トリオとしてのドライブ感とスピード感!
久しぶりに溜飲の下がる思い。

躊躇なく5つ★を献上したい
JOERG REITER
"SIMPLE MOOD" JOERG REITER(p), THOMAS STABENOW(b),
KLAUS WEISS(ds) 1985年ライヴ録音(ATELIER SAWANO AS 018)

これは凄いと思う。
久しぶりに溜飲の下がる思い。躊躇なく5つ星を献上したいと思う。
ヨーロッパのジャズにあって、非常にハードである。甘さは全くない。

何と言ってもタイトル曲の "SIMPLE MOOD"(5曲目)がベスト!鍵盤を駆け巡る右手から紡ぎ出される珠玉のフレーズ、左手でサポートするブロックコード。どちらも稀有なドライブ感とスピード感を醸成するためにある。超アップテンポの4ビートにベースもドラムスも順応し、三位一体のめくるめく演奏を繰り広げる。
この曲を最初に聴いた時に抱いたイメージはCHICK COREA の"NOW HE SINGS,NOW HE SOBS"(JAZZ批評 1.)の中にある "MATRIX" だった。また、GEORGES ARVANITASの初期の "IN CONCERT" の演奏をも彷彿とさせた。
凄いドライブ感が味わえる。鍵盤を高音部から低音部まで隈なく使っており、スピード感がある。こういうジャズを聴きたかった。

面白いのは6曲目、THOMAS STABENOWの手による "1.2.79"。何とも言えぬ香りを醸し出している。
7曲目の "INVITATION" もGOOD!この曲は、AL HAIG(JAZZ批評 47.)による演奏が象徴的であるが、ここではギンギンギラギラに弾きまくっている。
8曲目が同じくTHOMAS STABENOWの手によるオリジナルのブルース。ミディアム・テンポのブルースをフィーリングたっぷりに歌う。

一方でスタンダードにも挑戦している。1曲目の"SOMEDAY MY PRINCE WILL COME"の他に "ON GREEN DOLPHIN STREET" と "STELLA BY STARLIGHT"の3曲。
どの曲もオリジナリティ溢れる演奏で、スウィング感満載。

このピアニストは既に引退し、現在は音楽プロデューサーなど「裏方」に徹しているという紹介文がHMVの中にあったが、これは惜しい!これだけの腕前とこれだけのフィーリングがあればもっともっと活躍の場はあったはずだ。

久しぶりに聴くピアノ・トリオの快作である。躊躇なく5つ星を献上したいと思う。
同時に「manaの厳選"PIANO TRIO & α"」にも追加した。
ライナー・ノーツにある『贈る言葉は一言「聴かずに死ねるか?」』という言葉が実に実感を伴った言葉に聞こえる。     (2002.04.30)



独断的JAZZ批評 66.