長谷川鍼灸院 〜自然の流れに沿った「自然な治療」〜

適応症


適応症は「まあ何でもござれ」です

☆鍼灸治療として有効な疾患

適応症は「まあ何でもござれ」ですが、わかりやすくする為、当院にて治癒及び改善したもの(思いついた一般的な病名の65の疾患)を簡単な解説とともにまとめて列記してみました。

これらの疾患には、それぞれの傾向があるので、その改善が必要という意味をもっています。ただし、それぞれ毎回所見も変わるので、処置法もその時の身体を診て組み立てます。「何病にどう効く」「何日くらいもちますか」と考えるよりも、「今の身体を整えるのにどうしたら良いだろうか?」と考えてください。それが治療になるわけです。そして整えられてくると、身体のあちこちの症状はだんだん減ってきます。



『消化器系疾患』

「口が渇く」

 日ごろのストレスから交感神経の緊張がもたらす場合が多いので、緊張を解し緩和されてこれば唾液も分泌しやすくなります。また、夜寝る時に口をテープで止めて寝ると朝の口の渇きは減ります。他に「喉が渇く」場合は「糖尿病」も考えられます。

「口内炎・歯肉炎」

 消化機能が弱まり扁桃の弱体化による免疫力が低下した状態に、口呼吸で口腔粘膜の乾燥が引き金になることが多いので、この改善でだんだん減ってきます。人間の基本呼吸は「鼻呼吸」です、その為にも口が渇く時と同じに、夜間の口テープで鼻呼吸になります。

「胃痛」

 暴飲暴食、食あたりや、ストレス等原因は様々ですので、それに合った治療法を組み立てます。

「食欲不振」

 自律神経の交感神経が緊張していると、副交感神経が関与する消化器系の働きが鈍ってくる。これにより胃のほうで食事を制限して、「今食べても消化しきれないです」という信号を送ってくるので、食べたくないのです。消化準備ができやすいように、脾胃の働きを調節し、自律神経も整えなければなりません。

「食あたり」

 悪いものを食べて、身体に毒素が入った状態。速やかな毒素の排出と、解毒作用により改善されてきます。自然には「嘔吐・下痢」をしますが、身体に入って悪いものは早く出す為に「嘔吐」します。まだ毒素の程度が弱い場合は「下痢」になります。一般に、吐き気止めや下痢止めで症状を早く抑えようとしますが、「悪いものは出す」という為にも、これを無理やり止めてはいけません。

「二日酔い」

  飲みすぎた次の日、気持ちが悪く食べられませんよね。これは肝がアルコール分解で疲労しきった状態ですので、肝を十分に補ってやれば大丈夫です。僕も何度救われたことか・・・。

「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」

 潰瘍は一般に「ピロリ菌」によると言われ、ピロリ菌を諸悪の根源として除去しようとします。見方を変えてもう一歩引いて考えてみます。自律神経の交感神経優位(ストレス)が続くと、白血球の中の「顆粒球」が増えます。この顆粒球は粘膜下で死に、粘膜では「活性酸素」を多く発生させます。この活性酸素が多い状況はピロリ菌が大好きな環境なので、これが持続すると潰瘍を発症するわけです(十二指腸潰瘍も順ずる)。つまり、ピロリ菌をやっつけるのではなく、ピロリ菌が繁殖しにくい状態に持っていけばいいのです。ストレスを減らし、交感神経の緊張を抑制してやることが大事なのです。ちなみに胃潰瘍は高齢者に多く、十二指腸潰瘍は若年者に多いです。

「慢性虫垂炎」

 虫垂炎にも鍼が効くの?ってイメージですが、慢性化したものには効きます。急性虫垂炎は手術が必要ですが、慢性虫垂炎は急激な症状はないので改善されてきます。脾の経絡の調節が必要ですが、免疫、お血の改善も必要です。

 また、昔の盲腸の傷が、色々と影響を出すこともありますので、その手術箇所の血流改善で、諸症状の緩和に繋がることも結構あります。

「過敏性大腸症候群」

 これも自律神経の失調によりおこり、結腸の運動、分泌機能の異常で、腹痛、腹部不快感、腹部膨満、腹鳴、下痢、便秘、交替性便秘異常等の症状を現します。原因としては緊張性のストレスの他、下剤の乱用、刺激性の浣腸等が挙げられる。おのずと自律神経の調節が不可欠であり、脾、肝、胃、大腸の調節も必要になる。

「下痢・便秘」

 消化器系は副交感神経の働きで、スムーズな状態を保ちますが、ここにもストレスの継続や、排便の時間が決まっていなかったりすると、排便のリズムもおかしくなり発症もしくは慢性化へと繋がってくる。主に「下痢」は、男性や冷え性の女性に多く、「便秘」は女性や太り気味の男性にも多い。これも、無理やり症状を取ることを考えずに、体質の改善を中心とした治療が必要となってきます。

「痔」

 便秘や、出産時に発症しやすいです。肛門の周りにある血管は、おもに肝臓に入る肝門脈なので、肝の異常があれば必然的に肝門脈の流れも悪くなります。この静脈(下直腸静脈)の鬱血した静脈瘤を痔核といい、痔核は肝に関与することが多い病気です。そして免疫強化も必要になってきます。

「脱肛」

 排便時内痔核が糞便と共に脱出し、それが習慣となり、肛門括約筋の弛緩も加わって脱出を増強するので、肝の調節とお灸が効きます。

「肝臓疾患」

 肝の話がこのHPのあちこちに出ています。肝って何をする臓器なの?と疑問がわきます。まず肝の機能は「胆汁の生成」「グリコーゲン合成」「蛋白質の合成」「蛋白質から糖あるいは脂肪への変換」「尿素の生成」「脂肪の燃焼」「無機物質の貯蔵」「解毒作用」「ビタミンの貯蔵」「ホルモンの不活性化」「胎生期には造血」「体温調節」「血液配分の調節」「肝・脳の相関的作用」等多岐にわたる身体に大事な作用盛りだくさんです。また、東洋医学的に考えると、「筋」「爪」「目」に関わりを持ちます。そんな大忙しの肝って本当に大事ですよね。

その肝に異常がでれば、あちこちおかしくなるのもうなずけます。この肝の影響からくる症状としては、「黄疸」「腹水」「発熱」「嘔気」「嘔吐」「悪寒」「右肋骨際の痛み」「食欲不振」「全身倦怠」「易疲労」「イライラ」「気弱」「根気がない」「頭痛」「不眠」「不安」「脂肪食嫌悪」「皮膚の痒み」「蕁麻疹」「めまい」「出血傾向」「発汗」「生理不順」「性欲減退」「乳腺症」「夜盲症」「臭覚減退」「涙目」「視力減退」「筋萎縮」「筋痙攣」など等、色々な症状に関与しています。

また、皆さんが病院で「肝臓の数値が高いですよ」と言われた時、主な検査ででやすいものを挙げてみます。

「GPT」(10〜40IU/l)これは肝臓に多く含まれる酵素でアミノ酸を作る働きがある。肝細胞が壊れるとこれが血液中に流れ出すので、肝障害の程度を見る目安になる。

「GOT」(5〜40IU/l)GPTと同様に肝障害の目安になるが、心筋や他の筋肉にも含まれるので、心筋梗塞等も考えられてくる。

「ALP」(115〜359IU/l)リン酸化合物を分解する酵素です。血液中に出るのは主に肝臓、骨、小腸からで、これらの臓器の異常時に増加します。

「血清ビリルビン」(0.2〜1.0mg/dl)胆汁の黄色の素になるものだが、肝臓病悪化に伴い多くなり、「肝性黄疸」「白目が黄色くなる」「白っぽい便」等を現す。肝疾患の目安として診る。

「γ-GTP」(男70IU/l以下、女30IU/l以下)アルコール愛飲家に多く出る。アルコールで肝臓が障害されると異常値を現す。

これらの検査(他にも肝臓に関するものは多いですが)の数値を減らす為に色々な薬で対応しようとします。でも、なぜ数値が上がったか?そこが大事ですよね。つまりこれも身体の調節が不可欠ですよと訴えているのです。肝の調節は、自律神経を中心に、血流、免疫、オ血、門脈血流改善、ホルモン調節と、身体の反応に沿って治療もバリエーション豊かです。

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『呼吸器系疾患』

「花粉症」

 街で多く、田舎で少ない、現代社会の多くのストレスにより発症します。ストレスを完全に無くすることは無理ですが、扁桃強化と自律神経調節で緩和、改善されてきます。アレルゲン対策も大事ですが、まず生活を整えることが大事な疾患です。

「風邪・慢性微熱」

 日本人は平均して年に4〜5日は風邪を引いていると言われます。扁桃の弱体化と身体の弱りからくるもので、暖かくして、ゆっくり休めばたいてい治ってきます。38度以上の熱がある場合はまずゆっくり休んでください。38度以下ならば鍼灸対象になります。そして慢性化しているものは扁桃強化と自律神経調節等が必要になってきます。

「咳」

 冷えや、扁桃の弱体化により粘膜の炎症をおこしたものも多く、痰を伴う咳と、痰を伴わない咳で治療は変わります。

「ぜんそく」

 夜間の発症が多く、気道狭窄で呼吸困難を引き起こします。特にアレルギー性喘息は、アレルゲン(そば、ピーナッツ、エビ等)の摂取で体が拒否反応を起し、粘膜の膨隆によって発症しますが、時間をかけて体質改善をしていくうちにだんだん症状が緩和されて、発作も小さくなってきます。老人性喘息も同じです。

「鼻血」

 寒冷期に多く、免疫力の低下に伴い鼻粘膜の毛細血管を維持する働きが弱くなるので、免疫、鼻粘膜強化で改善されてきます。また、のぼせによる鼻血は血流の調節と、粘膜の調節で出ないようになります。

「鼻閉」

 鼻水が鼻控内にいっぱい詰まっているようなイメージですが、鼻控内の粘膜が肥大して空気の通り道を塞いでいるので、粘膜の血流をよくしてあげるだけでも肥大した粘膜も小さくなり空気は通りやすくなってきます。

「蓄膿症」

 鼻の奥の痛みや臭い、いつまでもあるのは嫌ですよね。これは腎の弱りが考えられますので、一番の処置は腎の強化です。そして、肺・大腸時には胃の調節が必要です。

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『頭部・脳』

「頭痛」

 頭を締め付けるような痛みは「ストレス」もしくは「頚椎異常」。拍動性の片頭痛は「脳血管の異常」がそれぞれ引き金になる。これもストレス関与が大きいので、その対応も必要です。薬で抑えて抑えてを繰り返すと、どこかで大きな爆発がきますのでご注意ください。

        

「めまい」

 めまいがすると、「メニエールですね」なんて簡単に言われる場合がありますが、そうではない場合も多々あります。フラフラめまいは「肝の弱り」が関与、ぐるぐるめまいは「腎の弱り」が関与。それぞれの調節が必要です。

「うつ病・パニック障害」

 お医者さんに「あなたはうつ病です」とか「パニック障害」だとか言われると、それだけで症状も悪化していきます。誰でも体調の悪い時には気分はすぐれませんよね。つまり体調をよく、気持ちのいい身体になれば症状は減ってきます。真面目な人に多く、ストレスが過度になり自律神経失調症の強くなった状態で、この調節が一番大事になります。あまり気にしないで。

「不眠症」

 精神的なものから内科的なものまであります。いずれも自律神経のバランスが崩れて、活発に働く作用を持つ交感神経が緊張して、夜リラックスして眠る時に働く副交感神経が働けない状態なので、交感神経緊張を抑制してやればよいです。

 皆さんは、眠れない時に「自分の生活上の問題点」を考えていないですか?「明日○○しなければ」「○○がやっていないどうしよう」「○○さん大丈夫だろうか?」等です。これでは気持ちが緊張して余計に眠れません。こういった難しいことは考えずに、「楽しいこと」「気持ちいいこと」など、「心が和む」ことを考えて床に入ってください。「あの時楽しかったなあ」「あそこの料理美味しかったなあ」「あそこの景色最高だったなあ」など考えると、自然にリラックスしてきます。眼を閉じてニヤニヤしてください、気がつくと朝です。

「顔面神経麻痺」

 これもストレスのかかりすぎや、完璧主義な几帳面さが発症原因となる場合が多い。眼が閉じない、口が閉まらない、頬の中に食べ物が残るなど、日常の生活に大きく支障が出てしまいます。そしてなによりも見た目が悪いので早く何とかしたいです。顔面を巡る経絡の弱りを強化する治療で改善されてきます。特にお灸が効きます。

「中耳炎」

 耳鼻科にかかると、長期治療の必要な症状で、処置に通ってくださいと言われます。免疫力低下によることと、自律神経も関与するので、その改善で緩和されてきます。

「眼精疲労・飛蚊症・緑内障」

 眼の疲れや眼がしょぼしょぼする。ゴミのような黒い点が常に見える。眼圧が高く目が痛い。東洋医学では目は肝の窓といいます。肝の疲労からくる場合が多いので、肝の調節で改善される場合が多いです。あと眼の周りの血流をよくする事も大事です。

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『身体全体』

「疲れやすい」(易疲労)

 毎日何もしていないのに疲れて疲れて。これは病気ではないので、「どうもない」とよく言われる状態ですが、東洋医学的には重要視いたします。様々な原因により、体全体に栄養やエネルギーが不足した状態。腎の強化及び血流の改善で症状緩和してきます。治療前と治療後の身体の軽さの違いを試してみませんか。

「冷え性」

 これも病気ではないので「暖かくしてください」位しかいわれない症状です。「易疲労」同様に東洋医学では重要視します。西洋医学で気にするのは「熱」です。「ここが熱を持っているので冷やしてください」とか、「体温が39度あるので座薬を出しましょう」と「熱」に対して過敏に反応します。しかし、「冷え」に対してはあまり気にされないのが事実です。特に女性に多いのですが、低血圧、子宮の影響、ホルモンバランス、自律神経失調等が原因とされる血流障害ですので、それぞれの改善で症状緩和します。そして、「手足の冷え」は「血流が悪い」ので、冷えを伴った症状が出ている時は、まずこの冷えの改善が重要視されます。これが東洋医学の基本です。

「のぼせ」

 カーっと上半身が暑くなって、汗が出る場合、比較的足が冷たい事が多いです。「私は汗かきなの、冷やさなくては・・・」という方結構いるのでは?。これは、「気」の上昇で上が暑くなり、足は冷えている。根本には「冷え」の治療になる場合が多いです。鏡で自分の「舌」を見ると「白っぽく力がない」時や、「脈が探せないくらい弱い」場合、「冷え」だと考えられます。

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『婦人科系疾患』

「更年期障害」

 50歳前後の閉経期に伴い、ホルモンバランスが崩れ、肩こり、のぼせ、不眠、頭痛、めまい、冷え、腰痛、膝関節の痛み、等などの不定愁訴を訴える。自律神経調節と骨盤内の血流改善で症状緩和される。最近では、若年性更年期障害というものも現れているが、ダイエットや、不規則な生活が原因となる場合が多いので、生活改善も必要である。

「不妊症」

 おもに子宮の機能異常とストレスの関与です。リラックスした環境が懐妊への近道、焦っては駄目です。交感神経の緊張緩和と、子宮への血流改善が必要です。中には男性に問題がある場合もありますが、この場合夫婦揃っての治療が望ましいです。

 一般的な不妊治療で「ホルモン療法」というのがありますが、参考までに付記しておきます。本来女性ホルモンの「エストロゲン」というものは、女性が一生涯に分泌する総量を計るとティースプーン1杯だけです。たったこれだけなのに一生身体を維持管理するわけです。つまり、一回の分泌量はほんのわずかですが、そこに脳の視床下部からの命令を受けて、「あなたは子宮へ」「あなたは卵巣へ」と目的をもってそこだけに行って、そこだけに作用して余分なことはしません。しかし体外から入れるホルモンは何の命令も受けていないので、どこで何をしてよいのか判らないから、頭の天辺から足の先まで全身に行き渡り、その中の一部が子宮なり卵巣なりで作用してくれるのです。他は体中で余分なことをしてくれるので、のぼせ、頭痛、めまい、食欲不振等の自律神経失調状態を表わします。子供が欲しいけど出来ないということは、身体が準備できていないよというサインです、慌てないで。

「子宮筋腫」

 これもホルモンバランスを崩した状態です。一般的には手術で腫瘍を取り除く場合が殆どですが、小さいものはなくなる場合もあります、大きなものは小さくなってきます。自律神経の調節と共に、子宮の血流を改善が必要です。他にも身体の緊張を緩め、リラックスした生活も必要になります。つまり、ストレスが原因となる場合が多いものです。

「月経困難症」

 子宮内膜症や子宮発育不全、子宮筋腫等の子宮疾患が引き金になり、月経時の強烈な下腹部の痛み等で、3日〜5日位日常生活に大きな支障をきたします。免疫力の強化、内分泌機能の調節、「お血」という血の流れが悪くなった状態の改善と共に、各臓器の調節により徐々に症状改善されてきます。

「生理痛」

 子宮疾患もしくは、ホルモンバランスの異常によるものが多いです。比較的多いのが月経の時に子宮内膜がスムーズに剥離できなくて、子宮の収縮で何とか剥がそうとする収縮痛が生理痛です。これにも「お血」の関与が考えられるので、自律神経調節及び「お血」そして、「肝、腎、脾」の調節で症状緩和されてきます。

「生理不順」

 基本的には28日周期で月経がありますが、その周期が長かったり、短かったり、バラバラだったり、身体がリズムよく働いていない状態です。おもに冷えやストレス、ダイエットが関与し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌低下が原因です。ホルモンバランス調節が必須になってきます。「月経」が順調だと、体調も崩れにくいです。

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『泌尿器系疾患』

「膀胱炎」

 残尿感、排尿痛、下腹部痛等を現します。男性よりも女性のほうが多く、冷え等による血液循環の悪化が細菌を繁殖しやすくし、この免疫力の低下と内蔵下垂、疲労、等が重なってくると発症しやすくなります。免疫強化、血流促進と、内蔵下垂の改善で緩和されます。

「頻尿」

 1日に10回以上の排尿回数。おもに下腹部軟弱により膀胱が圧迫されて、尿の許容量が少なくなって起こる場合は、下腹部強化が必要です。また、糖尿病等の水分多量摂取でも必然的に増えますが、その場合は糖尿の治療を優先します。

「夜尿症・尿失禁」

子供さんのおねしょや、高齢者の排尿後にチョロっと出てしまう時、トイレに間に合わずに出てしまうなど、東洋医学的には「肝」の弱りと考えます。肝の強化と、自律神経調節が必要です。

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『皮膚科疾患』

「アトピー性皮膚炎・じんましん」

 皮膚科では、痒みを止めるためにステロイド剤を塗布しますが、体の中から悪い毒素を出そうとしているのに、無理やり閉じ込めてしまえば、また出てきます。悪いものは出して、体の浄化作用や解毒作用を正常にしていけば、治ってきます。これにもストレスが関与していて、免疫と自律神経調節が必要になってきます。

「かゆみ・乾燥肌」

 やたらいつも(結構同じ所に出やすい)ここがかゆいとか、皮膚の乾燥は、皮膚自体の守りが弱くなったものです。ちょっとぶつけても、掻きむしっても、すぐに皮膚が切れて血が出てくる。皮膚自体は免疫に関わりがあります。つまり身体の守りが弱くなり、皮膚もしっかり維持できなく、過敏になる為にかゆみも出やすくなってきます、免疫力の弱さの現われですね。

 いつも同じ所がかゆい場合は、そこの経絡が関与している場合もあり、そこの流れをよくする事も大事です。

「イボ・タコ・魚の目・脂肪腫」

 これも経絡に関連している場合が多いです。

タコや魚の目は直接お灸で焼けば根っこから取れてきます。

イボは親イボがあればそこだけお灸をすえて焼けば他は取れます。

脂肪腫は、経絡の流れを整えて、その部分に流れが出来るようになればだんだん小さくなってきます。

「掌蹠膿疱症」(しょうせきのうほうしょう)

 手のひら、足の裏に膿疱ができる病気で、テレビではビオチンが効果があると言われています。これは、免疫力の低下(扁桃の弱体化)が深く関与しているので、この強化と自律神経調節で改善してきます。

「帯状疱疹」

 ヘルペスウィルスに神経の走行に沿って罹患し、水疱状の発疹が帯状に連なり、大変痛い発疹です。日本人でヘルペスウィルスを持ったキャリアーは二人に一人の割合で結構多いです。疲れたとき、口の角に水疱ができる時ありますよね、この人はキャリアーです。帯状疱疹の場合は、本当に身体が弱っている時に現れます。免疫力を強化して、身体に体力をつけ、お灸で治ってきます。

「虫刺され」

 これは身体に毒素が入って、拒絶反応を起して痛みやかゆみを出す状態です。解毒のツボで十分な代謝を行えば早く治ります。

 「蚊」に刺されたものなどは、「長谷川考案・蚊のタバコ灸」で効きます。やり方は、刺された所に線香やタバコの火を皮膚から2ミリ位まで近づけると「ジカッ!」と熱さを感じます(ただし皮膚に火を接触させないように気をつけてください)、それを3〜5回繰り返せばかゆみはたちどころに消えます、また赤く腫れたものも知らないうちに消えます。本当によく効きます。これは、僕が20年位前に考案してやっているやり方ですが、患者さん絶賛です。子供さんの場合は火を怖がるので、湯飲みに熱いお湯を入れて、刺された所に湯飲みの横をチョンチョンと当ててください。これでかゆくありません。「蚊のタバコ灸」も、ダニに刺された場合は、次の日にぶり返しますので、もう一度やってください、これで治ります。

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『代謝性疾患』

「痛風」

 尿酸産生過剰もしくは尿酸排泄障害による尿酸異常増加で関節(特に足の第1趾)に激痛をもたらす。痛風患者の八割近くが腎機能所見を持っていますので、高血圧や動脈硬化が並存し、脳卒中や心臓病の危険があると言われています。おもに尿酸低下剤を用いて痛風発作を抑えるが、肝機能、腎機能、自律神経調節が必要です。症状を抑えるだけでなく、肝、腎の調節が大事だということです。あと、日頃の健康管理も再発防止の為に必要です。

      

「糖尿病」

 糖尿病は大きく分けて欧米型と日本型があります。欧米型は太って食生活の乱れから発症するのに対し、日本型はストレスによる交感神経の緊張が膵臓のインスリンの分泌を抑制し血糖値があがるのです。明らかに肥満している人以外食事制限は逆効果、ゆっくりリラックスして食事を楽しんでください。

 血糖値の正常域は空腹時70〜109mg/dl、糖尿病危険域は空腹時126〜139mg/dl、糖尿病域140mg/dl以上とされている。また最近では「HbA1c」(ヘモグロビンエーワンシー)という検査がある。最近1〜3ヶ月間の平均血糖値を表わすものもあり、正常域は4.3〜5.8%、5.8〜8.0%が糖尿予備軍、8%以上が糖尿病、腎不全、アルコール中毒だと言われる。これには血糖の平均値が表れるので、日頃の健康管理のバロメーターとして役立つ。

 また、糖尿病まで至っていないが、多少血糖値が高めの方の、慢性化した運動器疾患は、症状が治りにくくなっているので、血糖値の調節が重要になってきます。

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『循環器系疾患』

「動悸・息切れ」

 心臓の強い鼓動を感じ不快に思うものを言うが、原因も様々ある。安静時におこるもので「期外収縮」一時的にドキドキするがしばらくすると治まる。

「精神緊張・更年期」は就寝後や起床前に起きやすい。心の調節と、お血や自律神経を整えることが重要です。

 息切れも動悸発症と併発しやすいが、心疾患ばかりではなく、貧血、呼吸器疾患、ノイローゼ等でもおこる。健康な者でも走ったり、激しい労働で発症するが、少し動いただけでも発症する場合は病的である。

「高血圧・低血圧」

 血圧の上と下、上は最高血圧で心臓の収縮時の最大圧力をいい、下の最低血圧は心臓が一番緩んだ時の血管いつもかかっている圧力を言う。この差が大きいと心臓の拍出量が多く血管に負担が大きくなる。動脈硬化があると切れる場合があり命に関わる。少ないと拍出量も少ない。また、下の最低血圧が高いと常に血管に圧力がかかっている。低いと血の流れが悪いと言える。

 高血圧は、上が150mmHg以上と言っていたが、最近引き下げられた(高血圧患者が増えた)。低血圧は上が100mmHg以下、高血圧に比べてあまり重要視されないようであるが、東洋医学的に見ると、血流の悪さが循環の悪さ、しいては各臓器器官に多大な影響を現す。高血圧も低血圧も基本的な治療は腎の強化である。

「浮腫」

 足のむくみは夕方強く心に関与します。また、手や顔のむくみは朝強いもので腎に関与します。治療はそれぞれ異なりますが、基本は利尿促進や肺、腎、脾の調節になります。

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『運動器疾患』

「局所のしびれ」

 一般的には脊髄神経の圧迫により、その神経の分布部に痺れを出すと考えられています。もう一つみかたを変えると、経絡の流れが悪く、筋肉がうまく栄養されていない状態から発症する場合も多々あることを覚えておいてください。しびれは弱り、冷えを現しています。

「打撲・捻挫」

 鍼灸には無縁な感じですが、内出血した部分の血がいつまでも再吸収されずに残っている状態が、痛みを長引かせる誘因になるのです。打撲、捻挫した時は冷やしていいのは受傷して3時間位、初めはこれ以上の内出血を防ぐために冷やして血管を縮めます。その後内出血が止まったら、その出血した血を再吸収させるために冷やしてはいけません(常温)。この再吸収に鍼灸は十分な力を発揮します。また、捻挫の場合は、鍼灸治療後に状態によってはギブス固定をしてもらうと治りは早いです。

「坐骨神経痛」

 誘因は腰部椎間板ヘルニア、ギックリ腰、腰部椎間狭窄症、等などありますが、器質的処置と共に、糖尿病や慢性扁桃炎等の内科疾患の改善が必要な場合が多々あります。

「椎間板ヘルニア」

 椎間板ヘルニアは、脊椎の椎間にある椎間板を構成する線維輪の弱体化によって、中にある「髄核」というゼリー状のものが外にはみ出し、神経を圧迫するもので、一般的には出っ張った髄核を手術で切除するか、腰椎牽引で引っ込める事をします。もう一度この状態を考えてみると、椎間板の線維輪の弱体化で髄核がはみ出すわけですから、この線維輪を強化すれば、自然に引っ込みますよね。身体を整えるということはこういうことです。

「腰痛・ギックリ腰」

 腰部の筋緊張が引き金になる場合が多いですが、その背景には、冷え、睡眠不足、ストレス等の状態があります。慢性的に腰痛もちの方の生活状態を振り返ってみると、思い当たる節があるはずです。その背景と、身体の変調を整えることが大事になってきます。

「肩こり」

 皆さんが言われる肩こりの原因も色々あります。目の疲労、慢性的な疲れ、睡眠不足、冷え、同じ姿勢を長時間、重い物を持つ等など。これも、誘因の一つに過ぎませんが全てストレスになります。では、同じ仕事をしている人も全く同じでしょうか?ここに肩こりのある人と無い人の違いがあります、それは、内科疾患です。肝胆疾患、内蔵下垂、内分泌異常、自律神経失調症、循環器疾患、糖尿、眼科疾患、慢性扁桃炎、心因性、更年期等、様々な原因、誘因を持っています。この改善が身体を整える基盤になり、ある日「そういえば最近肩がこらないよ」となってくるのです。

「五十肩」

 肩関節周囲炎と呼ばれており、50歳前後に発症しやすい、肩関節の運動障害、自発痛、運動痛を起す。一般的には原因不明であるが、発症機序は、生活環境、職業、既往歴、合併症、加齢、疲労から「扁桃」に病変が起こり、それが内分泌異常、自律神経失調をきたし、免疫防御力が低下し、肩関節の負荷増大によって肩関節の弱っている組織へ侵襲する事が考えられる。つまり免疫の低下、お血、血流悪化によるものが大きいので、免疫強化と、お血改善、自律神経調節が必要である疾患です。

「膝痛」

 女性に多い疾患ですが、これも血流が大きく関わってきます。まず冷えのある方が多いのも女性です、つまり足への血流不足です。原因は、内蔵下垂、お血等が考えられます。

 また、膝に水(関節液)が溜まる方みえますよね、身体が調節のために分泌しているものですから、いくら抜いてもすぐに溜まります。循環が悪くなっていますので、その改善で水も流れていきます。

「足がつる」

 これも度々遭遇する方もみえますが、足の血流障害です。原因は多々ありますが、お血や内蔵下垂で足への血流が妨げられる場合と、疲労やストレス、冷え等で血管が収縮し血流悪化等。プールで足がつった場合は、日頃から下腿の筋肉の急激な運動がないのに、いきなり準備運動もなく泳ぎだした時、冷たい水と筋肉疲労で血流を悪化させてしまいます。寝床で夜中に足がつる場合は、前日の疲労ストレスの関与が強いと考えられます。血流改善が必須な症状です。

 応急処置としては、つった足の親指を足背側にギューっと反らせてください、筋肉の緊張ですのでそれを緩める為です。足の裏がつった場合も同じです。

「かかとの痛み」

 歩く時にかかとが痛い方の多くはスリッパやサンダルの生活が多いみたいです。スリッパ等を履くときには、無意識に足の裏の筋肉を縮めて脱げないように履いています。これが足の裏の筋肉や腱膜の緊張を生み、その付着部であるかかとに痛みが出るのです。まずスリッパ、サンダルの生活を見直すのも手です。治療は足の裏は腎が関係するので腎強化と、免疫強化、足底の筋肉の血流を改善して緊張を和らげることが主となります。

「寝違い」

 朝起きて首が回らないなんてありますよね、これは中国では「落枕」と言いますが、「変な格好で寝てたのかなあ」と寝る格好を気にされる場合が多いです。しかし、誘因の一つにはなりますが、発症前日までの体調(疲労、ストレス、冷え、食事、睡眠等)が影響してきます。また、性格的なものもあります。「ヒポコンドリー性基調」とよばれる性格傾向者です。これは内向的で自己内省が強く、自分の精神的身体的状態やその変調異常などに過敏に気付き、これに捉われたり心配したりする性格傾向です。こういった性格の方が無理をした時、胸鎖乳突筋(頚の前の筋肉)や僧帽筋(頚の後ろの筋肉)が強く緊張しやすくなってきますので、その改善と肺、脾の調節で改善されてきます。「私はそんな性格ではないのに」と言う方も、深く考え込む時などは、変に身体が緊張して力が入っている時ありませんか?リラックス、リラックス。

 朝起きたときではなく、昼間にいきなり首が回らなくなるということも時々ありますが、これも寝違えと同じことです。

「ムチ打ち」

 交通事故で追突に遭った、または衝突した。これは身体のダメージがそれぞれ違うので、症状の重軽も変わってきます。追突は、事故が事前に察知できにくいため、無防備でダメージを受けます。衝突は、事故が事前に察知できやすいので、あらかじめ身体が防御する為ダメージは比較的少ないでしょう。

 交通事故のムチ打ちで特徴的なものは、腰や背中に衝撃がくることです。ここは自律神経の交感神経幹が通っている所です、そこを強打することで、交感神経緊張状態を引き起こすので、自律神経失調症と同様な症状(嘔吐、頭痛、不眠等)も現します。頚が痛いという局所的な症状もありますが、自律神経の調節が不可欠になってきます。

「腱鞘炎」

 実例にでている症状ですが、実例にほぼ一致するのが「扁桃の弱り」です。「手首なのになぜ扁桃なの?」と思われがちですが、腱鞘炎をおこす場所は「肺」に関わりを持つ場所なのです。つまり肺と扁桃は密接なつながりがありますので、扁桃(免疫力)が弱れば、肺の流れに影響が出る、そして肺の経絡の炎症反応が出る場所付近に炎症として現れるのです。これが扁桃の調節が不可欠な理由です。

「関節炎」

 関節炎と簡単に聞く名前ですが、それぞれの関節だけが悪いのではなく、これも免疫に深く関連した疾患です。関節炎は炎症を現しているわけですので、炎症イコール免疫力の低下と繋がるのです。言い換えれば免疫力が低下したので炎症が起きたと考えた方がわかりやすいかもしれません。

「関節リウマチ」

 リウマチは難病です、完治は難しいと思います。しかしながら日常生活を楽におくれるようになりたいと考える患者さんは多いと思います。関節の腫脹や疼痛の緩和には十分対応できます。腎の強化と肝・心の調節が必要です。

これらはほんの一部ですが、上記以外の症状改善にも諸症状改善に対応できると思います。

これらの治療は各個人の生活、仕事、性格、遺伝等からだの条件によって変わってきます。軽くて1回の治療で完治するものもあれば、慢性化したものは、体質改善から始めなければなりませんので、何ヶ月もかかる場合があります。何十年も病に苦しんでこられた方は、何十年分の苦痛に耐えてきているわけです。その誘引となるものを見つけ出し、1枚1枚薄皮を剥ぐように、少しずつ整えていけば、必ず何か光が見えてきます。これが「根本治療」であり、鍼灸治療の本領を発揮できるものであると考えています。

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