Phono EQ

RIAA再生イコライザ特性


反転NF型RIAA-EQの伝達関数


y s u s = 1 R 0 1 R 1 + 1 R 2 + 1 C 2 s + C 1 s = R 1 R 2 C 2 s + 1 R 0 R 1 R 2 C 1 C 2 s 2 + R 1 C 1 + C 2 + R 2 C 2 s + 1

ターンオーバ(318µs)
伝達関数の零(ゼロ)の時定数R2C2で決まります。これをE12系列に限定し誤差が最小となる組合せを探ると6.8×4.7の組合せが得られます。このペアのスペックとの差は約0.5%であり1%のCRを使用したとしても一応は許容できる値です。ちなみに安井章氏もCR型EQでこの組合せを使用されておりました。

ロールオフ(75µs)
伝達関数が低域の時定数3180µsとロールオフの75µsの2個のポール(極)を持つよう定数を決定します。 具体的には(R2,C2は既知とすれば)以下の連立方程式を解くだけです。

R 1 R 2 C 1 C 2 = 3180 µs × 75 µs

R 1 C 1 + C 2 + R 2 C 2 = 3180 µs + 75 µs

ここで R 2 C 2 = 318 µs とすると

C1 / C2 = 0.34294 になりますが、E12系列で一番これに近いのは3.3100.33で誤差は約5%になり素子一個づつでは構成できません。

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冗長な抵抗を付加した反転NF型RIAA-EQの伝達関数


y s u s = R 1 R 0 · R 2 C 2 s + 1 R 1 R 2 1 + R 3 R 0 + R 1 + R 2 R 3 C 1 C 2 s 2 + R 1 1 + R 3 R 0 + R 3 C 1 s + R 1 + R 2 C 2 s + 1

反転NF型RIAA-EQのCRの最小構成はC×2,R×3ですが、時定数の精度を要求するとどうしても LM4562/LME49720のTypical Applicationのように、ひとつの定数の合わせ込みのために複数の素子をパラレルやシリーズで使用することになります。

しかしこの回路に冗長な抵抗を一個追加するだけで自由度が増しE12系列だけでも精度をほぼ満足できる定数の設定が可能になります。安井章氏のCR型のRIAAネットワークは正にこの手法で設計されており、当時巧みな定数設定にいたく感心させられたものです。

定数例
R0 = 500 Ω ( ≒ 1 kΩ / 1 kΩ ), R1 = 47 kΩ, R2 = 6.8 kΩ, R3 = 150 Ω, C1 = 0.047 µF, C2 = 0.012 µF
 
時定数(オープンループ・ゲイン無限大の理想OPアンプの場合)
項目 低域カットオフ ターンオーバ ロールオフ
規格(µs) 3180 318 75
設計値(µs) 3189 319.6 74.92
偏差(%) +0.3 +0.5 -0.1

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