アクティブ・フィルタ
VCVSフィルタとMFBフィルタ
VCVS(Sallen-Key)フィルタ
VCVSまたはSallen-Keyと呼ばれる2次フィルタの標準的な回路です。
左図の回路の ZA , ZB , ZC をスター・デルタ変換します。
ZAC は入力信号とOPアンプ出力という電圧源に直接接続されているだけなので無視できます。
ZBC は反転入力/非反転入力間に接続されていて、理想OPアンプなら電圧はゼロ、したがって電流もゼロなのでこれも無視できます。
この結果出力には ZAB と ZD で分圧された電圧が出力されます。
MFB(多重帰還型)フィルタ
オーディオ界では MFBというと一般にスピーカの Motional FeedBack のことを指しますが、ここでの MFB は Multiple FeedBack (多重帰還型)と呼ばれる反転出力の2次フィルタです。
左図の回路の ZC , ZD , ZE をデルタ・スター変換します。
左図の回路の ZA, ZB, ZCEをスター・デルタ変換します。
ZAB は単なる入力信号の負荷なので無視できます。
理想OPアンプでは入力インピーダンスは無限大なので ZCD は無視できます。
理想OPアンプでは反転入力/非反転入力間の電位差はゼロ、また ZCD の電圧もゼロなので ZBCE の電圧もゼロとなり、これも無視できます。
ZAB, ZBCE, ZCDを無視すれば、この回路は ZACEと ZDEによるシーソー回路と等価になります。
VCVS/MFB LPFの減衰特性
下図はOPアンプの出力インピーダンスを純抵抗 100 Ω としたときのVCVS/MFB両LPFの周波数特性(LTspiceによるシミュレーション*1)です。
MFB LPFの方は比較的良好ですが、VCVS LPFは減衰が途中で止まり、周波数が上がるにつれ逆に減衰量が減少していきます。 ZOUT = 100 Ω という設定は適切ではないかもしれませんが、ことLPFの減衰特性に限って言えばVCVSよりもMFBの方が有利なようです。
理由は定かではありませんが、テキサス・インスツルメンツのPCM DAC(電圧出力タイプ)のポストLPFの推奨回路*2は(私の知る限り)ことごとくMFBです。
以下LTspiceシミュレーションに使用した回路を示します。
VCVS LPFの回路です。定数はテキサス・インスツルメンツのアクティブ・フィルタ設計(無償)アプリケーションFilterPro*3で求めました。ちなみにFilterProはVCVSではなくSallen-Keyの名称を使用しています。
(オープンループゲイン = 100 dB, GBW = 10 MHz )
MFB LPFの回路です。同じく定数はテキサス・インスツルメンツのFilterProで求めました。
(オープンループゲイン = 100 dB, GBW = 10 MHz )
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