地震防災情報HP























































































































































































都筑区勝田南の被害想定


横浜市に最も大きな影響を与える地震は首都直下型地震と相模トラフ地震です。
首都直下型地震は『3大地震の時間軸上の関連性』にも示したように鎌倉時代の昔から何度も経験していますが、震源が分かっていません。国(中央防災会議)では19種類の震源を想定して地震被害想定を検討しましたが(H25年12月発表)、都心南部直下地震を最も重視する代表例として報告しています。
神奈川県は国の報告書を受けて国と同じ手法で評価したので(H27年3月)当然同じ地震に対する被害想定をしていますが、横浜市は国より先行したため(H24年10月)都心南部直下地震は評価していません。また、国や県との震源モデルの違いからなのか、同じ元禄関東地震に対して想定震度は1段階弱く計算しています。
(参照:県と市の地震被害想定の相違)

防災対策をする上では最も大きい被害を想定すべきなので、ここでは国の震度分布と大体同じ評価をしている神奈川県の被害想定に基づいて概要を示します。

都心南部直下地震の被害想定

次図は都心南部直下地震の場合の想定される震度分布です。(横浜市北部と川崎市の部分)

都心南部直下型地震M7.3が起きた場合、川崎市全域、都筑区、港北区のほとんどが震度6強の揺れになると想定されています。(震度分布の赤線の楕円で囲んだ部分が都筑区です)

ちなみに都筑区の中の勝田南の位置は次図の赤線で囲んだ部分です。



液状化は横浜市では沿岸の埋め立て地と鶴見川沿いで大きいと予想されていますが、都筑区ではほとんどのエリアで影響がありません。


次図は都心南部直下地震M7.3の場合の建物の全壊棟数と
焼失棟数の分布の想定です。

都心南部直下型地震M7.3が起きた場合、川崎市の全域と港北区、鶴見区、神奈川区、中区、南区などでエリアで250mメッシュ当たりの建物全壊棟数が10以上20棟未満です。しかし都筑区では多くのエリアで250mメッシュ当たりの建物全壊棟数は1以上5棟未満で、場所によって5以上10棟未満のところがあります。
(250mメッシュとは計算に用いた縦横250mの区画の意味です)

勝田南の面積は250mメッシュの約3.5個分なので、勝田南の建物の全壊棟数を上の分布図から読み取ってみましょう。水色2メッシュ、濃い青色1.5メッシュとやや多めに見ると、全体で9.5〜25棟と読むことができます。1丁目2丁目合わせて1150世帯(19年7月時点)のうち、全壊棟数は10〜25棟とすると、半壊はその3倍程度あるので、全半壊する建物は40〜100棟になると想定することができます


火災による焼失棟数は港北区では住宅密集エリアで250mメッシュ当たり50棟以上、101棟以上の場所がありますが、都筑区では北部の一部の地域で11棟以上51棟未満の場所があるほかは焼失する建物はほとんどないという予想になっています。
★焼失棟数は各戸での初期消火が十分に機能する前提で計算していますが、都筑区だけで見ても消防車の台数は〇〇か所以上で同時に出火した場合出火元からの延焼を防げないので、これはかなり楽観的な予測のように思われます。

相模トラフ地震の被害想定


次図は相模トラフ地震M8.0(元禄関東地震モデル)の場合に想定される震度分布です。(横浜市北部と川崎市の部分)

元禄関東地震のようなM8.0レベルの相模トラフ地震がが起きた場合、神奈川県の湘南エリアの多くと横浜市川崎市の沿岸の地盤の弱いところで震度7の揺れになり、それ以外の多くの地域で震度6強の揺れになると想定されています。(震度分布の赤線の楕円で囲んだ部分が都筑区です)


液状化は都心南部直下型地震よりさらに広がると予想されていますが、都筑区では東山田の一部を除いてほとんどのエリアで影響がないようです。


次図は元禄関東地震M8.0の場合の建物の全壊棟数と焼失棟数の想定です。

神奈川県南部、横浜市南部は都心南部直下地震より建物の全壊棟数がずっと多くくなっていますが、都筑区はあまり変わらないようです。 建物の焼失棟数も変わらず「ほとんどゼロ」という予想になっています。

分布図から勝田南の建物の全半壊棟数を読み取ってみると、元禄関東地震M8.0の場合も都心南部直下地震M7.3とほぼ同じで1丁目2丁目合わせて全半壊棟数は40〜100棟になると想定することができます



定量的な被害想定


神奈川県による都心南部直下地震、元禄関東地震の二つのモデル地震に対する被害想定を抜粋して整理すると次のようになります。







都筑区のニュータウンは1985年以降に建てた新耐基準の家屋が多く、しかも地盤が固いので大きな揺れになりにくく、勝田南は比較的被害は少ないと考えられます。またニュータウン地域の水道管や下水管、ガス管なども新しくポリエチレン管など耐震性の高いものが多いので破壊的影響は受けないと考えられ、ニュータウンが多くを占めている都筑区は横浜市では最も被害が少ない区と予想されています。
それでも、神奈川県の想定によると上水道の復旧完了日数は都筑区では南部直下地震、元禄関東地震ともに7日間かかるとなっています。同じ地震でも港北区では18日〜21日要すると想定しているのは、水道管が古いことと液状化により破断箇所がずっと多いためと考えられます。
電力の復旧は都筑区、青葉区、港北区で違いがなくいずれも12日となっています。電力が回復するまでは携帯電話の中継基地も回復しないので、12日間は携帯電話・スマホの通信がが途絶える可能性もあります。
都筑区では通信(電話)復旧は7日間と見込まれています。


神奈川県では都心南部直下地震による(直接的)被害総額は15.1兆円、元禄関東地震による(直接的)被害総額は53.4兆円と試算しています(いずれも神奈川県内のみの数時)。
元禄関東地震の被害額が大きいのは何といっても広い地域で震度7を記録することと、大きな津波で湘南海岸沿岸と東京湾沿岸に大きな被害が生じることによります。都心南部直下地震は実は都心南部だけでなく都心の東側全体とそれに接する千葉県の西部が地盤の弱い地域であるため震度6強となると想定されていて、東京の被害が非常に大きくなると国(中央防災会議)の報告書では示されています。

ちなみに内閣府の公式発表では、阪神淡路大震災で13.3兆円、東日本大震災で16.9兆円という(直接的)被害総額ですから、どちらも二つの大規模地震を大きく上回る恐るべき被害となると想定されていることが分かります。