独断的JAZZ批評 681.

KLAUS IGNATZEK
肩の力を抜いてリラックスして聴ける素性の良いアルバム
"SONGS WE DIG VOLUME TWO"
KLAUS IGNATZEK(p), JEAN-LOUIS RASSINFOSSE(b), ESTEVE PIVENTURA(ds)
2009年8 スタジオ録音 (NAGEL HEYER RECORDS : NAGEL HEYER CD 111)


このアルバムのタイトルに"VOLUME TWO"とあるように、このアルバムは第2作目。1作目は2006年の2月と4月に録音され、"SONGS WE DIG"(JAZZ批評 409.)としてリリースされいる。その第1作はKLAUS IGNATZEKにとって19年ぶりのピアノ・トリオ盤だったというから「嘘でしょう!」と唸るほどの驚きだった。もちろん、そのアルバムに僕は5つ星を献上している。
そして、このアルバムは第2作目として最近リリースされた。メンバーはドラムスがHANS DEKKARからESTEVE PIVENTURAに交替しているが、ベースは同じJEAN-LOUIS RASSINFOSSEだ。
このアルバム、"VOLUME ONE"と同様に有名曲がずらりと並んだ。中でも、CHICK COREAやMcCOY TYNER、HERBIE HANCOCK、WAYNE SHORTER、STEVE SWALLOWなど、比較的新しいミュージシャンのオリジナルを取り上げているのが面白い。

@"IN YOUR OWN SWEET WAY" DAVE BRUBECKの曲で、テーマに続くアドリブでは心地よい4ビートを刻んでいく。極めてオーソドックスだけど、これが良いのだ。軽やかなピアノに続く重厚感たっぷりのRASSINFOSSEのベース・ワークも素晴らしい。
A"WITH A SONG IN MY HEART" 
R. RODGERSが書いたワルツ。最近ではBILL MAYSの"STUFFY TURKEY"(JAZZ批評 637.)の名演があるので参考まで。BILL MAYSを「剛」とすれば、こちらは「柔」だ。良く歌うベース・ソロも聴き所。
B"BUD POWELL" 
CHICK COREAの書いた曲で自身のアルバム(JAZZ批評 290.)でもやっている。なかなかいい曲で、いかにも楽しげに演奏している雰囲気が伝わってくる。
C"SPEAK LIKE A CHILD" 
HERBIE HANCOCKの曲をボサノバ調で。音符の数も適当で非常に聴き易い。
D"SEARCH FOR PEACE" 
McCOY TYNERの曲をしっとりとしたバラード調で。
E"YES AND NO" 
WAYNE SHORTERの曲は一転してハードな演奏を展開。曲の良さと相俟って、高揚感がどんどん高まっていく。コロコロと転がるピアノに続いてPIVENTURAのドラム・ソロが用意されている。
F"I MEAN YOU" 
THELONIOUS MONKの書く曲には独特な節回しがあって、「ああ!MONKだ!」と頷くのであった。RASSINFOSSEのベース・ソロが素晴らしい。
G"OLD FOLKS" 
スタンダード・ナンバー。ここではベースがテーマを奏でる。RASSINFOSSEは相当の実力者だ。ボリュームを目一杯に上げて聴いてみたい。いやあ、痺れるね!
H"FALLING GRACE" 
ベーシスト、STEVE SWALLOWといえば知る人ぞ知るメロディ・メーカー。
I"THE NEARNESS OF YOU" 
スタンダード・ナンバー。実に心地よいバラード。
J"BOBBY'S MINOR" 最後を締めるミディアム・テンポの4ビート。スカッと気分が良くなること請け合い。

ドイツのジャズというと、JORG REITER"SIMPLE MOOD(JAZZ批評 66.)やSEBASTIAN STEFFAN"LOOK AT THE DOORKEEPER"(JAZZ批評 485.)、OLIVIA TRUMMER"WESTWIND"(JAZZ批評 498.)とかMARC PERRENOUD"LOGO"(JAZZ批評 524.)、SEBASTIAN GAHLER"MEDITATION"(JAZZ批評 571.)あたりがスーッと浮かんでくる。ある意味、ドイツのジャズは日本のジャズと良く似ていると僕は思っている。真面目でオーソドックス。古くて新しい。どちらかというと質実剛健だ。アイデンティティが確立されていて、あまり奇を衒ったりしないし、バックボーンには躍動感が横溢している。だから、相性が良いのかもしれない。
"VOLUME ONE"から変わらぬベーシスト・RASSINFOSSEとのコミュニケーションが素晴らしい。IGNATZEKにとって不動のベーシストだろう。
このアルバムには先に紹介したEDWARD SIMONの"DANNY BOY"(JAZZ批評 678.)やRICHARD WHITEMANの"GROOVEYARD"(JAZZ批評 672.)に共通する自然体の心地よさがある。いつでも肩の力を抜いてリラックスして聴ける素性の良いアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
 
  (2011.02.15)

試聴サイト :  http://www.jr.com/product/music/pm/_1395059/