんですよ。

ヤマ(管理人)
 同感です。でも、そう言われながらも、絵に惹かれて皆、観に行くんですよね。そういうとこからすると、何か笑えるというか、照れ隠しというか弁解めいた衒いのようなものなのかもしれませんよ。

(Fさん)
 もちろん彼自身に本当に幼稚さはあるんですが(笑)。

ヤマ(管理人)
 そうそう。だから、そういった衒いを促しもするんですよね(笑)。

(Fさん)
 本当は彼にとって言われるべきなのは、良さ悪さではない、単なる「単純」さであって、その「単純」の使い方が正しかったか間違っていたか、そのことだけのはずだと思うんですよ。

ヤマ(管理人)
 ふーむ、良し悪しではなく、正誤ですか。僕は「作品的に効果をあげているか損なっているか」だと思ってるんですが、それって良し悪しとも正誤とも言えそうだし、僕自身は、そのどちらとも違うニュアンスを以てそう言ってるつもりだし、ちょっとデリケートなとこですよね。

(Fさん)
 彼は自分の映画をもっともらしい「言葉」的なイデオロギーで撮ろうなどと柄にもないことをせずに、「言葉」的な枠の中に入れずにつくればいいはずなんです。

ヤマ(管理人)
 そうですね、そこんとこに徹していれば、手堅いですよね。でも、そうもいかない意欲というのが彼にはあるんでしょうねぇ。

(Fさん)
 ところが彼も歳とって利口そうに見せたくて「言葉」に走る。結果、馬脚を表して叩かれる・・・という繰り返しをずっと演じてきたと思うんですよ。

ヤマ(管理人)
 その最初が『カラーパープル』でしたね(笑)。あのスピルバーグが社会派ドラマに打って出たってな売りでした、当時。ん? 社会派ドラマだったかな、本格的人間ドラマだったかな、ま、どっちでもいいですが。で、確かに僕も当時の日誌に綴ったように、彼には向いてないって思ったんですが、その後『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』に至るまででも『オールウェイズ』や『アミスタッド』、『ジュラシック・パーク』や『A.I.』は支持してます。
 '80年度から選出している毎年度のベストテンに入れたのは『A.I.』しかありませんが、『シンドラーのリスト』だって、こんなことしちゃぁって嘆きながらも支持した作品ではあります。前にお話ししたABCの上中下という僕の9段階評価ってのを始めたのは '83年度からですが、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラーパープル』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『フック』『マイノリティ・リポート』はBの組に入っておりますが、『太陽の帝国』も『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』も『プライベート・ライアン』もAの組に入れておりますよ(笑)。

(Fさん)
 そんな彼が大人としての語り口を「単純」文脈の中できっちりつくれたのが『キャッチ・ミー』だと。

ヤマ(管理人)
 そうでしたね〜。

(Fさん)
 だから『ターミナル』でヤマさんご指摘の部分は、実は僕にとってスピルバーグの成長かどうか分かりません。

ヤマ(管理人)
 ある種の訣別を露わにしてたように受け取ったんで、僕は買ってますよ。それが成長かどうかはともかく。

(Fさん)
 世間的には成長かもしれないんですが、彼のやることではない。いやいや、正確に言えば「やるべきことではないかもしれない」ですね。本当に成長かもしれないとは僕も半分以上思いましたから。でも、危惧する点もあるということで。

ヤマ(管理人)
 そこが楽しみなんですよね〜好事家としてはね(笑)。少なくとも安全策ではないようですね。でも、楽しみじゃないですか、次のドラマものが(笑)。

(Fさん)
 文学的・文字的にもっともらしい映画をつくる人はゴマンといるんだから、彼には彼らしくしてほしい。そういう気もします。

ヤマ(管理人)
 ええ、それもそれで楽しみなんですけどね(笑)。

(Fさん)
 それで大人映画だって撮れるんだから。

ヤマ(管理人)
 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』がたまたまじゃないとこ、見せてほしいし、ね。


-------スピルバーグとミュージカル-------

(Fさん)
 先にも挙げた「単純」にまつわる二つの意味でのこれほどの難事を持ち前の才能とセンスでパパッとやりこなしてきたスピルバーグですけど、問題なのは、人間っていつまでも時代や自分のバイオリズムやパワーが、ナイス・タイミングでシンクロしてくれやしない。ある程度のところで、努力して合わせていかなきゃいけない。

ヤマ(管理人)
 それはそうですね。結婚なんて、そのシンクロの最たるものですね。そのときの勢いみたいなもの外すと、別に独身主義とかでなくても独身続けたり、結婚経験を果たしている者でも、あのときじゃなければできそうにないって思ったりしてしまうようなものですね(笑)。

(Fさん)
 ところが彼ってまだ努力して合わせるってことをしていない雰囲気があるんですよ。パパッと安易に決めちゃってる可能性がある。

ヤマ(管理人)
 ほほぅ。

(Fさん)
 例えば一例をあげると…下手な外野がこんな事を言うのもいささか気が退けるのですが…、『ターミナル』ってあの語り口でよかったのかって疑問は、僕にはいろいろ付きまとうんですよね。素人考えで言ったら、例えばミュージカルとしてつくったら、どうだったろう?…とか。

ヤマ(管理人)
 あの語り口については、作品的に僕もちぐはぐ感を覚えたので、そう思ってますね。でも、興味深い作品でしたし、キャサリンよかったから、いいんですけど(笑)。おっしゃるミュージカルについては、ほんと、そーですよね、実は僕、なんでスピルバーグは、ミュージカル撮らないんだろうって前々から思ってるんですよ(笑)。
 社会ドラマとか陰影に富んだ人間ドラマよか、よっぽど向いてるって思うのに(笑)。バズ・ラーマンよりも絵的には魅せてくれるかもしれませんよね。で、僕、密かに、実は音楽コンプレックスがあるんじゃないのかな〜って思ったりしてますね(笑)。

(Fさん)
 彼、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』冒頭で、すごくいいミュージカル場面を撮っているんですよ。

ヤマ(管理人)
 そうでしたっけ、もう忘れちゃってますが(苦笑)、それ観て僕のなかにそんな思いが前から巣くっているのかもしれませんね(笑)。

(Fさん)
 そして、ミュージカル形式だったら現実とおとぎ話との折り合いがもっとうまくついたんじゃないか?

ヤマ(管理人)
 はいはい、確かにそうですね。

(Fさん)
 そうすりゃラストのアレだって音楽つながりで必然性があった。…ってな感じで(笑)。

ヤマ(管理人)
 あは。確かに。もしミュージカル形式にしてたら、アメリアはあんな人物造形ではなくなるでしょうが(笑)。
 でも、作品的には、そのほうが調和がとれたような気がしますね。

(Fさん)
 もちろんこれは一例ですし、僕の妄想ですよ(笑)。ただ、そういう検討なり模索はしていたのかが気になる。

ヤマ(管理人)
 してないんじゃないかな〜(笑)。僕の妄想では、なんか敢えてミュージカルは避けて通っているような気がしてますからねー(笑)。

(Fさん)
 あちらはプロのやることですから、それなりに考えもありましょうが、ちょっと表現の選択に安易さがなかっただろうか?…って、そんな気もしちゃうんですよね。

ヤマ(管理人)
 僕は決意と意欲を買いましたが、安易だったんでしょーかねぇ(笑)。

(Fさん)
 だからってシンドラーの墓参りされても困りますが(笑)。

ヤマ(管理人)
 あ、Fさんは『シンドラーのリスト』は×なんですね(笑)。まぁね、それも分からなくはないですけどね(笑)。

(タンミノワさん)
 スピルバーグのミュージカルって新しいですね(笑)。失敗してもいいから、見てみたいです(笑)。

ヤマ(管理人)
 ですよねー。


-------序盤シーンで見せたスピルバーグの技-------

(ケイケイさん)
 ヤマさん、今晩は。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、ケイケイさん。

(ケイケイさん)
 やっと観てきましたが、皆さん鋭く書いておられて、私なんかが、もう書くことはありませんね(笑)。

ヤマ(管理人)
 とんでもありませんよ〜、そうおっしゃりながらお書き込みくださったのが大変うれしかったです。

(ケイケイさん)
 『キャッチ・ミー〜』より、ハンクスの純粋さや愚直さ、大人の寓話テイストが、私は『フォレスト・ガンプ』とかぶりました。

ヤマ(管理人)
 うん、確かにスピルバーグで言えば、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』だけど、トム・ハンクスで言えば、やっぱり『フォレスト・ガンプ』ですよね。

(ケイケイさん)
 冒頭のハンクスが、愚直というより愚鈍という感じがしたのが、その思いを最初に抱かせました。そういう演出でしたよね。

ヤマ(管理人)
 ええ、そうでしたね。彼の虐げられ感が観る側に際立つよう演出が掛けられてましたね。

(ケイケイさん)
 言葉もわからない、お金もない、外に出てはいけない、いい大人がまるで赤子の手を捻られるみたいでした。導入部は、ビクターに同情させるよう、上手く作られてあったと思いました。

ヤマ(管理人)
 そうですね。寄る辺なさがよく出ていましたよ。画面の色調もちょっと違ってたように思います。ビクターが感じ取っている冷たさのようなものを反映してたんでしょうね。

(ケイケイさん)
 キャサリン可愛かったですね!びっくりしました。

ヤマ(管理人)
 僕もあれにはすっかり驚いて『ディボース・ショウ』ってのを観てみたくなりましたよ(笑)。

(ケイケイさん)
 私は、円満な私生活が垣間見られて気になりましたよ。でも39歳は可哀相ですよね(笑)。今35歳でしたっけ?

ヤマ(管理人)
 こういうの、非常に疎いんですが、なんか前にjunkさんとこでの世代別男女ベストアクター選出アンケートみたいなのに参加したとき、彼女は僕の十歳くらい下で、意外に思ったことがありましたね。もっと近いと思ってましたもん。そんくらい大人の女の貫禄ありで(笑)。
 元々そんなふうに思ってるくらいですから、僕は39歳の設定には違和感なしだったんですけど、それだけに健気な可愛らしさのようなものが表れていて驚かされましたねー。

(ケイケイさん)
 失礼ながらキャサリンには、知性や品を感じたことがなかったのですが、この作品ではとても感じました。

ヤマ(管理人)
 そうですね、知性と品、確かに感じました。僕もそこが好きでした。ただ僕の場合、コスチュームにやられたのかもって気もしないではなく、いたんですが、こうおっしゃっていただけると、ちょっと安心できてよかったです(笑)。

(ケイケイさん)
 ただ、私は自分が我慢したら周囲が丸く収まる風な感覚は好きではなく、

ヤマ(管理人)
 僕もそうですね。

(ケイケイさん)
 周囲も自分も納得出来て幸せになる方法が必ずあるはずだ、と思うんです。

ヤマ(管理人)
 確信はないんですが、探しますね、僕も。そして、それなりの折り合いをつけていこうとしますよ(笑)。

(ケイケイさん)
 だからアメリアの取った選択は、元の木阿弥になるし、同意はしかねるのですが、もちろん健気さも感じます。スピルバーグは、こういう女性がお好みなんでしょうね(笑)。

ヤマ(管理人)
 あ、ケイケイさんは、アメリアが我慢して身を引いたと受け取られたんですか? 僕は、ビクターはいい人なんだけど、諸条件からいって自分には合わないって、彼女が見極めちゃったんだというふうに受け取ってました。


-------ディクソンへの注目-------

(ケイケイさん)
 それと、私はビクターと同じくらいディクソンにも注目して観てしまいました。

ヤマ(管理人)
 彼の描き方に漫画的なカリカチュアライズがされてないのは、よかったですね。悪めを負わされる役どころってことであって、決していかにもな悪役ではありませんでした。

(ケイケイさん)
 『オアシス』を観て、主役二人の周りの人に憤慨しながら、でも自分もこの人たちと同じでないとは言い切れない思いがよぎり、すごくガツンとやられたのですが、この作品ではソフトですけど、ディクソンって観客よりの人ではないかなと思いました。

ヤマ(管理人)
 ちょっと世知辛い小心者で職務に忠実な生真面目タイプですよね。例の薬の持ち込みだか持ち出しだかの件でも、ディクソンは杓子定規で執拗だったけど、悪事を行ったわけではなく、自身を有能に見せたいが余りの張り切りを運悪くビクターに足元掬われたわけです。ビクターは、あれで空港労働者のヒーローになり、ディクソンは、監察官にたしなめられましたが、元々はディクソンが彼に声を掛けてあの場に呼び出し、墓穴を掘ったようなもので、悪人には描かれていない彼は、ちょっと気の毒でさえありましたね。
 その後の嫌がらせには悪意は潜んでいましたが、悪事は働いていませんし、結局ビクターは、ディクソンが何かする度に空港生活者としての足場を強化してことを得たわけで、結果的に、最大のサポーターないしはトレーナーの役割を果たしていたとも言えますよね(笑)。

(ケイケイさん)
 上司の「ビクターに学べ。」って言う言葉は、観ている人に向けられたような気がしましたね。

ヤマ(管理人)
 上司が言うビクターとディクソンの一番の違いっていうのは、きっと優しさとか冷たさってことより、人心掌握力なんですよね。

(ケイケイさん)
 あーそうですね!上手いですねヤマさん!
 私もじっと考えていて、頭と心を柔軟にということかな?と思っていたのですが、ヤマさんの表現が一番当っていると思います。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。なんか嬉しいですね。

(ケイケイさん)
 ビクターは鳴かぬなら鳴かせてみせようの秀吉だな、と思っていたのですが、秀吉こそ「人たらし」で出世した人ですもんね。

ヤマ(管理人)
 たくさんの部下を持つというのは大変なことですから、上司にそれがなくても一定機能するように、システムというものを組織は備えてますが、機械システムだけならともかく、マンパワーによるシステムにはやはり統括者の人心掌握力というものが問われますね。そういう意味での適材適所が果たされている組織は極めて稀ですが(笑)。
 でも、人心掌握力って学べと言われて真似ようもないことのような気もしますよね(笑)。


-------そして、ケイケイさんの掲示板へ-------

『ターミナル』拝読 投稿者:ヤマ  投稿日: 1月 9日(日)14時15分
 ケイケイさん、こんにちは。
 僕の昨年の観納めが『ターミナル』でしたが、日誌綴らなかったのに、拙掲示板で談義が盛り上がり、大いに楽しんでおります(礼)。
 「ビクターに感情移入しながら、どうもディクソンも憎めない」とお書きのように、ディクソン管理所長代理を漫画的悪役に仕立ててないとこがいいですよね。御指摘のように、ディクソンも所長の引退を「待つ人」でしたし、アメリアも、そういう意味では愛人の離婚を「待つ人」でもありました。でも、ビクターの待ち方が最も粋で、人々の支援を得られて願いを叶えるに至ったわけですが、ディクソンのサインなしには発効しない一日限りの特別ビザを結局発効させない形でビクターに入国させてしまっては、ちょっと整合性が…ってな気がしなくもありません(苦笑)。
 やっぱり警備の現場職員達に後押しされてっていう盛り上げ場面を出したかったんでしょうね(笑)。そのためにはディクソンがサインしちゃったら、そうは盛り上がりませんから。そんなふうに考えると、どこまでいってもディクソン氏はワリを食ってしまう役どころでしたね〜(笑)。

続き 投稿者:ケイケイ  投稿日: 1月10日(月)01時51分
 >ヤマさん
 >ディクソンのサインなしには発効しない一日限りの特別ビザを結局発効させない形でビクターに入国させてしまっては、ちょっと整合性が…ってな気がしなくもありません(苦笑)。

 そうなんですよ!私もここまで「待つ」ということにこだわったのに、この展開は何?と思ったのですが、「僕かの」でも数々不問にしたのに、ここでツッコミ入れると、器が小さいぞと思い直しました(笑)。
 ディクソンの晴れやかな顔も引き出したことですし、やっぱりあれで良かったかもですね。(^^)

ズキっ!(笑) 投稿者:ヤマ  投稿日: 1月10日(月)09時55分
 ケイケイさん、こんにちは。
 「ここでツッコミ入れると、器が小さいぞと思い直しました」というのは、まさしく僕が『ターミナル』の日誌を綴るのを見送った理由でしたよ(苦笑)。なんか書くとついついそんな話にばかりなりそうでしてね。
 だって、よかったとこなんて、まるで観たまんまなんで敢えて言葉にする余地ないんだもん(笑)。でもって、例の好事家話に偏ったとこだけ日誌にするのも何かヤだし(苦笑)。

今日は 投稿者:ケイケイ  投稿日: 1月10日(月)21時47分
 >僕が『ターミナル』の日誌を綴るのを見送った理由でしたよ(苦笑)。

 あー、そうなんですか。わかりますよ。
 せっかくお正月でほのぼのしているのは本当なんですから、自分で水差すのはイヤですよね。私も悩みながら感想には書きませんでした。

 >でもって、例の好事家話に偏ったとこだけ日誌にするのも何かヤだし(苦笑)。

 好事家話は掲示板かメールですよ(笑)。私はネットは掲示板から入ったんです。この日記を書き始める時、掲示板で書くのと同じだから、そんなに苦労はしないだろうと思っていたのですが、これがいざ書き始めると、微妙に違うんですね。
 以前は人様のレスに触発されて、自分の感想がまとまっていったのが、自分一人でまとめないといけませんもん。好きに書けるけど、結構孤独ですよね(笑)。好事家話を日誌に綴るのは、もっと孤独ですよ(笑)。こっちはいらんちゃちゃ入れながら、脇道にそれながら、わいわい掲示板で盛り上がるに限ります。(^^)
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推薦テクスト:「映画通信」より
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10442&pg=20050107
推薦テクスト:夫馬信一ネット映画館「DAY FOR NIGHT」より
http://dfn2011tyo.soragoto.net/dayfornight/Review/2004/2004_12_27_2.html
推薦テクスト:「神宮寺表参道映画館」より
http://www.j-kinema.com/rs200412.html#terminal
推薦テクスト:「FILM PLANET」より
http://homepage3.nifty.com/filmplanet/recordT02.htm#theterminal
by ヤマ(編集採録)

'04.12.25. TOHOシネマズ5



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―