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東日本大震災で分かったこと


東日本大震災の前後の地殻変動

 我々が立っている地殻は日々少しずつ動いています。阪神淡路大震災以降、GNNSと呼ばれるGPSよりはるかに高精度の位置観測衛星システムによって日本の各地にある観測点のデータが日々観測され研究されるようになりました。GPSが誤差10m程度であるのに対して、GNNSは誤差0.5cm程度という精度で位置を観測することができます。
 図はGNNSで観測された東日本大震災前後の東北地方の観測点の動きを示したものです。左の図は発災4日前で、長い矢印はその方向に1日で最大3cm動いたことを示しています。複数の観測点が同時に1日に2cm以上動くことはないので、何か重大なことが起こる前兆のように見えています。
右の図は地震直後の各地点の動きです。東日本大震災は東北地方を太平洋側に大きく引っ張っ田結果、宮城県の観測点は最大6mも東に移動しました。
 このような大きな移動(滑り)が観測されたのは初めてだったので世界中の研究者が驚きました。
(図は『巨大地震を1週間前につかめ』(上部一馬著からの引用)

東日本大震災後の日本列島の動き

 さらに世界中の研究者を驚かせたのは、東日本大震災以降、東北地方の移動(滑り)がとまらず、5年間にわたって毎年最大1m以上も移動(滑り)し続けていることです。
 左の図は東日本大震災以降の5年間に日本の各地点がどう動いたかを表したものです。赤い矢印は5m以上、オレンジの矢印は3m以上、ピンクの矢印は1.5m以上、緑の矢印は0.5m以上動いたことを示しています。
 太平洋プレートが西に進む速度年間約10pに比べてこれらは驚くべき大きさです。(この動きは地表だけでなく厚さのある地殻としても動いていると考えられ、 地殻が変形しない固体でなく伸び縮みする粘弾性体であるためと考えられています)

このように北米プレートの大きな部分が動いたストレスは、フィリピンプレートの圧力を受ける関東や西日本にも力学的な影響を与えると考えられます。
 つまり、巨大地震は互いに無関係でなく、次の巨大地震の引き金を作っていたといえるかもしれません。
 (図は地震予兆研究センターのレポートからの引用)